『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』が2023年4月14日より公開されている。見どころについては後述するが、ひとまずこれだけは言わせてくれ。4DXがコナン映画史上最高の出来栄えだったと。
- 前置き1:コナン映画で4DXを選べば間違いない理由
- 前置き2:ラージフォーマットが公開初日からバトルロイヤル状態
- 前置き3:MX4Dよりも4DXをおすすめする理由
- 前置き4:最初に4DXを観てもいい?
- 前置き5:『灰原哀物語』を観ておくのもおすすめ
- 1:ホエールウォッチングの疑似体験!
- 2:バラエティ豊かな海上&海中アクション!
- 3:ターボエンジン付きスケボーも加わったカーチェイス!
- 4:蘭姉ちゃんの空手がアクロバティックな領域に!
- 5:阿笠博士のクイズもフラッシュでより楽しく!
- もはや爆笑ものの4DX全部乗せクライマックス!
- 灰原哀ファンが「ありがとうございます」と拝む内容に
- 合わせて観ておくといい映画はこれだ!
- 『名探偵コナン 黒鉄の魚影』作品情報
前置き1:コナン映画で4DXを選べば間違いない理由
そもそもコナン映画は4DXと相性が良い。カーチェイス、空手やジークンドーなどの格闘技、そして大規模な爆発などと、それぞれのアクションや見せ場が、座席の動きなどのアトラクション的な4DXの演出と見事にシンクロしているからだ。
それらのアクションや見せ場は良い意味でのコナン映画の「お約束」。バリエーションが豊かでもありながら、「期待したものを出していただける」ということでもある。
4DXは作品によっては演出があまり合っていなかったり、物足りなく感じてしまうこともあるのだが、コナン映画にはそんな心配は無用。信頼と実績のお約束があり、それぞれが安定のクオリティを誇るコナン映画だからこそ、4DXを選べば間違いないと断言できる。
前置き2:ラージフォーマットが公開初日からバトルロイヤル状態
今回の『黒鉄の魚影』は衝撃のバトルロイヤル映像と銘打たれた告知動画も公開されている。何事かと思いきや、これはIMAX・MX4D・4DX・Dolby Cinemaという、4つのラージフォーマットの上映形態が、公開初日の4月14日から同日スタートだからこその触れ込みのようだ。
確かに、大作映画のIMAXを除くラージフォーマットの上映は、公開日から時間を空けてから展開することも多い。コナン映画も、数年前までは4DXとMX4Dはかなり後になってから上映されていた。でも、今回はコナン映画のファンこそが「どれで観れば良いのか迷ってしまう!」状態になっているのだ。全部を観に行く猛者もいるだろう。
前置き3:MX4Dよりも4DXをおすすめする理由
そんなラージフォーマットのバトルロイヤル状態でも、最初に掲げた通り4DXがコナン映画史上最高の出来栄えだと断言できるので、安心して4DXを選んで良い。そして、MX4Dよりも4DXのほうがおすすめだ。
なぜなら、MX4Dにはなくて、4DXにはある演出に「雨」「シャボン玉」「雪」があり、今回の『黒鉄の魚影』ではこのうち「雨」がとても効果的に使われているからだ。
料金も、MX4Dが通常料金+1200円であることに対し、4DXは+1000円と200円安い。さらに4DX劇場の一部では「熱風」の演出もプラスされているので、そちらを選んでみるのもいいだろう。他の作品でも、基本的にはMX4Dよりも4DXを強く推しておく。
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前置き4:最初に4DXを観てもいい?
「4DXを最初に観てもいいのか?」「2回目以降のために取っておくべきなのか?」と迷っているファンもいるだろう。これは人それぞれの好みなので一概には言えないが、個人的にはもちろん4DXを最初に観て良いと思う。
その理由のひとつが、サプライズ的な展開に、派手な4DXの演出をプラスすると、もはや笑ってしまうほどの衝撃があるからだ。端的に言って初見のインパクトがマシマシだからこそ4DXをおすすめしたい。筆者が観た時も観賞後に女性の方が「最初が4DXで大正解だったよね!」などと友だちと嬉しそうに話している様も耳にしたのだから。もちろん、リピーターの方にもおすすめだ。
前置き5:『灰原哀物語』を観ておくのもおすすめ
この『黒鉄の魚影』の前に、今年1月に劇場公開され、今は各種配信サービスにあるテレビシリーズの総集編『灰原哀物語 黒鉄のミステリートレイン』を観ておくのもおすすめだ。
こちらでは今回の『黒鉄の魚影』の主役とも言える灰原哀の来歴がごく短いながらも紹介されており、今回の映画に繋がる要素もあり、一本のミステリーとしても楽しめる内容になっていた。他キャラクターの関係性はやや一見さんに優しくないところはあるものの、灰原哀の魅力をとりあえず知ってみたいという方にもうってつけだろう。
余談だが、『黒鉄の魚影』と同じく立川譲監督によるアニメ映画『BLUE GIANT』が2023年2月17日の公開日から2ヶ月近く経った今も上映中だ。同作は絶賛に次ぐ絶賛の口コミが話題となり、ついに興行収入は10億円を突破した。「映画館で観るべき」作品であることも以下の記事で記したので、こちらもぜひ観てほしい。
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さて、すっかり前置きが長くなったが、ここからは具体的な『黒鉄の魚影』の4DXの魅力を記していこう。サプライズ的な演出は伏せているものの、一部のアクションの特徴や作品全体の印象、展開を予見させる記述もしているので、何も知らないまま映画を楽しみたい、4DXをまっさらな状態で体験したいという方は、先に映画館へと駆けつけてほしい。
–{まさかの○○○○○○○○○の疑似体験!}–
1:ホエールウォッチングの疑似体験!
今回のコナンたちは八丈島にホエールウォッチングに行く。そして、座席にプシュっと吹きかかる水と、劇場全体に降る雨の演出によって、クジラが海上へ飛び上がり、また海に落ちた時の水しぶきを表現しているのだ。
つまり、これはホエールウォッチングの疑似体験。そのシーン自体はごく短いおまけ程度のものではあるのだが、4DXの演出が序盤からさっそく「おもてなし」をしてくれるのが嬉しかった。
2:バラエティ豊かな海上&海中アクション!
本作の主な舞台は海洋施設であり、サブタイトル通りに潜水艦(submarine)が登場する。もうお分かりだろう、前述したホエールウォッチング以上に、座席に吹きかかる水と雨によって、海洋施設×潜水艦という組み合わせだからこその、水しぶきがかかる海上での様々なアクションを演出しているのだ。
さらに、海中に潜ってからの、阿笠博士の発明品により勢いよく移動する様、はたまた「水をかいくぐる」ような抵抗感も、座席の動きにより存分に感じさせてくれた。その他にもバラエティ豊かな海上&海中アクションが待ち受けているので、楽しみにしてほしい。
3:ターボエンジン付きスケボーも加わったカーチェイス!
4DXともっとも相性が良く、かつコナン映画の定番と言えるのがカーチェイス。今回は冒頭からバイクでのチェイスが展開する上に、中盤ではこれまたコナン映画のお約束である「ターボエンジン付きスケボー」も加わった派手なカーチェイスの大サービスが待ち受けていた。
そのカーチェイスで、急カーブでの傾きが座席の動きで表現されているのは序の口、地面スレスレのスリルは座席下の「くすぐり」で、スピード感は劇場全体を吹く風でも表現されているのだ。コナンに同調して、ターボエンジン付きスケボーに乗る体験をしたい方も必見だ。
4:蘭姉ちゃんの空手がアクロバティックな領域に!
さらに4DXと相性が抜群なのが格闘シーン。今回は空手の使い手でもはや人間離れした強さを誇る蘭姉ちゃんがやってくれていた。その動きはキレキレを超えてもはやアクロバティックで、もちろんその動きに合わせて座席がまあ揺れる揺れる。もはや良い意味で笑ってしまう勢いだった。
しかも、その蘭姉ちゃんの拳がクリーンヒットする様を座席の後ろの衝撃で、もしくはギリギリで避ける様をプシュッと吹き付けるエアーで表現してくれる。さらに笑ってしまったのは、蘭姉ちゃんがとある理由で小五郎のおっちゃんを殴るシーンで、その重いダメージがとある演出によってより伝わりまくったのである。
5:阿笠博士のクイズもフラッシュでより楽しく!
コナン映画のお約束はまだまだある。それは「阿笠博士のクイズ」パート。4DX上映では、出題のタイミングや、何かを思いついた時に、劇場の斜め上にある照明が光るのである。
つまりは、「わかった!」な感じの「閃き」をフラッシュの演出に見立てているというわけ。それだけと言われたらそれだけなのではあるが、なんだか楽しいのでオールオッケーである。
もはや爆笑ものの4DX全部乗せクライマックス!
ネタバレになるので詳細は何も書かないでおくが、クライマックスのアクションは、やっぱりコナン映画のお約束でものすごく派手である上に、「待ってました!」と言わんばかりに4DXの演出が凝縮して全部乗せされていたので、そのゴージャスさにもはや爆笑してしまった。
近年のコナン映画はアクションの荒唐無稽さが良い意味で笑って楽しめる領域になっているので、そこに4DXをプラスしてこそ、さらなる笑いを夢いっぱい詰め込めるということでもある。まあ、今回のクライマックスに笑ってしまった理由は、とあるキャラの扱い(これ自体がもうギャグ)のせいでもあるけども。
灰原哀ファンが「ありがとうございます」と拝む内容に
この『黒鉄の魚影』の作品全体の印象を告げておくと、今回は人気キャラクターである灰原哀の、灰原哀による、灰原哀のための映画だったということに尽きる。
これまた詳細は書かないでおくが、「観たかった灰原哀の姿」「観たかった他キャラクターとの関係性」「灰原哀のこういうところがいい!」が、もう出し惜しみなく提示されていたのだから。作り手の「哀ちゃん愛」が伝わったし、彼女のファンであると「ありがとうございます」と拝みながら観るに違いない。ていうか、哀ちゃんとコナンくんの関係性はもちろん、別のとある関係性が悶絶するほど尊かったよ!その先に待ち受けているあの展開の尊みのために天に召される人が出かねないよ!
また、コナン映画は原作漫画の物語がある以上、キャラクターの関係性を進ませることが難しいという問題があるのだが、今回はそこも見事にやってくれていた。灰原哀が、なぜ予告編にもある「バイバイだね、江戸川コナンくん」と言ったのか、その絶望的状況からどのようなコナンとの関係の変化があるのか。それはもう脳髄の奥まで届く尊みであった上に、「これから」の物語にさらなる期待ができるものだった。
さらに、他キャラクターの萌えっぷりにもさらに拍車がかかっており、個人的にはウォッカにも超萌えた。いや悪人ではあるんだけど、慌てふためきながらもがんばる姿を応援したくなったよ!
合わせて観ておくといい映画はこれだ!
前述した『灰原哀物語』以外に、もうひとつ『黒鉄の魚影』と合わせて観るのをおすすめしたい作品がある。それは劇場2作目である『14番目の標的』だ。
【関連記事】『名探偵コナン 14番目の標的』の魅力
両者は「海洋施設が舞台」という見た目にもわかりやすい共通点があるのだが、それだけではない。これまた詳細はいっさい明かせないのだが、今回の『黒鉄の魚影』は『14番目の標的』のリスペクトとさえ思える展開があるのだ!賛否両論もあるかもしれないが、個人的にはコナン映画を長く観続けたファンへのご褒美でもあると受け取った。
それ以外にも、コナン映画はつくづくファンを喜ばせるサービスが上手いと思えることばかりだ。「人気キャラを満遍なく活躍させる」「関係性に萌えさせてからの燃える展開」など、かなりの計算の上で作られていることがわかるし、だからこそさらなる厚い支持を得ているのだと感服するばかりだ。この際、推理要素がおまけのような扱い&ツッコミどころ満載なのは気にしない!
もちろんディープなファン以外にも広く開かれている、日本のエンターテインメントの最前線、そしてキャラ萌え&関係性萌えの極致が、間違いなくコナン映画シリーズだ。ぜひ4DXも「盛って」最大限に楽しんでほしい。
(文:ヒナタカ)
–{『名探偵コナン 黒鉄の魚影』作品情報}–
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』作品情報
ストーリー
東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設『パシフィック・ブイ』。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある『新技術』のテストも進められていた―。
一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナンたち少年探偵団。
するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは『パシフィック・ブイ』の警備に向かっていた黒田兵衛たち警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…!さらに、彼女が持っていたある情報を記す USB が組織の手に渡ってしまう…。
海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り…
予告編
基本情報
声の出演:高山みなみ/山崎和佳奈/小山力也/林原めぐみ/堀 之紀/立木文彦/小山茉美/古谷 徹/池田秀一/沢村一樹 ほか
監督:立川 譲
公開日:2023年4月14日(金)
製作国:日本