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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第79回を紐解いていく。
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”こないなるまで気づかないのはおかしい”
こうなったら、トミ(小雪)に直訴だと愛助(水上恒司)が立ち上がった、そのとき、咳き込んで血痰が……。
働いて疲れも溜まっていて、再発してしまったのです。
再び入院した愛助のもとに、トミが血相変えてやって来て、大阪に連れて帰ると宣言します。
愛助とスズ子(趣里)を引き離そうとするトミ。結婚は認めてないけれど、スズ子はあくまで世話係と考えていたらしく、世話係としては信頼していたけれど、
「そやけど それはわての間違いでしたわ」
「そやから間違いやったわ あんたがこないなるまで気づかないのはおかしい」
と、考え直したのです。
たしかに、ずっと一緒にいたら、かすかな兆候にも気づくに違いないと思ったりもしますが、なかなかそうもいかないもので、病は突然、顔を出すものです。
ただ、愛助の場合、ちょっと咳をしても、大丈夫かなあ、と鋭敏に反応してもおかしくはないとは思いますが。とはいえ、そんなこというトミこそ、もっと早くに自分から東京に来て、様子を見るべきで。
まあ、人は勝手なもの、という話しです。
しょんぼりするスズ子に愛助は甘いものが食べたいとねだり、スズ子はがんばって闇市で買い物をしておはぎを作ります。このおはぎづくりがなんだか無様な感じで、第78回の音楽劇仕立てのお料理場面もおぼつかない感じだったのですが、あんまり家事が得意ではないのでしょうか。
そして、甘いものが食べたいで思い出したのが、以前、スズ子が愛助のお祝いに買い物に行った際、小夜がもらったチョコレートをその場で食べてしまったことです。
お祝いの食材がそろわなかった分、チョコを愛助に食べさせてあげようとは思わなかったのかなあとずっと気になっていました。今回、甘いものが食べたい、というセリフで、視聴者としては、愛助は甘いものが嫌いじゃないことがわかり、もし私がスズ子だったら胸がチクリとなった気がします。
ここでおはぎを作って食べてもらったことで、あのときの贖罪ができたような。
でも、愛助が、なんの役にも立っていないとしょげているスズ子に役割を与えてくれたと解釈します。そうかも。愛助は気遣いの人。
やりそびれたことをこの際、やる。そんな感じがしたのは、このやりとりも、です。
スズ子「お母さんは自分の命よりも愛助さんのことを愛しています ってダジャレじゃおまへんで」
愛助「わかってるがな」
このセリフも、愛助が登場したばかりの頃にあっても良さそうなネタ的なものです。やりたかったけど、尺の都合等でできなかったことを、ここでまとめてやってみた、そんな気がしました。だからこそ、よけいに、愛助の退場が近いのか?と思ってざわざわします。
愛助は、自分の体は自分が一番よく知ってるからと、大阪に帰る前に、箱根で一泊しようと誘います。
先週の予告にあったロケ場面です。筆者はてっきり、今週はずっとロケなのだと思って期待していたのですが、明日やっと抜けのいいロケシーンを見ることができそうです。楽しみ。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第17週あらすじ}–
「ブギウギ」第17週あらすじ
スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)に対して、愛助の母であり、村山興業の社長である村山トミ(小雪)は、結婚するのであれば歌手をやめるか、歌手をやめないのであれば別れるようにと伝える。スズ子は、愛助と一緒になるのであれば歌手をやめても良いのではと考えるのだが…。一方、羽鳥善一(草彅剛)は、スズ子が歌手をやめることに大反対し、一緒に「ジャズカルメン」の舞台をやろうと誘う。そんな時、愛助が再びかっ血する。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか