「らんまん」ヒサ(広末涼子)も登場、タキ(松坂慶子)の大往生<第65回>

続・朝ドライフ

[※本記事は広告リンクを含みます。]

「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第65回を紐解いていく。

▶︎「らんまん」画像を全て見る

「らんまん」をU-NEXTで視聴する

分家、怒る

万太郎(神木隆之介)寿恵子(浜辺美波)のせっかくの祝言の日、本家と分家のわだかまりが爆発。

綾(佐久間由衣)竹雄(志尊淳)が結婚すると発表し、分家は思惑が外れて怒り出します。

タキ(松坂慶子)は、家とはなにか、と振り返り、家より己の願いに沿って生きていくことを説くと、豊治(菅原大吉)が、これまで分家と見下してきたくせに、と反論。それはその通りであります。

タキは、これからは本家と分家と上下の別なく商いに励んでいってほしいと頭を下げます。

うまくまとまった感じにはなっていますが、むしがいいともいえます。例えば、3つの視点でひとつの状況を描く映画『怪物』(是枝裕和監督)のように、違う角度から見たら、タキって食えないいやな人だったかもしれないです。なぜなら、結婚式の日にわざわざ揉めそうな話をするのではなく、あらかじめお話したり、これまでのことを謝罪したりすることが誠意ではないかしら、とも思うからです。

結婚式の日にさくっとこれまでの遺恨はなしにみたいに済ますという、けっこう、強引です。そこはドラマだから仕方ないという感じでしょうか。

とはいえ、松坂慶子さんが凛として素敵でしたので、良かったです。タキひとりではどうしようもなかった過去のしがらみを持って去っていくということなのでしょう。

桜の病は治らず、タキは「天寿」を覚悟します。
でも、万太郎が、病気になっていない枝を接ぎ木しました。
これがやがて育って伸びていくはず。命のバトンです。

万太郎と寿恵子、綾と竹雄が桜の木の下で子どもたちとともに笑っている未来の風景を思い浮かべながら「らんまんじゃ」とつぶやくタキ。フィニッシュがきれいに決まった!

それからビジョンは過去へーー。万太郎と綾が血のつながりでなく縁で家族になったときの風景。ヒサ(広末涼子)が綾を自分の娘として育てることにしたときの思い出です。ヒサがそうやって育ててきたからこそ、いま、綾がいる。

そもそも嫁は血が繋がっていません。血のつながりのない家に嫁いで、子供を作って、家を繋いでいく。よそから来たタキとヒサが夫亡きあと、愛情を繋いできたということを感じる場面でした。

これからは、綾と竹雄、槙野本家の血の繋がっていない者たちが、峰屋を継ぐ。だから、きっと分家を差別しないでしょう。すでに彼らが分家みたいなものですから。

”家”を大事にする考えも、時代の変化とともに消えていきます。
家に翻弄されてきた江戸生まれの女が消えていく。爛漫の桜の前で、タキがふわっとソフトフォーカスで映ります。やさしく美しい最期でした。

こんなすてきな最終回かと思ったもなかなかないです。(朝ドラ辞典参照)

これからいよいよ新しい時代の到来です。これだけきれいに前半をまとめてしまうと、後半が大変そうな気もしますが。

(文:木俣冬)

“朝ドラあるある”満載!「朝ドラ辞典」を見る

木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

「らんまん」をU-NEXTで視聴する

–{「らんまん」第13週あらすじ}–

「らんまん」第13週「ヤマザクラ」あらすじ

植物学者・マキシモヴィッチからの手紙は、万太郎(神木隆之介)の研究成果を高く評価する内容だった。タキ(松坂慶子)は早く東京へ戻った方がよいと、二人の祝言を急がせる。しかし、タキの病状も悪化していたのだった。祝言の準備が進む中、万太郎、竹雄(志尊淳)、寿恵子(浜辺美波)の三人は横倉山へと植物採集に出かける。竹雄は寿恵子に万太郎の植物採集の手助け方法を教える。それからしばらく後、万太郎の祝言を無事に見届けたタキは、満開の桜に見守られながらあの世へと旅立つのだった。

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか