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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第26回を紐解いていく。
週タイトルがドクダミ
第6週「ドクダミ」(演出:渡邊良雄)から東京編。万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)は東京にやって来ました。新橋駅に降り立ってはじめて見た植物は「ドクダミ」ではなく「タンポポ」で、それがサブタイトルになるかと思いきや、そうではありません。
新橋駅(志んばし駅)の雰囲気、大河ドラマ「いだてん」を思い出します。ロケ地は茨城のワープステーションですね。
万太郎は竹雄を「相棒」と呼びます。竹雄はものすごく嬉しそう。朝ドラもバディものに! というか、竹雄を使用人としてではなく、対等な相棒として見ることは平等の価値観の現れです。進歩です。
完成させた土佐の植物図鑑を手土産に、研究所で、野田(田辺誠一)と里中(いとうせいこう)と再会し、植物学の勉強をやる気が高まります。東大に紹介状まで書いてもらって、「えらい先生ほど気さく」なんだと万太郎は思います。それで万太郎も気さくなんでしょう(佑一郎いわく「あけすけ」)
何もかも順風満帆、と思いきや……。
名教館で一緒だった広瀬佑一郎(中村蒼)に下宿を紹介してもらったものの、荷物が多すぎるので処分しろと言われてしまうのです。
植物標本に虫がわくと言われて、逆上する万太郎を、その家の家風に従わないといけない、佑一郎は窘めます。せっかくルールから解放されて東京に来たと思ったら、まだルールがありました。ものごとは簡単にはいきません。
どうする万太郎? と思ったらさっさと新たな下宿を探すことに。へこたれないなー。
どっちにいったらいいか、道を聞くと、こっちだと東大のある千駄木・根津方面を差す佑一郎。
そこには「タンポポ」が咲いています。
まるで、万太郎が目指す「金色の道」の象徴のようです。
冒頭で、高知のタンポポは白い、日本のどこか白と黄色の境目なのかと万太郎が言っていました。白いタンポポは西日本に古くから存在する在来種で、ポピュラーな黄色は西洋タンポポだそうです。筆者は関東生まれなので白いタンポポを知りませんでした。
さて、佑一郎ですが、武士の家系に生まれたものの明治維新で身分制度が廃止されため、働かないといけなくなり、東京に出ていました。蘭光(寺脇康文)とフィールドワークに行ったとき、仁淀川を見て、ときに人間に脅威となるが自然との共生を考えた佑一郎は土木の仕事を選び、鉄道が通るため荒川に橋を掛けるプロジェクトに取り組んでいます。頼もしい生き方です。
佑一郎のモデルはおそらく廣井勇で、明治41年に小樽港にコンクリートの防波堤を作っています。明治41年ということは「らんまん」ではまだ作ってないですね。
演じている中村蒼さんは「エール」(2020年度前期)で主人公・裕一(窪田正孝)の友人・村野鉄男役でも好演しました。腕っぷしは強いけど詩の好きなナイーブな役で、作詞家になります。モデルは野村俊夫で、彼は戦争に非協力的だったそうで、鉄男にもそういう確たる信念を持った人物が託されていたように感じます。誠実さと強い信念を感じる演技をされていました。朝ドラ主人公のいい友人役俳優というカテゴライズには留めたくないですが、彼が友人役に配役されたら、安心です。混んでるレストランではすこし声を落とし気味に感じたのもさすがでした(基本、落ち着いた語り口のようではありますが)。
(文:木俣冬)
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–{「らんまん」第6週あらすじ}–
「らんまん」第6週「ドクダミ」あらすじ
東京に着いた万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)は、野田基善(田辺誠一)らがいる博物館へ足を運び、植物談義に花を咲かせる。野田から東京大学への紹介状をもらった万太郎は、次に名教館時代の学友・広瀬佑一郎(中村蒼)を訪ねる。佑一郎の叔父の家を下宿先として紹介してもらったのだ。しかし植物標本などの荷物が多すぎるから捨ててほしいと言われてしまい、結局、自分たちで下宿先を探すことに。大八車を引いて東京の町をさまよう二人だったが、貴重な標本が入ったトランクを盗まれてしまう…。そしてたどり着いたのは、ドクダミが咲く薄暗い根津の長屋。そこに住む愉快な仲間たちと共に、東京での新たな暮らしがスタートする。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか