「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第80回を紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
急展開
愛助(水上恒司)が大阪に行く前に、スズ子(趣里)と箱根で一泊。
湖のほとりで、ひととき思う存分楽しむふたり。
思えば、このふたり、出会ってすぐ、戦争が激化して、それから愛助の結核が再発したりと、落ち着かない日々でした。
そもそも、トミ(小雪)にふたりの仲を認めてもらっていませんから、常にすっきりしないものを感じていたことでしょう。
相変わらずトミには認めてもらえていないし、愛助の病気も心配ではありますが、美しい風景を散策している間は、心から楽しめたことでしょう。写真もバンバン撮ります。
蓄音機とかもいいものをもっていたし、カメラもいいものを持っていそうな愛助ですから、スズ子の写真をふだんからたくさん撮っていそうですが、撮影はここで初めてです。
水上さんと趣里さんが心底楽しそうで、のびのびしていました。
愛助「スズ子さん 早く来ないと僕は消えてしまうよ〜」
スズ子「お待ちになって〜 愛助さーん」
お芝居仕立てなのでしょうけれど「早く来ないと僕は消えてしまうよ〜」はなんだかいやな予感がします。
でも愛助は、将来のことを夢見ています。子供ができたらまたここに来たい。子供は4人はほしい。
そんな夢を語ります。
そのとき、スズ子がちょっと表情を変えて、何かを話そうとしますが、引っ込めます。
ここ、しばらく引っ張ります。箱根から帰ったあと、スズ子は、山下(近藤芳正)と坂口(黒田有)と仕事の打ち合わせ中、トイレに立って……。ここも意味深。
そのあと病院に行ったようで、「愛助さん、やっぱりやったで」と愛助の丹前に語りかけます。はっきりしないうちにぬか喜びさせてはいけないと思ったのでしょう。慎重なスズ子。
そして、まず報告したのは山下と坂口。彼らの表情がすごい。トミが許していないおつきあい、かつ、スズ子は仕事がいっぱい。問題山積みという顔です。
簡単にはいかない話ですが、スズ子の報告の手紙を読んだ愛助がさっそくトミに話してしまい……。
(ここで、愛助の好物がおはぎであったことがわかります)
矢崎(三浦誠己)から電話がかかってきて、
「社長、怒髪天らしいですわ」という坂口の「怒髪天」というワードが、トミのはげしい形相を想像できておもしろい。
淡々としてキレ者感のある、でも忠実そうな矢崎、見た目はこわくて押しが強いけれど、デレたらかわいいところがあって、愛情深そうな坂口、おっとりしていて調子のいい、遊びにも長けた山下と、三者三様で、村山興業の層の厚さを感じます。
基本は、トミと先代である彼女の夫の家族的な経営によって育まれてきたいい会社なのでしょう。
三浦さん、黒田さん、近藤さん、3人がキャラが立たせていて、とてもいいグルーヴ感を作っています。
今朝の「あさイチ」は、六郎こと黒崎煌代さんと林部長こと橋本じゅんさんがゲスト出演。史実では、笠置シズ子さんに牛の血を飲ませていた人がいるという衝撃の話をじゅんさんが語っていらっしゃいました。
ちなみに、史実では、笠置さんと吉本頴右さんが行ったのは、琵琶湖だそうです。ロケ地はどうやら
西のほうらしいですよ。たぶん、月曜のクレジットに出ていた長浜近辺ではないでしょうか。
(文:木俣冬)
木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中
–{「ブギウギ」第17週あらすじ}–
「ブギウギ」第17週あらすじ
スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)に対して、愛助の母であり、村山興業の社長である村山トミ(小雪)は、結婚するのであれば歌手をやめるか、歌手をやめないのであれば別れるようにと伝える。スズ子は、愛助と一緒になるのであれば歌手をやめても良いのではと考えるのだが…。一方、羽鳥善一(草彅剛)は、スズ子が歌手をやめることに大反対し、一緒に「ジャズカルメン」の舞台をやろうと誘う。そんな時、愛助が再びかっ血する。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか