「らんまん」万太郎が監獄に入れられてしまった<第21回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第21回を紐解いていく。

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もうひとりの万太郎とは

第5週「キツネノカミソリ」(演出:津田温子)は急展開。

高知で自分と向き合った万太郎(神木隆之介)綾(佐久間由衣)は自分たちの思う道を進もうと誓います。それはタキ(松坂慶子)が決めた結婚はしないということ。

諦めたら

「わしのいのちがついえてしまう」
(万太郎)

と言うほど真剣な万太郎。諦めたら試合終了なのです。

ここまで強く決意したわけは「もうひとりのわしに会うて来たがじゃ」。

もうひとりの万太郎とは、名前が似ているジョン万次郎(宇崎竜童)でしょうか。「万」の名前がついていることはそうなのかなと。広い自由を求めて世界に出ていった人物みたいに万太郎もなりたいのかも。この場合の自由とは「知る」「学ぶ」自由でしょうか。

「お互い今日選んだ道を悔やまんこと」
と指切りするふたりを見守る竹雄(志尊淳)は、

「おふたりは前だけ向いちょってください。後ろはわしがおりますき」(竹雄)

と言います。健気です。

ところが、竹雄がついていながら大変なことが……。

高知を去る日に、もう一度、逸馬(宮野真守)の演説を聞きに行くと警察が来て、万太郎まで捕まってしまいました。

どうしようと逆上する竹雄と綾。
責任を感じた竹雄は綾を置いて走り出します。たぶん、峰屋に戻ろうとしているのだと思いますが、そういえば、どうやって佐川村から高知に来たのでしょう。列車? 徒歩? 

綾をひとり置いていって、綾に何かあったらどうするのでしょうか。この時代、物騒だと思うんですが……。

さて。朝ドラで逮捕といえば「まんぷく」(18年度後期)です。萬平(長谷川博己)は3度も投獄されています。ほのぼの朝ドラの世界に逮捕という重たいものがのしかかり異彩を放ちました。

朝ドラでは意外と逮捕のエピソードがあるのです。

朝ドラ辞典「罪」参照

でも、希望はあります。
逮捕される前に、万太郎が演説で語った、植物の話。踏まれたときこそ「変化の機会」で、踏まれて強くなったり、種を遠くに運ぶことができたりするのです。

万太郎が連行されていくとき、草を踏んでいくカットが挿入されていました。これが万太郎の転機という意味を感じます。

そして牢屋の窓に葉っぱがのぞいていて、万太郎を勇気づけます。
ノベライズを読むと、通気孔から蔓が顔を出しているという描写でしたので、窓ではなく通気孔なのかも。そうでないと、こんなところからでも植物がーーという驚きが薄まりますよね。
いずれにしても、どんな場所にも植物は生える。そのたくましさを見倣いたいということです。

つらいときこそ変化のチャンスと聞いて逸馬が、わしらも新政府になっても生き抜いてきたと、民衆に語りかけます。

前作「舞いあがれ!」には向かい風があってこそ凧は飛ぶというメッセージがありました。つらいことには意味があると言い聞かせるパターンが続くのは、日本がいろいろあってつらい時期だからかなと想像します。みんなで乗り越えていこうという気持ちの現れではないでしょうか。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第5週のあらすじ}–

「らんまん」第5週「キツネノカミソリ」あらすじ

自分の行きたい道を進むと心に誓った万太郎(神木隆之介)と綾(佐久間由衣)は、佐川に帰る前に早川逸馬(宮野真守)の演説会に参加する。思いがけず登壇することになった万太郎は、突如乱入した警官隊に逮捕されてしまう。高知の警察署で厳しい取り調べを受ける万太郎と逸馬。竹雄(志尊淳)から顛末を聞いたタキ(松坂慶子)は自ら高知へ出向き万太郎を救出し、無事に佐川へと連れ戻す。峰屋に帰った万太郎は、植物学の道を進むため東京へ行かせてほしいと、タキにその熱い思いをぶつける。それから時は流れ、春。万太郎は峰屋の面々に見送られ東京へと旅立つのだった…。 

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか