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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、後に戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第8回を紐解いていく。
鈴子、倒れる
桜庭辰美(木村湖音)と白川幸子(小南希良梨)の仲が悪いので、しわ寄せが鈴子(澤井梨丘)に回ってくるという寸法で、ふたりがほったらかした掃除や洗濯を鈴子がやるはめに。
疲れた鈴子は、憧れの大和礼子(蒼井優)がひとり残って稽古をしているところを見かけ、思い切ってお話する機会を得ます。
大和さんは、橘アオイ(翼和希)が羽を忘れた3人をなぜあんなに怒ったか説明。お客様のためという考えが根底にあるからと言うのです。確かに、第7回で、羽のない橘が登場したとき、客席から落胆の声が漏れていました。
演者は毎日やっていることですが、観客にとってはその日限り。高くないチケット代を出して見に来たにもかかわらず、完璧でない日に当たってしまった日にはたまりません。まあアクシデントのほうが貴重で、得したと思うこともあるにはありますが、それって観劇慣れしている人のほうに多く、はじめてお芝居を見る、みたいな人にとっては、圧倒的ないいものを見て、感動したいですよね。
「あなたどうして踊るの?」と問う大和。
ひととき、現実を忘れるために観客は見に来る。大和の言葉は、これからエンタメの世界に入っていく鈴子にとって、重要です。
そのために、演者たちは、毎日徹底的に稽古を積んでいるのです。
橘は人一倍、梅丸愛の強い人だと大和は理解していて、鈴子も感化されます。
大和から、レッスンで怪我した足を守るための布をもらった鈴子。それをきゅっと足に巻き、さらにレッスンに励みます。こうなると、3人のなかで、鈴子が一歩リードという印象。
大和を超えるかもしれない、と林(橋本じゅん)が梅丸少女歌劇団の大熊社長(升毅)にこっそり話かけます。たぶん、その視線は鈴子を捉えていたと感じますが。鈴子は、超優秀な大和と、劣等生で頑張りやの橘のハイブリッドという雰囲気。
そして、いよいよ劇団の単独公演を行うことが決まりました。
長年、がんばってきた大和や橘は感動にむせび、鈴子も張り切ります。ど新人なのに一番に声をあげたりするところが(林に注意される)、周囲を(視聴者も)苛立たせるだろうなあと思いますが……。
降って湧いた鈴子たちのデビュー話。これで、ギスギスした鈴子、辰美と幸子の仲も良くなる? と思いきや、デビューできるのはたったひとりだけ、ということで、ますますギスギスしはじめます。
鏡を見ながら、大和の言葉を反芻しながら、考える鈴子。
ある日のレッスン中、突如、鈴子が、梅丸愛は3人のなかで負けないと言い出します。この流れはいささか唐突な気はしましたが……。なぜなら、鈴子の梅丸愛の具体性が見えないから。でも、これも、意識的に描いているのだと思います。幼いので、愛とはまだ何かわからない。大和や橘の言葉だけが先行しているのでしょう。真の愛を知るのはいつの日か……、などと、上目線で見ていたら、鈴子に異変がーー。
ど、どうした???
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第2週あらすじ}–
「ブギウギ」第2週あらすじ
梅丸少女歌劇団に入団した鈴子(澤井梨丘)は、劇団の大トップの大和礼子(蒼井優)に憧れる。しかし、待っていたのは厳しい規律と稽古。あっという間に新人の同期は3人になってしまう。しかも、同期の仲もよくなくギスギスしている。そんなある日、劇団がついに念願の単独公演を行うことになる。鈴子たち新人にもデビューのチャンスが巡ってきたのだが、デビューできるのは同期3人のうち1人だけだと告げられる。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか