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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第58回を紐解いていく。
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交際をはじめたものの……
昭和19年。ついに交際することになったスズ子(趣里)と愛助(水上恒司)。
楽団の面々が囃し立てて、愛の口づけを煽ったとき、愛助がその気になって唇に指を触れているのが、はっきり言って、ちょっとキモかった。いや、でも、水上さんだから、ギリ、微笑ましく思えるのだと思います。
つきあうことになったばかりで、スズ子は巡業に旅立ちます。見送る愛助。
バリバリ働くスズ子に、待つ愛助。通常の男女とは逆です。年齢も逆です。
巡業先で「アイレ可愛や」を歌うスズ子。趣里さんの「はー」の合いの手がかわいい。お客様のために歌って力をもらっていると言いながら、心は愛助にあるような気がします。
ギャラの代わりにじゃがいもをもらったり、服装や化粧がまだ華美だと注意されたりしても、スズ子はへこたれません。愛助のことを思うと元気になるようです。恋の力は強い。
「あなたのスズ子」と手紙に書いて、ふふふ、となるスズ子。
受け取った愛助も、ふふふ。
ふたりのため世界はあるの、状態です。つきあいはじめって、こんな感じで、嬉しくてたまらないものであります。
巡業を終えて、やっと会えたふたりですが、小夜(富田望生)が邪魔しに来ます。
スズ子と愛助があまりにラブラブで、見ているとこそばゆい。だから、小夜がかき回してくれたほうが、見やすいです。
小夜はスズ子と愛助を認めると言っていた気がするのに、また邪魔しているのは、五木(村上新悟)に命じられたからのようで。小夜は、ほんとに野性的な人。理屈で生きてない感じです。
小夜の態度も、愛助の仕草も、わりとお行儀のいい朝ドラにしては、珍しい、ナチュラルに俗っぽくて。それが嫌いという人もいるとは思いますが、こういう人たちは現実に確実にいるという点では重要であります。
幸せ絶頂のスズ子ですが、楽団の経営状態が悪く、困った五木は坂口(黒田有)と悪巧みをはじめます。五木と坂口の狙いは、スズ子と愛助を別れさせること。密談している場面は、
違うドラマが始まったのかと思いました。
朝ドラあるあるで、時々、ふいにドラマの雰囲気が変わることがあります。五木と坂口は、時代劇の悪代官みたいでした。ふたりとも声が低い。むだに良すぎる低音ヴォイス対決。
五木は坂口からお金をもらっており、単刀直入にスズ子に別れるよう頼みます。簡単には了解するわけもなく、五木は別れたフリしてくれと誤魔化しますが、スズ子はOKしません。
お金をもらってしまっている手前、困ってしまう五木。これからどうなるの〜? と心配ですが、これまでの「ブギウギ」を見ていると、ヘヴィなことにはならなそうな気がします。違うドラマだったら、五木が坂口に滅多打ちに合いそうですけど、きっとそんなことはないに違いない。
ただ、スズ子のモデルの笠置シヅ子さんも愛助のモデルのかたとのつきあいに猛反対されていたそうなので、シンプルにスズ子と愛助がラブラブで済むわけではなさそうです。まだ、トミ(小雪)さんが残っていますし。早く、トミ対スズ子を見たい。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第12週あらすじ}–
「ブギウギ」第12週あらすじ
スズ子(趣里)は、愛助(水上恒司)に交際したいと思っていると伝え、戦時下の状況で交際しても良いのか悩む愛助の答えを待つことにする。一方、大阪では、愛助の母であり、村山興業の社長であるトミ(小雪)は二人の交際に反対していた…。そんなある日、スズ子たちは長野で公演を行っていた。しかし、マネージャーの五木の様子が何かおかしい。公演を終えて戻ってくると五木の姿はどこにも見えなくなっていた。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか