「らんまん」最終回かと思った 万太郎と竹雄の旅立ち<第25回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第25回を紐解いていく。

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竹雄、ついに櫛を渡す

朝ドラ辞典「最終回かと思った」参照

万太郎(神木隆之介)綾(佐久間由衣)の件が一件落着し、残るは竹雄(志尊淳)。

万太郎にいきなり「今までありがとう」「お別れじゃのう」「わしのお守りはお役ごめんとなる」と切り出された竹雄は、動揺します。

万太郎としては、綾のことを想う竹雄のためを考えてのことではあったでしょうけれど、竹雄が引き下がらず、万太郎が東京でひとりでは何もできないと水を差すものだから、ついには「クビ」とまで。

ショックで竹雄はひとりごとをブツブツ……

綾を手伝おうとすると手伝わせてもらえず、父・市蔵(小松利昌)も番頭の仕事を息子に引き継ぐ気はなさそう。

困った竹雄はタケ(松坂慶子)に相談します。が、自分で決めていいと言われ、逆に困ってしまいます。
水垢離しながら、またひとりごと。
「わし…何もないのう…」と焦りは募るばかり。

万太郎と綾はやりたいことを見つけたけれど、竹雄は自分が何をしたいのかわりません。取り残された寂しさもあるでしょう。

竹雄は、綾にもう一度ちゃんと向き合います。
渡しそびれた櫛も渡せました。

「わしはなんちゃあもっちょりませんけんど 2つだけ子供の頃から持ち続けてきた大切なものがありました」と綾に言う竹雄。そのひとつが綾への思い。そして、もう一つはーーと綾が聞くと、カットが切り替わり、映ったのは万太郎の横顔でした。

バイカオウレンの花に埋もれた万太郎。花と天狗(ディーン・フジオカ)と出会った木に「行ってくるき」と挨拶。万感の思いが伝わってきます。

津田温子演出は、横顔カットをここぞというときに使用します。横顔は正面より弱いとされがちですが、逆に、横顔ならではの良さもあります。例えば叙情性が高まるのです。NHK のベテラン演出家には横顔を使用するかたもいらっしゃいます。「半分、青い。」の田中健二さんなどですね。

「箱入り」「しかもうるし塗りの重箱に入ってお育ちですき」と竹雄に言われた万太郎は、ひとりでなにもかもやろうと決意して旅立ちますが、そこへ現れたのはーー

竹雄の大事なもののもうひとつは万太郎なのです。

「駄目若」の面倒を見ると決めた竹雄。自分は万太郎をここまで世話してきたという自負があるのでしょう。そう、お世話する才能というのもあるのです。

「駄目若」というワードがすばらしい。駄目父、駄目兄、駄目夫ならぬ「駄目若」。主人公が駄目なのは「マッサン」以来でしょうか。朝ドラの場合、駄目といっても主人公は最終的には偉業を成し遂げるのですが。

冒頭のふたりの掛け合いは息があっていましたし、ふたりの東京での生活が楽しみです。

ふたりの旅立ちに主題歌がかかります。主題歌がラストシーンに流れることは、最近の朝ドラでは珍しくなくなってきましたが、そのまま予告編に主題歌がかかることは新しい気がしました。

【朝ドラ辞典2.0:3人(さんにん)】

朝ドラでは主人公と対比するもうひとりの人物、ライバル、親友、きょうだいなどが登場する。ただ、ふたりは二項対立になってしまうので、「3人」でバランスをとる場合もある。幼馴染や親友など。同性3人は「おひさま」、男女3人は「ひよっこ」「半分、青い。」「スカーレット」などがある。この3人組が人気になることも少なくない。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第5週のあらすじ}–

「らんまん」第5週「キツネノカミソリ」あらすじ

自分の行きたい道を進むと心に誓った万太郎(神木隆之介)と綾(佐久間由衣)は、佐川に帰る前に早川逸馬(宮野真守)の演説会に参加する。思いがけず登壇することになった万太郎は、突如乱入した警官隊に逮捕されてしまう。高知の警察署で厳しい取り調べを受ける万太郎と逸馬。竹雄(志尊淳)から顛末を聞いたタキ(松坂慶子)は自ら高知へ出向き万太郎を救出し、無事に佐川へと連れ戻す。峰屋に帰った万太郎は、植物学の道を進むため東京へ行かせてほしいと、タキにその熱い思いをぶつける。それから時は流れ、春。万太郎は峰屋の面々に見送られ東京へと旅立つのだった…。 

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか