桐谷健太主演のドラマ「インフォーマ」が2023年1月19日深夜にスタートした。
沖田臥竜の同名小説を映像化した本作は、情報屋のカリスマが週刊誌記者とともに連続殺人事件の謎を追うクライムサスペンス。情報屋・木原慶次郎を演じるのは初の連続ドラマ単独主演となる桐谷健太。共演は佐野玲於、森田剛ら。
CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
三島寛治(佐野玲於)は、主にゴシップ記事を扱う『週刊タイムズ』の記者。志したはずのジャーナリズム精神など欠片もない、有名人のスキャンダルばかりを追いかける日々に、どこか虚しさや違和感を覚えていた。そんなある日、三島は編集長の長澤あすか(MEGUMI)の指示で、尼崎まである人物を迎えに行く。長澤は、「普通に生きていたら見られない世界を見たい」という、三島のかつての願いを叶えるチャンスだと送り出すが、待っていたのは、どうみてもカタギではない男・木原慶次郎(桐谷健太)。木原は元2代目西宮会の若頭補佐で、現在は裏社会、政治、芸能、あらゆる分野に精通し、情報屋の中でも都市伝説的な存在“インフォーマ”として、その名を知られる人物だった。
第1話のレビュー
骨太、それも極太なドラマが始まった。
桐谷健太が連ドラ単独初主演を務めるドラマ「インフォーマ」。
インフォーマとは社会を裏で動かす“ホンモノ”の情報屋のことだ。
ゴシップ記事を扱う「週刊タイムズ」で働く三島(佐野玲於)。芸能人やスポーツ選手のゴシップネタを追いかけているものの、鬱屈としたものを抱えているようだ。
しかし、ある日、編集長・長澤(MEGUMI)の指示で木原慶次郎(桐谷健太)という男を迎えに行くことに。木原は元2代目西宮会の若頭補佐で、現在はインフォーマとして知られている人物だった。
木原に「ポンコツ」と名付けられ、運転手に指名されてしまった三島。
そのまま、関西から東京・歌舞伎町のキャバクラへ。木原と親しげに話すのはホステスのナナ(北香那)。明らかに単なるホステスではない雰囲気が漂っている。なんだろう、そこはかとなく感じられる肚がすわってる感。
ナナは三島が「ポンコツ」と呼ばれているのを知ると、「2代目ポンコツ君、死んじゃダメだよ」と笑顔を見せる。それは1代目のポンコツ君が亡くなったか、もしくはそれに近い状態になったということでは……?
余計に木原への謎が深まる。
そんなとき、スマホに連絡が入り、店を飛び出す木原。
木原と三島が駆け付けた先には火だるまになった男の姿が……。しかも、ガスマスクにスーツという姿で。
その事件の背後にいるある男(森田剛)。
怪しげな取り巻きを引き連れ、商談では多額の報酬に対して「3日で終わらせる」と不敵な笑みを浮かべていた。
森田剛演じる男の底知れぬ不気味さ。セリフは決して多くないのだが、明らかに「近づいたらヤバイ奴」というのが一瞬で分かる。笑っていても怖い。いや、むしろ笑っているほうが怖いかも。
桐谷健太演じる木原も同じく。ユーモアさも含んでいそうだけれど、修羅場をくぐってきた匂いがむんむんだ。警察の管理職もやれば、朗らかなお兄さんの役もやり、つくづく幅広すぎる桐谷健太。観終わったあと、auのCMの浦ちゃんが無性に恋しくなった。
関係ないのだが、2人の髭っぷりにも特徴があって、それさえもキャラクターが現されているような気がしてきてしまう。
そんな2人に挟まれてキーになりそうなのが佐野演じる三島だろう。
「普通に生きていたら見られない世界を見たい」とかつて言っていたという三島。木原と見る世界はまさに望んだものとなりそうだ。
怖気づくか、三島のジャーナリズム魂に火がつくことになるか。
桐谷健太と森田剛に挟まれて、役者・佐野玲於がどんな表情を見せてくれるのかも楽しみにしたい。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
国土交通副大臣の山本(入江崇史)が、街中で火だるまになって死んだ。その凄惨な手口から、現場に居合わせた、過去に因縁のある男(森田剛)ら3人組の仕業だと確信した木原(桐谷健太)は、三島(佐野玲於)を連れて、とあるレストランへ向かう。
待っていたのは、六車連合の組長・河村恭介(淵上泰史)。木原からことづかったデータを確認した河村は、「誰の差し金だ」と激高し、三島を震え上がらせる。即座に編集長の長澤(MEGUMI)に助けを求めるが、逆に「記者根性を見せろ」と発破をかけられてしまう。絶体絶命と思われたそのとき、現れる木原。全ては木原の策略だったのだ。河村は、三島が木原に“ポンコツ2号”と名付けられたことを知ると、ナナ(北香那)と同じく何やら思うところがあるのか、「2号は大事にしてやってください」と、木原に意味深な言葉を告げる。
そのころ謎の3人組は、早くも次のターゲットに接近していた。
3人組の居場所をつかんだ木原は、六車連合のメンバーを連れて、潜伏先へ向かう。命の危険を察知し、何とか逃げ出そうと試みるが、木原がそれを許すはずもなく、同行してカメラを回せと指示される三島。そこで見たのは…。
第2話のレビュー
国土交通副大臣が街中で火だるまになって死んだ。
2話も冒頭から激しい。橘建設の常務取締役の石原が、謎の男(森田剛)を含む3人組によって殺される。石原にはガスマスクを装着させ、車に火をつけて。それも白昼堂々と。
木原(桐谷健太)は事件の犯人を確信しているようだ。
「週刊タイムズ」の編集部に立ち寄ったあと、三島(佐野玲於)を連れてあるレストランへと向かう。
何をさせられるのか分からずビビリつつも、木原の言いなりになる三島。
木原から言付かったものをレストラン内にいた河村(淵上泰史)に渡すが、データは女性たちの写真が並んでいるだけ。
河村に誰の差し金なのか詰められるが、木原には誰に頼まれたかは言うなときつく言われていた。
怒る河村、指を詰められそうな絶体絶命のその瞬間、フッと空気が緩み、河村が木原に向かって声をかける。どうやら、木原は三島の根性を試していたらしい。
河村は六連連合の組長で木原のことを慕っているようだ。三島が「ポンコツ2号」だと知ると、ナナ(北香那)と同じように意味ありげな視線を向ける。
そして、三島がいないところで「2号は大事にしてやってくださいよ」と言う。木原は「二度と同じ失敗はせんわ」と答える。本当に1号に何があったのか……。
そんな会話がなされているとも知らず、三島は長澤に泣きついていたが、長澤が取材の中断を許すはずもない。
木原は河村と共に、謎の男の潜伏先であるホテルに向かう。今すぐにでも逃げ出したそうにしている三島も伴って。
しかし、部屋に男の姿はない。河村がつけていた見張りは殺されていた。
自分が監視されていることに気がついたのだろう。
男がホテルの部屋に残した手がかりをもとに、木原はタキザワ組の組長を訪れる。男の次の目的はタキザワのようだ。
森田剛演じる謎の男は、今回もあまり話さない。ほとんど目だけで語っているようにも見えるが凄みがありすぎて……。顔色ひとつ変えずに人に火を放つ。一体、なんのために。誰かに頼まれた仕事だからなのか。こんなに表情が読めないこと、ある?
見えてきたのは、何かしらの因縁があって木原は謎の男を追っていること。
また、「週刊タイムズ」の編集部を訪れ、編集長の長澤(MEGUMI)と話をした際、「5年前の事件」というワードがあった。
長澤も詳しく語ろうとはしない(長澤と木原の関係も気になるが……)。
また、ナナと河村が電話で話していた際、ナナの娘らしき少女が登場。少女も5歳と言っていた。
5年前に、木原と、木原を取り巻く人たちが忘れられないような何かが起こった……。
木原と男との再会はそう遠くないような予感もする。
いま、提示されている謎の真相がどれだけ明かされることになるのだろうか。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
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国土交通副大臣につづき、2人目の被害者は都市開発事業に係わっていた建設会社常務と判明。
木原(桐谷健太)は謎の男(森田剛)の潜伏先に残された資料から、3人目のターゲットは瀧澤組の組長(千葉哲也)であることを掴む。しかし、襲撃を恐れてか、瀧澤の居場所はつかめない。そこで木原は、三島(佐野玲於)を連れて瀧澤組へ乗り込み、若頭の相田(般若)をはじめ、血気盛んな組員たちの前で、瀧澤の居場所はすでに見当がついていると高らかに宣言。木原の意図が分からず困惑する三島だったが、その夜、キャバクラで酔いつぶれていたところを、突然何者かに襲われる。
ほどなくして、瀧澤がある場所に隠れていることが分かり、いつものように木原に同行した三島はあ然。どう見てもカタギでない男たちが占拠する異様な空間を、楽しげに突き進んで行く木原。立ちはだかる巨漢の護衛をさらりと一撃で倒し、再び相田と相まみえる。ついに組長と対峙した木原は、「命を狙われる筋合いはない」と強気な瀧澤に、ある作戦を持ちかける。
瀧澤から大金を受け取った木原は、刑事の丸山(高橋和也)を呼び出し、瀧澤の情報を捜査本部内に流してほしいと頼む。一方、その頃、三島は、先輩記者の箱崎(山中崇)から、5年前、不可解な暴力団抗争で済まされた若い男の銃殺事件を知り、自分の前任で木原の運転手だった「ポンコツ1号」ではないかと考え……。
第3話のレビュー
国土交通副大臣、都市開発事業に携わる建設会社常務が続けて殺され、次のターゲットは瀧澤組の組長(千葉哲也)であると目星をつけた木原(桐谷健太)。
しかし、瀧澤は身を隠していて所在がつかめない。
そこで木原が取った行動は瀧澤組へと乗り込み、挑発すること。
まあ、ヤクザを煽る、煽る。
手が出そうになる組員たちだが、「カタギに手出したらどうなってるか分かってるか」と木原。そうだった、木原はカタギであった……。
「そのツラがカタギなわけないやろ!」と若頭の相田(般若)。いや、それな……と頷かざるを得ない。
さんざん煽った木原の目的は、三島(佐野玲於)をエサに瀧澤組の人間をおびき出し、瀧澤の居場所を吐かせることだ。
「酒と女があればFBIの機密情報も聞き出せる」と木原は言うが……。
木原の目論見通り、キャバクラでべろんべろんに酔っぱらった三島がトイレに行ったところで瀧澤組の人間が襲ってきた。そこを木原が抑え、瀧澤の居場所を吐かせようとする。
本当に容赦がない。襲ってきた男をボッコボコ。
男の足に刃物を突き刺すのを見た三島が「あーー!それ痛―い!」と叫んだが、まさに視聴者の声を代弁している。
無事に瀧澤の居場所を聞き出し、そのまま直で会いに行く木原。この人には怖いものっていうのがないのだろうか。一方、三島は一向に慣れないが、この反応がある意味、視聴者を安心させてくれる要素にはなっている。
そして瀧澤と会い、木原が提案したのはとんでもない計画。
瀧澤を囮に、瀧澤を狙っているであろう謎の男(森田剛)をおびき出そうというものだ。
確かに、謎の男をどうにかしなければ、瀧澤はずっと怯えていなければならなくなる(まあ、怯えているだなんて絶対に表面に出さないが……)。
木原の企み通り、瀧澤の居場所を掴み、動き出す謎の男。
とは言え、木原は謎の男にのってやっただけだという。
瀧澤の居場所を探らせるために、滞在していたホテルの部屋にも資料を残していたのだろう、と。確かにずいぶんとわざとらしく資料が置いてあるな、とは思った。
騙し合いの中で、どちらが先に相手の想定外の一手を繰り出せるか、というところに勝機があるのかもしれない。
瀧澤が訪れた場所に向かっている様子の謎の男たち。それを待ち構える木原。と、三島。
いよいよ来週、木原と謎の男は相対するのか。
ハラハラしている間に終わってしまい、本当に30分だとあっという間である。
今回、明らかになったのは5年前のこと。
分裂がらみの抗争事件の中で、木原の運転手をしていた若い男が殺されたという。しかも、捜査は途中で打ち切り。三島は、ポンコツ1号がその男ではないかと想像するが……。
ナナ(北香那)は「逃げるってすごく勇気がいることだと思うよ」と言っていたが、それもまた意味深だ。
関係ないが、裏社会?にいる人たちでも連絡手段はLINE的なものなのだな……、と変なところで感心してしまった。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
木原(桐谷健太)の読み通り、連続殺人事件の首謀者(森田剛)は3人目のターゲットである瀧澤(千葉哲也)を追ってクラブへとやって来る。ついに因縁の相手と5年ぶりに対峙する木原。
「5年前の借りを返しにきたで」という木原の言葉に、ようやくその顔を思い出したように、男は「あのとき泣いてた人だよね?」と挑発的な言葉を投げかける。わずかに表情がゆらぐ木原。やがて男の一味と六車連合の激しい乱闘がはじまると、混乱に乗じて男は姿を消してしまう。しかし、河村(淵上泰史)の援護もあり、木原は男の側近であるキム(一ノ瀬ワタル)を捕えることに成功する。
木原は河村と共に、キムを痛めつけ、男の居場所を聞き出そうとする。「こいつらには借りがある」と、いつになく熱く激する河村。そんな河村を制しながらも、木原は三島(佐野玲於)にこの様子を「動画に撮れ」と命じる。しかし、情け容赦ない、凄惨(せいさん)な行為を目の当たりにした三島は、たまらずその場から逃げ出して…。
第4話のレビュー
ついに、謎の男と対面だ。
3人目のターゲットである瀧澤(千葉哲也)を始末するために木原(桐谷健太)たちが待ち受けるクラブにやってきた謎の男(森田剛)を含む、3人組。
が、木原に瀧澤の場所を探らせるのが目的だったわけなのだから、対策はバッチリである。
クラブ内の喧騒を利用して、男は瀧澤のいる部屋にたどり着く。――が、そこにいたのは木原と三島(佐野玲於)。
木原は先読みして瀧澤をナナ(北香那)のいるキャバクラへ移動させていた。
男に向かって「5年前の借りを返しに来たで。たっぷり利子つけたるわ」と言う木原。
それで男も木原を思い出した様子。
「あんとき泣いてた人だよね?」
「ごめん、復讐とかめんどくさいから帰っていいかな」
木原も煽り上手だが、この男も、である。
これまで、あまり揺らぐことがなかった木原の表情が変わる。
瀧澤がいないなら用はないと、帰ろうとする男たちだが、木原が黙っているはずがない。
男の一味もおり、クラブ内では派手な乱闘が繰り広げられる。
男はその場から逃げ、車に乗り込むが、仲間のひとり・キム(一ノ瀬ワタル)が遅れる。
そこに河村(淵上泰史)の車が突っ込み、キムを突き飛ばす。容赦ない。
男は逃げたが、木原たちはキムを捕まえることができた。
キムを待っていたのは河村の拷問。男の居場所を吐かせるためだ。
それを見ていた三島は耐えきれず、逃げ帰る。
社に帰った三島は、もうやめたいと編集長の長澤(MEGUMI)に訴える。
長澤はそれをあっさりとOKするが、三島の中にもまだ何か引っかかるものがあるようで……。
拷問の様子は、さすがにかいつまんで描かれるだけだがまあ、えぐい。
それでもキムは口を割らない。拷問している河村のほうが疲弊してしまうほどに。
拷問などされることがなく終えたいが、拷問に耐え続けることと、必要なことを喋ったとたんに殺されてしまう恐怖と戦うことと、どちらがいいのだろう、と考えてしまう。
が、決定打となったのは木原の脅しだった。キムが慕う母親の身の危険を示唆したのだ。
「お前、仲間とおかん、どっちが大事や」
木原側の目線で描かれているので、いくらか和らいでいるようにも映るかもしれないが、いくらか、である。手段としては、わりと最低である。
そして、謎の男も静かに怒っていた。
「あそこにいた奴ら、全員リストにしろ」
「年齢、名前、住所、家族構成、全部割り出せ」
ただ、そう指示しただけでもゾッと背中が冷たくなる。
おまけに男は行動が早かった。
河村がひとりでいるところに現れた男と、その一味。
復讐などではなく、イラついたからやる、ぐらいの気楽さ。
これまでの火だるま事件も自殺として片づけられることが明らかになった。
国の上層部の力が働いているということだ。
さらに男自身はいつ死んでも構わないと思っている。
死を本当に恐れていないのだとしたら、これほどまでに恐ろしいことはない。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
▶︎「インフォーマ」画像をすべて見る
火だるま事件の次のターゲット・瀧澤(千葉哲也)の捕獲に失敗し、仲間のキム(一ノ瀬ワタル)を木原(桐谷健太)に捕えられた男(森田剛)は、報復として河村(淵上泰史)を拉致。焦る木原だったが、岡林(田島亮)からの連絡により、あるレストランで河村とキムの身柄を交換することになる。
の頃、インフォーマの取材から外れた三島(佐野玲於)は、街で買い物帰りのナナ(北香那)と出くわす。隣には、今日が誕生日だという娘・あい(寺田藍月)の姿が。誕生日会、主役のあいは“おじちゃん”がお祝いに駆けつけてくれることを心待ちにしていたが、その人物は一向に姿を見せない。その後、2人を家まで送っていった三島は、部屋に飾られた、ある男の写真を目にする。
謎の男との取引場所のレストランに向かう木原には、三島に代わって箱崎(山中崇)が同行していた。木原に言われた通り、離れたところから箱崎がカメラを回していると、そこへ河村を連れた岡林と男が現れる。緊張みなぎるも一見、穏やかなに身柄交換は始まったが、次の瞬間から、木原のシナリオは大きく崩れ去り…。
第5話のレビュー
追い詰めたと思ったら、追い詰められていた。
謎の男(森田剛)に拉致された河村(淵上泰史)。謎の男側が木原(桐谷健太)に要求したのは仲間のキム(一ノ瀬ワタル)との交換だ。
河村の命が危ない。木原は早急にあるレストランでの人質交換の手筈を整える。
もちろん、木原の目的は人質交換だけではない。謎の男をぶっ潰す。木原にとって、この状況はピンチではあるが5年間待ち望んでいたチャンスでもあるのだ。
人質交換の場には、インフォーマの取材から外れた三島(佐野玲於)に代わり、箱崎(山中崇)が同行。
代わり、ではあるが、箱崎の中にはきっとワクワクもあるのだろう。危険な場所への潜入捜査。大スクープが掴めるかもしれないチャンス。箱崎は、木原たちが人質交換する場面を離れた場所から撮影をするが……。
周りに他の客もいる。安心して人質交換がなされると思いきや、暴力行為に出る謎の男側。
人が殴られようが、木原にスタンガンが当てられようが、河村が椅子から転げ落ちようが誰も気にもかけない。
客だと思っていたのは謎の男側が用意したモブだったのか――。
謎の男が銃を取り出すと、一斉に席を立ち、店から出ていく客たち。
箱崎もその波に乗って脱出を試みるが、キムにつかまってしまう。
スタンガンによって動けなくなっている木原。拘束され、身動きがとれない河村に向けられる銃口。そして、謎の男側の人間はいとも簡単に引き金を引く。
キムに殴られている箱崎のうめき声が響く。声にならない声を発し、木原がのたうつ。
何も木原の思い通りにいかない。
全てを達観したように、木原を見る謎の男には余裕というよりも、何か諦めにも似たようなものを感じる。
部屋で無表情にうまい棒を食べていた姿は、観ている者をなんとも形容しがたい気持ちにさせる。
くしゃっと捨てられたうまい棒の袋も人間も、謎の男にとっては似たようなものではないのか……。
一方、三島は(佐野玲於)は買い物帰りのナナ(北香那)とばったり会っていた。
娘のあい(寺田藍月)の誕生日会が開かれるという。
流れで誕生日会に参加する三島。その後、2人を家まで送った三島は、仏壇の男性の写真を目にする。
ナナは「私の旦那さんだよ。かっこいいでしょ」と微笑む。
「運転手やってた。2号くんみたいに」
名前は愛之助。ポンコツ1号である。
演じるのは、横浜流星。そりゃあ「かっこいいでしょ」とも言うだろう。
ついに、5年前の真相が明らかになる。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
「パパの運転手やってた。2号君みたいにね」——。仏壇の写真を見た三島(佐野玲於)に、亡き夫・愛之介(横浜流星)と木原(桐谷健太)の関係を尋ねられたナナ(北香那)は、5年前に起きた悲しい出来事をぽつりぽつりと語り始める。
ポンコツ1号——河村愛之介は、河村(淵上泰史)の弟で、5年前、情報屋“インフォーマ”を新たな生業として始動した木原の運転手だった。情報を武器に政治家や警察とも互角に渡り合う木原を心から尊敬し、ナナとの間に生まれてくる子供のために仕事に打ち込もうとする愛之介を、「ポンコツ」呼ばわりしながらも木原は頼もしく思い、可愛がっていた。
そんなある日、当時、キャバ嬢として店に潜入していた雑誌記者・長澤(MEGUMI)が、とある大物実業家が別荘にアイドルやモデルを集めて乱交パーティーを開くという情報を入手。ドル箱の臭いを嗅ぎつけた木原は、その現場を押さえるため、愛之介を連れて別荘へと乗り込む。
一方、謎の老紳士(石橋蓮司)の元には、男(森田剛)ら3人組が招集されていた。「お前が日本を守るんだ」という言葉とともに、ある任務を命じられた男たちは、木原、愛之介と時を同じくして別荘へ向かう。
別荘で、実業家の致命的瞬間を押さえる木原。しかし、そこに予想外の来訪者が現れ——。
第6話のレビュー
横浜流星の存在感が凄まじかった。
ポンコツ1号こと、愛之介(横浜流星)について振り返るナナ(北香那)。愛之介はナナの夫で、あい(寺田藍月)の父親、そして河村(淵上泰史)の弟だ。
5年前のこと。
情報屋「インフォーマ」として動き出した木原(桐谷健太)。愛之介はその運転手だった。ポンコツ2号の三島(佐野玲於)と同じ立場ではある。大きく違うのは、木原を尊敬しているところ。そして、強い。
一方で、子どもが生まれるのだからもっと頑張らなければ、という父親としての責任感に燃えていた。そんな愛之介を木原もかわいがっているようだった。「ポンコツ」と呼んでいても愛がある。
兄である河村も愛之介がかわいくて仕方がない、というふうに見える。
くしゃっとなる笑顔。それだけで、人懐っこく無邪気な様子を見せる愛之介は愛される人なんだろうな、ということが分かる。
そんなとき、キャバ嬢に扮した長澤(MEGUMI)が木原に情報を渡す。
雑誌記者として、調査を行っていたようである。ドレスアップしているけど、なんだか強そうだ、長澤。
長澤が提供したのは、大物実業家が別荘にアイドルやモデルを集めて乱交パーティーを開くという情報だった。
情報を売ってどうこうするわけではない。情報をコントロールすることを目的とするインフォーマ。
が、もちろん、金は得られる。
木原は現場を押さえるために愛之介とともに別荘へと向かう。
SPたちを軽々と倒していく愛之介。
さすが横浜流星……と唸るばかり。ここまで重ためのパンチを繰り出す人たちが多かったが、なんとも軽やか。そして蹴りの位置が高い、高い。見入ってしまう。
愛之介の働きもあり、木原はスムーズに決定的瞬間を抑えられたが、そこに現れたのは謎の男(森田剛)。老紳士(石橋蓮司)には「亮」と呼ばれていた。「お前が日本を守るんだ」と言う言葉と任務ともに別荘にやってきたようだが、その真意はいまだ分からない。
愛之介はキム(一ノ瀬ワタル)に倒され、木原も銃で足を撃ち抜かれる。
ターゲットに何か紙を渡し去っていく。木原は敵う相手ではない、と判断したが、「やられっぱなしというわけにはいかない」と愛之介は男たちのあとを追う。
木原が止めても聞かない。こういう深く考えずに動くところも愛される要因なのかもしれないが、場合による。
木原が敵わない、という相手だ。
顔の形が変わるほど殴られても立ち上がる愛之介。さらに男を挑発する。
ピクリと男の顔が動いたのはもしかして「チビ」というワードですか、それとも「弱そうだな」ですか……。
どちらにしろ何かが癪に障ったのだろう。男はためらいもなく愛之介に向かって銃の引き金を引いた。木原の目の前で。
愛之介が死に、泣きじゃくる木原の姿が胸に痛い。
バックボーンを深く描かなくてもわかる。どれだけ愛之介を大事に思っていたのかを。
泣きじゃくりながら河村に電話をかける木原。それを受ける河村の表情に悲しみと悔しさの深さを感じた。
ナナと愛之介の娘の名前は「あい」。愛之介からもらった名前だろうか。どんな気持ちでこの名をつけたのか。
時は戻り、レストランで撃たれ、倒れている河村。
動くことができない木原。倒れた河村を観ているだけ。
木原もまた、男に撃たれるのかと観ているこちら側が身構えるが、そのとき電話が鳴る。
銃口を下ろし、立ち去る男たち。
木原は命拾いしたのか。しかし、またひとり大切な人を、失った。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
河村(淵上泰史)が死んだ。警察は、防犯カメラに映っていた木原(桐谷健太)を河村殺害の容疑で指名手配するが、木原は行方をくらませたまま。刑事の丸山(高橋和也)の話では、何者かの圧力により、警察は木原を犯人に仕立て上げて事件を終わらせるつもりだという。一方、三島(佐野玲於)に代わって現場で取材していた箱崎(山中崇)も、意識不明の重体で危険な状態が続いていた。大事な部下を傷つけられた長澤(MEGUMI)は、このまま事件を終わらせるわけにはいかないと、丸山にある取引きを持ちかける。
その頃、河村殺害に関与したとして、瀧澤組にも捜査のメスが。一度は逃げ延びたものの、いつまた襲われるかと怯えていた組長の瀧澤(千葉哲也)は、「今はサツの中のほうがまだ安心だ」と、丸山の部下・水越(西村元貴)におとなしく連行されるが…。
河村の通夜では、ナナ(北香那)が気丈に振る舞うなか、クズオ(二ノ宮隆太郎)たち六車連合の組員が悲しみに暮れていた。するとそこへ、相田(般若)ら瀧澤組が乗り込んでくる。警察に連行されたはずの瀧澤が行方不明になったというのだ。
三島は、謎の男(森田剛)の仕業だと思いつく。いきり立つ六車連合と瀧澤組の面々。
だが、やっと姿を現した木原は三島に、運転手はクビで本業の記者に戻れと切り出して——?
第7話のレビュー
前回の激しさを伴う回想から一転、今回はとても静かだ。
河村(淵上泰史)が殺された。木原(桐谷健太)は運良く……と言っていいのか、もはや分からないが助かった。
木原はナナ(北香那)の元を訪れ、「すまん」と一言言う。
木原がナナの家を訪れたのは午前2時。
インターホンが鳴る直前にナナはハッと目を覚ます。
ベッドにいる娘をタオルで隠し、スタンガンを手にドアに近づくナナに漂う緊迫感。
これまでどういう生活を送ってきたのだろう、と考えてしまうシーンだ。
そして、三島(佐野玲於)の代わりに木原についていた箱崎(山中崇)は意識不明の重体。生きていたのはよかった、けれど、ひどい状態である。
責任を感じる三島、そして編集長の長澤(MEGUMI)。
そんなとき、河村を殺した容疑者として木原の名前が報道される。
警察の上層部に圧力がかかっている、と長澤たちの前に現れた刑事の丸山(高橋和也)が言う。
長澤は手を組むことを条件に、箱崎が洗い出していた一連の事件の被害者と関わりがある“黒幕リスト”を開示する。
警察に圧力をかけられる人間を条件に絞り出していくが、その中には“謎の紳士”(石橋蓮司)=石上兼人、元国土交通大臣も。
この人はリストから外そうと思っていたと言う長澤に向かって、思わず「いや、そいつ!そいつそいつ!」と突っ込んでしまう。
瀧澤組には警察の手が伸び、組長の瀧澤(千葉哲也)を連行される。
瀧澤は警察の中のほうが安心というが、そんなことはない。警察も黒幕の影響下にある。
瀧澤はキム(一ノ瀬ワタル)に引き渡されてしまう。おまけに引き渡したのは丸山の相棒の水越(西村元貴)。
六車組では、河村の遺体が戻ってきて、悲しみに暮れていた。
そこに瀧澤組の若頭・相田(般若)らが乗り込んでくる。相田は木原を探していた。そこに丸山もやってきて……もう!画がどこを見ても怖い!
そして木原は……。
河村の通夜が終わったあとに姿を現した。河村の遺体に手を合わせる木原。
その場に居合わせた三島には「本業に戻り」と言い、「相手はかなり上手や」「俺みたいなただのチンピラではどうにもならん」と言い、三島も「らしくない」と憤る。
そんな三島に向かって、木原は「昔いじめられっ子だった」と話す。
「施設で一番のチビでよ。いつも助けてくれる兄ちゃんおってな」
「憧れとったんやろな。ああいう強い兄貴に」
木原を襲うのは愛之介(横浜流星)も河村も守れなかった無力感。もう全てをやめてしまおうと思ったり、自暴自棄になってしまうきっかけには十分かもしれない。
立ち去ろうとする木原を体を張って止める三島。
「逃げんなら俺ぐらい倒していけよ」とタンカを切る。
まあ倒されるんですが……鼻血を出しているわけですが……。
「俺が逃げるわけないやろ」と木原。
ひとりで立ち向かうつもりだった木原。そこに六車連合の面々がやってくる。
「死に際ぐらいかっこよくいたい」
さらに瀧澤組も現れ、謎の男(森田剛)たちの居場所を吐けという。
「こんなザコじゃ話になんねえ」という相田に木原はどことなく嬉しそうだ。
「なんやねん お前ら ゾロゾロ集まりやがって」
「週刊少年ジャンプの展開みたいなこと すなよ!」
確かに!!!
さらに三島が「行きましょう、木原さん」というものだから、よりジャンプっぽい。心なしかカメラワークもそんな気がしてくるからおもしろい。
「『ONE PIECE』の読みすぎじゃ ボケ!」と笑いながら木原。
「俺は『ダイの大冒険』だけどな!」と返す相田。ちょっと考えてから言っているのが分かって微笑んでしまう。
みんな心のベースは少年なんだろうか。少年がいなくなると、もしかしたら謎の男のようになってしまうのかもしれない。
……が、ここからがまた大きな抗争になる予感である。
おまけに、木原の姿をとらえた映像が石上の目の前にあるスクリーンには映し出されていて……裏切者がいるっていうことか。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
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河村(淵上泰史)を殺された六車連合と、組長を取り戻したい瀧澤組が反撃しようと集まる中、木原(桐谷健太)はある情報筋から、謎の男(森田剛)たちが今夜、とあるビルに現れるという情報を入手する。一筋縄ではいかないと判断した木原は、旧知の警察OBを巻き込んで、ある作戦に打って出る。話を聞いていた三島(佐野玲於)は、木原の言う“ネタ元”が何者か気になるが、木原は答えず、三島にあるものを用意するよう指示する。
夜、瀧澤(千葉哲也)を連れた岡林(田島亮)とキム(一ノ瀬ワタル)が、予想通り姿を現した。拘束された瀧澤は、パソコンの画面越しに元・国土交通大臣の石上(石橋蓮司)と対面する。殺される理由に心当たりなどないと主張する瀧澤に、石上は表情一つ変えず、3年前のある出来事を話す。それを背後で聞いている男。
木原と瀧澤組と六車連合がビルに突撃し、激しい乱闘が始まる。その様子を遠隔でカメラを回していた三島(佐野玲於)も巻き込まれ、なんとか防戦するも、次第に意識が遠のいていき…。
第8話のレビュー
瀧澤(千葉哲也)が岡林(田島亮)、キム(一ノ瀬ワタル)に連れ去られた。
木原(桐谷健太)は六車連合と瀧澤組と共に救出作戦を決行。三島(佐野玲於)も再び木原と行動を共にし始める。
木原は瀧澤の居場所を掴むが、木原も謎の男(森田剛)らに対して正攻法でどうにかなるとは思っていない。それに、謎の男たちがいる場所は中国マフィアのアジトでもある。
万全を期すために、木原は警察OBも巻き込み、準備を進めていく。
そんな中、三島は木原がどうやって瀧澤の居場所を知ったのか、情報元が気になって仕方がない。
が、もちろん木原が言うはずがない。
どうにかして阻止したいところだが、元・国土交通大臣の石上(石橋蓮司)にとって瀧澤は最後のターゲット。逃がすつもりはないだろう。
デバイス越しに、瀧澤と対面する石上。
半裸で椅子に縛り付けられた状態で。瀧澤組の組長としてはあまりにも辛い状態だ。瀧澤は腹がくくれない。瀧澤は「自分は裏切っていないはずだ」と叫ぶ。
しかし、石上は「あのとき笑ったろ?」と言う。
あのときとは、建基法違反を組織的に隠ぺいしている疑惑が報道されたときのこと。
もしかして、それが理由で? だとしたら……。
石上がそう言ったときの秘書の川俣(宮川一朗太)と謎の男の表情も気になる。
瀧澤はガスマスクをつけられ、火を放たれる。建物の外にまで響く絶叫。
これに瀧澤組の若頭・相田(般若)らがじっとしていられるはずがない。建物の中へと飛び込んでいく。
そして六車連合も瀧澤組が動き出したというのに、自分たちがじっとしているわけにはいかない。
建物内では乱闘が繰り広げられていく。
鉄棒を振り回し、突き進んでいく相田。
相手は人数も多い。倒れ、動けなくなっている相田に六車連合のクズオ(二ノ宮隆太郎)が肩を貸す。
「てめえの体借りるぐれぇなら死んだほうがマシだぁ!」と叫ぶ相田にクズオは「一緒に死のうじゃねぇか」と返す。しょ、少年漫画的展開……!
不利に見えた相田たちだったが、中国マフィアたちの動きが鈍くなる。
謎の男の協力者・竹森(濱津隆之)が中国語でけしかけるが、マフィアたちはボスから連絡があった、お前たちはうそつきだといって帰っていく。
その様子をカメラに収めていく三島。撮られていることに気がついた竹森は「カメラを止めろぉ!」と絶叫。まさかのここで『カメラを止めるな』のオマージュ……。
しかし、なごめる展開ではない。
瀧澤は殺され、怒りに涙する相田は、木原によって動けなくなっていたキムに留めをさす。岡林は逃げるが、木原に指示されていた三島が車にGPSを取り付けていた。
長回しで撮られている乱闘シーンは臨場感たっぷりである。ポンコツ2号と呼ばれている三島も奮闘。
一方、週刊タイムズ編集部では、有村(大島涼花)が石上について調べていた。
彼女がコピーをとっている記事には、石上と並んで写真に写る幼い木原の写真が……?
そしてそこになぜか刑事・水越(西村元貴)の姿が。え、なに? 怖い……。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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激しい乱闘から一夜明け、木原(桐谷健太)が、岡林(田島亮)の車に仕掛けたGPSから男(森田剛)たちの隠れ家を見つけ出そうと急ぐなか、三島(佐野玲於)はふと気になっていたことを尋ねる。「なんで、昨日はGPSなしであいつらの居場所わかったんですか?」——。ネタ元は言えないとごまかす木原だったが、いつになくかたくなで、一向に引き下がらない三島に、木原はある人物の存在を打ち明ける。
深夜の編集部で、三島から作業を引き継いだ有村(大島涼花)が元国土交通大臣の石上について調べていると、刑事の水越(西村元貴)が、人気のない部屋でデスクを物色していることに気づく。常軌を逸した水越の様子に恐怖を覚える有村。どうやら水越は、編集長の長澤(MEGUMI)が丸山(高橋和也)から預かった、あるものを探しに来たらしい。このまま取材を進めるに危険を感じた長澤は、三島にも木原たちから手を引くよう命じる。しかし三島は、今まさに最後の局面を迎えようとしている木原の闘いを最後まで見届けるべく、長澤の制止も聞かずに編集部を飛び出して…。
その頃、情報収集に奔走していた木原は、男を追いかけるうちに芽生えた、ある疑惑を晴らすため、意外な人物と会っていた——。
第9話のレビュー
一気に真実が明らかになっていった。
今回は木原(桐谷健太)の幼少期からスタート。
急に空気感が違うのでびっくりするが、かつて木原は「子どものころはいじめられっ子だった」と話していた。教師にいたずらされそうになっているシーンにはギョッとしてしまう。
そんな木原を助ける少年の姿。
2人には言葉にしづらい絆があるように見えたが……。
一方、週刊タイムズ編集部には刑事の水越(西村元貴)が侵入。水越は長澤(MEGUMI)が丸山(高橋和也)から預かっていた情報を手に入れようと強硬手段に出たのだ。
その情報とは謎の男(森田剛)たちに関するもので、書類を見せられた三島の表情にも緊張が走る。
男の名前は冴木亮平。「養護施設から養子として石上ハウスに入居。傭兵育成のため特殊訓練を受ける」というメモが書かれていた。9話にしてついに! 謎の男の名前が明らかに!!
核心に迫る情報を手に入れたが、編集部員たちの命の危険性を感じた長澤は手を引くことを決める。
しかし、三島はGPSから冴木たちのアジトを突き止め、ひとり向かう。が、三島がどうにかこうにかできる相手ではなく……。
実は記者として大きな成長を見せている三島。自分は拳じゃなくてペンで戦う、とちゃんと何が自分にとっての武器なのかを分かってきているところがカッコイイ。
そして、謎の男改め冴木は石上(石橋蓮司)のそばにいた。
GPSをつけたままアジトに行った岡林(田島亮)について、「愚かだ」という石上。「これからはお前はひとりがいいかもしれない」と悲しいことを言う。
岡林と対峙した冴木。「何を隠している?」と問いかける。
3人を火だるまにしたことに大義があったわけではない。正義もない。そう岡林は言う。そして、岡林はそれを知っていた。
「お前だけは裏切らないと思っていたよ」と冴木は言うが……。
岡林が取り出したナイフで逆に刺し殺す冴木。冴木はひとりになった。
石上は木原や冴木がいた施設を運営していた。もともと木原は石上と関わりがあったのだ。インフォーマになったのも石上がいてくれたから。重要な情報も多く石上から得ていた。
そして子どものころに木原を助け、「やられたらやり返せ」と喝を入れていた少年が冴木だったという展開……!
石上は木原と冴木をやり合わせるために動いていたのだ。
復讐心という人生に意味を見出した木原。
冴木は石上が作り上げた最強の傭兵。
その2人が争い合い、木原が冴木を殺し、そして自分を殺す、というのが石上の最高のシナリオ。
いや、石上にとっては人生最後の最大のエンターテイメントだったのかもしれない。最低か。
そんなシナリオをぶち壊すかのように、冴木は石上に向かって銃口を向け、引き金を引いた。
今回の一連の事件で殺された人たちは、殺される理由がない人たちだったのではないか。
そこに伴って血を流さなくていい人たち、死ななくていい人たちが死んだ。なんなんだ、これ!
流れた血の分だけ浄化される。そう言い聞かされて人を殺してきた冴木。
しかし、石上は理想をとっくに手放していた。意味のない殺し合いが冴木を孤独にした。
ここまで、ほぼ表情が動くことのなかった冴木の感情がこぼれ出す。
大切に思っていた人たちを自分の手で殺める悲しみ、いや、痛みだろうか。見ているだけで痛みが伝染してくるかのよう。
石上を殺した瞬間の表情は、一瞬、心細げな少年のようにも見える。
彼は、疑問に思いながらも石上を信じて人を殺し続けてきたのだろう。
果たしてこの物語に、幸せな結末などあるのだろうか。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
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冴木(森田剛)に火だるま殺人を指示した元・国土交通大臣の石上兼人(石橋蓮司)の目的は、木原(桐谷健太)を誘き出し、木原と冴木という、幼い頃から可愛がってきた二人を闘わせるという歪んだ愉悦を得ることだった。だが、それを知った冴木は石上を銃殺する。
一方、岡林(田島亮)が冴木に殺された現場に居合わせた三島(佐野玲於)は、遅れて到着した木原に、すべての黒幕が石上だったことを話す。
愛之介(横浜流星)のための復讐を石上に利用された——。情報源として信頼しつつもどこか予感していたことが確信に変わった木原は、冴木と決着をつけると覚悟を決めて…。
夜、人気のないある場所に、冴木がやって来る。壁に貼られた古い新聞記事の前で立ち止まり、そこに写った幼き日の自分と、当時、自分がいじめっ子たちから幾度となく助けた、ひとりの少年の姿に思いを馳せる。すると、背後から「久しぶりやな、にいちゃん」という声が。振り向くと、そこに立っていたのは木原で…。
木原と冴木、因縁の二人による闘いのゆくえは……。そして、ポンコツ2号として木原を追い続けた記者・三島が最後にとった、ある行動とは!?
第10話のレビュー
黒幕とも言える石上(石橋蓮司)が冴木(森田剛)に銃殺される。
石上の行動には正義も信念もなかった。ただの娯楽のため。
自分がかわいがっていた冴木と木原(桐谷健太)を闘わせるという趣味の悪い娯楽。
三島(佐野玲於)は木原を目的地に連れていく道中で真相を聞く。
冴木とは同じ施設で育ったこと。
石上は木原にとって重要な情報源だったこと。
信頼しつつも、石上に対する疑いはあったこと。
冴木が自分を信じる心。木原の愛之介(横浜流星)のための復讐。
それらを利用した石上の行動は最悪である。
そして木原は冴木と決着をつけるため、かつての自分たちの児童養護施設へ。廃墟となった建物の中。
そこで2人は再会する。
「兄ちゃん」と呼びかける木原。
ここに来て、ようやく冴木に表情が感じられる。空虚だった冴木の瞳に動きが出た、気がする。
自身の手で父代わりであった石上を殺した冴木に、木原は「本当の両親を探しに来たんか?」「情報が欲しければ、力ずくで奪ってみろ」と煽る。
そして冴木も木原のことを思い出してきた、と言う。
「ここにいるときもよく泣いてたね」
どっちも煽るなあ……。
(余談だが「泣いてたね」って……「泣いてたな」じゃなくて「泣いてたね」って冴木みたいなキャラクターが言うの、個人的に刺さる)
ドロドロになりながら、殴り合う木原と冴木。
そこで木原は冴木に気持ちを吐露する。
施設を去る冴木に行かないでほしかった、と。
幼いときの冴木は木原に言い聞かせる。
「強くなれ。大丈夫だ」と。その言葉が木原の中にはずっとあったのかもしれない。
そして、「兄ちゃんを見つけるために情報屋になったんじゃ!」と叫ぶ木原。
そうだったの!? と驚いてしまったが、そうだったらしい。
泣きながら、冴木を殴る木原。別に、殴りたくて冴木を探していたわけではないのに。辛い。
そんな木原に冴木は銃口を向ける。が、その銃を木原に握らせ、銃口を自分に向ける。
「殺れよ」「殺れ」
「ごめんな、兄ちゃん」
響く、銃声。
1週間後。
それぞれの日常が戻りつつあった。
三島が書いた記事が世の中に出た。
警察に圧力をかけていた勢力にも捜査の手が伸びる。
デスクの箱崎(山中崇)も復帰した。無事でよかった。
そして、行方知れずだった木原と三島の再会。それも三島がナナ(北香那)といい雰囲気のときに。
もちろん、木原は手ぶらではない。何やら重要な情報を持って。もちろん知ってしまうと命が狙われるようなヤツだ。
早速やってきた追手から逃げる三島と木原だが、心なしか楽しそうである。生きろ、2号くん……!
ラストシーンは、のどかな町のベンチで煙草を吸う冴木の横顔。生きてた!!
木原は冴木を殺さなかった。木原が引き金を引いたあと、どのようなやりとりが2人の間であったのか。
ただ、木原のベースには子どものころの冴木がいる。きっと、木原は冴木のように「誰か」の「兄ちゃん」になりたかったのだろう。
それにしても、一連の事件に関しては、探すまでもなく正義がなかった。
正義などくそくらえ、ぐらいの勢いで行動を起こす人間もいるのだということは、心に刻んでおきたい。
そしてそういう人間は、恐ろしい。
※この記事は「インフォーマ」の各話を1つにまとめたものです。
–{「インフォーマ」作品情報}–
「インフォーマ」作品情報
放送日時
2023年1月19日スタート。毎週木曜深夜0時25分~(関西ローカル)
出演
桐谷健太/佐野玲於(GENERATIONS)/北香那/淵上泰史/濱津隆之/般若/二ノ宮隆太郎/藤井陽人/西村元貴/田島亮/一ノ瀬ワタル/MEGUMI/山中崇/高橋和也/宮川一朗太/千葉哲也/石橋蓮司/森田剛
原作・監修
沖田臥竜「インフォーマ」(サイゾー文芸部 刊)
脚本
酒井雅秋 澤口明宏ほか
音楽
堤裕介
総監督
藤井道人
監督
藤井道人 逢坂元 曽根隼人 林田浩川
協力プロデュース
岡光寛子
プロデュース
豊福陽子 角田道明
制作協力
株式会社Lat-Lon
制作著作
カンテレ