2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第114回を紐解いていく。
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章が次期社長?
軽い脳梗塞で倒れた祥子(高畑淳子)を見舞って東大阪に帰ってきためぐみ(永作博美)と舞(福原遥)。
玄関に入るとき、隣のうめづで雪乃(くわばたりえ)が「おおきにありがとう」と客を見送る声が聞こえます。ちゃんと挨拶してから帰宅したほうがいいのに……、本来なら、梅津が舞の家にいまはなっているはずなのに……。
みんながつながって、助け合って……というわりに薄情。というお約束のドラマ小姑ツッコミをしておきます。
その後、勝(山口智充)と雪乃を呼び、五島の料理でお礼しつつ、祥子を東大阪に呼ぶ相談をします。
勝のボケに「ちゃうで」とツッコむ貴司(赤楚衛二)のやりとりにほっこりしつつ、なんで相談? 世話を手伝ってもらおうということ?
基本、賛成で、手伝う梅津夫妻ですが、勝が懸念事項を挙げます。子育てはだんだん楽になるが、介護は逆であると言うのです。確かに。育って手が離れる子供と、衰えていくばかりの親……。「なんかきつい言い方してもうてたらごめん」と勝はちゃんと謝ることも忘れません。こういうとこばかり気遣ってますけど。そもそも、祥子をいきなり慣れない東大阪に呼ぶことを第一に考えることが違和感です。彼女の希望・五島で暮らしたいを叶えることができないだろうかと、もっと議論すべきではないのでしょうか。ーーと思ったら、
そこはちゃんと、ゆくゆくは章(葵楊)に譲ろうと考えていました。
舞にはあくまでもやりたいことをやってほしい。それがめぐみの思いです。
ドラマだとめぐみと舞が五島に行く可能性から議論すると当たり前過ぎて退屈になってしまうから、視聴者の、ん? という違和感で感情を動かさないといけないものなのでしょうか。こういうところこそ、丁寧にデリケートにやさしさのあまり逡巡し葛藤する様を書いてほしい(「なんかきつい言い方してもうてたらごめん」)。
めぐみと舞が帰宅して、貴司がカレーを作って待っていて、みんなで食べようと家族団らんを強調したあと、祥子が病院でひとりで食事している対比が、家族一緒がいいよねを強調していて、しんどかった。
舞は舞で、夢が広がっていきます。2025年の万博に東大阪も参加しようとか、空と東大阪をつなげることとかを考え始めます。「空だったら舞ちゃんの得意分野じゃない」と御園(山口紗弥加)に持ち上げられて。
御園がなんでうるさく感じるのかとずっと考えていたのですが、山口紗弥加さんが近年、やばい系の役を怪演していたので、強引な印象が強くなっているのではないかと気づきました。「家族狩り」(14年)の「私、産むから」と強引に迫る役、凄まじかったので……。
ドラマがとりとめないから本日はレビューもとりとめなく終わります。今週、メインライター桑原さんの担当でしたよね。ちょっと意外。気持ちはもう最終週なんでしょうか(「なんかきつい言い方してもうてたらごめん」)。
【朝ドラ辞典 あとを継ぐ(あとをつぐ)】家族の物語なので、家業の継承問題もたびたび持ち上がる。
(文:木俣冬)
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–{「舞いあがれ!」第24週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第24週目のあらすじ
2016年8月。舞(福原遥)は元気な女の子を出産。めぐみ(永作博美)や梅津(山口智充)、雪乃(くわばたりえ)も誕生を喜ぶ。
舞と貴司(赤楚衛二)は何があっても負けずに進むという思いを込めて娘に「歩」と名づける。
久留美(山下美月)がフライトナースの面接に合格し東大阪を離れることに。舞と貴司は久留美を家に呼び、新しいスタートを祝う。一方、五島で祥子(高畑淳子)が船で倒れて病院に搬送されたと知り、舞とめぐみは五島へと向かう。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか