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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第101回を紐解いていく。
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寿恵子、八犬伝を質草に
明治26年、8月。
森有礼(橋本さとし)が暗殺されたのが明治22年、田邊(要潤)が校長をつとめた女学校が廃止され、帝国大学からも非職を言い渡されたのが23年。そのまますぐに大学を出たのではなく、非職満期の26年まではいたのですね。
それだけ経って、やっと家族旅行の海に行くことに。満期までの間はいろいろ忙しかったのでしょう。
聡子(中田青渚)は妊娠しているようでお腹が大きくなっていました。ようやく、落ち着いて、家族の幸せを噛み締めているかの田邊家です。
その頃、藤丸(前原瑞樹)が長屋に遊び来て、万太郎(神木隆之介)の子どもたちとしばし遊びます。
「大ちゃん、うさぎと同じ体温だったなあ」
(藤丸)
うさぎが恋しいけれど卒業すると大学に顔を出しづらいという藤丸。
田邊もいなくなって、大学の雰囲気が変わったからでしょう。
田邊のことは好きではなかったけれど、
「結局何もかもが政治と人間関係っていうのがさ……」と不満を漏らします。出た、藤丸のぼやき。最近、上向いていた藤丸ですが、再び、ぼやきはじめます。
万太郎も徳永(田中哲司)をいまだに「助教授」と言ってしまうことに、田邊アウト、徳永インの人事を良く思っていないように感じさせます。
代わりに教授になった徳永によって図鑑も廃刊に。ユーシー(田邊)の色を消し去ることが徳永の最初の仕事と聞くと、徳永がいやな人に思えますが、美作(山本浩司)の手前、そうしないとならないのでしょう。政治と人間関係に重きを置いた職場の場合、そこに抵触するものは排除しないとなりません。いいものを引き継ぐという考えはなく、刷新することが責務になるのです。
藤丸は第76回で、「こんなに執念深い人たちが世界中にひしめいてて」
なんてことも言っていました。野心、欲望にまみれた人たちのことをとてもいやだと思っている藤丸に共感する視聴者は少なくないでしょう。
藤丸は植物学をやっていても仕事にならないとぶつくさ。
万太郎は3年経過しても図譜の版元は見つかっていません。借金どうなったのだろう。
寿恵子(浜辺美波)はおばけの話よりも借金をこわがっているのかと思いきやーー
彼女がこわいのは、子どもたちと万太郎ーー家族に何かあることでした。そのため、大事な「南総里見八犬伝」を質屋に持っていきます。
第一子を亡くしていることを寿恵子はずっと気にしているのです。寿恵子が家族の無事を祈っているとき、鎌倉の海で田邊が溺死していました。
田邊のモデルの谷田部良吉は明治32年に海で亡くなりました。大学を辞めてから数年後です。田邊は、大学を辞めてすぐ……。ドラマのほうが矢継ぎ早に辛いことが起こってなかなかヘヴィ。寿恵子が、槙野家の家族の健康第一を考えていたとき、田邊家では一家の大黒柱に不幸が起こるという皮肉めいた話です。しかも、なかなか子供のできなかった聡子がようやく妊娠しているときに……。神様(作家)はなんて残酷なのかーー
田邊の死を万太郎は新聞記事で知ります。「ナレ死」ならぬ「新聞死」。新聞紙と新聞死は言葉遊びなのでしょうか。
【朝ドラ辞典 ナレ死(なれし)】登場人物が亡くなるとき、その場面を直接描かず、ナレーションで語ること。「らんまん」ではタキ(松坂慶子)がそうだった。
「カムカムエヴリバディ」では金太や美登里などがナレ死している。「ナレ死」という言葉が流布したのは大河ドラマ「真田丸」(16年)と言われている。関連語:新聞死
(文:木俣冬)
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–{「らんまん」第21週あらすじ}–
「らんまん」第21週「ノジギク」あらすじ
田邊に代わって徳永が教授となってから2年の月日が流れた。ある日、田邊が不慮の事故で亡くなったという知らせが届く。聡子から田邊の遺言を聞き、その蔵書を受け取った万太郎はさらに研究に打ち込む。しかし、このころの槙野家の生活はギリギリ。寿恵子は、万太郎の研究と家族の生活のために、叔母・みえの料亭で働くこととなった。ある夜、得意客の岩崎弥之助が訪れ、皆で菊を持ち寄って品評会をしたいと言い出す。そして一等に選ばれた菊は、岩崎が買い上げると言う。借金返済のために、寿恵子は万太郎に頼んで、菊を採集してきてもらう。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか