山本陽子

デフォルト

『ジュゼップ 戦場の画家』感想 | 引かれた線の”あちら側”と”こちら側”について考える

エンドロールになって驚いた。始まってまだ1時間と少ししか経っていなかったからだ。『ジュゼップ 戦場の画家』はスペイン人画家の半生を描いたアニメーション映画であるが、伝記やアニメという言葉が想起させるイメージには到底納まらない、濃厚な傑作であ...
映画コラム

『ブラックバード 家族が家族であるうちに』レビュー:自ら死を選んだ母をどう受け止めるかを問う美しく濃密なヒューマンドラマ

重い病におかされた母親が自ら人生を終えると決めたとき、あなたならどうしますか。スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットのアカデミー賞受賞2大女優の初共演でも話題の『ブラックバード 家族が家族であるうちに』。誰もが直面する死への問いを描い...
映画コラム

『MISS ミス・フランスになりたい!』 レビュー:性別・年齢関係なく、背中を力強く押す名作!

キラキラした映画だったなあ、『MISS ミス・フランスになりたい!』。 “ミス・フランス”とは、いわゆるミスコン、ミスコンテンストのこと。女性が美しさと情熱を競い合う、あれでしょう?とわかった風にして脇に置いてしまってはいけません。対象が女...
映画コラム

『天国にちがいない』レビュー:オシャレ・ユーモア・皮肉さはまるで現代のチャップリン

吉本隆明はエッセイで、孤独な時間こそが人の価値を高めると書いた。自身の娘が小さいころ、一人で没頭している様子を見かけたら、タバコの調達を頼むことも控えたのだそうだ。  パレスチナの映画監督、エリア・スレイマンによる『天国にちがいない』は繊細...
映画コラム

『KCIA 南山の部長たち』 レビュー:イ・ビョンホン主演で描く「自分か組織か」

組織のため、ましてや国に御身を投じる人は、その信念を最後まで貫けるのだろうか。いつか個の自分が現れることはないのか。尊いと思っていた当初の目的の、その背中が遠のく瞬間はないのか。たとえば権力や金に目がくらむなどして。 ウ・ミンホ監督の『KC...
映画コラム

メキシコの女性画家・フリーダ・カーロ、彼女をめぐる2つの映画の見どころ

一度目にすると、釘付けになる。痛みを感じて目を逸らしたいのに、なぜか吸い寄せられるようにまた見てしまう。メキシコを代表する現代美術の女性画家・フリーダ・カーロの絵には、人の感情をえぐる何かが凝縮されている。芸術家を一人ずつピックアップし、作...