「らんまん」姉弟と思っていたらいとこで、結婚しろと急展開<第17回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第17回を紐解いていく。

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「おまんらはいびつながじゃ」

万太郎(神木隆之介)が無理して植物研究を諦めたことを心配した竹雄(志尊淳)が、タキ(松坂慶子)に事情を話します。

万太郎がそれほど苦しんでいること、植物研究への思いの強さを思い知ったタキは大きな決断をします。

タキが万太郎の部屋を探るときのおもちゃのピアノみたいな劇伴がよかったです。

綾(佐久間由衣)と万太郎を結婚させようと言いだすタキに、ふたりとも呆然。
実は綾はタキの娘の子供で、万太郎とは従姉。コロリで綾の母が亡くなったため引き取り、育てていたと明かします。

タキにしてみれば、植物研究を諦めきれない万太郎と、酒づくりに興味のある綾が結婚すれば、峰屋を継ぎながら、お互い興味のあることをやっていける名案だったわけですが、これまで姉弟として育ってきたふたりには夫婦になるなんて考えられません。

「私らにも心がありますき」(綾)

タイミングも悪く、綾は好きな人がいるし、万太郎も東京でときめきを知ったばかり。

「おまんらはいびつながじゃ」
(タキ)

いびつ、とはなかなかのパワーワードです。

祝言は夏に行うと有無を言わさず決めてしまうタキ。

感情が昂ぶって出て行ってしまう綾。
万太郎は、案外、しっかりしていて、タキを窘めます。
しっかり…というよりはすっかり諦めてしまったようで、

「どうせわしは当主じゃ」(万太郎)

と捨て鉢になります。

神木隆之介さんが万太郎でよかったと思った場面です。

少年のような雰囲気もありながら、自分の宿命に縛られ、好きなことへの未練を捨てきれず、でも、祖母には丁寧に接し……と様々な事情と感情が波打ち際の波のようにうごめいている様子をみごとに表現しています。少年俳優ではできないし、ある程度大人になった俳優にも少年ぽさが出せないしで、神木さんだからできるのだと感じます。
さらに、そこに万太郎の天才性も見せないといけません。何か先が見えているような鋭い確かな眼差し。ただの植物バカの放蕩息子ではない、知性のある万太郎という人物がよくわかる場面でした。

万太郎は、竹雄の気持ちも慮り、今こそ綾に告白しろと言います。
でも、竹雄は綾の気持ちも知っているし、自分の立場(使用人)もわきまえているので、できるわけもありません。

万太郎、綾、竹雄、タキ 全員が自分の立場に苦しんでいます。タキは女性の立場が弱いことをもうずっと耐えてきた人物です。それが当たり前と思っていて変わることができないから若者にも強いてしまいますが、決して悪意ではないのです。
タキも、タキに万太郎の話をした竹雄も、みんなよかれと思って動いたことが、悲しい方向に転がっていくようで、何もしないで耐えていたら変わらない。こんなふうにアクションが起こることで変化が起こるのです。

心よりしきたりを大事にしてきた時代から、心を優先する時代へーー

令和の今も女性の立場が弱いとはいえ、明治以前と比べたらずいぶんマシになっているんですね。
100年後はもっと誰もが生きやすい世界になっていますように。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第4週「ササユリ」あらすじ}–

「らんまん」第4週「ササユリ」あらすじ

佐川に帰ってきた万太郎(神木隆之介)は、植物学の道をきっぱり諦め、峰屋の当主として生きることを約束する。万太郎が本心を隠していると察したタキ(松坂慶子)は、万太郎を峰屋に縛り付けるため、綾(佐久間由衣)と夫婦になるよう言い渡す。姉弟として生きてきた二人はタキの命令に反発し、綾は家を飛び出してしまう。向かった先は蔵人・幸吉(笠松将)の村だった。万太郎も綾を探して高知へ向かうが、自由民権運動の集会で偶然出会った政治結社のリーダー・早川逸馬と意気投合。逸馬は万太郎を「ジョン万次郎」こと中濱万次郎と引き合わせる。  

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか