「らんまん」万太郎、覚醒するも、番頭の高価な時計を分解してしまう<第8回>

続・朝ドライフ

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第8回を紐解いていく。

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ようやく正体がわかった池田蘭光(寺脇康文)

あいみょんの主題歌が「愛の花」の「愛」と「逢い」、「為」と「種」、「わ」と「輪」などの韻が心地よいです。

武家の子に意地悪され、名教館に行きたくない万太郎(小林優仁)でしたが、意を決してひとりで向かいます。
植物のように踏まれることで強くなれたらいいのに、と思っていると、池田蘭光(寺脇康文)から植物に名があることを教えてもらって、学問に目覚めます。

明の時代の医者・時珍が「本草綱目」というたくさんの植物を記録した本に刺激を受ける万太郎。時珍も子どものとき、体が弱くて、本をたくさん読んで過ごしたそうで、万太郎は共感を覚えたようです。

目標があると勉強も楽しい。文字を読むためーーというか植物の知識を得たくて勉強にせいをだします。

これまでちょっと沈殿していたものがいっきに浮上し、万太郎は生き生きしはじめます。
寺脇康文さんがスケールの大きな演技をしていて、万太郎が突風に巻き込まれていくような感じがよく出ています。影響されて小林優仁さんの口調もそれまでに増してしっかりしてきたように感じるほど。

そしてあっという間に3年ーー。万太郎、12歳。

万太郎が身につけた強さにはいいことと良くないことが混ざっています。

思いついたらまっしぐらで、抜群の集中力を発揮することは良いことですが、まわりに目が入らないのはあまり良いことではありません。

番頭・市蔵(小松利昌)にわがままを言ったうえ、彼の大事な懐中時計にひどいことをしてしまう。

「見せて」「貸して」と言ったところでいやな予感がしましたが、案の定……。

子どもの底知れない好奇心を、既成のものを分解し構造を知ろうとする姿で見せることは、かつて「べっぴんさん」(16年度後期)でも描かれています。ヒロインが靴を分解していました。被害にあった側はたまったものではありません。番頭役の小松利昌さんのおろおろした身振りがお気の毒さを倍増させました。タキ(松坂慶子)に弁償してもらえると信じます。

夢中になると我を忘れる天才肌。授業中の教室にわーっと入っていって自分の聞きたいことを質問する場面も、規格外の人物の表現です。優れた才能があるから許されますが、たいていはへんな人として扱われがち。

植物に名前がある、人間も無名の人なんていない、みんなそれぞれ名前がある。こういうことに気づくことができるのは、当たり前のルールから外れた人なのです。

【朝ドラ辞典2.0 主題歌(しゅだいか)】

ドラマがはじまる前に、スタッフ、キャストのクレジットと共に流れるもの。当初はインストゥルメンタルだったが、はじめて歌詞入りのものになったのが「ロマンス」(84年)。
以後、人気アーティストが歌うことで話題のひとつになっている。その年の紅白歌合戦で
主題歌を引っさげて出場することも、少なくない。歌詞がドラマの内容を暗示しているように感じるものもあり、ドラマと切り離せない。「オープニング」参照。

(文:木俣冬)

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–{「らんまん」第2週「キンセイラン」あらすじ}–

「らんまん」第2週「キンセイラン」あらすじ

9歳になった万太郎(小林優仁)は武家の子息だけが通学を許される学問所に通うこととなった。あまり乗り気ではない万太郎は、初日から雰囲気になじめず、武家の子息たちにもいじめられ登校拒否に・・・。しかし学頭である池田蘭光(寺脇康文)から植物の不思議な生態について教えを受け、学ぶ楽しさを知る。それ以来、積極的に学問所に通い始め、興味のある植物の研究に没頭するようになる。それから3年の月日が流れ、新政府による小学校の開校にともない学問所は廃止。蘭光も佐川を離れることになる。蘭光はタキ(松坂慶子)の了解を得て、万太郎を最後の課外授業にいざなう。

–{「らんまん」作品情報}–

「らんまん」作品情報

放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始


長田育恵

音楽
阿部海太郎

主題歌
あいみょん「愛の花」

語り
宮﨑あおい

出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか

植物監修
田中伸幸

制作統括
松川博敬

プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久

演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか