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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第29回を紐解いていく。
万太郎、長屋に住む
※明け方、関東地方に地震があったため本放送はL字放送でした。
万太郎(神木隆之介)は長屋の差配・江口りん(安藤玉恵)から部屋が空いていると聞いて、クサ長屋に住むことを決めます。
差配とは”所有主に代わって貸家や貸地などを管理する”仕事。現代だと管理人。不動産屋さんが兼務していることもありますね。
りんから「クサ長屋」は実は「十徳長屋」という正式名称があることを聞いた万太郎は、ドクダミも「十薬」(10の病に効く)とも呼ばれていると、その重なりを喜びます。
そして、長屋の人たちと一緒にドクダミを摘んで、いろいろなことに利用することにします。
ドクダミに陽が当たってキラキラして見えます。
長屋の人たちも、東大生、落語家……等々、さまざまな個性があります。
万太郎がみんなに竹雄を紹介するとき「井上竹雄」と紹介しました。井上という苗字があったんですね。明治8年に「苗字必称義務令」が出て誰もが苗字を名乗ることが義務付けられました。
自由といいながら、義務。苗字を名乗らない自由は奪われたわけです。自由と平等は統一すればいいってものじゃない気もしますが、何かを得れば何かを失うことの一例でしょう。
一見、地味で無価値に見えても、使いようがある。万太郎が来て、みるみる明るくなった長屋を苦々しく見る倉木(大東駿介)。
この長屋の入り口の手前に「じごくや」という店があります。地獄を通った先の長屋ですから、相当、悲惨な場所というイメージがわいてきます。
倉木のもとに万太郎が100円を払いに訪ねます。
長屋の家賃は1部屋50銭。二部屋で1円。これで「100円」の価値がわかりますね。自然な流れです。
「盗まれたもんはありません」と言い、倉木のやったことを水に流そうとする万太郎に倉木は「ほどこし」だと猛反発します。
「誰の目にも入らねえ 入ったとて疎まれ踏みにじられ、踏みにじったことを誰も覚えてない」と植物のことを言いつつ、たぶん、自身を卑下している倉木に、「雑草ゆう草はないき」と力説する万太郎。
名言出ました。「どの草花にも必ずそこで生きる理由がある。この世に咲く意味がある」
SDGsの理念「誰も取り残されない社会」に沿ったテーマ性がびしびし伝わってきます。
言ってることはもっともで、脚本の構成もじつに見事ですが、スローガンをひたすら連呼する選挙演説のような印象も拭えないように感じていたところ、その心配はなくなりました。
ラストに竹雄が、「峰屋は若の財布じゃない」と万太郎を厳しく嗜めるのです。
それを何度も復唱させられる万太郎。
この愉快な場面でバランスがとれました。すばらしい。
こうやってバランスをとりながら、ほんとうに大切なことは繰り返し繰り返し言葉で伝えるべきなのです。
(文:木俣冬)
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–{「らんまん」第6週あらすじ}–
「らんまん」第6週「ドクダミ」あらすじ
東京に着いた万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)は、野田基善(田辺誠一)らがいる博物館へ足を運び、植物談義に花を咲かせる。野田から東京大学への紹介状をもらった万太郎は、次に名教館時代の学友・広瀬佑一郎(中村蒼)を訪ねる。佑一郎の叔父の家を下宿先として紹介してもらったのだ。しかし植物標本などの荷物が多すぎるから捨ててほしいと言われてしまい、結局、自分たちで下宿先を探すことに。大八車を引いて東京の町をさまよう二人だったが、貴重な標本が入ったトランクを盗まれてしまう…。そしてたどり着いたのは、ドクダミが咲く薄暗い根津の長屋。そこに住む愉快な仲間たちと共に、東京での新たな暮らしがスタートする。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか