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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第71回を紐解いていく。
「寿恵ちゃん、頼む!」がやばい
朝から笑い声の絶えない槙野夫婦。第15週「ヤマトグサ」(演出:石川慎一郎)は朝ごはんの場面からはじまりました。
母マツ(牧瀬里穂)にもたせてもらった味噌でたぬき汁を作った寿恵子(浜辺美波)。味噌も嫁入り道具のひとつ? 離れていてもマツとしょっちゅう会っている?
ともあれ、マツがいるから、婚家が貧しくてもそれほどの不安はないのかもしれません。
「白梅堂の味です」としみじみ味わっているところが、母と離れ、嫁いだ者の気持ちが伝わってきます。
”味噌”は家の味です。家第一の時代は終わっても、味という家の伝統を守っていく部分は大事にしたいものだと感じます。
朝ごはんをふたり向き合って食べることは貴重なようで、楽しそうなふたり。部屋に笑い声が響きます。
食べ物の話も植物に置き換えてしまうところが万太郎らしさ。
でも、こんないい朝は滅多にない。いつも万太郎は植物採集に出かけてしまうから。そう思うと、ひとときのいい時間。もしかしたら、これから大変なことが待っているのかもーー
「どうでもいい話」でなく、「どうでもよくない話」をしたい、と万太郎が寿恵子に持ちかけたとき、もしや、お金の無心?と想像して身構えましたが、そこまで性急ではありませんでした。それやっちゃったら、おもしろいかもしれないけど、「万太郎=クズ」になってしまいます。
段階があって、まず、万太郎は、自分の価値を世の中に認めてもらうために、本を出す決意を語ります。
寿恵子の提案だった「八犬伝方式」で。
第1巻は、万太郎の得意の植物画満載の図譜。そのために、再び、大畑印刷工場に通い詰めることになりそう。印刷工場編、再びでしょうか。工場の皆さんのキャラがいいので、それはそれでよし。
目下、寿恵子は、んんーーという顔をしながらも、「わかりました!」と万太郎の提案に協力的ですが、今後、万太郎の「寿恵ちゃん、頼む!」が繰り返され、次第に要求が膨らんでいくことを予想。
浜辺美波さんが、大きな瞳をくりくりさせて、万太郎の話を聞く表情と、ちょっとさみしいとか、ちょっと困ったような口元になる表情と、変化が鮮やかで、ずっと見ていたい稀有な人だなと感じます。
万太郎と寿恵子の生活も前途不安ですが、大学のほうも雲行きがあやしい。
田邊(要潤)の置かれた状況も安泰ではなさそうで……。やはりただのヒールではなく、彼には彼の気苦労が描かれそうな予感。
新入生は、大学の主流の学部では勝負できないから、末端の植物学科に入った者たち(ほかに行き場がなくて来た by徳永〈田中哲司〉)で態度が悪い。要するに、植物学科は東大の吹き溜まりであることが明らかになってきます。
学歴のない万太郎を蔑んだ田邊もまた、もっと上の人たちから蔑まれている事実。
機嫌の悪い田邊に叱られた大窪(今野浩喜)がとんだとばっちり。
(文:木俣冬)
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–{「らんまん」第15週あらすじ}–
「らんまん」第15週「ヤマトグサ」あらすじ
何の身分もない自分が新種の発表をするにはどうしたらよいのか? 万太郎(神木隆之介)は、自らの手で図鑑を発刊することで植物学者として世の中に認めてもらうしかない、という結論にたどり着く。そのために昼間は研究、夜は大畑印刷所へ通うことを決心するが、それを聞いた寿恵子(浜辺美波)は思わぬ行動に出る。ある日、長屋に大窪(今野浩喜)が訪ねてきて、万太郎が高知で採集してきた植物の共同研究を持ちかける。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか