「らんまん」園子の描いた絵に泣けた<第113回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第113回を紐解いていく。

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野宮さんとの別れ

「あなたは去るべき人じゃない」

万太郎(神木隆之介)野宮(亀田佳明)が辞めると聞いて、引き止めますが、野宮はもう辞表を出し、心を決めていました。

野宮が、大学で不当な扱いを受けたのは、田邊(要潤)派であったからかもしれません。もともと田邊に呼ばれて画工をやっていたので、田邊の色を一掃するなら、大窪(今野浩喜)よりも野宮でしょう。そのわりに、長く残っていたのは、目立った理由がなかったからでしょうか。イチョウの精虫の発見で、目立ってしまったのがいけなかったのか。結局、この手の派閥争いは、どっちが威張れるか勝負なので、目立つ人を排除しようとするわけです。

野宮は田邊が非職になったときに辞めるべきだったが、波多野(前原滉)の情熱に影響されて、画家から植物学研究者になってしまったのです。

西洋絵画に興味を持っていた野宮が、偶然の出会いから、未知なるミクロの世界に到達した。それはそれは胸躍る体験だったことでしょう。

野宮は出世したいわけではないので、偉業を達成したから満足して大学を去るのです。お別れに、万太郎の家を訪ね、槙野家の家族の肖像を描きます。絵を描くという初心に戻るのです。それにしても野宮の字はきれいでした。

そのとき、万太郎が亡き園子の描いた花の絵を持っていることに、泣けました。万太郎の描いた似顔絵ではないんですよね。「野宮さんお上手じゃないですか わしと違って」と万太郎が言うのが彼の絵を思い出して笑えます。

この頃はまだ写真は高価なものだったのでしょうか。
「値段史年表」(週刊朝日編)によると、明治38年で、名刺判サイズの北海道地区の写真館での金額は70銭〜1円20銭だそうです。
渋谷の土地も買えるのだから、1枚くらい撮影できそうですが、万太郎の家にはなぜか結婚式の写真以外はありません。

渋谷の土地を買い、野宮から教えてもらった新しい印刷技術で、図鑑を作ろうと夢いっぱいの万太郎と寿恵子(浜辺美波)。5000円、お金を貯めなきゃと張り切る寿恵子。5000円!(驚愕)

商いを新しい冒険と考える寿恵子。叔母のみえ(宮澤エマ)に影響を受けたようですが、母のまつ(牧瀬里穂)も商いをやっていたから、母の影響もあると思われます。寿恵子の家系の女性たちは冒険する人たちなのでしょう。

寿恵子の燃える情熱に、「南総里見八犬伝」の牡丹の痣と光る玉を重ねあわせる万太郎。冒険者同士、わかりあっています。
「体だけは大事に」と万太郎は心配します。そこだけ切り取ると優しい夫ですが、言うだけで、家計は寿恵子に頼りっきりなんですよね……。

そして、いよいよ寿恵子が渋谷の道玄坂に向かいます。

見たことのない土地ーー。

そこに犬が出てくるのは、渋谷といえばハチ公だから?
ハチ公が渋谷のレジェンドになるのは、まだ先。大正後期から昭和初期の話です。なんと、2023年11月、ハチ公生誕100年を迎えるそうで(関東大震災の年に生まれたんですね)、いま渋谷では「HACHI100プロジェクト」が始動しているそうです。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第23週あらすじ}–

「らんまん」第23週「ヤマモモ」あらすじ

竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)の夫婦が商売をしようと東京にやってくる。資金を貯めて、いつかまた酒蔵を開くことを夢みていた。二人が出した屋台は、そばをメインとし高知の郷土料理も楽しめ、万太郎(神木隆之介)たちは大喜び。そして寿恵子(浜辺美波)は、竹雄と綾のいきいきと働く姿を見て自分も商売を始めることを決意する。早速、渋谷の街を食べ歩き、街の人と会話をして手作りの地図を完成させる。渋谷の街に大きな魅力を感じた寿恵子は、人と人をつなぐ待合茶屋「山桃」を開店させる。

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか