2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第113回を紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
チーズ、梅津、バファローズ
祥子(高畑淳子)が脳梗塞で倒れ、めぐみ(永作博美)と舞(福原遥)が五島に向かいます。
幸い、症状はかなり軽く命に別状はなかったものの、左手と足の痺れがとれません。
これではもう船には乗れません。
祥子にとって生きがいである船。亡くなった夫のようなものですし、名前は娘の名前「めぐみ丸」です。そんな思いのこもった船に乗れなくなったら心の支えがなくなってしまううえ、生計も立てられなくなってしまうし、たとえ蓄えがあったとしても、手足が痺れて動きにくいといろいろ大変でしょう。
ひとり暮らしも無理そうです。ちょうど、愛用していたラジオも壊れてしまいました。夫の形見のラジオ。何度も修理してきたものがついに……。ラジオと祥子が重なり、切なさが募ります。
めぐみは決意して、祥子に東大阪で暮らそうともちかけますが……
「ひとりじゃなか、みんながおる」
(祥子)
これは「舞いあがれ!」でずっと描かれていることです。舞の「こんねくと」もそうですし、ひとりではできないことをみんなとつながって実現していくのです。
祥子もこれまでも五島の住人と手を携えて生きてきました。これからもそうできると考えています。
「まあドローンとや家族ぐるみのつきあいやねえ」とドローンを使った仕事をはじめた一太(若林元太)が言っていました。「家族ぐるみ」。これが大事なのです。
とはいえ、めぐみは心配でなりません。どんなにみんなが協力的でもほんとうの家族のようにはなりません。それぞれに家族があるわけで、毎日、ずっと面倒を見られるわけではないですから。
東大阪に引き取るより、めぐみが五島に戻る選択をするほうが得策のような気がしますが……。
「家族ぐるみ」といえば、舞とめぐみが五島に行くと、梅津夫妻が歩の面倒を見てくれます。もともと貴司(赤楚衛二)は岩倉に婿入りしたわけではなく、本来、歩は梅津の家の孫です。岩倉のリビングにわざわざ来なくても、貴司と歩が梅津家に行けばいいのに、とも思いますし、そもそも、隣なのだし、行き来したほうがいいように思いますが、そのためにわざわざ梅津の店以外の部屋のセットを建てるわけにもいかないのでしょう。岩倉家に遊びに来た体(てい)になります。
なにもかも舞に都合のいいように進んでいて、舞は他人の心配はするものの、他人に合わせることはなく、自分のやりたいことに他人がついてくるように流れを作り、私の幸せがあなたの幸せ、みたいなんだよなあ……というもやもやした感じは、勝(山口智充)の「はいチーズ、梅津、パファローズ」で払拭されました。笑いって大事ですね。
【朝ドラ辞典 家族(かぞく)】朝ドラのベースはホームドラマ。いろいろな家族の形、家族の問題、家族の幸せが描かれる。だから、舞台は家族の集まるお茶の間、居間が中心になっている。そこにはちゃぶ台やダイニングテーブルがあり、テレビやラジオがある。関連語:お茶の間、居間
(文:木俣冬)
木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中
–{「舞いあがれ!」第24週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第24週目のあらすじ
2016年8月。舞(福原遥)は元気な女の子を出産。めぐみ(永作博美)や梅津(山口智充)、雪乃(くわばたりえ)も誕生を喜ぶ。
舞と貴司(赤楚衛二)は何があっても負けずに進むという思いを込めて娘に「歩」と名づける。
久留美(山下美月)がフライトナースの面接に合格し東大阪を離れることに。舞と貴司は久留美を家に呼び、新しいスタートを祝う。一方、五島で祥子(高畑淳子)が船で倒れて病院に搬送されたと知り、舞とめぐみは五島へと向かう。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか