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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第71回を紐解いていく。
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小夜まで付き人をやめる
昭和21年(1946年)、1月。福来スズ子とその楽団は引っ張りだことなり、スズ子(趣里)は大忙し。
愛助(水上恒司)も負けじと学業に精を出します。
スズ子が体のことを心配して反対するのを遮る水上さんのセリフの被せ方に、反射神経の良さを感じました。
楽団の仕事がすごく忙しいなか、三谷(国木田かっぱ)と四条(伊藤えん魔)と小夜(富田望生)の様子がおかしい。
三谷と四条は、ほかの楽団と掛け持ちをしていて、小夜はサム(ジャック・ケネディ)と会っていました。
三谷と四条のみならず、一井(陰山泰)や二村(えなりかずき)にも引き抜きの話が来ていることを知ったスズ子は、楽団を解散することにします。
マネージャーの山下(近藤芳正)に相談もせず、
「突然ですが、福来スズ子楽団は解散します」といきなり宣言。
楽団をはじめたのはスズ子だから、終わるのもスズ子の判断とは思います。でも、4年間も一緒にやってきたのだから、「解散しようかと思うけどどう?」と相談するのが筋ではないのでしょうか。
楽団の皆さんに実力があって引きも切らないから、困らないと好きなときに好きな音楽で食べていけるから、解放して差し上げようと思ったのでしょうけれど。福来スズ子は、サムも知っているくらい有名なのだから、彼女の楽団にいたほうが稼げそうな気がします。
その疑問は、「俺たちは楽器鳴らして戦争を生き抜いた」という一井のセリフで、解決します。このセリフがこの楽団の存在意義を端的に表していました。つまり、そもそもが、戦争で音楽の仕事がなくなって、急づくりで集まって肩寄せあってがんばったということなのです。
寄せ集めの人たちがふんばって生き延びて、戦後はそれぞれの道に戻り、バラバラになっていく。これからはスズ子はひとり、山下をマネージャーに、小夜を付き人にして、活動を続けていこうとしましたが、小夜が辞めると言い出します。たぶん、サムとの関わりなのでしょう。
小夜は、サムの前で歌を歌ったけれど、ヘタで、街の人たちに笑われてしまいました。スズ子にあこがれて弟子にしてほしいと頼みこんだものの、全然、歌を勉強する様子もなかったのは、もしかして、つらい奉公から逃れる手段なだけだったのかもしれません。
人前で歌ってみて、下手なことを自覚して、これ以上、スズ子のところにいるわけにはいかないと思い直したのかも。
番組の制作統括・福岡利武チーフプロデューサーに、以前、取材したとき、小夜は、スズ子がどんな人でも広い心で受け入れる人物であることを表現するための存在でもあるというようなことを語っていました。
小夜や楽団の人たちという行き場のない人たちをスズ子が集めて、一緒に生き抜いていこうと旗振りになったというエピソードだったと考えると、すっきりする気がします。
怪我した小鳥を鳥かごで飼って、怪我が治ったら、自然に戻すように、戦後、それぞれの生き方ができるようになった人たちを、スズ子は解放したのです。
日帝劇場の「ハイ・ライト」コンサートで、やけに楽団の皆さん、いい表情をしていたのはこれが最後の見せ場だったということだったとわかり、しみじみした気持ちになりました。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第15週あらすじ}–
「ブギウギ」第15週あらすじ
終戦を迎え、スズ子(趣里)はやっとのことで東京の自宅へ戻ってきた。物資がなく苦しい生活ではあるが、愛助(水上恒司)と平和な日々を送っていた。やがて、劇場も再開、スズ子はその記念公演に出演することとなる。同じく鹿児島から東京に戻ってきた茨田りつ子(菊地凛子)、上海から命からがら戻ってきた羽鳥善一(草彅剛)とも再会。本来の歌手・福来スズ子として、新たな一歩を踏み出し始める。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか