<どうする家康・姉川・長篠・本能寺編>13話~28話までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

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2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。

古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事では家康が上洛し、姉川の戦いへと物語が進んでいく13話~28話までの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第13話ストーリー&レビュー

・第14話ストーリー&レビュー

・第15話ストーリー&レビュー

・第16話ストーリー&レビュー

・第17話ストーリー&レビュー

・第18話ストーリー&レビュー

・第19話ストーリー&レビュー

・第20話ストーリー&レビュー

・第21話ストーリー&レビュー

・第22話ストーリー&レビュー

・第23話ストーリー&レビュー

・第24話ストーリー&レビュー

・第25話ストーリー&レビュー

・第26話ストーリー&レビュー

・第27話ストーリー&レビュー

・第28話ストーリー&レビュー

第13話ストーリー&レビュー

第13話のストーリー

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家康(松本潤)は、徳川領となった遠江の情勢も不安定な中、信長(岡田准一)の後ろ盾で将軍となった足利義昭(古田新太)の命令で京へ向かうことになる。そこで義昭の家臣・明智光秀(酒向芳)や商人・茶屋四郎次郎(中村勘九郎)、市(北川景子)の夫・浅井長政(大貫勇輔)らと出会う。やがて義昭に謁見した家康は、将軍の器とは思えないその愚かな振る舞いに戸惑う。なぜ義昭を擁立したのか、そこには信長のある思惑があった。

第13話のレビュー

京の都に行くことになった家康(松本潤)。
新たな将軍・足利義昭(古田新太)からの命だが、義昭は信長(岡田准一)のおかげで将軍になれたのだ。義昭=信長の命令みたいなもの。それでも上洛する家康はウキウキだ。

一方、瀬名(有村架純)の表情は浮かない。
家康が上洛して寂しいから? いやいや、息子の松平信康(寺島眞秀)とその妻で信長の娘・五徳(松岡夏輝)の仲が悪いからだ。ケンカばかりでうまくいっていない。十代初めの2人にとっては夫婦げんかというには幼すぎる。そんな2人を仲直りさせるために(と、うらやましがる瀬名と亀のために)南蛮菓子のコンフェイトを買ってくると約束して家康は旅立つ。

コンフェイト=金平糖。ポルトガルのお菓子なので、入手がまず困難なようだが……。

 
京に着いた家康は面会だけで大忙し。最初はまだよかったが、3日目には体調を崩してしまう。
そんな中で酒井忠次(大森南朋)からどうしても会ってほしい男がいると言われる。
連れてきたのは茶屋四郎次郎(中村勘九郎)。三河出身の豪商だ。家康のためならばとコンフェイトを手配することを約束する。
近年、大河で主演をしていた人が次々と出てくるものである。圧巻。

そんな四郎次郎からは家臣を出歩かせないほうがいいとの忠告をされる。
信長が都の風紀を乱す者を許さないとのこと。が、時はすでに遅し。

本多忠勝(山田裕貴)と榊原康政(杉野遥亮)が、浅井長政(大貫勇輔)の家中の者ともめごとを起こしていたのだ。

京に来て具合が悪くなっていた忠勝。
京の町で「だから都などに来たくなかったんじゃ」と駄々をこねるほど気分が悪い。実際、熱があった。それでも、冷静さを欠いていたわけではない。もめごとになったのは家康を馬鹿にされたから、だった。

「手は出していない、足が少し出ただけ」と言って思いっきり蹴っている忠勝、「手を出してもおりませぬ」と思いっきり頭突きをかましていた康政……いいコンビである。
が、感心している場合ではない。
信長にバレる前にどうにか、と言うが、こちらも時すでに遅し。信長から呼び出しがかかってしまう。

豊臣秀吉(ムロツヨシ)や明智光秀(酒向芳)はネチネチと責め立てる。場合によって首を献上せねばならないかもしれない、家臣の名を言え、と。

が、意外にも丸く収めたのは浅井長政だった。喧嘩ではなく戦い方を指南してもらっただけだ、と。
もちろん、その場にいた全員が「そんなわけあるか」と思っていただろうが、信長がそれで良いと言うなら良いのだ。

信長にとって、浅井長政と家康は信用している人間だ。かつて、妹のお市(北川景子)を嫁がせようとした相手と、嫁いだ相手。政略結婚ではあるけれど、自分が信頼している人間に嫁がせようとするあたり、お市のことも大事にしているんだなあ、と思うが……。うん。

酒を飲みながら、2人に夢を語り、「わが2人の弟よ、力を貸せ」と言う信長。
ちょくちょく、信長の器のでかさと性根の良さが垣間見えるだけに辛いぞ、この展開は。
信長様、そこにいる家康は先週今川氏真(溝端淳平)に「今でも兄のように思っている」と言っていましたが! そして浅井長政は裏切りますが!

家康にとって上洛はおおむね良い時間だった。
四郎次郎はコンフェイトをどうにかして見つけてきてくれた。久しぶりに再会したお市の幸せそうな顔が見れたし、娘の茶々を抱っこすることもできた。
まあ家康が茶々を抱っこしている様子もこれはこれでフラグだが。

が、最悪な出来事はここからだ。
足利義昭である。

二日酔いで現れ、とてもじゃないが気品とは程遠い。できた人間にも見えない。
家康を田舎者だと蔑み、苦労して手に入れたコンフェイトを取り上げ、一気に食べてしまった。

家康は手に入れたコンフェイトをお市に2粒あげていた。茶々は喉を詰まらせてしまう、その代わり、いつも頑張ってくれているからと侍女・阿月(伊藤蒼)に食べさせてやっていた。そのシーンが直前にあったこともあって、義昭の残念さがより伝わってくる。

もうさっさと帰るぞ、コンフェイトはないけれど! と信長に挨拶に行く家康だが、帰れない。
朝倉義景を討つからついて来い、とのこと。
嫌だ帰りたい!という家康の声が聞こえてきそうだ。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第14話ストーリー&レビュー}–

第14話ストーリー&レビュー

第14話のストーリー

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信長(岡田准一)と共に、朝倉義景との戦に臨んだ家康(松本潤)。その裏では、浅井長政(大貫勇輔)が謀反を決意していた。浅井・朝倉に挟み撃ちにされれば、織田・徳川連合軍はひとたまりもない。長政の妻・お市(北川景子)の心中を察した侍女・阿月(伊東蒼)は、謀反を知らせるため、信長が陣を敷く金ヶ崎へ向かうが…。

第14話のレビュー

阿月の人生に、思わず涙ぐんでしまった。

前回、織田信長(岡田准一)が家康(松本潤)以外にも信頼している様子を見せていた義弟・浅井長政(大貫勇輔)。しかし、穏やかな時間は長くは続かない。
家康と信長が朝倉義景との戦いに臨んでいる裏で、浅井はひそかに謀反を企てていた。

異変にいち早く気がついたのは家康(というか、家臣たち)。
が、進言したとて、信長を始め、家臣たちも浅井を信じて疑わない。それどころか、家康は臆病だと嗤う始末。
信長も「わが弟は義の男」と怒りをあらわにする。

とは言え、信長の行いに義があるかというと怪しい。
義昭(古田新太)を傀儡にして、自身が天下を取る。
果たして義の男がそれを許すだろうか……と言ったのは石川数正(松重豊)である。

家康が「義の男だからこそ裏切ることもある」と言うと当然、信長は怒る。信長のやっていることに義がない、と言っているのと同じなのだから。
信長は家康に向って「二度と顔を見せるな!」と言い捨てる。

自分の言動をすぐに後悔する家康だが、今回の主役は彼ではない。
お市(北川景子)の侍女・阿月(伊東蒼)だ。
夫・浅井長政の裏切りにより、兄の信長、そして初恋の人である家康が危機に陥る。
どうにか家康を助けたい。
そんなお市の心中を組み、阿月は謀反を知らせるため信長の陣がある金ヶ崎へ向かう。
しかし、お市がいる小谷城から金ヶ崎までは40km以上ある。女性が走破できる距離ではない。
おまけに浅井軍らの目もかいくぐらなければならない。

それでも、阿月は走る。そこで描かれるのは、阿月の半生だ。
子どものころ、男子のように走れば親に殴られ、女性らしい所作を無理やり覚えさせられる。
そしてそれをマスターすれば売り飛ばされ……。
地獄のような人生を歩んでいた中で、阿月が出会ったのがお市だった。

やりたいことを我慢させられ、言うことを聞いたとて、幸せが来るわけではない。
しかし、お市はいつも頑張ってくれているからと、阿月の口に高価なコンフェイトを含ませてやるような女性だ。暗かった阿月の人生の中で、お市は光だったに違いない。
阿月にとって、きっと天下がどうなろうと関係ない。お市に心穏やかに過ごしてほしい、という望みがあるだけではないか……。

どうにか家康の陣にたどり着いた阿月は、「お引きそうらえ」とお市の言葉を伝え、息絶えた。

しかし、信長は妹からの伝言を素直に受け入れることができない。
藤吉郎(ムロツヨシ)にしんがりを命じ、家康には「好きにしろ」と言って立ち去ってしまう。

そしてここでは藤吉郎が暴れる。「あ~こりゃ死んだわ!」と泣きわめき、家康に向って味方をしなければ、信長を見捨てたと言いふらしてやると言い出す。おっ、何やらとんでもない秀吉になりそうな予感。

家康は藤吉郎のことなどはどうでもいい。それよりも、阿月の想いに報いてやりたかった。
家臣たちも一緒だ。家康は激戦に身を投じる。

なんとなく、先入観で信長は怖いというイメージがあったが、「どうする」では秀吉のほうが個人的には怖い。これを相手にする家康、不憫……という気持ちにさえなる。
あと、裏切りそうな人格が透けて見えるような気がする明智光秀(酒向芳)も怖い。
とはいえ、家康もたいがいなので、そうでなきゃ戦国武将などやっていられないのかもしれない……。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第15話ストーリー&レビュー}–

第15話ストーリー&レビュー

第15話のストーリー

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命からがら藤吉郎(ムロツヨシ)と共に金ヶ崎の激戦を生き延びた家康(松本潤)。休む間もなく、信長(岡田准一)に浅井・朝倉討伐の先陣を申し付けられる。そんな中、浅井長政(大貫勇輔)からは「ともに信長を討ち取ろう」と呼びかける密書が届く。姉川を挟んで両軍が向き合い、決戦の時が迫る中、家康は信長を裏切るか否かの選択を迫られる。家臣の中でも意見が分かれ、紛糾するところに、家康陣へ信長から銃弾が撃ち込まれ・・・。

第15話のレビュー

金ヶ崎の戦いを生き延びた家康(松本潤)と藤吉郎(ムロツヨシ)。
なんやかんやで終わらされてしまったが大変な戦であったはず。
ぐったりしている家康に対し、藤吉郎は何やらごそごそと自分の体を汚し始める。
そして、信長(岡田准一)が現れると自分がいかに大変な戦いを潜り抜けてきたかを、大げさに演じて見せる。
そんな藤吉郎の猿芝居を信長が見抜いていないはずがないが、蹴りを入れたのちに労いの言葉をかける。

しかし、浅井・朝倉討伐はまだ終わっていない。
浅井を討つため、信長は家康に引き続き戦に出るように言うが、家康としては自分の国が気になるところ。一度、国に帰りたいという家康に、信長はどうするかは自分で決めたらいいと言いつつ、家康の首根に手を置き、「乱世を終わらせるのは誰じゃ」と囁く。
内容が物騒すぎて、「信長にこんなふうにささやかれたい!」とはさすがにならない。
わざわざ囁かなくても良くないか、囁いたことによって恐怖が倍増、周りの人たちの家康に対する嫉妬も倍増してないか? 大丈夫?

そして、飴と鞭をしっかりと使い分ける男・信長は家康に金平糖を渡す。
いや、飴と鞭と言うより、シンプルに信長はやっぱり家康にいてほしいだけなのか……。

 
しばし、国で家族との時間を過ごしたのち、再び戦に身を投じることとなる家康。
信長からは浅井・朝倉討伐の先陣を命じられるが、不満タラタラな家康。
そこに浅井長政(大貫勇輔)から「ともに信長を討ち取ろう」と密書が届く。「信長に義はない」と。
本多忠勝(山田裕貴)らは「今なら信長を討てるかもしれない」と浅井につくことに賛成するが、酒井忠次(大森南朋)や石川数正(松重豊)らの表情は渋い。

「義とはなんなのか」「義なんてものはきれいごと。屁理屈にすぎませぬ」と忠次。

家康は実のところ、義がどうのこうのという話ではなかった。
「浅井長政が好きだからつきたい」ということなのだ。
花いちもんめでも、もう少し理由をひねってきそうなものであるが、こんな家康だから、家臣たちはついてくるのかもしれない。
しかし、今回は、忠次と数正が譲らない。
「信長を討ったあとのことは考えているのか」「桶狭間のあとのようなぐっちゃぐちゃがまたやってくるけどいいのか」などとイタイところを突いていく。
忠次たちは、家康が熟考して出した答えならついていく。しかし、感情が先走ったときには押さえる、という役どころなのかもしれない。

迫る朝倉勢、そして早くしろと言わんばかりに陣に鉄砲を打ち込んでくる信長。
家臣たちからも決断を迫られ、家康は肚をくくる。
敵は、浅井と朝倉。

浅井・朝倉勢は撃破したが、浅井長政は逃がしてしまった。
家康が動き出すのが遅かったのではないかと詰められるが、「十分にひきつけてから討って出た」とごまかす。しかし、まあ、信長は全てお見通しなのだろう。
「これからは判断を間違えるなよ、白兎」と囁き、耳をガブリ!(痛い痛い痛い!)

距離がやたら近いうえに噛んでくる信長。
そんな信長の家臣は明智光秀(酒向芳)や藤吉郎など、一癖もふた癖もある者ばかりでさすがに家康が不憫になってくる……と思っていたら、今度は遠江で踊り子に扮した少女に襲われる家康。
なんてこった! と思うが、この少女は井伊虎松(板垣季光人)が扮していたのである。
そう、まだ家康は仲間を見つける旅の真っ最中なのだ……。

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–{第16話ストーリー&レビュー}–

第16話ストーリー&レビュー

第16話のストーリー

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浜松に居城を移した家康(松本潤)だが、城下で虎松(板垣李光人)と名乗る少年に襲われる。遠江の民は徳川を恨んでいるという虎松の言葉に、家康は傷つく。 一方、信玄(阿部寛)に対抗し、家康は上杉謙信との同盟を探るが、それが武田方に漏れ、信玄を激怒させてしまう。武田との決戦を避けられないと覚悟を決めた家康は、人質として武田に送っている義弟・源三郎(長尾謙杜)を救い出すが、そこには信玄の思惑があり……。

第16話のレビュー

虎松(板垣李光人)に襲われた家康(松本潤)。
さらに、遠江の民は徳川を恨んでいる、武田のほうが主君として優れていると言い放たれ、ショックを受けてしまう。
ショックを受けた家康、家臣たちに「自分と武田信玄(阿部寛)とはどう違うのか」と問い詰めるが、「すべて」と返され、追い打ちを受ける始末。申し訳ないが、テレビの前で同じことを思ってしまった。
とにかく、信玄は怒らせてはいけないと家臣たちにも言われ、それを心に深く刻む家康。

そんなあるとき、服部半蔵(山田孝之)が家康のいる浜松城へやってくる。
半蔵は於大(松嶋菜々子)に頼まれて、武田に人質として送られている源三郎(長尾謙杜)の様子を見に行っていたのだ。
半蔵が見た源三郎の姿はぼろぼろ。「身も心も病んでいる」と半蔵。
しかし、家康は於大には源三郎は息災だったと伝えよ、と命じる。源三郎を取り戻そうとして信玄と事を起こしたくないからだ。
ピュアなままかと思っていたら、シビアになっている部分もあるようだ……切ない。

しかし、家康は別の部分で信玄を怒らせた。
信玄に対抗するため、上杉謙信と同盟を結ぼうとするが、それが武田に漏れてしまったのだ。こうなれば、戦いは避けられない。家康は半蔵に、源三郎を救い出すよう命じる。

ぼろぼろになり、凍傷で足の指を失った源三郎。
人質になんてひどいことを、と憤る家康だが、源三郎は首を横に振る。
自分は甲斐にいる者たちと同じように鍛えられていただけだと。まだ、自分は優しくしてもらっていたほうだ、とも。
辛くて、逃げ出そうとしたが連れ戻され、日中はボコボコに殴られ蹴られ……本当に鍛えられていたのだろうか……? ほかの者たちのうっ憤のはけ口になっていた可能性もある。
その中で化け物のように強いのが信玄の息子、勝頼。
演じるのは真栄田郷敦。……なんとなく、納得である。

床に臥せったまま、源三郎は信玄からの言葉を家康に伝える。信玄は家康が源三郎を取り返すことを分かっていたのだ。
「弱き主君は害悪」「生き延びたければ家臣になれ」
舐められまくっているのがよくわかる。
武田側としては家康が何しようとどうでもいいのだ。目的は織田信長(岡田准一)で、家康は通過点でしかない。家臣になればこき使うし、ならなければ叩き潰すまで。そんな思惑が見える。

家康は家臣たちに判断をゆだねる。が、家臣たちは頼りたいだのなんだの言いたい放題。
でも、棒読み。みんな戦うに決まってる。
「戦っても十に九つは負ける」と家康。それに本多忠勝(山田裕貴)が「十に一つは勝つ」と答える。そして、信長は桶狭間でそれをやった、と。

家康には信長にも信玄にも勝るものはないが、家臣たちがいる。……と家臣に言われる家康。情けないが、それが家康の強みだ。
そんな家臣たちに支えられて、家康は戦に赴く。

それにしても、信長といい、信玄といい、同じ時代にどうしてこうも恐ろしき者たちが登場したのか、と毎回思ってしまう。
時代が呼んだのか、それとも彼らが時代を作ったのか。だが、強いだけでは生き残れない。それが戦国時代のようだ。

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–{第17話ストーリー&レビュー}–

第17話ストーリー&レビュー

第17話のストーリー

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信玄(阿部寛)は徳川の拠点を次々に制圧。打つ手のない家康(松本潤)は、信長(岡田准一)の本軍が加勢にくるまで浜松城に籠城すると決める。だが、浜松に攻め寄せてきた武田本軍は、なんと浜松城を素通りし、西へ向かおうとする。このまま武田軍を通せば、遠江の民から見限られ、信長の逆鱗に触れる。何より、瀬名(有村架純)ら家族のいる岡崎城が危ない。打って出るべきか、籠城を続けるかーー。家康は究極の選択を迫られる。

第17話のレビュー

家康、絶体絶命の大ピンチな戦がやってきた。

とうとう武田信玄(阿部寛)を怒らせてしまった徳川家康(松本潤)。
武田軍はあっという間に進軍していき徳川方の城を落としていく。家康としては頼みの綱は織田信長だ(岡田准一)。

しかし、信長から届いたのは浜松で武田を食い止めよ、との言葉だった。
信長も浅井・朝倉軍との戦いの真っ最中なのだ。家康に貸せるものはない。
しかし、このまま大人しく武田信玄の餌食になるわけにはいかなかった。
信長に対して、家康は「いつものところで鷹狩りをしよう」と言づける。あんなに信長に会いたくない、会いたくないと言っていた家康が……。

そして、姿を現した信長は「俺を呼びだす奴は珍しい」。
そんな信長を見て、「呼べばお出でになるのですね」と家康。
確かに呼んでも来なさそうな武将ランキングで1、2を争いそうだ。

家康は武田との戦いについて「策は桶狭間、餌は家康」と伝えると信長も同じ考えだという。家康は5,000の兵を、と求めるが信長は3,000、と言う。
「徳川と織田は一蓮托生ということをお忘れなく!」と家康も必死だ。そんな家康を見て信長は笑う。

「死にそうな顔をしている大将には誰もついてこんぞ」

家康の前にひざまずき、手を取る。
その手を自分の肩に乗せさせて、信長は家康の首に手をかける。

「俺とお前は一心同体。ずっとそう思っておる」「俺は必ず行く」

きっぱりと言い切る信長。
また家康が耳を噛まれてしまうのではないかとドキリとしてしまうけれど、今回は違う。目線を合わせて信じろ、と言う。ずるいなあ、ずるい、信長。そんなことを言われたら家康がこれ以上反論できるわけがないのだ。

少しばかり勇ましくなったように見えたけれど、信長の前ではやはり白兎のように見えてしまう家康。
ただ、今は怯えているのではなく、また違う感情が覗いているようにも見える。
なんというか、他人が分からないような、複雑な思いを信長に抱いているんだろうな、と想像してしまう。

家康は信長と会ったあと、瀬名(有村架純)のもとを訪れる。
「一目会っておきたかった」という言葉に家康の覚悟が見える。
ひとときの夫婦水入らずの時間。
「誰だって人殺しなどしたくないはずなのに」という瀬名に「この乱世、弱さは害悪じゃ」と答える家康。それは、家康が信玄に言われたことだ。
家康は「これはわしの弱い心じゃ。ここに置いていく」と木彫りのうさぎを瀬名に託す。
弱虫の家康は少しずつ大人になっている。民や家臣を守るために肚をくくれるほどに。
でも、強くなろうとする家康は危うく、見ている側にも不安をもたらす。
瀬名はその背中に向かって「いつか取りに来てくださいませ。殿の弱くて優しい心を」と語り掛けるが……。

家康の策は、浜松城に籠城し、織田軍が来るまで耐える。
織田軍が来たところで、籠城戦で疲弊した武田を叩く……というものだ。
が、家康の目論見は外れ、武田はあろうことか、浜松城を通り過ぎていった。
このままでは武田軍は岡崎へと向かう。瀬名たちが危険にさらされることになるのだ。
そして武田に無視された家康に遠江の民たちは従わないだろう。

家康は決断する。地の利は自分にある。いま後ろから追い落とせば勝てるかもしれない。
が、武田が小童・家康の考えを見抜けぬはずもない。家康らが向かった先には武田軍が待ち構えていた。

初登場時から異様な風格を醸し出していた武田信玄だが、ここに来て無敵感がすごい。
力、頭脳、カリスマ性。どれをとっても只者ではないのに、それでも無敵ではないから、分からないものである。

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–{第18話ストーリー&レビュー}–

第18話ストーリー&レビュー

第18話のストーリー

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金荼美具足の遺体が信玄(阿部寛)のもとに届けられると、家康(松本潤)討ち死にの知らせは全国に広まった。瀬名(有村架純)は動転しつつも、籠城戦への備えを家中に伝え、信長(岡田准一)は武田との決戦を覚悟する。勝頼(眞栄田郷敦)たちは浜松城に攻め込むが、酒井忠次(大森南朋)の機転で徳川軍は難を逃れた。浜松を後にして西に兵を進めた信玄だが、体の異変に襲われていた。そんな中、徳川家臣団の前にある男が現れる。

第18話のレビュー

家康が死んだ? いやいや、家康はここでは死なない。

ならば、どのようにして生き残ったのか。
時はしばし戻る。

武田軍の待ち伏せに遭い、散り散りになった徳川軍。不意を突かれただけでもピンチなのに、相手はあの武田軍。

家康を始め、それぞれが絶体絶命の危機に陥っていた。
家康(松本潤)は、本多忠勝(山田裕貴)、榊原康政(杉野遥亮)らと共に武田軍の追撃から逃げていた。どう見ても、家康が討ち取られるのは時間の問題。
そこに現れたのは夏目広次(甲本雅裕)。
助太刀かと思いきや、家康に具足を脱がすように命じる。そして自身も具足を脱ぎ始めた。その場にいた全ての者が、夏目が何をしようとしているのか察した。家康もだ。激しく抵抗する。

「やめろ、夏目吉信!」と叫ぶ。夏目の名は広次だ。
家康はなかなか夏目の名前が覚えられずにいたが、それには理由があった。

実は家康が小さいころによく遊んでくれていた家臣、それが夏目だった。しかし、夏目はとんでもない失態を犯す。若き家康を織田に奪われたのだ。切腹を望んだが許されず、「吉信」から「広次」に名を変えて仕え続けていた。家康の中には当時の名前が残っており、今の名前がしっくりこなかったのだろう。

夏目は家康のために命をかけられる場所を探していたのかもしれない。激しく抵抗する家康に向って、夏目は昔のように語り掛ける。

「殿は、きっと大丈夫」

 

武田軍が取った首は家康ではなく、夏目だった。

家康が浜松城に戻ったとて、武田が優勢であることは変わらない。苦肉の策として石川数正(松重豊)と酒井忠次(大森南朋)が「空城の計」を実行する。これが若き武将・勝頼(真栄田郷敦)には不気味に感じられたようで、兵を引き返す。
兵法だと知った勝頼はただちに浜松城を落とすというが、それを止めたのは武田信玄(阿部寛)だった。
時が惜しい。倒すべきは信長。武田軍は西へと向かう。

 

戦国時代、いつ死ぬか、どのように死ぬか分からない。
が、自ら選ぶこともできる。
夏目、そして本多忠勝の叔父・本多忠真(波岡一喜)は自分の死に方と死に場所を選んだ。忠真は酒を飲みながら、ここからは一歩も通さぬと戦い抜いた。

忠勝は、忠真と共に戦おうとしたし、夏目が果たそうとした役割を自分が引き受けようとした。
しかし、忠真も夏目も忠勝が死ぬのはここではない、と言った。
家康と共にこの先、未来を生きろ、と。家康は「自分は生かされた」と言った。忠勝も同じなのかもしれない。若者たちはこの先を作る。そのために大人たちは何を教えたのか。若者は何を学んだのか。その答えはまだ先にある。

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–{第19話ストーリー&レビュー}–

第19話ストーリー&レビュー

第19話のストーリー

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武田軍は撤退し、信玄(阿部寛)は勝頼(眞栄田郷敦)にすべてを託す。信長(岡田准一)は武田に寝返った将軍・足利義昭(古田新太)を京から追放。一方、家康(松本潤)は信玄との激戦で大きな犠牲を払ったショックから、立ち直れないでいた。そんな中、美しい侍女のお万(松井玲奈)に介抱され、つい心を許してしまう。そのことを知った瀬名(有村架純)は浜松を訪ねるが…。

第19話のレビュー

武田信玄(阿部寛)が死んだ。
息子・勝頼(眞栄田郷敦)は残された思いを成し遂げるというが、信玄は首を横に振る。

「そなたの世を作れ。そなたの器量は儂を遥かにしのぐ」
「そなたは儂の全てを注ぎ込んだ至高の逸材じゃ」

信玄にこう言わせる勝頼、すごい。と視聴者に自然に思わせる信玄もすごい。武田家おそるべし。

信玄は、「3年の間、我が死を秘するべし」と言い残すがなかなか難しい。
それぞれが動向を探り合っているわけだし、当然だろう。
ここからまた新たな動きが始まる。

武田の戦いは家康(松本潤)に強い衝撃を残した。
これから、家康は武将としてさらに強くなっていくのか……と神妙な顔でなりゆきを見守っているとサブタイトルに「お手付きしてどうする!」の文字が踊る。

そう、家康、お手付きをする。相手は、侍女のお万(松井玲奈)。
風呂で背中を流してくれくるお万。慎ましく、家康の心を癒すように褒め、持ち上げる。そして色っぽい。
家康も当然、悪い気はしない。
おまけに、武田とのぎりぎりの戦いを終えたばかりだ。癒しが欲しい。

それでも、家康は耐えた。手を出してはならぬ、と。ただ、お万は粘り強かった。たぶん、よく耐えたほうである。

お万は家康の子どもを身ごもる。
その事実を伝えに来た服部半蔵(山田孝之)は愉快そうだ。
家康としてはこれを良いこととしたい。「まずいことではないよな」というが半蔵は「まずいことではないということではないでしょう」と笑いをこらえながら言う。
子が生まれるのはめでたい。しかし、正室である瀬名(有村架純)の与り知らぬところでのこととなると……。

時を同じくして、瀬名が浜松城に来ることになる。
喜ぶ家康だが、頭を過ったのはお万のこと。
歯切れの悪さに石川数正(松重豊)と浅井忠次(大森南朋)はすぐに気がつく。
家康はごまかすが、「言うなら今ですぞ」と数正、「楽になりなされ」と忠次。
そして真実を伝えたところで笑って済まされるはずがない。瀬名にも「仔細もれなく申し上げます!」

あっという間に城内にも広まる。
ポップに描かれているが、なかなかの大問題である。

そして、やってきた瀬名は激怒。
が、その怒りは思いかけず、お万によって抑えられる。
周りの者から迂闊だと言われてかわいがられているが、本当は頭の良い女性だ。
家康の心を掴み、子を成し、戦で燃えてなくなってしまった実家を立て直したい。
家康は利用されただけなのだ。

お万は言う。
男は戦で欲しいものを手に入れる。女は癒し、安らぎを与えることで、手に入れる。政も女がやればいいのに、と。この言葉が瀬名にはどのように響いたのか。
そして次回、不穏さしか感じない。

一方で、歴史は大きく動いている。織田信長(岡田准一)は信玄と通じていた足利義昭(古田新太)を追放。足利の世が終わった。

そして、浅井が滅んだ。お市(北川景子)は生きていたが、秀吉(ムロツヨシ)に敵意むき出しの視線を向ける。
お市に触れようとする秀吉の手を払いのけるお市。
そしてその手は幼い娘の茶々に伸び、抱き上げる。一瞬のシーンなのに、なんかこう……ゾワッとする。

歴史の流れで考えると、秀吉の出番は増えてくるのだろうが……どんな薄気味悪さをこれから見せていくのか、気になる。

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–{第20話ストーリー&レビュー}–

第20話ストーリー&レビュー

第20話のストーリー

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信玄亡き後も武田軍の強さは変わらず、勝頼(眞栄田郷敦)は徳川領に攻めこんだ。総大将の信康(細田佳央太)は数正(松重豊)らと応戦するが、苦戦を強いられ、瀬名(有村架純)や亀(當真あみ)も、負傷兵の手当てに走り回る。病で浜松から動けない家康(松本潤)は、忠勝(山田裕貴)らを援軍として送る。そんな慌ただしい状況の裏で、岡崎城ではある陰謀が仕組まれていた…。

第20話のレビュー

あああそうくるのか~~!! と思わずうなってしまった。

「どうする家康」スタート時から気になっていた、瀬名(有村架純)の運命。
そう、彼女は家康(松本潤)が天下を取る姿を見ていない。
史実では悲劇が彼女を襲うのだが、夫婦仲がすこぶる良いため、もしやif路線があるのでは? と思ってしまっていた(大河ドラマでまずありえないが)。

どうやら、物語はおおよそ史実に沿って進んでいくようである。

武田勝頼(眞栄田郷敦)が本格的に徳川を攻め始める。
とうとう瀬名や信康(細田佳央太)がいる岡崎城へと進軍。
家康も向かおうとするが、病に倒れ身動きがとれない。おぉぅ……こんなときに……いや倒れなくてもいくべきではないかもしれないけれど……。
代わりに忠勝(山田裕貴)らが向かう。

しかし、実は岡崎城では大岡弥四郎(毎熊克哉)が謀反を企てていた。
信康と瀬名を討ち、武田側につく、という。

この状況をひっくり返したのは瀬名だった。
戦で怪我をした山田八蔵(米本学仁)の手当をした瀬名。八蔵は瀬名の行動に絆されて弥四郎らの行動を密告したのだ。

忠勝らが潜む形で襲ってきた弥四郎たちを捕らえた。忠勝が出てきた瞬間に思わず声が出た。キャー!忠勝ー! 一連の流れが時代劇っぽい! 若手俳優たちの立ち回り、なかなか見られない。
虎松(板垣李光人)の身のこなしも痺れる。テンションが上がるが、もちろんそんなことを言っている場合ではない。

徳川家の内部は上に立つ者たち以上に倦んでいた。
弥四郎は言う。

徳川が織田についている限り、戦いは終わらない、無間地獄。
遅かれ早かれ死ぬなら、ほんの少しでも欲にまみれる夢がみたい。
忠義など、自分たちを死に行かせるために理由でしかない。

弥四郎の本音に信康は涙する。
そして弥四郎を黙らせたのは信康の妻・五徳(久保史緒里)。
ヒヤッとするような目で父である信長に全て報告する、という。さらに、この上なくむごいやり方で処罰しろ、とも。

20話まで来たが、相変わらず家康は強いとは言えない。むしろ瀬名のほうがパワーアップしている。
弥四郎と通じていたと思われる武田側の歩き巫女・千代(古川琴音)を呼び出す。

「家臣に手出しされるくらいならわたくしがお相手しようと思って」
「お友だちになりましょ」

完全にお友だちになりましょ、が宣戦布告なのだが……。

が、武田側の千代と会ったことで、瀬名の悲劇へのレールがしっかりと敷かれてしまったような。
信康と五徳の関係が良くはないのも瀬名の存在が大きいだろう。あっさりと瀬名が浜松城へ移っていれば、こんなことには……。どうして移らなかったのか、それはお万(松井玲奈)が家康の子を身ごもり、お万と瀬名が話したからであって……まわりまわって家康のせいでは。

次回以降の展開を考えると辛い、観たくない……。
でも、瀬名は覚悟を決めているのかもしれない。

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–{第21話ストーリー&レビュー}–

第21話ストーリー&レビュー

第21話のストーリー

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武田に包囲された奥三河の長篠城。城主・奥平信昌(白洲迅)はピンチを伝えるため、鳥居強右衛門(岡崎体育)を岡崎へ送り出す。強右衛門の手紙を受け取った家康(松本潤)は、織田に援護を求めると、信長(岡田准一)は二万を超える軍勢を率いて岡崎へやって来る。そして天下一統に突き進む信長は、参戦の条件として家康に驚くべき条件を提示する。

第21話のレビュー

殊勝な信長ほど怖いものはない。

武田軍に包囲された長篠城を助けるため、援軍を率いてやってきた信長(岡田准一)。
しかし、様子がおかしい。
援軍が遅れたことを家康(松本潤)に詫び、瀬名(有村架純)や亀姫(當真あみ)らにも挨拶をする。
大人しい。
怖い。
警戒する家康に秀吉(ムロツヨシ)が囁く。「信長は怒っている」と。
信長が援軍をよこさないことに怒った家康、「織田とは手を切る」と脅していたのが原因だろう。

さらに、亀姫と長篠城の城主・奥平信昌(白洲迅)の政略結婚が進んでいることが家族にバレ、家康は抗議されることに。

 
信長は長篠城を助ける条件として、徳川に家臣になることを求める。
認めなければ五徳(久保史緒里)を連れて帰ると。つまり長篠は見捨てることになる。

もちろん、家康はこれを突っぱねる。一触即発。
これに危機を感じた亀は奥平に嫁に行く、どうか仲直りしてほしい、と頭を下げる。これに瀬名も続く。家中で話し合う必要がある、しばし時間が欲しい、と。
家康にも「そうですよね?」と同意を求める。

瀬名と亀に免じて、ということだろうか、信長はうなずき「長篠は助ける」と言う。

家康、キレるのはいいけども、そのあとのことを考えているのだろうか。
亀と瀬名が動かなかったら、ここで徳川は終わっていたかもしれないというのに。

 

が、今回の主役は岡崎体育演じる鳥居強右衛門だ。
長篠城を抜け出し、岡崎城に助けを求めるために走った。しかし、援軍が来ると伝えたことで武田軍の手によって磔にされてしまう。

ろくでなし強右衛門と言われていた強右衛門だったが、忠義を尽くした。
武田軍に買収されそうになった強右衛門、彼を思いとどまらせたのは亀姫だったのかもしれない。
奥平に嫁に行く、と言い、強右衛門の手を握った亀姫。
自分が裏切ったと知れば、亀姫は悲しむか、さげすむか……いや亀姫にそんな男だと思われたくない、とも思ったかもしれない。亀姫の行動は家康のみならず、奥平家、そして鳥居強右衛門の名誉を守った。

何より岡崎体育さん見事……しばらくは強右衛門のオリジナルソングが頭から離れなさそうだ。

それにしても亀姫、長篠城にいる男たちはみな毛むくじゃらだと思っているようなので、信昌に会ったらびっくりするかもしれない……。

そして信長。
だんだんと孤独と恐怖を極めていく姿もまた、破滅への序章のように感じられて……。
周りには秀吉や明智のような人間しかいないのだとしたら、信長は信頼する者がいないだろうし、それで良いと思っていそうだ。
(ただ、孤独を増していくにつれてその美しさも際立つので困ったものである……)

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–{第22話ストーリー&レビュー}–

第22話ストーリー&レビュー

第22話のストーリー

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徳川・織田連合軍は長篠城の西・設楽原で武田軍と対じ。だが信長(岡田准一)は馬防柵を作るばかりで動こうとしない。しびれを切らした家康(松本潤)は、わずかな手勢で武田の背後から夜襲をかける危険な賭けに出る。策は功を奏し、勝頼(眞栄田郷敦)は攻めかかってくるが、信長はその瞬間を待っていた。3000丁の鉄砲が火を噴く!

第22話のレビュー

「これはなぶり殺しじゃ」

そうつぶやいたのは信康(細田佳央太)だ。

長篠の戦い。
武田軍と織田・徳川の連合軍の戦いは織田・徳川軍の圧勝に終わった。というより、織田軍の財力の強さだろう。3,000丁の鉄砲で武田軍を圧倒。
当時の鉄砲は弾を込めるであったり、火縄銃であるから、発砲までに時間がかかる。が、数があればそれも問題はない。

信長(岡田准一)は「これがこれからの戦い」だと言う。
鍛錬を繰り返し、己の体を鍛えたものが勝つのではなく、財を持つものが勝つ。
戦など起こらないのが一番だけれど、それでも複雑になるこの気持ちをなんと説明すればよいのか。

倒れていく武田軍を見て秀吉(ムロツヨシ)は楽しげに言う。「おもしれえように死んでいくわ!」
秀吉が天下統一するのだけはどうにか阻止したいと思ってしまう。「最強の兵どもの最期を謹んで見届けよ」と言う信長のほうがまだいい(でも、家康に「本当に信長の家臣にならなくていいのか」と囁いたりするから侮れない)。

そして、家康(松本潤)と信康は圧倒されるばかりだ。

当然、こんな戦いを見せつけられて「家臣になどならない」と突っぱねられる徳川家ではない。それぐらいわかっている。もう織田信長の家来になるしかないのだと。

まず家康と信康に命じられたのは武田勝頼(眞栄田郷敦)の息の根を止めること。

長篠の戦いで圧倒的な強さが見られた織田軍だったが、一方で勝頼の将としての器の大きさ、カリスマ性が証明された。さらに父・信玄(阿部寛)を越えようとする気持ちと若さがある。負けようとも、武田軍は侮りがたし、ということを見せつけた。

武田軍との戦の中で存在感を見せるのは信康だ。先頭に立ち、兵を鼓舞し、敵を倒す。勇ましい武将の姿を見せる。

が、今回の物語の冒頭で映し出されたのは幼いころの信康と亀だ。虫も殺さないような、優しい少年だった。その心の一部を長篠の戦いで壊された。
敵を殺し、血を浴び、その武功を語る姿はこれまでとは全く異なるものだ。

家康と瀬名(有村架純)の子どもらしく、信康も亀(當真あみ)も優しい子だ。そんな心を捻じ曲げてしまう力が戦にはある。悲しいことに。

また辛いのが、信康自身も人を殺すことに麻痺しているわけではない。戦場の夢を見て、うなされる。

瀬名が見たのは、庭で蟻を見つめ、涙をこぼしている信康。

武功を得意げに語る信康の姿を見て、瀬名は不安を膨らませていた。
そんな瀬名の様子に気がつき、家康も声をかけるが、瀬名が何を心配しているのか、根っこの部分に家康は気がついていない。

瀬名は何を一番大事にしているのか。
それが今後の彼女の行動の動機になってきそうだ。

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–{第23話ストーリー&レビュー}–

第23話ストーリー&レビュー

第23話のストーリー

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瀬名(有村架純)が武田の使者・千代(古川琴音)と密会していると知った五徳(久保史緒里)は信長(岡田准一)に密告。すると信長は、水野信元(寺島進)が武田と内通していると言いがかりをつけ、家康(松本潤)に処分を迫る。苦渋の末、水野を手にかけた家康は、侍女・於愛(広瀬アリス)に癒やしを求めるように。一方、設楽原の戦い以来、心のバランスを失っていた信康(細田佳央太)に、瀬名は秘めてきた大きな夢を打ち明ける。

第23話のレビュー

父親としても、夫としても、主としてもしっかりしてほしい、家康。

武田の使者である千代(古川琴音)と密会を重ねる瀬名(有村架純)。秘密裡にではあったが、五徳(久保史緒里)は気づいていた。
涙をあふれさせながら、父・信長(岡田准一)に文を送る。

信長のことだから、すぐに手を下すのかと思ったが、まず標的となったのは水野(寺島進)。武田と通じたことを問い、岡崎にて家康(松本潤)が手を下すよう命じた。

水野としてはいわれもないこと。
なぜ自分だけ、と首をひねった結果、「見せしめだ」という。家康、もしくは家康の周りで武田に通じている者がいるはずだ、と。

水野のその見立ては正しい。
意外にも、信長は家康に猶予を与えたのだ。しっかりしろ、企んでいる者がいるぞ、と。

また、五徳も瀬名に忠告する。
「我らも気をつけねばなりませぬな。疑われることのないように」

五徳は信長に逆らうことはできない。信長の恐ろしさを知っているから。
だからこそ、水野の一件は信長の恩情だと気がついているだろう。
幼いころに信康(細田佳央太)のもとに嫁いできた五徳からしてみれば、瀬名は母も同然のはず。
子どものころはケンカばかりだったが、五徳は信康を愛している。子も生まれた。信康と共に子を育てていきたいという思いもあるのではないか。

そんな矢先、信康が鷹狩りで通りすがりの僧を切り捨てるという出来事が起きる。僧に落ち度はない。
忠義心の厚い七之助(岡部大)が諫めても聞き入れない。逆らうなら斬る、とまで言う。

そこで前に出たのは瀬名。「五徳と姫が怖がっている」と言うと、信康は何か糸が切れたように、尻餅をつく。

そのあと、ひとり、床に横たわる信康のもとを訪れる瀬名。瀬名に向かって信康はつぶやく。

「私はわたくしでなくなりました」
「いつまで戦えばよいのですか」
「いつまで人を殺せば…」

このままでは息子が壊れてしまう、と瀬名は思ったのだろう。自身の謀をついに信康に向かって口にする。

そして本格的に動き出す。築山には千代が唐人を装った穴山信君(田辺誠一)を伴って訪れる。瀬名による企みが動き出した。

一方、家康。
石川数正(松重豊)から、瀬名が築山の侍女や門番を総入れ替えしたと聞く。
数正は水野の話を持ち出し、瀬名に対する不安を伝えるが、家康は耳を貸さない。

「草花が好きなたおやかな妻じゃ」と言うだけ。

信長は猶予を与えた。しかし、家康は何もしなかった。

戦乱の時代。
妻と子をさらに追い詰めている張本人は、信じるだけで何もしない、夫ではないのだろうか。

 そんな中、癒しの存在とも言える於愛(広瀬アリス)が登場。
初登場で、気づかなかったとは言え、家康のお尻をひっぱたき、得意だと言った笛では音を外し、初めて会った瀬名とは源氏物語で意気投合、つい我を忘れて盛り上がってしまう。

そんな彼女が家康の側室になるわけだが、どんな妻になるのかも今後気になるところだ。

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–{第24話ストーリー&レビュー}–

第24話ストーリー&レビュー

第24話のストーリー

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瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)が各地に密書を送り、武田方をはじめ多くの者が築山を訪ねていることを知った家康(松本潤)。これが信長(岡田准一)に伝われば、命より大事な妻子を失うことになる。苦悶の末、家康は数正(松重豊)らと共に築山へと踏み込む。だが瀬名は、家康が来るのを待ち構えていた。瀬名は、内々に進めていた途方もない計画を明かし…。

第24話のレビュー

なるほど、そう来たか! と思ってしまった。

瀬名(有村架純)が信康(細田佳央太)と企んだ計画。それは戦のない世界を作ることだった。

力で奪い合うのではなく、米が足りなければ、米をもらう。塩があれば塩を、金山であれば金を。代わりに、相手が困っているときには自分たちが持っているものを渡す。
奪い合うのではなく与え合う。そうすれば争いは起きない。

話を聞いた石川数正(松重豊)らは納得しない。五徳(久保史緒里)も父・信長(岡田准一)も許さないであろう、と言う。確かに理想論にしか過ぎない。

しかし、瀬名は久松長家(リリー・フランキー)と於大の方(松嶋菜々子)、今川氏真(溝端淳平)と糸(志田未来)を味方につけていた。そして知恵も借りていた。

物々交換での繋がりは弱い。ならば、それらの国々が同じ通貨を使い、商売を自在にし、人と物の往来を盛んにする。そうすれば、東国に巨大な国ができる。それができれば、信長も手は出せまい、という考えだ。

またこの考えには武田側の千代(古川琴音)と穴山信君(田辺誠一)も賛同していた。
疑心暗鬼だった家康(松本潤)らも、瀬名の計画に心を動かされる。そもそも、家康は戦が好きではないのだ。戦をせずに済む方法があるのならば、賭けてみる価値はある。

まずは武田と密約を交わし、力を蓄えるまで信長を欺くことを決める。五徳もまた、信康と共にいると言い、計画について信長に話すことはなかった。

しばしの平穏。そして徳川家に訪れる家族団らんのとき。しかし、これは嵐の前の静けさでしかない。

やがて、武田勝頼(眞栄田郷敦)は千代たちに言う。

「おなごのままごとの如きはかりごとには乗れん」

そして、「築山の謀略、世にぶちまけよ」と命じる。
穴山信君は「人心が離れる」と反対するが、勝頼が聞き入れることはなかった。彼は、力ある者が全てだという教えを受けてきている。
 
今、信長に知られてしまっては元も子もない。間違いなく、攻めてくるだろう。

しかし、瀬名は言っていた。全ての責任は自分が負う、と。いざとなったら、自分の命を代償として差し出すつもりがもともとあったのかもしれない。

勝頼は「ままごと如きはかりごと」と言ったが、戦をしたくない者たちは瀬名の計画に夢を見た。が、一方で力が全てだと考える者がいるのだ。

今回の大河において、仲睦まじい家康と瀬名にどのようにして悲劇が起こるのか、と首をひねっていた。信康を守るために、武田と通ずるのか、と思ったが戦をしたくないと思っている信康を守るために武田と通じたとて、未来がないのは想像がつく。おなごだからできること、大切な者のために命をかけること。過去に言われた言葉が瀬名に決断をさせた。
でも、もしかすると家康にとっては、裏切られるよりも辛い結果になる可能性がある。
 

まだまだ先のことになるが、家康はやがて貨幣を統一し、街道の整備を行う。
もし、瀬名のこの考えがのちの家康を導くことになったのだとしたら、瀬名が今に続く歴史の礎を築いたと言っても過言ではないかもしれない。

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–{第23話ストーリー&レビュー}–

第25話ストーリー&レビュー

第25話のストーリー

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 武田勝頼(眞栄田郷敦)の手で暴かれた、瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)の計画。それはやがて信長(岡田准一)の知るところとなる。2人の始末をつけなければ織田と戦になる。それでも家康(松本潤)は信長の目をあざむき、妻子を逃がそうと決意する。一方、瀬名は五徳(久保史緒里)に、姑は悪女だと訴える手紙を信長に宛てて書かせ、全ての責任を負おうとする。岡崎城を出た信康もまた、逃げ延びることを良しとせず――。

第25話のレビュー

本当は、家康は何も分かっていなかったのではないか。

築山の謀が織田信長(岡田准一)にバレた。武田勝頼(眞栄田郷敦)が流布した形だ。

家康(松本潤)を呼びつけた信長は「家康の家中のことなのだから自分は何も言わない」と告げる。
疑わしきは斬る、ぐらいになりそうだが、「どうすべきか分かっているんだろうな」ということなのか、「お前がやることなら見逃してやる」なのか。

もちろん、家康は瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)を失いたくない。
表向きには責めを負ってもらうが、身代わりを用意し、ふたりを逃がす算段をつける。

慣れ親しんだ場所から旅立つふたりの表情はとても穏やかだ。

家康は、段取りを整えればふたりを逃がせるはずだ、と思っていた。が、ふたりは逃げなかった。
信康は「母が無事に逃げたのなら、自分も逃げる」と頑なに動かない。

そしてその母、瀬名は……。

 
途方もない夢を口にした時点で、瀬名は自分が責任を取る、とも言っていた。
最初は信康を助けたかっただけなのでは、と思っていたが、信康もまた、瀬名と共に死ぬことを選んだ。
結局、瀬名が第一に考えていたのは国のことだったのか。また信康のような思いをする者が生まれないように、ということか。

ならば、どうすれば瀬名を助けられたのか。

家康は、瀬名の案にのるべきではなかった。

瀬名が目指す「慈愛の国」は理想だ。そうなればみんなきっと幸せだ。
だが、今ではない。
戦国の世に企むことではない。なのに、それに乗ってしまったのは、家康も戦をしたくなかったから、なのか。

そして、家康はもっと瀬名について考えるべきだった。自分の代わりに誰かが死に、生きながらえることをよしとするのか。そんな生半可な覚悟で途方もない企てをする女性だったのか。

家康の説得もむなしく、瀬名は自害した。

自分が全て背負って死ぬ。家康には国を守れと言い残して。
瀬名の本当の夢は誰も知らない場所で、家族でひっそりと暮らすことだったのに。

 一度は別れたものの、やはり死ぬのはダメだと引き返そうとする家康。それを平八郎(山田裕貴)と小平太(杉野遥亮)が止める。
瀬名が見たのは自分が死ぬのを止めようと必死の形相の夫の姿だった。

瀬名にとどめをさしたのは、女大鼠(松本まりか)。そのあと、平伏した。それは瀬名の覚悟に対する気持ちか……。

 一方、信康は七之助(岡部大)から刀を奪い、腹を切った。
逃げろという家臣たちに頷く。が、立ち上がる際に七之助に手を貸してくれ、と言い、隙を見てのことだった。泣き叫ぶ七之助。
しかし、これ以上は苦しむだけ……。服部半蔵(山田孝之)が介錯をした。

瀬名も信康も、「国のため」と言った。
しかし、家康は「国などどうでもいい」と言った。
瀬名たちが生きていればそれでいい、と。だから、瀬名と信康は死んだのではないか?

五徳(久保史緒里)は、家康の作戦のために書きたくもない姑の悪事を書き連ねた手紙を書いた。
家康は何をしたのか。泣いていただけではないのか。

瀬名は言った。
「相変わらず、弱虫泣き虫鼻たれの殿じゃ」

信長を恨むことも、勝頼を恨むことも、家康がすべきことではない。
弱虫泣き虫鼻たれの殿のままであってもいい。家康はもっと本気で国を想わなければならない。それが家族を守ることにつながる。

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–{第26話ストーリー&レビュー}–

第26話ストーリー&レビュー

第26話のストーリー

信長(岡田准一)を恨む様子もなく従順に付き従う家康(松本潤)を理解できず、忠勝(山田裕貴)ら家臣の一部は不満を持っていた。そんな中、家康は安土へ戻る道中に信長を接待したいと申し出る。家臣団に於愛(広瀬アリス)や茶屋四郎次郎(中村勘九郎)も加わって富士遊覧の饗応が始まるが、気まぐれな信長に振り回され、計画は思うように進まず…。

第26話のレビュー
「あれは変わった」と信長に言わせた家康。
大切なものを喪わないと、家康は変われなかったのか……。

瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)が亡くなってから3年が経ち、織田軍と徳川軍はついに武田軍を滅ぼした。信長(岡田准一)の勝利を祝ってもてなしたい、と家康(松本潤)が言い出す。

しかし、信長の言いなりである家康に対して、平八郎(山田裕貴)を筆頭に不満が募っていく。
「あんな殿は見たくない」「ふたり(瀬名と信康)が報われない」
誰も家康の真意が分からない。

家康のもてなしも、信長の気まぐれによってなかなか予定通りにはいかない。
それもまた家臣たちのストレスのもとに。

また、信長と家康の会話も楽しいものではない。
家康の旗印を貶し、駿河の国主に今川氏真(溝端淳平)を、という家康を一笑に付す。
さらに伊賀者をせん滅させるよう明智光秀(酒向芳)からは命じられる。
最悪の空気の中、左衛門尉(大森南朋)が「えびすくい」を踊ろうとするが、それを制し、家康自ら舞う。

家康の一瞬の無表情が胸を打つ。
それから張り付く笑顔。本当に、これまでの家康とは別人のようである。
そして「えびすくい」がキレキレである……。

が、ついに家臣たちも家康に迫る。このままではついていけない。何を考えているのか、と。
今回、ずっと死んだような目をしていた家康の表情が、やっとまともに動いた。

「信長を殺す」「天下をとる」

気負うわけでもなく、ごく自然に決意を口にした家康。
天下を取らなければ、平穏は訪れないのだ。

着々と信長が天下統一の地固めを行う中で、家臣たちの心中もさまざまだ。
秀吉(ムロツヨシ)が注視しているのは家康。その動向を気にしているし、警戒している。
できれば取り込みたい、利用したいと思っているのだろう。食えない男である。

光秀は信長のそばに仕えているが、その行動は目に余るようにも見える。
家康だけではなく、秀吉も天下を狙っているだろうが、光秀はいかに。

ラストには本能寺の変へのカウントダウンが表示された。
本能寺の変に家康が絡んでいた、という見方もできるが、今回の光秀と家康が手を組むようには見えづらい。秀吉と家康のほうがありえそうだ。

どちらにしろ、信長の最期はもう間もなく。
ここまでの流れを見ていると、信長が家康に恨まれるのは少々、同情したくもなる。
心の内を気づく者がいなかった信長の不幸なのか、悟らせなかった信長の天下人としての孤独なのか。
それでも、信長はわりと家康をかわいがってると思うのだが……個人的に瀬名の件は「うまいことやれよ」と信長は考えていた説を推したい。

余談だが、物語の本筋とは異なるところで気になったのは万千代(板垣李光人)だ。
信長のおもてなし準備中、女の子たちに囲まれ、薪を割る万千代。
於愛(広瀬アリス)に注意されると「私がおなごを好きなのではなく、おなごがみな私を好きなのです」とサラリと言う。そして「私は見た目は華奢だが力はあるのさ。九郎義経と同じだな」
大河ドラマで、万千代と義経を菅田将暉が演じていたことを思い出さずにはいられない。

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–{第27話ストーリー&レビュー}–

第27話ストーリー&レビュー

第27話のストーリー

京の本能寺で信長(岡田准一)を討つ計画を家臣たちに明かした家康(松本潤)。なみなみならぬ家康の決意に、家臣たちの意見は賛成と反対で真っ二つに割れるが、忠次(大森南朋)は、家康の決断を信じようと家臣団を諭す。やがて家康たちは信長に招かれ、安土城へ。だが酒宴の席で、家康は供された鯉が臭うと言いだした。信長は激高し、接待役の明智(酒向芳)を打ちのめし、追放する。その夜、信長と家康は2人きりで対じし――

第27話のレビュー

最期のときが迫っている。

 

織田信長(岡田准一)を討つ決意をした家康(松本潤)。計画を伝えたときの平八郎(山田裕貴)の目の輝き。家康に失望したり、期待したり、失望したり。それでも家康に希望を抱いている人なのだろう。

家臣団の反応はさまざまだ。
賛成派もいれば反対派もいる。が、酒井忠次(大森南朋)により、「殿を守る」で一致する。

信長を討つ計画は万全。妻と息子を亡くしてからの3年でいかに家康が変わったのかが分かる。

計画のうちに含まれるのが、信長に招かれた安土城でのふるまいだ。信長を討ったあとに、自分が討たれてはかなわない。信長が重用している武将たちは揃って各地に散らばっていた。残っているのは明智光秀(酒向芳)のみ。その明智を遠ざけるための計画。
出された料理……鯉が匂う、と言う。明智の準備に不備があったとするのだ。
無理をして食べようとする家康に、信長はやめておけ、と制する。

この日のために準備を重ねてきた光秀は心外そうだ。
そんなはずはない、家康が高貴な料理に馴染みがないからだろう、という。
怒りをあらわにする信長に、光秀は信長が言ったとおりに、と口走る。
光秀は、家康の料理に毒を盛ることができると信長に提案していた。酒宴にも関わらず、緊張感があったのは、家康も家臣団もそれを警戒していたからだろう。万千代(板垣李光人)だけもりもり食べていてかわいい。ずっとそのままでいてほしい……。

信長は光秀の提案を退けたのだろう。なんとなく、そういう姑息な真似はしない、見せないイメージだ。
どちらかというと、「鯉が匂う」ことより光秀の言動そのものがとても無礼である。家康にも、そして信長にも。

見事、明智を遠ざけることに成功する。

 

そしてその日の夜。信長は家康ひとりを呼び出す。

信長は、家康が自分を討とうとしていることを察していた。
家康の妻子を奪ったことに触れ、謝ってほしいか、と問う。しかし、信長は「謝らんぞ、くだらん」と言い放つ。ここまで、自分自身を抑え込んでいた家康だったが、これには怒り、感情をあらわにする。

信長は「だからお前に俺の代わりは無理なんじゃ」と言い放つ。

人を殺すということは、その痛み、苦しみも、恨みを全て受け止めるということ。10殺せば10の痛み、万殺せば万の痛み。

「俺は誰かに殺される。誰よりも無残に」

家康にできるのはせいぜい信長を支えることぐらい。
恨んでも憎んでもいい。俺をそばで支えろ。

なんという、熱烈なラブコール。

しかし、家康も受け入れるはずがない。
そんな家康に信長はわずかな手勢で本能寺に入る。覚悟があるなら自分を討て、と言う。
「待っててやるさ」と。

家康が去ったあと、立ち上がる信長の後ろ姿。力なく見える姿が辛い。ここまで、信長は圧倒的な強さとカリスマ性を見せていた。
が、今回どこか老いを感じる姿はもの悲しさがある。だからこそ、信長は家康にそばにいてほしかったのかも。

周りを信じろと教えられた家康と、誰も信じるなと教えられた信長。
ふたりの運命をかつての教えが分かつのか。

信長は予告通り、わずかな手勢で本能寺に入る。
その知らせを聞いた家康は、本能寺にて信長を討つことを決意する。

……が、知っての通り、信長を討つのは明智光秀だ。
「来たな、白兎」と思ったら明智光秀なのはさすがに信長がかわいそうなのだが。
しかし、望む死に方ができないのも、信長が背負わなければならない業なのか……。

無敵に感じられた信長。その姿をしっかりと見届けたい。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第28話ストーリー&レビュー}–

第28話ストーリー&レビュー

第28話のストーリー

信長(岡田准一)が本能寺へ入ったという知らせを受け、家康(松本潤)は堺へ向かう。堺の商人たちと手を結び、家康は信長を討った後の体制も盤石に整えていた。だが、そこにお市(北川景子)が現れる。市から、あることを聞かされ、家康は戸惑う。信長を討つなら今夜しかない。家康は、一世一代の決断を迫られる。そして迎えた夜明け、本能寺は何者かの襲撃を受け、炎に包まれ……。

第28話のレビュー

ただただ、信長の想いがあふれる回だった。

本能寺の変をたっぷりと描いた第28話。

家康(松本潤)は信長(岡田准一)を本能寺で討つと決めていた。が、揺らぐ。それは市(北川景子)との再会があったからだった。

久しぶりの再会に嬉しそうにしている市。最後に会ったときから、ふたりをとりまく状況はガラッと変わってしまった。

兄・信長によって夫を討たれた市は兄を恨んでいる、と言った。しかし、信長は市を大切に思っていただろうし、市も兄のことをよく理解していた。

家康に向かって「あなたはなにがあっても安泰」だと言う市。それは家康が信長の唯一の友だから、と。信長が一番楽しかったのは、家を飛び出し、家康たちと相撲を取って遊んでいたころだった、とも(いや、あれ遊んでたレベルじゃないだろ、という話は置いといて……)。

そして、家康は信長にとって、「殺されてもいい」と思えるたったひとりの相手だった、と市は語る。

要所で挟みこまれた回想で描かれたのは信長の孤独。

織田信秀(藤岡弘、)から「誰も信じるな、信じられるのは己だけ」と言われていた信長だったが、信秀はこうも言う。

「どうしても堪え難ければ、心を許すのは一人だけにしておけ」
「こいつになら、殺されても悔いはないと思う友を、一人だけ」

そして信長はたったひとりを選んだ。家康を
……どんなラブストーリーだ、まったく!

信長は本能寺で家康を待っていた。
そしてその時はやってくる。

寝込みを襲われた信長。反撃するが、深手を負う。
自分を刺した男の覆面を剥がすと、その顔は家康だったが……これは信長の夢か、幻か。

敵襲と聞き、信長はうわごとのように家康の名を呼びながら、敵を返り討ちにしていく。重症を負っているにも関わらず敵兵を槍で3人一気に串刺しにする信長。最初に傷を負っていなかったら……と思わずにはいられない強さ。

自分の血と、返り血で白の小袖が真っ赤に染まっていく。炎の中、家康を求めて歩く姿のもの悲しさよ。

そしてついに家康と対面……が、そこにいたのは光秀(酒向芳)。

光秀を見た瞬間に「なんだ、お前か」とつぶやいた信長。
さらに自分の代わりを務める覚悟があるのか、と怒鳴り、光秀をキンカン頭呼ばわり。これまでの戦国モノで、光秀ってこんな扱いだったっけ……と思ってしまう。

光秀に向かって怒鳴ったあと、信長の生気がフッと消えた気がした。そのまま、炎の中へと消えていく。

最期に家康と一戦交えようと思っていたのだろう。伝えたいことも何かあったかもしれない。それなのに……光秀め! と唇を噛み締めてしまった。

あまりにも家康へのビッグラブを目にしていたせいか、どうにも信長を憎めない。
それに、妹の市をそんな家康のところに嫁がせようとしていたっていうことは、市のこともきっと大事に思っていたのだ。
孤独であれ、と言われていた信長は、もしかすると誰よりも仲間と愛を求めていたのかもしれない。

さて、ここからは秀吉(ムロツヨシ)の存在感がより増していくだろう。
信長が討たれたと聞いて、泣き声をあげるが全く涙が出ていない辺りに秀吉の恐ろしさを感じる。まあ、信長を討ったのが光秀だと聞いて素で驚いていたが。家康も驚いていたし、どれだけダークホースだったんだ、光秀よ。

織田信長役として岡田准一が発表されたとき、「もしかして今回の本能寺、信長が勝つのでは?」と思ったものだ。さすがにそれは叶わなかったが、最期まで圧倒的な「強さ」を見せつけた。
そして、やはり岡田が登場するアクションシーンは最高だった。画面越しにも伝わる緊張感と覇気。それでいて、終盤にかけての衰えが見え隠れする表情には切なさが掻き立てられた。
恐ろしい信長。しかし、岡田が演じる信長はもう少し見ていたかった。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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