「ブギウギ」茨田りつ子に子供がいたとわかりびっくり<第83回>

続・朝ドライフ

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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第83回を紐解いていく。

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カルメン千穐楽

「腹ボテカルメン」として好評を博した「ジャズ・カルメン」。
愛助(水上恒司)は一目見たいと願ったものの、体調がおもわしくなく、断念することに。

自分の体は自分が一番よくわかっていると、以前、豪語していた愛助ですが、わかってるのかわかってないのか。上京して観劇などできるはずのない体調の悪さに気づいているから最後に一目見たいのか、まだ絶対に治ると希望を失っていないのか。

医者は「辛抱のしどころです」とだけ。

いずれにしても、愛助はスズ子(趣里)に心配をかけないように、風邪を引いてしまったのでいけなくなったとウソの手紙を書きます。
すごく辛いのに、弱音を吐かず、明るく振る舞う愛助が切ない。

スズ子のほうも、本当はすごく不安なのに、愚痴めいたことを手紙に書くことはいっさいありません。

スズ子と愛助の思いやる心が美しい。

感染症というと、令和のいまだとコロナ禍が思い浮かびますが、いまは、リモートでお互いの顔や声を確認できるし、なんなら演劇だって配信で見られます。

昭和は人と人との物理的距離がとても遠くて、不便でした。それと比べて、いまはとてもありがたい時代であります。

「會いたかった」「會いたかった」と手紙に書くスズ子がかわいらしくて、三十代のおばちゃんにはまったく見えず、とても若く思えます。恋をしているときは、年齢なんてないというエイジレス表現なのでしょうか。

ジャズ・カルメンの衣裳も、バレエの発表会のようにも見えなくもないのは、勝手な想像ですが、若い視聴者に感情移入してほしいと思ってのことなのかなと思います。それには趣里さんはぴったりです。

少女のような趣里さんに対して、アダルトな魅力を振りまくのが、茨田りつ子(菊地凛子)です。

千穐楽の楽屋にふいに現れ、「出た」とスズ子はおばけのような扱いをします。そこでりつ子は衝撃の告白を。

じつは、出産経験があり、産んだ子供は実家にあずけていると言うのです。

子供の父親は秘密。茨田りつ子、ミステリアス過ぎます。

これはりつ子のモデル・淡谷のり子さんの実話に基づいた設定のようですが、戦前戦後の日本はなんだか混沌としているのを感じます。東北の裕福な家に生まれながら没落し東京に出てきて歌手を目指した淡谷さん。ヌードモデルをやってお金を稼ぐこともあり、男性に酷い目にあったこともあるようです。いったいどんな恋をして、子供を産むに至ったのか。

茨田りつ子は、歌のために、子供を手元におかず実家にあずけているという、業を見せます。

子供を自分の手で育てていないことが唯一の後ろめたさだと自覚をしているりつ子の話を、羽鳥(草彅剛)は朝ドラあるある「立ち聞き」して、りつ子の歌の魅力の源泉にひとりナットクしたようです。

スズ子は、子供が生まれたらどうするのでしょうか。

目下、愛助は、籍を入れようと頑張っているわけですが……。
手紙は、ついに、封書からハガキになってしまい……。

このへんを掘り下げていくと、ものすごく重々しい話ですが、「ブギウギ」では重苦しさを極力取り除き、おそばのようにのど越し良く飲み込めるドラマになっています。

(文:木俣冬)

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–{「ブギウギ」第18週あらすじ}–

「ブギウギ」第18週あらすじ

妊娠6か月のスズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)とともに「ジャズカルメン」の稽古を開始する。看護師の東(友近)にも支えられながら、順調に稽古を進め、いよいよ本番の日を迎える。一方、大阪の病院に入院している愛助(水上恒司)とは、しばらく会えないままでいた。手紙でしかお互いのことを知ることができない日々が続いていたのだが…愛助の結核の病状は刻々と悪化していた。そんな中、スズ子は出産を迎える。

–{「ブギウギ」作品情報}–

「ブギウギ」作品情報

放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始

出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか


足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>

音楽
服部隆之

主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)

ロゴ・タイトル制作
牧野惇

歌劇音楽
甲斐正人

舞台演出
荻田浩一

メインビジュアル
浅田政志

語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

制作統括
福岡利武、櫻井壮一

プロデューサー
橋爪國臣

演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか