「おむすび」今度は歩(仲里依紗)が渡辺(緒形直人)に靴のカスタムを依頼する【47回】

続・朝ドライフ

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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第47回を紐解いていく。

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ごはん かたっ

1995年の回想。
地震から5日め。皆、それぞれいったん家に戻り、道具などを避難所へ持ちよって、炊き出しを行いました。大豆と野菜のお味噌汁。わかめの入ったおむすびをみんなでぱくつきます。
結は美味しいと食べながら「でもごはんかたっ」とまた余計な一言を。
愛子(麻生久美子)の良さは決して怒らないことです。「チンして」のときも「かたっ」のときも、ともすれば「そんなこと言うもんじゃありません!」と叱るお母さんはいると思います。街中で幼児を叱ってるお母さんを眼にするので。

結の言動は、当時、おむすびが冷たかったこと固かったことなど、事情を伝える役割もしているのです。
このドラマは、95年の震災の記憶を後世に伝えることも目的になっているので、結は主人公の責任として、視聴者から悪く思われる可能性もあるネガティブ面を請け負っているということでしょう。

もうひとり、ネガティブ要素を請け負っているのが、渡辺(緒形直人)です。
震災前から商店街のチームワークを乱すタイプで、アーケード建設に反対してみんなを困らせていましたが、震災で娘を亡くしてますます偏屈になっています。

2007年現在。聖人(北村有起哉)が渡辺に靴の修理を頼み、拒みながらも渡辺が修理してくれました。その出来はじつにすばらしく、感心した歩(仲里依紗)は、古い靴のカスタムを頼みます。歩は父の行動に倣い、自分もまた、渡辺にやり甲斐を感じてもらうアプローチに作戦変更したのかなと想像できます。

ただ、聖人、歩、結(橋本環奈)と続々渡辺を訪ねてくるのはちょっとうざいかも……。靴のデザイン画は愛子のもので。米田家そろって渡辺に迫ってくる。多勢に無勢。善意の分量が多すぎます。

本日は、靴修理の達人・渡辺さんを演じている緒形直人さんのコメントをお届けします。
チームの中で異端児でありたいので、オフの時間も独りでいるようにしていたそうですよ。だからこその漂う強い孤独感。すばらしいですね。

しっかりと悲しむ、しっかり辛い顔をした演技を朝から届けていきたい
緒形直人

Q1 出演が決まったときの気持ちは?

『ファイト』以来、19 年ぶりの朝ドラ出演になります。社会派ドラマや若者のドラマが多いなかで、こうした日常を丁寧に描く井戸端会議のような物語は、朝ドラならではと感じているので、お声をかけていただき嬉しく思っています。BK での撮影は雰囲気が良いですね。心地が良いです。

Q2 撮影ための準備や役作りについて

関西弁で演技するのがこれまであまりなかったんですよ。なので、何度も音源を聞いて練習していたら、先日、別のナレーションの仕事で、初めてイントネーションを指摘されるという、自分にとってショックな出来事がありました。関西弁に引っ張られてしまいました(笑)。
あとは、なるべく孝雄に近づけるように、撮影中もそうでないときも独りでいるようにしています。台本もあえて孝雄に関係する部分以外は、流し読み程度にしているんです。余計な情報を入れて、孝雄の演技に影響を出したくないから。それだけ孝雄の世界は閉じているんだと思うし。食事のお誘いもいただくのですが、チームの中で異端児でありたいのであえてお断りして、オフの時間も独りでいるようにしていました。

Q3 演じる役・渡辺孝雄について

不幸な役どころですね。神戸の靴店店主・渡辺孝雄は、母子家庭で育ち、弟のために学校を辞め、家庭を支えていた苦労人という設定です。苦労しましたが結婚し、子供が生まれようやく幸せというものを感じていたところ、母を亡くし、妻を亡くし、男手ひとつで懸命に一人娘を育ててきた。そうした状況で阪神・淡路大震災に被災し、すべてを失って 12 年間、まだ一歩も前に進めていない男です。でもこういう人は、地震大国である日本にはおそらくたくさんいるのでしょう。僕自身だったとしても塞ぎ込んでいたと思います。
物語が進むにつれて、自分の不幸にとらわれていた孝雄が少しずつ前を向く様子が描かれていきます。聖人が靴の修理を頼むのもきっかけのひとつ。修理したいと靴職人の本能が芽生えたのでしょう。それでもまた悲しみの殻に閉じこもる。何年も一歩も前に進めなかった男が一歩片足を出そうとしても出せない。そんな簡単なものではないですよね。その葛藤や苦しさを丁寧に演じていけたらと思っています。

Q4 視聴者へのメッセージと見どころ

今回、堀内正美さんともご一緒しますが、彼から「親を亡くすことは過去を失くすこと。恋人や妻を亡くすことは今を失くすこと。子を亡くすことは明日を失くすこと」と教えていただきました。心の復興は人それぞれ違います。阪神・淡路大震災だけでなく地震大国である日本で、こうした人が現実にいることを絶対に忘れないでほしい。そういった意味でもしっかりと悲しむ、しっかり辛い顔をした演技を朝から届けていきたいですね。

(文:木俣冬)

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–{「おむすび」第10週あらすじ}–

「おむすび」第10週あらすじ

第10週 「人それぞれでよか」(12/2~12/6) 神戸市職員の若林(新納慎也)から、子ども防災訓練の炊き出しを手伝ってほしいと頼まれる結(橋本環奈)。専門学校の桜庭先生(相武紗季)に相談すると、授業で炊き出しの献立を考えることに。とはいえ、災害時に何を作ったらいいかわからない結は、震災の避難生活を経験した商店街の美佐江(キムラ緑子)さんたちに話を聞き、当時の悲惨さを知る。一方、社会人野球で頑張っている翔也(佐野勇斗)はスランプに陥る。

–{「おむすび」作品情報}–

「おむすび」作品情報

放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始

出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。 

【結の家族・米田家の人々】

米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。 
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。 

米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。 

米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。

米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。 

米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。 

【福岡・糸島の人々】

四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。 

古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。 

風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。 

宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。 

真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。

佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。

田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。

柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。

ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。 

草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。 

古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。 

大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。 

井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。 

佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。

大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。

飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。


根本ノンジ

音楽
堤博明

主題歌
B’z「イルミネーション」

ロゴデザイン
大島慶一郎

語り
リリー・フランキー

制作統括

宇佐川隆史、真鍋 斎

プロデューサー
管原 浩

公式サイト