「らんまん」藤丸の不穏発言「これ、本当に事故?」<第102回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第102回を紐解いていく。

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田邊の蔵書が万太郎に

ショック、田邊(要潤)が海で亡くなりました。
新聞記事はいつのものだったのか、新聞の日付を確認する描写が欲しかった。ただ、もっとあとの場面で、「これくらいの時期が一番空が青いんだよ」なんていうすてきなセリフがあります。説明的なセリフを極力入れたくないのでしょうね。

かなり近々の出来事のようで、波多野(前原滉)もやってきて情報をもたらします。
大学に電話をかけて波多野を呼び出したのでしょうか。

「大学が教授、殺したようなもんじゃない!」「これ、本当に事故!?」と藤丸(前原瑞樹)はいささか不用意な発言をします。藤丸は思ったことを口にする性分のようで、それは我々庶民の代弁でもあります。が、「これ、本当に事故?」のセリフはなかなかぶっこんできたなあと思います。

そのあとの、万太郎(神木隆之介)の目の動きの鋭さ。突如、ミステリードラマになったようでした。ふわんとしていてけっこう目つきが鋭い、それが神木隆之介さんの魅力のひとつのような気がします。ニノマエ最高(神木さんの当たり役のひとつ、「SPEC」の主要人物。特殊能力を使って犯罪を行っていく。無邪気に残酷なキャラ)。

「わからん ほんまのことは」と万太郎は田邊がそんなことする人ではないのは僕らはわかっていると。その言葉を肯定するように、長屋に訪ねてきた聡子(中田青渚)が、「生きようとされていたんですよ」と言います。うん、このドラマの流れを見ていたら、そうだろうなあと思えますし、思いたい。聡子との子供もできたのですから。

これからは「これで自由に旅ができる」と思っていた矢先ーーだからこそ悲しみが深い。
でも、植物学を万太郎に譲ったことを思うと、ほんとうのことはわからない。田邊は、自身が万太郎に会うつもりはなく、聡子に彼に会ったら植物学の蔵書を渡してほしいと託しているのですから。

人間はいろんな感情が何本もの糸のように絡まっていて、そこからいつなんどき何色の糸がひょっこり飛び出るかわからないもののようにおもいます。

万太郎は回り回って植物学の資料をたくさん手に入れることになります。

ニノマエだったら、SPECを使って田邊をーー でしょうね。

聡子は毅然と生きていこうとしています。経済的には困らないのだろうとは思いますが、大変そう。でも、ここで、寿恵子(浜辺美波)というお友達が生きてきます。長屋の人たちの助け合いも見て、こういう生き方もあるのだと知ったようです。これまでずっと、田邊の家のなかにひっそりとしまわれていた、いい意味の「人形の家」のようでしたが、これからは外へと出ていくのです。まずは、浅草へ、雷おこしを食べに。

田邊家は悲劇にあいましたが、槙野家も子供を亡くす悲劇を味わっています。みな、それぞれ悲しみを背負って生きてゆくのです。

寿恵子は家計の苦しさに耐えかね、ついに、長らく連絡をとっていなかった叔母・みえ(宮澤エマ)を訪ねます。ここから新展開がはじまりそうです。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第21週あらすじ}–

「らんまん」第21週「ノジギク」あらすじ

田邊に代わって徳永が教授となってから2年の月日が流れた。ある日、田邊が不慮の事故で亡くなったという知らせが届く。聡子から田邊の遺言を聞き、その蔵書を受け取った万太郎はさらに研究に打ち込む。しかし、このころの槙野家の生活はギリギリ。寿恵子は、万太郎の研究と家族の生活のために、叔母・みえの料亭で働くこととなった。ある夜、得意客の岩崎弥之助が訪れ、皆で菊を持ち寄って品評会をしたいと言い出す。そして一等に選ばれた菊は、岩崎が買い上げると言う。借金返済のために、寿恵子は万太郎に頼んで、菊を採集してきてもらう。

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか