2023年1月16日からドラマ「THE LAST OF US」がU-NEXT(本国ではHBO Max)で配信がスタートした。
原作は同名のゲーム。その実写化となる本作の魅力を一言で表すなら「胸をえぐられるほどの人間ドラマ」だ。
ゲームをプレイしたことがある人も、そうでない人もこのドラマをぜひ見てほしい。
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ゲーム「THE LAST OF US」の魅力
■ゲーム「THE LAST OF US」とは
「THE LAST OF US」は2013年に発売されたPlayStation 3向けに発売されたサバイバル・アクションゲーム。銃やナイフなどの武器を使って人間やクリッカー(寄生菌に感染した自我を失った人間)を倒す時などの暴力表現や未成年には刺激が強すぎる表現もストーリー上にあるため、プレイできる年齢を18歳以上を対象としている。
全世界のゲームレビューサイトでは軒並み10点満点中10点で評価され、その年の一番面白いゲームを選ぶゲーム・オブ・ザ・イヤーにおいては、全世界における200を超えるメディアで「THE LAST OF US」が選ばれている。
また過激な表現が用いられた18禁のゲームながら、世界的に大ヒットを記録している。後にPlayStation 4ではリマスター版、PlayStation 5ではフルリメイク版が発売されるなど、次世代機の登場と共に語り継がれるゲームとなっている。
なお、発売から5年たった2018年6月までにリマスター版を含めて全世界で1,700万本を売り上げている。
■「THE LAST OF US」のあらすじ
アメリカのとある街で突如として、謎の寄生菌によって人を凶暴化してしまう感染症が発生。パンデミックによる感染拡大により、全世界の文明は崩壊した。パンデミックから20年が経ってもなお、寄生菌の明確な治療法は見つからず、人類は崩壊した社会で軍隊による厳しい統率の中で生きていた。そんな世界で生きる運び屋のジョエルと仲間のテスは反乱組織であるファイアフライのリーダーのマーリーンから運び屋の仕事を頼まれる。その荷物はエリーという14歳の少女。エリーは寄生菌の抗体を持っているとされ、人類を寄生菌から救う鍵となる存在だった。
■パンデミック世界において“生きる”を問う人間ドラマ
大ヒットかつ、全世界で評されるゲーム「THE LAST OF US」の魅力は「心を揺さぶられるストーリー」に他ならない。本作は「遊ぶ映画」と賞されるほどストーリーに重きを置いているのだ。
物語のメインは、ジョエルとエリーの果てのない旅。2人は旅を始めた当初はお互いに仲が悪く信頼関係はなかったが、旅を続ける過程で絆が生まれる。そして、その絆は仲間から家族にも似たものへ、それ以上の関係性が育まれていく。
そんな2人の関係性をつくるのは、旅の途中で出会う人々だ。ジョエルに過去の大きな借りをしていたかつての仲間のビル、ファイアフライへ合流するために同じく旅をするサムとヘンリー兄弟、ジョエルと離ればなれになってしまった弟のトミー、ハンターのデビッドとジェームス。必ずしも出会いは優しいものではなく、時に敵対してしまうこともある。
さまざまな人たちとの出会いと、トラブルや困難を乗り越えていく中で、プレイヤーも一緒に感情移入をしていく。パンデミックの世界では人類の秩序と文明が崩壊し、クリッカーが至るところに存在する。そんな絶望の中でも、生きることをやめない人たちの“生きる理由”が語られる。さらには、ジョエルとエリーは悲しい運命に翻弄される。
このストーリーに心を揺さぶられながら、プレイヤーは絶望の中に希望を見出すのだ。
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–{ドラマ版「THE LAST OF US」の魅力}–
ドラマ版「THE LAST OF US」の魅力
■ドラマ版ではストーリーにフォーカス
「THE LAST OF US」はゲームだけでなく、もちろんドラマ版も素晴らしい。
ゲームにはストーリーとはまた別に、敵を倒すためのステージの設定やアクションのゲーム性などが求められる。一方でドラマにはゲーム性は必要とされないため、ドラマではストーリーや人間ドラマによりフォーカスした作りとなっている。
ゲームでは主にジョエルを操作するため、ジョエルの視点で物語が進んでいく。その一方で、ドラマ版ではジョエルだけでなく、さまざまな視点で描ける。
例えば、エリーはもちろんのこと、ゲームでは脇役だったキャラクターの視点で描かれる場面がたくさんある。このジョエル以外の視点により、ゲームでは描ききれなかったキャラクターのバックグラウンドやストーリーに深みが増すのだ。
ドラマならではの魅力が最も顕著に出ているのは、第3話「長い間」というエピソードだ。ジョエルの昔の仲間のビルとその恋人であるフランクの話だ。ゲームとは異なる設定でドラマのオリジナルストーリーとして描かれた。
パンデミックの中で誰の手も借りず、街に1人で生きるビルの元に、街に迷い込んだフランクがやってくる。そして2人は恋人となり、共に生き始めるという流れだ。2人は時に衝突しながらも、2人で生きるために共に戦う。そんな中でささいな喜びを分かち合う。2人の姿に「生きる」とは何かを考えさせられる。
そのほかのエピソードで語られるテーマも多岐にわたる。愛、家族、正義。これでもかというぐらいにぶつけてくる重いテーマが胸を打たれる。
原作ゲームが18禁であるため、ドラマでも“リアルな表現”が容赦なく映し出される。観ているこちらが目をふさぎたくなってしまうほどだ。だが「THE LAST OF US」はそんなテーマとも真正面から向き合うからこそ、心を揺さぶる人間ドラマになっているのではないかと筆者は考える。
また、吹替版を担当しているジョエル役の山寺宏一、エリー役の潘めぐみが作品の魅力を語っている動画も公開されている。原作を熟知した2人による思い入れが熱く伝わってくるので、こちらもぜひチェックしてほしい。
■ゲームファンも納得のドラマ化
すでにゲームをプレイした人の中には、ストーリーも結末も知っていると思っている人もいるだろう。
そんな人にこそ、ぜひドラマも見てほしい。その理由の一つがゲームのクリエイティブ・ディレクターのニール・ドラックマンの参加だ。ドラマでは企画・脚本・製作総指揮を担当している。
ニール・ドラックマン自身が第3話のメイキング動画内で「“いつ原作から離れるか”を常に意識している。同じか、改悪になるなら原作のまま。改良なら原作から離れる」と語っている。
開発者自ら作品の深掘りを行い、原作以上のものを作っているのだ。そのこだわりもあってか、ドラマはゲームの実写化の中でも最高傑作と呼び声が高い。原作に忠実に描かれるもの、逆に原作とは違う設定にして、新たに描くもの。ゲームの世界観とストーリーに照らし合わせながら、丁寧に作り上げている。
このこだわりがあるからこそ、ゲームでは体感できない感動が待っているのだ。もちろん、ゲームに対するリスペクトも忘れていない。ゲームと同じカメラアングルやセリフなどファンにとっては細部にわたったこだわりも見つけることができるはずだ。
また、吹替版ではゲームと同じ豪華声優陣が続投している。
主要なキャラクターの声が変わってしまって、嘆くことはない。ゲームをプレイした人であれば、おなじみの声で新たな「THE LAST OF US」を体感できるはずだ。
シーズン2がすでに決定。旅の末路の行く先は……
そして、第2話が終了した時点でなんとシーズン2が決定している。
The journey continues. #TheLastOfUs will return for another season on @HBOMax. pic.twitter.com/FQNG6vhk1d
— The Last of Us (@TheLastofUsHBO) January 27, 2023
ゲームでは「THE LAST OF US PART 2」が発売されており、今回の「THE LAST OF US」がPART 1だとすると、シーズン2ではPART 2が描かれることになるだろう。PART2もPART1に負けず劣らずの心を揺さぶるストーリーが描かれている。
シーズン2が始まる前にぜひこのシーズン1を見てほしい。また、気になった方は次はゲームもプレイしてほしい。ドラマにはない体験が待っているはずだ。
(文:澤田孝志)