「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第51回を紐解いていく。
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五木ひろきのモテ話も気になる
第11週「ワテより十も下や」第51回は、昭和18年6月5日、山本五十六海軍元帥の国葬が行われた日からはじまりました。
山本五十六とは開戦きっかけになった真珠湾攻撃をはじめた人です。ラバウル基地を立った山本がソロモン諸島ブーゲンビル島の上空で搭乗機を米軍戦闘機に撃墜されたのは4月18日のことでした。
チズ(ふせえり)は「行軍は無敵なのに元帥死んじまって大丈夫か」となかなか毒のあることを言う。警察に連れていかれないか心配になります。が、もはや、戦争に勝ったら景気がよくなるなんて浮かれてはいられない状況です。
戦争の終わりは見えず、子供たちも戦争に協力的に育てられている印象。この状況を語る「ブギウギ」のナレーションが、NHK の高瀬耕造アナであった必然性を、戦争関連の解説で感じるのもなんだか皮肉めいていますが、アナウンサーらしい淡々とした語りが、感情ではなく情報を伝えているのがいい感じです。高瀬アナは冷た過ぎず、あったか過ぎずで程よいです。
スズ子(趣里)は楽団員たちと地方公演に精を出しています。
愛知にやってきたスズ子は地元の人たちに歓待されます。営業スマイルで地元の人たちと握手、握手、握手。
ステージでは羽鳥(草彅剛)が餞別に作ってくれた「アイレ可愛や」を歌い、客を喜ばせます。牧歌的なこの歌は、趣里さんの声質にも合っているように思います。
好評のうちにステージを終えて楽屋でホッとしていると、一人の学生(水上恒司)が連れてこられます。なんだか挙動不審というか不器用というかで、へんな人という印象ですが、スズ子は亡くなった六郎(黒崎煌代)を思い出します。とても純粋そうな瞳が似ているような気もします。
学生はその後、スズ子の泊まる宿にも現れます。タイミング悪く、小夜(富田望生)が宿代を紛失してしまい大騒ぎになっているときで、小夜は彼を疑ってかかります。いや、お金もってたら、わざわざ訊ねてこないでしょう。
濡れ衣を着せようとしたお詫びに、スズ子は彼を夕飯を一緒に、と誘います。そこで、スズ子と同じ大阪出身であることがわかり、「島之内」「ああええとこやな」みるみる距離が縮まって……。でも、年齢が、10歳も違うので、スズ子はあくまでも弟のような気持ちになっています。
小夜はなぜか、あからさまな敵意をむき出しに。番犬が見知らぬ人物を警戒しているみたいです。富田さんのくるくる変わる表情がいい。
あと、今週、急に活躍をはじめたのは、五木(村上新悟)です。やたらと低い渋い声の人物ですが、地方公演の地域ごとに、懇意な女性がいるらしい、モテ男であることを隠しません。なんか、いい声すぎて胡散臭く、エア恋人なんじゃないかと疑ってしまいます。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第11週あらすじ}–
「ブギウギ」第11週あらすじ
昭和18年、スズ子(趣里)たちは順調に地方公演を続けていた。そんなある日、楽屋にスズ子の大ファンだという学生(水上恒司)が訪ねてくる。学生の行動にはじめは怪しむ一同だったが、村山興業の御曹司・村山愛助だとわかり、納得する。やがて、スズ子が東京に戻ると、愛助から何度も手紙が届くようになる。そして、ついにスズ子の下宿に愛助が訪ねてきた――。スズ子と愛助、二人の人生を大きく左右する運命の出会い!
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか