「らんまん」竹雄と綾、久々登場。「私らあも作ろうか」何を?<第82回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第82回を紐解いていく。

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良くないことが起こるフラグ?

久しぶりの峰屋。綾(佐久間由衣)と、ぴしっと羽織の着物を着た若旦那感のある竹雄(志尊淳)のところに万太郎(神木隆之介)の手紙が届きます。

園子が生まれた報告で、似顔絵が入っていましたが、やっぱり出来はよくなくて、竹雄たちは苦笑。ただ、手と足の細密画はかわいさがよく出ています。いや、でも、竹雄の似顔絵より上達した気が……。

この頃はまだ写真が高価で、こうやって絵にするしかなかったのでしょうか。

綾「私らあも作ろうか」
竹雄「作る」

綾「新しい酒」

今の世に生きる私らの酒を作りたいという綾。

「わしらは時代の代わりめに生まれついた。今ここに吹きゆう風はご先祖のだれひとり知らん風ながじゃ」
(竹雄)

造石税は酒を仕込むとかかる。完成して売り出せなくてもかかるのです。そのリスクを
負ってでも新しい時代を生きる者の酒を作りたいと考える綾。彼女の「滅ぶためじゃない」というセリフが重い。あいみょんの主題歌の、いまを憎んでいない というフレーズに呼応している。どんなに大変でもいまを精一杯、明るい未来に向かって生きること。

第69回の通りを吹く風、第78回の部屋に吊るした絵を揺らす風……と風の気配を意識させてきた「らんまん」。その風は、竹雄の語る「風」に繋がっていたようです。
ここでも風の音がしていました。週ごとに演出家は違いますが、「風」のバトンを受け継いでいます。

「大河ドラマみたいな朝ドラ」と例えることがあります。「あさが来た」や「らんまん」のことです。大河のように大海に注いでいくような壮大な歴史を描くドラマが大河とすれば、朝ドラはすこし軽やかで爽やかな風の通り道のようなドラマかもしれません。「しんと澄み切った上品な」峰の月と、綾の作りたい「明るくて爽やかで青空みたいな」酒との違いかも。

さて、
夜泣きする園子。
なんで泣いてるのかわからなくて「こわい」という寿恵子。
万太郎は意外と役に立ち、宵っ張りを生かして夜泣きする園子を外に連れ出したりします。さすがに子供のかわいさに、仕事ばかりではいられないようです。
こうしてすくすく園子は育ち、8ヶ月ーー

あるとき、突然、おゆう(山谷花純)が引っ越しの手伝いを、福治(池田鉄洋)倉木(大東駿介)と万太郎に頼み、4人は緑多い外に出ます。

おゆうが引っ越すのかと思えば、彼女のお世話になった人の引越し。
その途中、万太郎は植物に夢中。
重い荷車を押しながら、池に立ち寄るのは大変だと思うんですが……。万太郎は荷車押してない!

みんなで植物採集したかった夢がかなったと大喜びで(みんなは別に採集していない!)、無邪気な万太郎を見て、福治は自分は、いいことがあるとこわくなるそうで、「いいことがあるとよくないことが起きるぞ」と心配性な面を発揮します。世の中、実際、そういうもの。「禍福は糾える縄の如し」、あるいは「人間万事塞翁が馬」です。

心配性な福治を演じている池田鉄洋さん。以前は、やたら明るいユニークな役を多く演じていましたが、今回は、妙に気の小さい、足るを知ることを大事にしている人物役を好演しています。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第17週あらすじ}–

「らんまん」第17週「ムジナモ」あらすじ

万太郎(神木隆之介)が植物採集の旅から帰ってきた日に、寿恵子(浜辺美波)は無事に女の子を出産。子育てと図鑑の出版に追われながらも、万太郎は充実した日々を送っていた。そんなある日、ゆう(山谷花純)から誘われて出かけた池のほとりで、万太郎は見たこともない水生植物と出会う。翌日、その植物を持って植物学教室へ行くと、田邊(要潤)は、それが日本でまだ発見されたことのない食虫植物であることを万太郎に教え、論文と植物図を書いて世界に向けて発見報告をするよう命じる。

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか