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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第76回を紐解いていく。
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いよいよ本番
「舞臺よ!踊れ!」の本番がはじまり、拍手喝采を浴びました。
愛助(水上恒司)や小夜(富田望生)が客席ですごく嬉しそうに見ている表情が良かった。ふたりとも、心からスズ子のステージを喜んでいるように、演技なのに、その瞬間、はじめて見たように反応していて、空気を上げていました。
劇の流れがスズ子の新曲「コペカチータ」のためのものという感じで(セット替え衣裳替えも、ど派手)、これだとスズ子中心の作品としか思えません。なのになぜ稽古のとき、脇役の人たちはスズ子を立てずに威張っていたのでしょう。
きっと彼らにも矜持があるので、人気歌手が主役的な役で来ても、媚びないということなのかも。
タナケン(生瀬勝久)のモデルとは公言されていませんが意識はしているであろうと思われる、喜劇王エノケンは浅草の演劇ですが、この劇中劇はNHK大阪局が作っているからか、どことなく吉本新喜劇調に見えました。気のせいでしょうか……。
あとでタナケンが「いいねえ西の言葉は」と言っているのは、生瀬勝久さんが関西出身なので実感がこもっています。
スズ子役の趣里さんは関東のかたで、関西弁をがんばってしゃべっていて、生瀬さんは関西出身なのに
東京の演劇人の役を演じているという、不思議なことになっています。
”自分らしく”がテーマの第16週「ワテはワテだす」ですが、実際演じている人達は、本来の自分と違うものをしっかり演じているのです。
スズ子が自分らしく大阪の言葉で演じきって、得意な歌を歌って踊って、新たな扉を開いたとき、小夜はサム(ジャック・ケネディ)と共にアメリカへ旅立ちます。
別れ際、スズ子は小夜ちゃんを「ほんまの家族」と言い、「ほんまにええ子」と大肯定していましたが、実際のところ、小夜ちゃんはとくに何もしてない、むしろ何もできない子でした。ただ、明るくバイタリティーがあること、たまに、大事なときに優しくあたたかくスズ子を慰めてくれること、など、素朴な魅力がありました。たぶん、スズ子にはそれで良かったのでしょう。
スズ子は大阪のはな湯で、ほぼ何も役に立っていないけど愛されていたアホのおっちゃんとか、一応働き者だけど素性のわからないゴンベエとか、何もしないで夢ばかり語っているお父ちゃんとかと共に暮らしてきたので、一般的に役に立つとか優秀とかいうことに重きを置いていないのでしょう。
こういう心の広さは大事だし、無償の愛を声高にメッセージ的に言わないのも、「ブギウギ」の良さだと思います。
さて、「ワテはワテ」と認識したスズ子ですが、いよいよ愛助の母トミ(小雪)が結婚をゆるしてくれそうになったものの、その条件が、スズ子のスズ子らしさを奪うようなもので……。
スズ子は、愛を取るのか、仕事を取るのか――。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第16週あらすじ}–
「ブギウギ」第16週あらすじ
小林小夜(富田望生)が突然付き人をやめると言いスズ子(趣里)の元を出て行ってしまう。小夜がアメリカ兵と付き合っていることを知ったスズ子はとても心配するが…。一方、スズ子のもとには「喜劇王・タナケン」こと棚橋健二(生瀬勝久)から舞台に出ないかとのオファーが来る。これを仕組んだ羽鳥善一(草彅剛)の後押しもあり、スズ子は初めての女優業に挑んでいく。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか