<ラストマンー全盲の捜査官ー>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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福山雅治・大泉洋W主演の日曜劇場「ラストマンー全盲の捜査官ー」が2023年4月23日放送スタート。本作は、福山雅治演じる全盲のFBI特別捜査官・皆実広見が、大泉洋演じる人事課室長・護道心太朗とバディを組み、難事件を解決していくストーリー。永瀬廉、今田美桜、吉田羊らが共演。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・最終話ストーリー&レビュー

・「ラストマンー全盲の捜査官ー」作品情報

※話数は随時更新します。

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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全盲のFBI(米連邦捜査局)捜査官・皆実広見(福山雅治)は、どんな難事件も必ず最後に解決させることから“ラストマン”と呼ばれていた。日本の警察庁とFBIの連携強化を目的に、期間限定で日本にやって来た。そして、皆実のアテンドを命じられたのが、警察庁人材交流企画室の室長・護道心太朗(大泉洋)。誰よりも悪を憎み、犯人検挙のためには手段をいとわない刑事である。

2人の出会いは最悪だった。警察庁次長で心太朗の兄が待つ皆実の歓迎式典会場まで、皆実をアテンドするのが心太朗の最初の任務。だが、その皆実が機内で暴行して、連行されていることを知らされる。心太朗が急いで皆実を迎えに行った先は蕎麦店だった。焦る心太朗をよそに、心を見透かしているかのような余裕を見せる皆実。挙げ句の果てに、式典では「世間を賑わせている無差別連続爆破事件の犯人を逮捕してみせる」と勝手に宣言する。こうして、心太朗は皆実の身勝手な捜査に巻き込まれていくことに。

その事件は、捜査一課の佐久良円花(吉田羊)率いる佐久良班も追っかけていた事件で、心太朗は捜査一課からも批判の的になる。加えて、皆実は捜査一課の見立てを真っ向から批判し、さらなる軋轢を生む。そんな中、新たな爆発事件がー!皆実は心太朗と共に臨場し捜査に向かう。そこで、浮かび上がる事件の真実とはー!?

無敵な凸凹コンビが難事件に挑むだけではなく、その先には誰もが予想できない数奇な運命が待ち受けていたー。新時代の痛快バディドラマがいま、開幕!

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第1話のレビュー

福山雅治と大泉洋で警察バディもの。ドラマファンなら誰もが想像しただろうキャスティングが、日曜劇場で実現した。

福山雅治演じるFBI特別捜査官の皆実と、大泉洋演じる人事課室長の護道。一見、冷静沈着な人物かと思いきや、アメリカナイズされた飄々とした態度も見せる皆実と、熱く誠実な人柄でありながらも、犯人検挙のためには手段を選ばない護道。二人の軽快なやりとりは、想像した以上に小気味よく響く。

記念すべき1話の舞台に選ばれたのは、連続爆破事件。当初は複数犯だろう、と佐久良(吉田羊)率いる捜査班が見当をつけていたが、人並外れた洞察力を持つ皆実によって早々に看破された。確かに、各地に爆発物を設置したのは複数の人物だが、当の爆発物を製造し、配ってまわったのは一人の手によるもの。

持ち前の洞察力やスマートフォンはもちろん、技術支援捜査官・吾妻ゆうき(今田美桜)の助けを借りつつ、着実に犯人を割り出した流れは、見事の一言。

いったんは取り逃がし、犯人が隠れ蓑にしている実家へ赴いて母親とやりとりをする展開などは「こうも上手くいくものだろうか……」とリアリティの欠如が気に掛かる点はあった。しかし、犯人・渋谷英輔役の宮沢氷魚、ならびに母親役の筒井真理子の迫真に迫る演技によって、十分にカバーされている。

第1話で扱う事件の規模として、矮小すぎず、かつ壮大すぎない丁度いい塩梅だったのではないだろうか。メインキャラクターである皆実や護道をはじめ、登場人物たちの役割や人柄がまんべんなく理解できる。自己紹介的な回として出来過ぎなほどまとまっており、気持ちよく見られる。

また、本作はただの痛快バディものの枠にはおさまらない。脚本を手がけるのは、二宮和也主演「マイファミリー」(2022)も手がけた黒岩勉だ。日曜劇場らしい壮大さに加え、ふと考え込んでしまうような社会的メッセージもさりげなく織り込まれている。

なぜ爆発物をつくったのか、その理由を聞かれた英輔は「感謝されたから」と答えた。

中学校の頃にいじめに遭い、不登校になってしまった過去を持つ彼は、かつて自分をいじめた人間たちに復讐しようとしていた。しかし、それが、爆発物をつくって配りまわった理由ではない。何もできなかった“弱い側”である自分が、人に「ありがとう」と言われた……その事実が、彼を間違った方向へ走らせてしまったのだ。

「排除された側にも、やれることはあります」

皆実は、肩書きこそ「FBI特別捜査官」と仰々しいが、全盲であるハンディキャップを背負っている。言ってしまえば、極端なパーソナリティを併せ持つ稀有な存在だ。圧倒的な強者でもあり、身をもって弱者の立場にも寄り添える彼は、まさに史上最強の“ラストマン”なのかもしれない。

皆実が護道をバディ相手に指名した理由、二人の間をつなぐ“事件”の真相、それらに吾妻がどう関わっているのかなど、気になる伏線も散りばめられた第1話。視聴者から向けられる期待値は相当なものだったはずだが、差し出されたものは予想以上に大きかったのではないだろうか。

終盤、インスタやM1出場にまつわるちょっとした(おそらくアドリブ?)皆実と護道の掛け合いなど、隅々まで見どころが詰まった本作。次回以降も、大いに期待値を上げてよさそうだ。

※この記事は「ラストマンー全盲の捜査官ー」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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皆実(福山雅治)は着任早々、吾妻(今田美桜)を勝手に人材交流企画室の新メンバーとして迎え入れた。心太朗(大泉洋)はそんな皆実の勝手な行動が面白くない。

そんな中、東京郊外の河川敷で女性の絞殺体が発見された。先に駆けつけた佐久良(吉田羊)班にまじり、遺体を検死して死亡推定時刻や死因を見事に推測してみせる皆実。一方、心太朗は遺体の状況や匂いからかつて自分が担当した殺人事件と酷似していることに気づく。

その事件は12年前に起きた。医師の青柳(浜田信也)が患者の女性を絞殺死させたのだ。当時、心太朗は強引な手段を使いつつ、青柳を逮捕して自供させた。すでに青柳は出所し、ジャーナリストの新城(アキラ100%)の元に身を寄せているという。

皆実と心太朗が新城の家を訪ねると、青柳は12年前の事件が冤罪だったと主張。さらに、心太朗の衝撃の秘密を暴露する。 その秘密が明かされたことで、心太朗は12年前の事件が誤認逮捕で被疑者の可能性すら疑われるようになる。

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第2話のレビュー

エリート一家・護道家にまさかの新事実。護道心太朗(大泉洋)はまさかの養子で、彼の実父は無期懲役で千葉刑務所に服役している殺人犯だった。違法スレスレの捜査をしてまで犯人逮捕に熱をあげる護道の人となりが、垣間見えたように思える。

あきる野市の河川敷に、女性の絞殺死体が。被害者は池袋の風俗店で働く川島春香だと判明する。遺体が見つかった現場でローズの香りがしたこと、幅3cmほどのベルトで首を絞められた跡が確認できたことなどから、護道は医師の青柳(浜田信也)が犯人だと推定。この青柳、12年前にもまったく同じ手法で女性を殺害していた。

防犯カメラに残っていた映像、本当の殺害場所だとみられる倉庫に落ちていた毛髪などから、出所した青柳がまたもや殺害を犯したのだと確信する護道。しかし、12年前の事件においても、半ば無理やり青柳を自白させたとみられており、周りから懐疑的な目を向けられてしまう。

鉄壁のバディかと思われた皆実(福山雅治)からも疑いの目で見られた矢先、青柳に拉致される護道。万事休すかと思いきや……実は、拉致されることも含め、すべてが護道と皆実のしくんだ罠だった。

青柳が身を隠していた、フリージャーナリスト・新城(アキラ100%)のマンションへ訪れた際、皆実は下駄箱にしまわれた28cmサイズの靴からローズの香りがすることを確認していた。決定打となったのは、青柳のアリバイとなっていた配信動画。自宅の一室から配信していたと思わせて、実は倉庫内の一角を部屋に見せかけていたのである。青柳は、配信カメラの真横で川島の殺害に及んでいた。

最初からすべてを知っていた皆実は、護道と手を組み、青柳に罠を仕掛けることを提案。わざと護道を拉致させ、青柳の尻尾を掴むというなんとも違法スレスレ(いや、完全に違法かもしれない)な手法で、なんとかことなきを得た。

護道が養子である過去が明らかになり、せっかくの護道&皆実のバディが早くも解消か!? とヒヤヒヤさせられた第2話。結果的には、皆実が拠点にしているホテルにて、護道とともに七輪で魚を焼いて食べるという、なんとも微笑ましい終わりだった。

早々に護道の過去が知れたわけだが、今後、無期懲役で千葉刑務所にいる彼の父親がキーパーソンとなるのだろうか。皆実がやたらと護道の父親を気にかけ、「冤罪かもしれない」と示唆するあたり、物語に大きく関わってきそうだ。

※この記事は「ラストマンー全盲の捜査官ー」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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心太朗(大泉洋)とのバディで事件を立て続けに解決に導いた皆実(福山雅治)が、捜査一課に正式配属となった。これで事件に心置きなく関われると喜ぶ皆実を尻目に佐久良(吉田羊)は、今まで以上に捜査に邁進する。

そんな折、お騒がせ俳優の本条海斗が殺害される事件が起こる。第一発見者は大物俳優の羽鳥潤(石黒賢)。実は、皆実は羽鳥が出演する刑事ドラマの大ファン。早速、心太朗と共に彼の仕事場へ。そこで室内をくまなくチェックする皆実の様子に気づいた心太朗だが、皆実は何を見つけたか心太朗に教えない。

バディは、言わずとも伝わるものだとして、皆実は心太朗の捜査能力を試していた。そんな皆実の態度に発奮した心太朗は捜査に本腰を乗り出す。

一方、捜査一課の泉(永瀬廉)は、佐久良とともに捜査していく中で、羽鳥とドラマで共演中の女優・篠塚真菜(山下リオ)と本条にある関係があったことを突き止める。そして事件は予想外の展開を迎えていく。

はたして、犯人は誰なのか。そして、その目的とは!?

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第3話のレビュー

元人気俳優が殺害され、公園で遺体となって発見されたのが、今回のヤマ。第一発見者である俳優・羽鳥潤(石黒賢)に話を聞くため、皆実(福山雅治)と護道(大泉洋)のバディが動く。皆実は、羽鳥が出演しているドラマの大ファン。共演している篠塚真菜(山下リオ)とのバディに注目し、はしゃいでいる様子は、どこから見ても純粋なファンにしか見えない。

今回も、皆実の人並外れた洞察力が炸裂していた。殺害現場とみられる公園に落ちていた鍵の形状、羽鳥の仕事場で見つけた巨大空調機の温度設定、玄関の床の様子など、伏線は各所に散りばめられていたが……犯人特定の決め手となったのは、歯磨き粉のチューブ、そして被害者の返り血がついた台本の存在だった。

皆実いわく、チューブの潰し方には個性が出るという。お尻から潰して使う場合もあれば、真ん中から潰して使う場合も。羽鳥はお行儀良くお尻から潰して使うタイプだったが、朝の支度をする彼が歯磨きをしようとした瞬間、真ん中から潰れていたチューブを綺麗に直していた。

全盲でありながら、どんなに些細なことも見逃さない皆実。羽鳥ではない誰か、チューブを真ん中から潰して使うタイプの人間が、ここに出入りしていたに違いない……。

そう検討をつけ、羽鳥と共演している真菜、ドラマプロデューサーの風間みどり(福田麻貴)、そして羽鳥の妻である羽鳥千晴(映美くらら)に、それぞれハンドクリームを渡してチューブの潰し方を確認。真ん中から潰して使っていたのが真菜だったことから、彼女が羽鳥と不倫関係にあったことが暴かれる。

この流れだと、羽鳥本人、もしくは不倫関係にあった真菜のどちらかが、殺人事件の犯人とミスリードしてしまいそうになる。実際のところ、羽鳥はだいぶ早い段階で「自分がやった」と自供しはじめた。しかし、そう簡単におさまるドラマではない。

続けて皆実は、全員が一部ずつ持っているはずのドラマの台本をチェックし始める。

真犯人は、公園で殺害に及んだのではない。本来の殺害現場は、羽鳥の仕事場の玄関だった。死亡推定時刻をごまかすため、仕事場にある巨大空調機を70度の設定にし、死後硬直がはじまる時間を調整。その後、遺体を公園に移動させ、羽鳥自身に罪を着せるために仕事場のスペアキーを一緒に捨てたのである。

その際に、真犯人が持っていた台本に、被害者の血が付着してしまった。真犯人は、羽鳥に対し「自供しなければ不倫の事実をバラす」と脅す。殺人の罪か、それとも、不倫か……。羽鳥は、どちらの罪がより社会的に抹殺されるかを天秤にかけ、殺人の濡れ衣を着ることを選んだ。

皆実がつっこんだ捜査をしなければ、このまま羽鳥が犯人として捕まっていただろう。しかし、被害者の返り血がついた台本を持っていたのがドラマプロデューサーの風間だと判明し、事態は急展開。てっきり不倫相手である真菜が真犯人だと思っていたが……なんと、羽鳥は風間とも不倫をしていたのだ。

自ら殺人の濡れ衣を着ようとしたところへ、女性ふたりと不倫していた事実が発覚してしまったため、羽鳥は社会的に殺されてしまったと言ってもいいだろう。奥さんと子どもがありながら、同時にふたりの女性と関係を持っていた羽鳥。まだ殺人の罪のほうが復帰しやすい、と判断させてしまう社会の在り方にも、疑問を抱いてしまう結末だった。

今回も華麗に事件を解決してみせた皆実&護道ペア。次回は吾妻(今田美桜)の過去が明かされることになりそうだ。てっきり前回の終わり方からして、護道の過去や父親の存在がフィーチャーされると思っていたため、意外な展開である。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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ジョギング中の皆実(福山雅治)と吾妻(今田美桜)は突然倒れ込んだ男性と遭遇。その後、病院でその男性の死亡が確認される。

外傷はなく事故死と見られていたが、皆実は違和感を覚え、病理検査を依頼し、死因が毒物によるものだと判明。さらに遺体の手には謎の紋章が刻印されていた。

心太朗(大泉洋)の調べで同様の犠牲者が3人いることがわかり、全員に共通していたのが国家規模の事件に絡む要人だということだった。公安・捜査二課とも連携した大掛かりな捜査が始まる。
一方、皆実たちは、被害者の妻に話を聞きにいく。

そんな中、泉(永瀬廉)が、吾妻を事件から外すように皆実にお願いしてくる。その理由は、吾妻がずっと心に傷を抱え続けている過去のある事件によるもので…

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第4話のレビュー

皆実(福山雅治)と吾妻(今田美桜)がランニングをしていると、「刺された」と言いながら倒れる男性を発見。被害者となった男性・狩野浩紀は死亡してしまった。彼には蜂の毒によるアナフィラキシーショックが出ていたが、またもや皆実の審美眼により、狩野浩紀の手の甲に刺された針の痕ならびに“動物の紋章”が発見される。

ブラックライトによって浮かび上がる、どこかオオカミにも似たマークの正体は、なんと痴漢撃退スタンプ。吾妻、そして亡くなった狩野浩紀の妻・君香(河井青葉)もその存在を知っていた。狩野自身が痴漢事件の係争中だったことで、夫婦で「痴漢冤罪被害者の会」に入っていたという。スタンプは、その会で販売されていたものだった。

会の代表は大学教授の真鍋美雪(伊藤歩)。知り合いが痴漢冤罪の被害で苦しんでいることから入会、なりゆきで会長になった……と口にしていたが、真犯人はこの真鍋だった。

狩野以外にも何名か同じ手口で命を落としており、全員が重要な案件に絡んでいたことから、当初は「国家規模の要人暗殺事件」とされていた本事件。しかし、新たな被害者・松宮聡(前野朋哉)がギリギリのところで一名を取り留め、事情を伺うと……この事件に意外な側面が浮かび上がる。

被害者たちはSNS上で繋がって痴漢グループを組んでおり、情報を流し合って反抗に及んでいた。真鍋の婚約者は、彼らに罠に嵌められ痴漢の冤罪被害者に。世間の目が和らぐことはなく、苦に思った婚約者はその後、自死。真鍋は、痴漢グループへの復讐と世直しのため、毒針を仕込んだ痴漢撃退スタンプを考案したのである。

しかし、最終的には真鍋の婚約者自身も、じつは痴漢グループの一員だったことが判明。冤罪でもなんでもなかった。真鍋がしていたことは、護道(大泉洋)が糾弾したように「痴漢と同じ、人を不幸にする行為でしかなかった」と言える。

吾妻も、過去に陸上競技をやっていた関係で、心ない写真を撮られネットに流される嫌がらせを受けていた。行為はエスカレートし、ストーカー被害に発展。学生の頃、皆実へ手紙を送っていたことにも触れられる。

もちろん皆実はこのことをすべて承知していた。だからこそ吾妻をチーム内に引き入れ、ランニングの伴走者として抜擢までしたのである。

吾妻の過去を深掘りする回となった4話。彼女の過去や人となりが知れたとともに、彼女に思いを寄せているであろう泉(永瀬廉)の言動もいつもより目立った。吾妻と泉の恋愛模様がこれからもフィーチャーされるかは不明だが、早いところ護道の過去に触れる回もやってほしい、と思わずにはいられない。

前回に引き続き、閑話休題的なエピソードが続いている。……と、思っているのは視聴者側だけで、実は今後に繋がる重要なポイントが隠されているのだろうか? 護道家に隠された秘密がどれほどの大きさか、まだ全貌は見えてこない。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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インフルエンサーを狙った空き巣や強盗被害が各地で相次ぎ、皆実(福山雅治)は京吾(上川隆也)に、警察庁からのトップダウンで管轄をまたいだ捜査の協力態勢をとるように依頼する。その矢先に人気料理系インフルエンサーのナオン(わたなべ麻衣)が自宅で殺害される事件が発生。皆実と心太朗(大泉洋)が現場に行くと遺体はすでに運び出され、テーブルには華やかな料理が並んでいた。その料理に皆実は小さな違和感を覚える。

皆実と心太朗はナオンが所属しているマネジメント事務所を訪れ、ほかの料理系インフルエンサーにも話を聞くことに。しかし、皆実は料理に舌鼓を打つだけで、なかなか捜査の進展が見えないことに心太朗は焦りを感じる。

そんな中、同じ事務所所属で人気料理系インフルエンサーの青嶌(高梨臨)が暴行を受けてしまう。

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第5話のレビュー

有名インフルエンサーばかりを狙った連続強盗事件が発生。料理系インフルエンサー・ナオン(わたなべ麻衣)が殺害されてしまったことで、捜査が本格的に動き出す。もともと皆実(福山雅治)は、より名が売れることを見越して本事件を解決しようとしていた。有能かつ誠実でありながら、ときにはちゃっかりしている彼の人間らしい面も、定着しつつある。

そして、料理系インフルエンサーにまつわる捜査だからと、ことあるごとに料理を作ってもらっては食べている皆実も“らしい”。そして、それに振り回される護道(大泉洋)の図にも慣れてきつつある。不揃いながら、バディとして上手くまわりつつあるようだ。

事件の結末は、同じく料理系インフルエンサーとして活躍する青嶌麻帆(高梨臨)が、自分のフォロワー数に執着したがために犯した事件だと判明して終わる。自分の上に立つ者がいなくなれば、必然的に自分がトップの座に近くなるという、乱暴な思考回路だ。

到底、理解できない考え方ではある。しかし、フィールドによって生き残る術は異なるのだろう。彼らが「ここだ」と決めた範囲に“目の上のたんこぶ”がいたら、対処しなければ気が済まない……そんなふうに視野が狭くなってしまうのも、致し方ないのかもしれない。かといって、もちろん人を殺めていい道理はない。

インフルエンサーの背景に漂う闇が垣間見えたと同時に、じわじわと先伸ばされつつあった護道の過去が、ようやくチラリと顔を出した。彼の本当の父親が大衆食堂を営んでいたこと、殺人の容疑をかけられていることは前回までに触れられている。今回は料理がテーマということもあり、父親が作ったオムライスを美味しそうに食べる幼少期の護道が描写された。

やはり、護道の父親には何かしらの“裏”がある。そして、そこには皆実の過去も絡んでいるのかもしれない。両親を殺害されたうえ、放火までされて両目の視力を失った皆実。果たして、護道と皆実の間にはどんな因果があるのだろうか。

物語も折り返し地点。日曜劇場らしい硬派な描写に加え、芸人や実際のインフルエンサーをキャスティングするなど、試験的な見せ方も目立つ本作。皆実・護道の奇跡ともいえるバディが行き着く未来は、明るいのか、それとも。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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護道家の別荘で清二(寺尾聰)の誕生日パーティーが開かれた。皆実(福山雅治)も心太朗(大泉洋)とともに招かれるが、心太朗は護道家の輪に入ろうとしない。

そのパーティーの最中、東京郊外の別荘で立てこもり事件が発生する。犯人は別荘の所有者で、警備会社社長の菊知(髙嶋政宏)。菊知は自分の妻と娘を人質にして、現金10億円を要求する。皆実は交渉役に名乗り出て、心太朗は菊知の指示で10億円を調達することになった秘書を追うことに。人質となった犯人の妻が怪我をしていることを知った皆実は周囲の制止を振り切り、単身で別荘に乗り込む。そこで、自分が妻の代わりに人質になることを提案する。

そんな中、清二と京吾(上川隆也)があることを画策していた…。

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第6話のレビュー

立てこもり事件が発生。なんともよろしくないタイミングに思えてならないが、冒頭と末尾それぞれに注意書きが表示された。制作陣の丁寧な姿勢がうかがえる。

青梅の保養所で発生した立てこもり事件、当初は警備会社の社長・菊知岳大(高嶋政宏)が、妻と娘を人質に金銭を要求しているものと思われた。しかし、またもや皆実(福山雅治)の少々無謀な捜査により、全貌が見えてくる。菊知もまた被害者だったのだ。

真犯人は、通報者の宇佐美翔(前原滉)。彼は菊知の息子だった。25年前に離婚した母親側に引き取られ、貧しい暮らしをしていたが、1年前にその母親が他界したことをきっかけに出自を知る。菊知の娘が、私立の学校に通っていたりバレエを習ったりしている、まさに絵に描いたような裕福な暮らしをしている事実に、嫉妬心を抱いたゆえの犯行だった。

結果的に、菊知自身も、妻も娘も無事。皆実をはじめ、護道(大泉洋)たちの適切な動きによってことなきを得た。しきりに「親ガチャに外れた」と繰り返す宇佐美に対し、皆実が口にした言葉がじんわりと染み入る。

「本当の親子だとか、家族だとか、そんなことはどうでもいいんです」

「人が人を思う気持ちに、理由なんてありませんから」

宇佐美が事件を起こした動機は、裕福な家に引き取られた“きょうだい”への嫉妬だった。同じ親なのに、こうも育った環境が違う現実に対し、嫌気が指したのだろう。しかし、皆実の口から、菊知の娘は養子だったことを知らされる宇佐美。彼女も彼女で、怪我のためにバレエダンサーの夢を諦め、スポーツドクターになる新たな道へ向かって努力している。

第三者からは幸せそうに見えても、本人にとっては必ずしもそうとは言い切れない。そんなことは、往々にしてあることだろう。幸せそうに見える人を攻撃し、仮に相手が不幸になったとしても、それに反比例して自身が幸福になるとは限らない。むしろ、虚しさがますばかりではないだろうか。

「機嫌がいい人ほど人生はうまくいく」(著・和田秀樹/宝島社新書)内に、「他人が抜け駆けしている、誰かが自分よりも得をしている、という疑心暗鬼が蔓延しています」(P53)と書かれた箇所がある。本来、自分ではない他人が得をしているからといって、直接的に自身の損に繋がっているとは言い切れないはず。本書でいう“疑心暗鬼”、言ってしまえば思い込みや勘違いが、このドラマ内で起こったような事件の火種になってしまったのだろうか。

疑心暗鬼、思い込み、勘違いを払拭するためには、誠実な態度と対話が必要だろう。今回、皆実の両親を殺したのは、護道の実の父親・鎌田國士(津田健次郎)であることがわかった。

皆実はそれを知ったうえで護道に近づいたことになるが、護道はその事実を知らない。泉(永瀬廉)は、そのまま護道が知らないままで済むよう、ふたりの監視を命じられている。なんともつらい立ち位置にいる。

物語の性質上、このまま護道が知らずに終わるのは考えにくい。どこかのタイミングで真実を知ることになるだろう。そのとき、最強のバディはどんな結末を迎えるのか? 一気に暗雲が立ち込めるようだ。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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皆実(福山雅治)は心太朗(大泉洋)を伴い、両親の墓参りをしていた。
同じ頃、ふ頭で白骨化した老人の遺体が発見され、佐久良(吉田羊)班が臨場する。遺体は3年前から行方不明の資産家の老人。そして、容疑者として浮上したのが、40歳差の妻・葛西亜理紗だった。しかも、彼女は以前も歳の離れた男性と結婚しており、離婚後に相手男性は失踪していた。加えて、亜理紗はアメリカの大使館からスパイの可能性があると疑われていた。

さっそく皆実たちは亜理紗に事情を聞きに行くが、そこで皆実は予想外な反応をする。亜理紗に好意を持ってしまうのだ。そして「彼女は犯人ではない」と断言する。
はたして、事件を解決に導くことはできるのか──?

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第7話のレビュー

今回の事件は、大山ふ頭で発見された白骨死体にまつわるもの。当初、皆実(福山雅治)や護道(大泉洋)は捜査に関与しない流れだったが、皆実の元ワイフであるデボラ(木村多江)からの依頼で本格的に協力することに。

見つかった遺体は、資産家の葛西征四郎(小林勝也)とみられる。40歳も差のある妻・葛西亜理紗(岡本多緒)に、いわゆる“後妻業”の観点から疑いがかけられた。彼女は別の男性・亀島(こちらも歳の差がある)とも結婚していた過去があり、彼も失踪中であることから、より強い嫌疑がかけられている。

またもや、というべきか、今回も皆実の洞察力により事件は解決。

白骨死体の正体は葛西征四郎ではなく亀島のものだった。亀島と亜理紗は歳の差こそあったものの、お互いに対する愛情のもと結婚生活を送っていた。しかし、亀島からのDVが酷くなり、離婚。介護士として雇われた葛西征四郎と、やがて恋に落ちる。

自分の相手が取られたと激昂した亀島、それをなだめようとする葛西が揉めた末、誤って頭をぶつけた亀島が死亡。亜理紗と葛西が共謀し、亀島を葛西征四郎に見せかけて殺害したのだ。


その後、葛西征四郎は整形手術により顔を変え、亜理紗の運転手・日高祐輔(赤堀雅秋)としてそばに仕えるようになった。亜理紗はすべての罪をかぶって征四郎を守る気でいたが、最終的には皆実の捜査により、征四郎が捕まってしまう。

人と人が恋に落ちるのに、年齢は関係ない。皆実のシンプルなメッセージがそのまま伝わってくる、ストレートな回だった。

そして、今回の終盤ではついに、あの真実を護道自身が知ってしまう。皆実の両親を殺した男が、護道の本当の父親・鎌田國士(津田健次郎)であることを。泉(永瀬廉)が隠した書類を護道が見つけてしまうという、なんとも穴のあるセキュリティによって、漏れてはいけない情報が漏れてしまった。

皆実は護道を気遣い、自身の両親が殺害された事件をひとりで調べるつもりだった。しかし、護道が本当のことを知ってしまったいま、これまで通りにバディを続けるのは難しいだろう。最強バディの危機はこれまでもあったが、これほど大きな爆弾は初めてだ。次回予告からして、不穏な予感がする。

ついに最強バディ決裂か。行く末が危ぶまれる。

※この記事は「ラストマンー全盲の捜査官ー」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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皆実(福山雅治)がアテンド役として心太朗(大泉洋)を指名したのは、刑務所にいる心太朗の実父・鎌田(津田健次郎)に会うためだった…。

兄の京吾(上川隆也)を問い詰めた心太朗は、それを自分だけ知らされていなかったことに傷つき、人材交流企画室室長の任を降りる。皆実とのバディは解消だ。

代わりに担当になったのは佐久良(吉田羊)。しかし、心太朗とのことを聞いた佐久良班は皆実と距離を置いていた。

そんな中、ただ1人、協力を申し出た吾妻(今田美桜)と皆実は、41年前の事件で第一発見者だった元捜査一課長に会いに行くことに。ところがその途中、2人はバスジャックに遭遇し、突然発砲した犯人から吾妻をかばった皆実が撃たれてしまう。

犯人は清水拓海(京本大我)と名乗り、なぜか乗客たちにSNSで事件を拡散するよう指示を出す。吾妻は隙を狙って心太朗に助けを求めるが…。

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第8話のレビュー

インターネットが普及し、多くの人がSNSで情報発信ができるようになった時代。よく聞かれるようになった言葉に「ネットリンチ」「デジタルタトゥー」がある。SNSを中心にしたインターネット上で、特定の個人情報を晒しあげたり、根拠のない誹謗中傷をしたりする行為を指す。

今回の舞台はバスジャック。清水拓海(京本大我)が、過去に起こったとある事件の冤罪を被り、ネット上で吊し上げられた。真犯人と同姓同名だったことで、あらぬ罪を着せられてしまったのだ。

結果、すべてが清水の勘違いだったことが明るみに出るのだが、彼が恨みを暴発させたのも無理はないかもしれない。ネットリンチのせいで、母親は自死してしまった。清水自身の人生もめちゃくちゃにされ、社会的に抹殺されたといってもいいだろう。バスに同乗した皆実(福山雅治)、吾妻(今田美桜)、そして外から援助した護道(大泉洋)たちのおかげで、突如起こったバスジャック事件は収束する。

8話でゲスト出演した京本大我の鬼気迫る演技に、まさにSNS上がわいた。これまであまり見たことのない表情は、彼の役者としての可能性をさらに開くのに十分なものだったと言える。

このバスジャック事件が起こる前、ついに本当のことを知ってしまった護道は、皆実とのバディを自ら解散する意を示していた。皆実の両親を手にかけたのが実父だと知った、護道の心中はいかばかりか。皆実もそれを受け、早めに本国へ戻ることにしたが、意を翻す。

護道の実父が、皆実の両親を殺した真犯人だとは、どうしても思えない。皆実自身もそう口にしたが、おそらく多くの視聴者も同じように感じているところだろう。仮に、手をかけたのが本当だとしても、何かしら隠している事情があるはずだ。

あらためて、皆実と護道の最強バディで、その秘密を明らかにすることに。41年前の事件に向き合う覚悟を決めたふたりの居住まいは、もうちょっとやそっとの風では倒れないように見える。

次回から最終章に突入。どんな真実が明かされるのか、前もって心の準備をしておかねばならない。

※この記事は「ラストマンー全盲の捜査官ー」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

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皆実(福山雅治)と心太朗(大泉洋)は41年ぶりに心太朗の実父・鎌田(津田健次郎)に会いに刑務所へ行くが、重篤で面会は叶わなかった。

41年前の事件の真相を知っている鎌田が余命わずかで、タイムリミットが迫っていた。泉(永瀬廉)と吾妻(今田美桜)も捜査の協力を申し出る。

一方、政界のドン・弓塚(石橋蓮司)は、事件が掘り起こされることを娘婿の京吾(上川隆也)から聞いて……。

そんな中、41年前の事件の第一発見者である元捜査一課長・山藤(金田明夫)が御殿場から上京する。山藤は心太朗や佐久良(吉田羊)も信頼する先輩だが、事件について語る口調に皆実たちは違和感を覚える。

皆実、心太朗、泉、吾妻の執念の捜査が始まる!
複雑に入り組んだ過去を解き明かそうとしていく中で、捜査を阻止しようとする魔の手が襲いかかり…!?

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第9話のレビュー

ミステリーやサスペンス、ホラー作品などでは「むやみに単独行動をするとロクなことにならない」という不文律がある。今回の終盤、泉(永瀬廉)が護道(大泉洋)や皆実(福山雅治)、吾妻(今田美桜)の制止を聞かずに不審人物とやり合った時点で、嫌な予感はしていた。

不審人物と揉み合った泉は、相手が持っていたナイフに腹部を刺されて心停止。吾妻、皆実が懸命に救護するも、状況は芳しくない。時を同じくして、逃げた不審人物を一人追った護道は、衝撃的な真実を突きつけられることになる。不審人物は、護道がもっとも尊敬する刑事・ヤマケンさんこと山藤(金田明夫)だったのだ。

山藤は、皆実の両親が鎌田國士(津田健次郎)を殺害したとみられる現場にて、第一発見者となった刑事である。彼を交えて、皆実、護道、佐久良(吉田羊)の4人で飲んでいる描写が、序盤にあった。彼が例の事件の第一発見者であることを見越し、「調書は事件のとおりか」と確認するためだった。

事件の核心に迫りつつある皆実、護道を牽制するかのように、不自然な事象が多発する。

皆実の父親は、少々強引な地上げ取引に手を染めていた。彼は政治界隈で力を持つ弓塚敏也(石橋蓮司)を通じ、護道の実父である鎌田と繋がっていたとみられる。この弓塚、実は泉の祖父である。護道家は長らく、この弓塚には逆らえない構図に貶められていた。

皆実の地上げ取引は、ときに反社会勢力を巻き込むほどになり、池上隼人(渡辺哲)という人物が関わっていたらしい。詳しい情報を得るため彼に接近する皆実と護道。しかし、ほどなくして池上も事故に見せかけ殺害されてしまう。

裏から手を回したのは、弓塚だ。泉の父・京吾(上川隆也)は、従うしかなかった。


「その判断に、正義はあるんですか?」

世の中、綺麗事だけではまわらない。それは確かだ。それでも、最後まで己の正義を貫こうとした若き官僚候補が、少々行き過ぎた真似をしたからといって刺されて死んでしまうのでは、あまりにも浮かばれない。

皆実と護道は、弓塚の家に直接出向いて宣戦布告をした。最終回に向け、彼を崩せるかどうかで事態が左右する。泉が心停止し、飛び降りた山藤の命も危うい。鎌田の濡れ衣を晴らす代償が、重すぎることにならなければいいのだが。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

最終話ストーリー&レビュー

最終話のストーリー

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泉(永瀬廉)が元捜査一課長の山藤(金田明夫)に刺され、予断を許さない状況に。佐久良班と皆実(福山雅治)たちは真相を明らかにすべく動くが、その矢先に警察上層部から事件の調査をストップするよう指示が出る。しかし、佐久良(吉田羊)たちはその判断に納得がいかず、捜査を続行。弓塚(石橋蓮司)を黒幕と考えて捜査を続け、事件には暴力団の関与があったことを突き止める。

一方、皆実と心太朗(大泉洋)は、心太朗の実父・鎌田(津田健次郎)を調べていく中である衝撃的な事実にたどり着く。それこそが、まさに事件の真相を明るみに出す一つのカギとなっていく。
そして、皆実たちの捜査に不穏な動きを見せる清二(寺尾聰)と京吾(上川隆也)。
そんな中、鎌田が重体で病院に搬送される。

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最終話のレビュー

泉(永瀬廉)が生死の淵をさまようこととなった前回。なんとか一命をとりとめ、意識を回復させた彼の姿を見て、安心した視聴者も多いことだろう。最近は、主要人物だからといって生き残るとは限らないドラマも多いので、随分と肝を冷やしてしまった。

さて、皆実(福山雅治)と護道(大泉洋)がバディを組むきっかけになったと言っても過言ではない“41年前の事件”。とうとう最終回にて、その全貌が明かされた。

なぜ護道の実父・鎌田(津田健次郎)は皆実の両親を殺してしまったのか。彼は、黒幕である弓塚(石橋蓮司)の手によって嵌められ、冤罪を着せられているだけなのではないか。だとしたら、皆実の両親を手にかけた真犯人は誰なのか?

まさに謎が謎を呼ぶなかで、皆実は吾妻(今田美桜)に頼み事をする。皆実の父・誠(要潤)と、鎌田(津田健次郎)の戸籍謄本を用意してほしい、と。その二人の戸籍謄本から、41年前の謎がすべて詳らかにされた。あまりにも悲しく、どこまでも切ない、一人の男が生涯をかけて貫いた信念と愛の結果だった。

もしかしたら、視聴者のうち何割かは、皆実と護道は“異父兄弟”ではないか、とあたりをつけていたかもしれない。しかし、両親が同じの、正真正銘の兄弟だという事実は予想外だったのではないだろうか。彼らは鎌田國士と妻・勢津子(相武紗季)から生まれた。将来、バディになるべくしてなる存在だったといえば、少々感傷的すぎるだろうか。

鎌田は勢津子を愛していた。それは、勢津子が働いていた旅館で誠に見初められ、嫁ぐことになっても尚変わらなかった。本妻ではなく妾として軽んじられていた勢津子は、産んだばかりの息子を連れて鎌田の元へ戻る。それが、悲しい事件の始まりだった。

広見は自分の子ではないかもしれない……。そう気付いたのは誠だった。その疑惑はどんどん大きくなっていき、やがて偏執めいた思いは妻と子への殺意へと繋がっていく。勢津子をペティナイフで殺してしまったのは誠で、その誠自身を手にかけたのは、彼に呼ばれて駆けつけていた若き護道清二(奥野瑛太)だった。

誠が拡げた事業は、もはや法スレスレでもなんでもなく立派に違法で、清二の力でさまざまな悪行を帳消しにしてもらわなければ立ち行かないレベルになっていた。清二を呼んだのも、勢津子を殺してしまった事実を隠蔽してもらうため。またもや脅され我慢ならなくなった清二は、誠を背後から殴打し、殺してしまう。

そのときすでに鎌田は、幼い広見とともに気を失ってリビングに倒れていた。清二は二人を玄関に避難させ、証拠書類を隠滅するために家に火を放つ。たまたま通りかかって鎌田と広見を助け出すよう指示を受けたのが、山藤(金田明夫)だ。

ここで大きな疑問がわく。なぜ鎌田は、自ら無実を主張しなかったのか?

それは、清二に脅しを受けたからだった。両親を亡くし、かつ事故により盲目となってしまった広見の将来のため、そして、心太朗を護道家で引き取って面倒を見てもらうため。鎌田自身が罪を被って、真実を胸に秘めていれば、少なくとも二人の息子の将来は保たれると獄内で説得されたのだ。

41年前、放火殺人の罪を着せられ、沈黙を保ったまま命を引き取ろうとした男。彼の根底にあったのは、どこまでも途切れることのない、家族への愛情だったのだ。

かつて、鎌田と勢津子、そして幼い兄弟という家族で食卓を囲んだ過去があった……。衝撃的な事実は大いに皆実たちの心を揺さぶる。命を閉じる間際に意識を取り戻した鎌田は、皆実と護道に向かって一言「腹、減ってないか?」とつぶやいた。お父さん、ごめんね、と涙とともに謝罪する大泉洋の演技に、泣かされた視聴者も多いのではないだろうか。

後半33分、CMなしのノンストップ放送は、没入感をもたらしてくれた。先日おこなわれた最終回試写のトークイベントにおいて、皆実を演じた福山雅治が「今の現代日本のドラマで、エンターテイメントの世界から何が届けられるのか、チャレンジと発明があった作品だと思います」と語っていたが、まさにその通りだった。

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いつか、皆実が護道に肉じゃがの味を教える、そして、護道が皆実にオムライスの味を教える……。そんな日がやってくるのだろうか。良いドラマを見届けたあとは、ついつい続編を希望してしまう。この「ラストマン」なら、仮に今年の秋クールあたりにシーズン2が決まったとしても驚かない。それほど、視聴者を魅了するドラマだったから。

※この記事は「ラストマンー全盲の捜査官ー」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「ラストマンー全盲の捜査官ー」作品情報}–

「ラストマンー全盲の捜査官ー」作品情報

放送日時
2023年4月23日(日)スタート。毎週(日)夜21:00〜 ※初回15分拡大

出演
福山雅治/大泉洋/永瀬廉(King & Prince)/今田美桜/松尾諭/今井朋彦/奥智哉/王林/寺尾聰/吉田羊/上川隆也

脚本
黒岩勉

演出
土井裕泰
平野俊一
石井康晴
伊東祥宏

挿入歌
「修羅の巷」神はサイコロを振らない
(Universal Music/Virgin Music)

全盲所作指導
ダイアログ・イン・ザ・ダーク

協力
日本視覚障害者団体連合

編成プロデュース
東仲恵吾

プロデュース
益田千愛
元井桃

撮影監督
山本英夫

製作・著作
TBS