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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第31回を紐解いていく。
「見たことない世界」へ——
第7週「ボタン」(演出:渡邊良雄)は、万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)がそれぞれ「見たことない世界」に想いを馳せていきます。ふたつの道がやがてひとつに出会うはじまりのようです。
寿恵子と再会し、すっかりにやける万太郎。寿恵子さんは花のような人だと、しかもこれまで会ったなかで最もみずみずしいとまで。なるほど。「らんまん」に出てくる花が造花のため、みずみずしさは残念ながら足りないのは、寿恵子のみずみずしさを引き立てるためかもしれません。
万太郎の歩く道には黄色の西洋タンポポが咲いています。自分らしく生きる「金の道」の道標のようです。
寿恵子への想いを募らせながら、ふと、自分がまだ何者でもないことを思い出し、まずはその道に邁進しようと考える万太郎は、立派です。恋にうつつを抜かすことはしないのです。
寿恵子も読本に夢中で、恋より、物語のなかの尊い関係を大事にしている様子。恋より大事なものを持ってる点で、万太郎と寿恵子は似ています。
寿恵子の元に、縁談話を持ってくる叔母のみえ(宮澤エマ)。でも「どうせ妾」と「妾なんてつまらないよ」と母・まつ(牧瀬里穂)は言います。というのも、彼女が元柳橋の有名芸者で、彦根藩の上級武士に見初められたとはいえ、正妻ではなかったということのようです。妾だと葬式にも出られないそうで……。これは「ひよっこ」の富(白石加代子)を思い出すエピソードです。綾役の佐久間由衣さんが「ひよっこ」の時子と重なる役柄ですが、時代がまったく違う「ひよっこ」とリンクするのはなぜでしょう。「ひよっこ」が女性解放や、主人公が著名人でなくてもいいという理念の元に描かれた作品で、そこに共鳴しているのかもしれません。
寿恵子の読本好きは、彦根藩の上級武士である父親譲りらしい。そのお父さんが最近、亡くなったらしい(お父さんが日本は世界と比べて遅れていると言っていた、というのも、江戸の終わり、彦根藩藩主だった井伊直弼が開国派だったことを表しているのではないかと推察します)。そんな状況を描きつつ、まつとみえと寿恵子が3人で語らう場面は、女性の強さが出ていて面白かったです。
3人にお菓子を持ってきたり(甘いものに飽きたらとあられを持ってくる気が利くひと)、黙々と尽くす菓子職人の文太(池内万作)が男性というのが男女逆転的です。
みえから「東京大学の田邉教授」という名前が出てきました。東京大学といえば、万太郎が目指す場所。田邉教授という人物は寿恵子と万太郎に絡んでくるのか気になります。
一方、万太郎は長屋の住人とも楽しくやっています。落語家・牛久亭九兵衛(住田隆)と話している様子は、大河ドラマ「いだてん」を思い出してしまいます。神木さんは落語家を目指して修業している人物を演じていました。万太郎の軽妙な語りは、そのときの、落語家的な話の仕方に似ている気がします。
(文:木俣冬)
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–{「らんまん」第7週あらすじ}–
「らんまん」第7週「ボタン」あらすじ
長屋の住人らに見送られ、万太郎(神木隆之介)はいよいよ憧れの東京大学植物学教室へと向かう。青長屋とよばれる校舎に足を踏み入れた万太郎は、植物研究の最先端の場を目の当たりにして興奮する。教授の田邊(要潤)に「土佐植物目録」を見せ、大学へ出入りをさせてもらえないかと懇願するが、助教授の徳永(田中哲司)は猛反対。教室内に不穏な空気が流れるなか、田邊教授は意外にも万太郎と意気投合し、植物学教室への出入りを許可する。翌朝、万太郎は教室への差し入れを買おうと、白梅堂へと立ち寄った。寿恵子(浜辺美波)の好きな植物が「ボタン」だと知った万太郎は、彼女のために絵を描きプレゼントする。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか