「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第109回を紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
虎鉄が成長
万太郎(神木隆之介)が台湾に行っている間に、虎鉄(濱田龍臣)が土佐からやって来ました。
万太郎が土佐で虎鉄に出会ってから10年、すっかり大人になった虎鉄は、遍路宿を妹に任せ、万太郎の助手になりに上京してきたのです。あいにく、万太郎は台湾出張中。
元気に植物採集しているかと思ったら、台湾で雨に打たれて倒れていました。
案内人の陳志明(朝井大智)が介抱しようとしているかと思えば、荷物を物色していて、やっぱりこの人、目つきがあやしかったぞ……と。でも、ピストルを持っていないことに驚き、寿恵子(浜辺美波)に持たされた植物図譜に注目します。
そのあとのことはぽーんっと飛んで、台湾行きから3ヶ月、万太郎は無事に台湾から帰って来ます。
もって帰って来たのがオーギョーチ。
それを使ったデザートはお菓子屋だった寿恵子の心を捉えます。
オーギョーチのゼリー、美味しいですよね。筆者も好物です。
寿恵子は折しも、みえ(宮澤エマ)の夫・太輔(遠山俊也)から渋谷の土地を買わないかという話を持ちかけられているところ。土地を買って商売をやってはどうかと勧められているので、渋谷でお菓子屋さんをやったらいいのに。オーギョーチを出す台湾カフェ的なものもいいですね。
ただ、当時、まだど田舎だった渋谷に店を持つというのは、かなりの冒険のようで……。
困惑する寿恵子に、みえは、万太郎の夢を叶えるんでしょ?と焚き付けます。
「だったらあんたも一緒に駆け上がってみなさいよ」
(みえ)
みえは、料亭を切り盛りしているだけあって、たくましい。みえ自身が、夫と一緒に駆け上がったという貫禄があります。
寿恵子も負けていません。キッとした目をします。このキッとした目については、8月25日(金)の「あさイチ」のプレミアムトークで神木さんが語っていました。ゲストが浜辺美波さんで、神木さんが浜辺さんについて語っていて、逆境にもどうしようではなくやってやるよっていう挑戦的な目つきができるところが現時点の魅力だと語っていました。
借金のお願いを万太郎がしたとき、「どうにかします!」という目がこわい。困ったという顔をしない。動揺しない。と語っていました。
確かにそうで。今回の、みえとの会話にも、迷いやためらいがなく、勝ちに行くという覚悟や自信の目です。
小柄で華奢だけど肝が据わっている寿恵子。
虎鉄に「槙野の家内です」と挨拶する言い方も堂々としていました。
ここからますます、寿恵子の冒険がはじまっていくのかも。
一方、クサ長屋に唯一残った、落語家の九兵衛(住田隆)は、万太郎の子どもたちに高座での姿がかっこいいと讃えられ、堂々と高座に向かったり、りん(安藤玉恵)は実は大家さんとおつきあいしているらしいことが判明したり、とそろそろ長屋ともお別れが近づいているように感じます。
さて。まだ台湾で万太郎が倒れたあと、どうやって回復したのかが語られていません。
ピストルを持ってなくて植物図譜を持っていたことが、案内人の心にどう作用したのかーー。
モデルの牧野富太郎は、台湾に行ったとき、ピストルを持っていったそうですが、なぜ、万太郎は持っていかなかったのかーー。
110回で明かされるでしょうか。
(文:木俣冬)
木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中
–{「らんまん」第22週あらすじ}–
「らんまん」第22週「オーギョーチ」あらすじ
教授となった徳永(田中哲司)に助手として迎えられた万太郎(神木隆之介)は、7年ぶりに植物学教室へと戻った。この時、徳永らが目指していたのは顕微鏡の奥の世界。波多野(前原滉)と野宮(亀田佳明)が手を組み、イチョウとソテツの精子を発見しようとしていた。万太郎の研究は古いと大窪(今野浩喜)に言われたが、万太郎は自分のやり方を変えるつもりはなかった。そんなある日、万太郎は学術調査団の一員として台湾へ派遣されることになる。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか