<ネタバレ>『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の魅力とマニアックな小ネタを5つのポイントで解説!!

映画コラム

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アメコミアニメ映画としては異例のアカデミー賞受賞作となった前作『スパイダーマン:スパイダーバース』から5年。パワーアップしたスパイダーマン最新作『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』が2023年6月16日(金)より公開中です!

全米を代表するレビューサイト”Rotten Tomatoes”にて観客・批評家支持率ともに95%越え(2023年6月現在)、日本でもすでに高評価が続出している本作。

この記事では『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に隠されたマニアックな小ネタの数々をご紹介します。

※この記事では、映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の重大なネタバレに触れています。未鑑賞の方はぜひ観賞後に記事をご覧ください。

【目次】
1. スパイダー・グウェンの物語
2. 〇〇の世界
3. 〇〇〇版も登場
4. 〇〇『スパイダーマン』と『〇〇〇〇』との繋がり
5. 続編はどうなる?

スパイダー・グウェンの物語

本作ではスパイダー・グウェンことグウェン・ステーシーがもう一人の主役として活躍していました。

前作では語られなかった過去が明かされることで彼女の魅力が深掘りされ、物語を牽引しているのです。

冒頭、彼女のモノローグでは、その起源が丁寧に紹介されます。
スパイダー・グウェンの誕生とヴィランとの戦い、最愛の恋人・ピーターに起きた悲劇と父との確執。
これらの展開は原作を踏襲しており、ファン垂涎の映像化となっていました。

また、彼女の住む世界”アース65“はコミックのイメージを見事に再現したもの。
ロビー・ロドリゲス&リコ・レンジによる原作初期のイラストをモデルに、鮮やかなパステルカラーが印象に残る映像となっています。
映画では人物の心情にあわせて色彩が変化する効果的な演出も加えられ、よりエモーショナルな表現が実現していました。

ちなみに日本では『スパイダーグウェン』全3巻とシルク&ジェシカ・ドリュー共演の『スパイダーウィメン』が発売中(2023年6月現在)。
ヴァルチャーやグリーン・ゴブリンといったお馴染みの悪役からデアデビル・キャプテン・アメリカといったヒーローたちが意外な姿で登場し、彼女の誕生に隠された秘密も明らかになります。
大まかな展開は共通するものの、両作を比べることでより「スパイダー・グウェン」の物語を楽しむことができるでしょう。

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–{レゴの世界}–

レゴの世界

劇中ではサプライズ要素として、レゴで描かれた並行世界が登場しました。
レゴ版スパイダーマンといえば過去に「LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ ザ・ゲーム」などでも映像化されていますが、なぜ、レゴだったのでしょうか。

その理由のひとつに”製作陣”の経歴が関係しています。
本作の脚本家・プロデューサーであるフィル・ロード&クリス・ミラーは、かつて『LEGO® ムービー』で大成功をおさめたコンビ。この場面はまさしくそのオマージュとして成り立った演出と言えるのです。

また、この場面にはもう一つ面白い裏話があります。それは製作スタッフが弱冠14才の映像作家だということ。

つい数か月前まで、プレストン・ムタンガさんはBlender(CGアニメ作成アプリ)のレゴアニメをネット投稿する一般の青年でした。

しかし、2023年1月に公開した『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』のレゴ版予告は思わぬ反響を呼び、フィル・ロード&クリス・ミラーの目を引くことに。
その結果、オファーを受けた彼は春休みを利用してこの場面を製作したといいます。


プレストン・ムタンガさんによるツイート(彼の公式YouTubeチャンネルでは劇中のアニメーション場面をレゴで再現した映像も鑑賞できる)

第1作目のテーマ「誰でもヒーローになれる」を実現したかのようなサクセスストーリーは、まるで映画のような実話と言えるでしょう。

–{ゲーム版スパイダーマンも登場}–

ゲーム版スパイダーマンも登場

スパイダーソサエティの場面では、並行世界を脅かす危険人物が収容されている様子が映し出されます。その中でゲーム版スパイダーマンも登場していました。

彼は世界で絶賛されたPlayStation 4用ゲームソフト『Marvel’s Spider-Man』のスパイダーマン。続編では本作と同じくマイルスが主人公の『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』が発売され、最新作『Marvel’s Spider-Man 2』(劇中ではルームメイトのガンケがプレイしている)では両作の主人公が登場し、クレイヴン・ザ・ハンター・ヴェノムといった人気ヴィランとの戦いも楽しむことが出来ます。

また、同じ場面では10ピクセルのドット画で描かれたグリーン・ゴブリンが登場していました。
これは1982年に発売されたAtari 2600のゲーム「Spider-Man」からの引用。
マーベル・コミックス原作として初のゲーム化となった本作は縦型スクロールゲームで、スパイダーマンを操作しながらビルを登っていくものでした。

そのほか、モラレスがスパイダーマンたちから逃れるシーンに現れる悪役のホログラムは2000年に発売されたPlayStation版のステージをモデルにしたもの。カノンイベントにおける「叔父さんの死」の紹介場面では、PlayStation 3『アメイジング・スパイダーマン2」(2014発売)のゲーム映像も登場しています。

–{実写版『スパイダーマン』と『ヴェノム』との繋がり}–

実写版『スパイダーマン』と『ヴェノム』との繋がり

悪役・スポットが並行世界をのぞき込む場面ではレゴ世界に続いて実写の世界も登場していました。
ここで現れたのがコンビニの店主・チェンさん。
彼女はヴェノムことエディ・ブロックの正体を知る数少ない人物であり、この場面が『ヴェノム』の世界であることが分かります。

また、スパイダーマンの悲劇的な運命”カノンイベント”が紹介される場面では、ベン叔父さん死亡シーンで『スパイダーマン』が引用され、トビー・マグワイアが登場。署長死亡シーンでは『アメイジング・スパイダーマン』が引用され、アンドリュー・ガーフィールドが登場しています。

そして、実写ネタの中でもとりわけマニアックだったのがドナルド・グローヴァーの登場でしょう。
スパイダーソサエティの収容者として実写版プロウラーの姿で現れた彼。
これは『スパイダーマン:ホームカミング』でのカメオ出演を踏まえたメタ的な小ネタと言えます。

『スパイダーマン:ホームカミング』では悪人・バルチャーから武器を購入しようとした男・アーロン・デイヴィス役として、ドナルド・グローヴァーが登場。
この名前はマイルスの叔父と同じであり、今回の演出で実写世界(『スパイダーマン:ホームカミング』とは別の世界線の場合もあり)でも彼がプロウラーであることが示唆されているのです。

ちなみにドナルド・グローヴァーは原作版マイルスのモデルとなった一人。
過去にはファンから実写版スパイダーマンとして彼の配役を求める声もあがっていました。

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–{続編はどうなる?}–

続編はどうなる?

本作はもともと1作で企画されていたものの、キャラクターをより丁寧に描くなどの目的で2部作へ変更になったという経緯があります。
そのため、本作のいくつかの要素は続編『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』(2024年公開予定)への布石になるでしょう。

一番のポイントは「父親か並行世界の秩序」という選択肢に対して、マイルスがどのような決断を下すのかということ。
同日に公開された『ザ・フラッシュ』も「家族か並行世界の秩序」をテーマに主人公の決断を描いているため、本作の結末を知るとマイルスの決断も予想出来るかもしれません。

また、次作のタイトルには「ビヨンド」(乗り越える)という単語が含まれていることから、「父の死という運命」を「乗り越える」、あるいは「父の死による悲しさ」を「乗り越える」物語が描かれる可能性も高いでしょう。

はたしてマイルスにはどのような展開が待ち受けているのか。
形はどうであれ、ファンに納得のいく答えが提示されることを望むばかりです。

また、ファンからの熱狂的な支持を誇り、かねてより製作陣が参加を示唆していた東映版『スパイダーマン』(とその相棒の巨大ロボット・レオパルドン)が登場しなかった点も気になります。


※10秒間のティーザー映像では東映版を彷彿とさせるロゴが登場

過去のインタビューでは『……ビヨンド・ザ・スパイダーバース』において、日本のスパイダーマンが多数登場するとの発言もあり、あえてクライマックスまで温存している可能性も考えられます。

ちなみに日本版スパイダーマンには、コミックボンボンで連載された子供向けの『スパイダーマンJ』、ハードで大人向け路線の『スパイダーマン』(池上遼一版)、2014年放送と記憶にも新しい「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」版スパイダーマンなど、多彩なキャラクターが存在します。

彼らの集結が実現すればかなり激アツな場面となるでしょう。


※「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」ではマーベルヒーローを召喚できる少年たちの活躍が描かれている。

そして、現役の実写スパイダーマンであるトム・ホランドが登場するかは、ファンにとっては一番気になるポイントでしょう。
本作では過去映像の流用とはいえ歴代スパイダーマン2名が登場したため、彼が登場しなかった点にはやや疑問が残ります。
プロデューサーで今後のスパイダーマンシリーズの鍵を握るエイミー・パスカルは、今後、「マイルス・モラレス」の実写化も検討中と公言しており、今後のシリーズ展開も考えれば、彼とマイルスの共演は必然ともいえるのではないでしょうか。



ちなみに本作には前日譚となる『Spider-Man: The Spider Within』という短編も存在しています。
現時点では2023年6月開催のアヌシー国際アニメーション映画祭での限定上映のみしか明かされていませんが、今後、何らかの形で日本でも公開の機会が与えられるのではないでしょうか。

今回は『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』のマニアックな小ネタを紹介しました。

しかし、ご覧になった皆様もお気づきの通り、ここで紹介した小ネタはほんの一部にすぎません。

ぜひ、この記事を参考にしながら、映画を再鑑賞していただき、まだ誰もみつけていないマニアックな小ネタを探してみてはいかがでしょうか。

(文:TETSU)

参考資料