「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第59回を紐解いていく。
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五木アウト、山下達夫イン
長野に巡業に出たスズ子(趣里)。
そこには、五木(村上新悟)を「父ちゃん」と呼ぶ少年(三平)が……。
その母親ナツは、各港に女あり、の五木の女性のひとりなのでしょうか。
ナツに五木は、スズ子を育てていくと大風呂敷を広げていることがわかります。
「子供も日本各地にいるのかねえ」と、楽団員たちも、ちょっと批判的です。
五木は、第58回で、「俺だって食わせなきゃいけない相手……」とスズ子に言いかけていました。それがこの女性と子供なのかーー。
五木がナツにお金を渡しているところを目撃するスズ子。
三平は五木の子供ではないけれど、五木はナツと三平のことが大事なようで、各地の女性と縁を切ったとスズ子に語ります。
五木はどこまで本当のことを言ってるのか、ちょっとわかりません。
こういうとき、じつは、各地に女性がいる、というのは冗談と言いそうなものなのに。そこは撤回しないのです。
スズ子は、五木が、本当の子供じゃない三平に情を抱いていると知って、たぶん、自分の家庭のことを考えたのではないでしょうか。お金をいくばくか支援すると申し出ます。
もともと、スズ子がこの楽団を作ったのだから、彼女が楽団員を食べさせないといけないような気もしますから(茨田りつ子はそうしているような気がするので)、当然の配慮かもしれません。スズ子が、楽団の経営事情をあんまり考えてない感じがしますが、まあ、よく、芸能人が、マネージャーにいっさいを任せていて、お金を持ち逃げされる事件もあるようですから。
五木も、置き手紙を残し、お金を持ち逃げして、ナツと三郎と3人でどこかに行ってしまいました。
朝ドラ名物 展開早い。であります。
ナツと三平が突然出てきて、突然、五木と去っていく。びっくりです。
ナツの夫は戦争で亡くなって苦労して、五木がほっとけなくなってしまったという事情で、それは戦時中、みんな貧しくて困っている一例、そして、スズ子も五木も、こんなご時世に、愛だの恋だの言ってる愚かな、でもすてきな人たちという部分を、このパートが担っているようですが、あまりに駆け足じゃないでしょうか。
これが一時間ドラマのワンエピソードだったら、もうすこし、五木とナツと三平のドラマが描けたでしょうけれど。なにしろ15分ですから…。
五木がいなくなった代わりに、新キャラも出てきます。
愛助(水上恒司)が、スズ子の役に立ちたいと、新たなマネージャーを紹介します。愛助の爺やだった山下達夫(近藤芳正)です。
近藤芳正さんは、朝ドラ常連。「ブギウギ」で8作めであります。
山下は愛助の父代わりで、小さい頃から甘やかして育ててことがよくわかる、ふたりの会話が楽しそうでした。駆け足でも長い歴史を、演技で感じさせることも可能であるということです。近藤さん、さすがであります。
村山興業の敏腕社員だったらしき山下に、愛助がこっそりスズ子のマネージャーを頼むことで、トミ(小雪)の怒りが爆発。いよいよ、トミが、スズ子と愛助の前に立ちはだかるか。
ところで。結婚については愛助はまだ考えてないという言葉に、スズ子が若干、微妙な反応だったように見えました。30歳過ぎたスズ子には結婚が視野にあるけれど、そこが9歳差、まだ学生の愛助との温度差でしょうか。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第12週あらすじ}–
「ブギウギ」第12週あらすじ
スズ子(趣里)は、愛助(水上恒司)に交際したいと思っていると伝え、戦時下の状況で交際しても良いのか悩む愛助の答えを待つことにする。一方、大阪では、愛助の母であり、村山興業の社長であるトミ(小雪)は二人の交際に反対していた…。そんなある日、スズ子たちは長野で公演を行っていた。しかし、マネージャーの五木の様子が何かおかしい。公演を終えて戻ってくると五木の姿はどこにも見えなくなっていた。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか