「ブギウギ」メッセンジャー黒田がスズ子と愛助の邪魔をする<第56回>

続・朝ドライフ

「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第56回を紐解いていく。

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「ブギウギ」画像を全て見る

「ブギウギ」をU-NEXTで視聴する

おでん屋店じまいはさみしい

第12週「あなたのスズ子」というサブタイトルで、今週はますます恋愛パートになりそうですが、はじまりは不穏でした。

「大事なのはおめえの気持ちだろう」と伝蔵(坂田聡)に背中を押され、スズ子(趣里)愛助(水上恒司)の自宅を訊ねるとーー

坂口(黒田有)が愛助にスズ子との交際を止めているところ。スズ子のことを悪し様にののしる声を聞き、辛抱たまらず、部屋に飛び込みます。

交際の申し込みを受けようと思って来たスズ子でしたが、カラダの弱い愛助が学徒出陣に参加できないことを悩んでいることを聞いて、やはり今はそれどころじゃないと思いとどまります。

それでも、相変わらず、坂口はふたりの仲を心配して、手切れ金まで持ってきます。

邪魔が入れば入るほど、燃え上がる恋心。

でも、戦争は進行していくばかり。
スズ子いきつけのおでん屋も、伝蔵(坂田聡)が閉める決意をします。最近、具が大根しかなくなっていましたからさもありなん。

頭にきりっと巻いていた手ぬぐいをとって首にかける。その仕草だけで、伝蔵がステージを降りるのだということが伝わってきます。坂田聡さん、渋い、いいお芝居をされます。

坂田さんは、かつてジョビジョバというグループで活動していました。脚本家としても活躍するマギーさんをリーダーとした6人グループで、ひとりひとりがとても個性的で、小劇場のスターでした。

ジョビジョバは笑いは巧い芝居によってできるものだと実感できる、演技巧者ばかりの集まりで、活動休止後、皆さん、個々に、名バイプレイヤーとして活躍されています(ひとりは僧侶、ひとりはサラリーマンになられました)。最近はまたジョビジョバ活動も行っているようです。

朝ドラ初出演だった坂田さん。強い印象を残してくれました。朝ドラ常連になってほしいです。

さて。いつもはわりと楚々としているスズ子ですが、いざとなると乱暴な口調でまくしたてます。本質はこっちで、ふだんは猫をかぶっているのでしょうか。

かつて、「カーネーション」の糸子(尾野真千子)は繊細さと豪胆さの矛盾が見事に描かれていましたが、豪胆さの部分を苦手に思う視聴者もいたようです。最近とみに、うるさいと嫌われる傾向が激しくなって(小夜〈富田望生〉がまさにそれ)いますから、演者のほうで抑えめにしているのかもしれません。だから、今回のように、たまに乱暴口調になると、やや唐突感を覚えるのかなあという気もします。

ところで。愛助は知り合いの家に間借りしていて、水回りとかは部屋を出て別にあるのでしょうけれど、生活感が全然わからず(食事はどこでしているのかとか)、知り合いがいる気配もないし、この家はどうなっているんだろうと気になっております。

【朝ドラ辞典2.0   毎朝新聞(まいあさしんぶん)】
朝ドラで出てくる新聞名はたいてい「毎朝新聞」

(文:木俣冬)

“朝ドラあるある”満載!「朝ドラ辞典」を見る

木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

「ブギウギ」をU-NEXTで視聴する

–{「ブギウギ」第12週あらすじ}–

「ブギウギ」第12週あらすじ

スズ子(趣里)は、愛助(水上恒司)に交際したいと思っていると伝え、戦時下の状況で交際しても良いのか悩む愛助の答えを待つことにする。一方、大阪では、愛助の母であり、村山興業の社長であるトミ(小雪)は二人の交際に反対していた・・・。そんなある日、スズ子たちは長野で公演を行っていた。しかし、マネージャーの五木の様子が何かおかしい。公演を終えて戻ってくると五木の姿はどこにも見えなくなっていた。

–{「ブギウギ」作品情報}–

「ブギウギ」作品情報

放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始

出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか


足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>

音楽
服部隆之

主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)

ロゴ・タイトル制作
牧野惇

歌劇音楽
甲斐正人

舞台演出
荻田浩一

メインビジュアル
浅田政志

語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)

制作統括
福岡利武、櫻井壮一

プロデューサー
橋爪國臣

演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか