加藤 広大

映画コラム

『ラストナイト・イン・ソーホー』こんなもん最高に決まってるじゃないか。エドガー・ライトに映画館いっぱいの感謝を

冒頭、少女が新聞紙で作った自作のドレスを身に纏い、くるくると踊りながら、まるで「私のお部屋を紹介するわ」と観客を誘うかのように自室に突入する。もうこの時点でコレオグラフ、カメラワーク、当然ながら選曲も含め、何もかもが素晴らしい。開始からおよ...
映画コラム

『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』ザ・スミスのファンでなくとも大いに楽しめる、ウェルメイドな青春音楽映画

試写を観た翌日くらいから「いやぁ、今度ザ・スミスの映画やるんですけど、あれ面白いっすよ」と勝手に宣伝しまくっていたのだが、返ってくる言葉の1位は「え? ドキュメンタリーやるの?」である。2位には「え? ボヘミアン・ラプソディみたいな感じ?」...
映画コラム

「推し」とは無縁な人間が、「推し」について本気で考えてみた

編集部から毎月出されるお題をもとにコラムを書く「月刊シネマズ」。今月のテーマは「私の推す俳優・女優」だそうだ。しかし困った。筆者には「推し」がわからぬ。筆者は村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らして来た。このまま『走れメロス』を写経して...
映画コラム

「映画あるある」をわずか58分に凝縮。『ハリウッドを斬る! ~映画あるある大集合』は清い意味での「ファスト映画」かもしれない

『ハリウッドを斬る! ~映画あるある大集合』(C)Netflix 「あるある」について話したり考えたりするのは結構楽しい。それはどんなジャンルであれ存在する話題だ。たとえば、筆者はライターの他にグラフィックデザイナーをやっているが、Twit...
映画コラム

デヴィッド・ボウイというロック・スターを扱った異色の音楽映画『スターダスト』の不思議な魅力

ここ20年ほどの音楽映画はかなり豊作で、史実を基にした物語、ドキュメンタリー、フィクション問わず良質な作品が数多く制作され続けている。思いついたままざっと挙げてみるだけでも、チェス・レコードを舞台とした『キャデラック・レコード 音楽でアメリ...
デフォルト

<映画コラム>夏の思い出は「できなかったこと」が作り出す

本サイト「cinemas PLUS」で今月から月刊企画が開始された。初のお題は「夏の終わりに観たい映画」だそうだ。この文章を書いているのは2021年9月21日で、季節のうえではすっかり秋なのだが、東京は妙に暑い。何なら先程まで出遅れた蝉が一...