「ブギウギ」坂口(黒田有)が味方になるのが早すぎないか<第61回>

続・朝ドライフ

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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第61回を紐解いていく。

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スズ子、三鷹へ

第13週のサブタイトルが「今がいっちゃん幸せや」(脚本:櫻井剛)では、スズ子(趣里)愛助(水上恒司)が三鷹で暮らすことになります。ただし、with小夜(富田望生)

それまでも、愛助の下宿に入り浸っていたスズ子でしたが、ついに堂々と同棲開始。ただし、それは結核の愛助の世話をするためです。

「今がいっちゃん幸せ」と言っても、手放しではなく、愛助は結核を患っているのでした。

ふいに結核になったわけではなく、前から結核で、最近は良くなって治ったと思っていたと言う愛助。そんなんで、よく、スズ子とべったりしているなあ。歌手としてのスズ子が好きなのだったら、彼女にうつることをもっと気にしてほしい。

でも、若いし、結核が治ったうえ、スズ子と恋ができて、嬉しかったのでしょう。

第61回ではキスはなく、額をくっつけるだけでした。この控えめな距離感がもどかしくて、いい感じです。

入院したとき、うつることも気にせず、スズ子がつきっきりで看病して、疲れて居眠りしてしまうところも健気でした。寝ているスズ子を愛おしそうに背中をなでる愛助の姿はたしかに「今がいっちゃん幸せや」そのものでありました。

「へばりつく」と言って片時も愛助のそばを離れないスズ子。空襲警報が鳴っても
病床に残ります。そんなスズ子に、愛助はプロポーズ。

献身的なスズ子の様子に打たれた坂口(黒田有)は、三鷹で一緒に暮らすように手はずを整えました。あんなにうるさく反対していたにもかかわらず、ころっとふたりの味方になってしまう。病院に顔を出したときの坂口の表情がすっかり柔らかくなっていました。

推察するに、坂口は仕事熱心で、トミ(小雪)の命令一筋でやってきたのでしょう。でも、スズ子が野心家ではなさそうだったので、気持ちが変わったのでありましょう。愛助のことも心配だから、面倒見てくれる人がいるのはありがたいということもあるでしょう。

でも、トミには、はっきり言い出せずにいます。どうせすぐにバレてしまうと思いますが。

スズ子のモデル・笠置シヅ子も結婚して引退してもいい気持ちだったらしいとか……。伝説の歌手として知られていますが、じつは仕事ーー歌がすべてではなく、愛する人のほうが大事な人であったのかもしれません。

スズ子の母ツヤ(水川あさみ)が愛情優先の人だから、スズ子もそういうふうに育ったとしてもおかしくありません。

ドラマでは、ただただスズ子と愛助が一途で純粋で二羽の小鳥のようにかわいく見えますが、笠置シヅ子の自伝を読むと、愛助のモデルである、吉本興業の御曹司・エイスケはもうちょっと世慣れている印象です。なかなか結婚にまで至らなかったのも実家の財産問題など、シビアーな話もあったりして。このへんのことをドラマで見たかった気もしました。

(文:木俣冬)

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–{「ブギウギ」第13週あらすじ}–

「ブギウギ」第13週あらすじ

愛助(水上恒司)が喀血(かっけつ)して倒れた。持病の結核が悪化しているのだった。スズ子(趣里)は入院した愛助を必死に看病していた。そんなスズ子の献身的な姿を見た坂口(黒田有)はトミ(小雪)に二人の交際を認め、新しいマネージャーとして山下(近藤芳正)をつけてあげられないかと進言する…。一方、従軍していた善一(草彅剛)は、上海にて中国の音楽家たちと交流していた。そんな中、軍からある依頼を受ける。

–{「ブギウギ」作品情報}–

「ブギウギ」作品情報

放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始

出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか


足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>

音楽
服部隆之

主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)

ロゴ・タイトル制作
牧野惇

歌劇音楽
甲斐正人

舞台演出
荻田浩一

メインビジュアル
浅田政志

語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

制作統括
福岡利武、櫻井壮一

プロデューサー
橋爪國臣

演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか