<どうする家康・三河編>1話~12話までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

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2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。

古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事では桶狭間の戦いから家康が三河を平定していく1話~12話までの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・第11話ストーリー&レビュー

・第12話ストーリー&レビュー

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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武士が激しい領土争いを繰り広げていた戦国時代。尊敬する今川義元(野村萬斎)のもとで、人質ながらも楽しい生活を送っていた松平元康、のちの徳川家康(松本潤)は、心優しい姫・瀬名(有村架純)と恋に落ちる。このまま幸せな日々が続くと信じていたある日、織田信長(岡田准一)が領地に攻め込み、元康は重要なミッションを任される。命からがら任務を果たしたものの、戦場のど真ん中でまさかの知らせが!どうする元康!?

第1話のレビュー

多くの日本人が知っているであろう、徳川家康。
そんな家康を、どう演じる松本潤。

 

物語の始まりは桶狭間の戦い。
陣から逃げ出そうとしている松平元康……のちの徳川家康である。
「もう嫌じゃあああ!」と叫ぶ元康。
彼は、「弱虫泣き虫鼻水垂れ」で、「おなかも弱い」男だった。

 
時は戦国。元康の生まれは三河。隣国の駿河・今川義元(野村萬斎)に服属しており、元康は人質として義元のもとにいた。

憂鬱なことがあるとすぐにお腹が痛くなる。
義元の息子・氏真(溝端淳平)との手合わせだって憂鬱で仕方がない。
できれば逃げ出したい。嫌々ながらに挑んだ手合わせではボコボコにされる。

手習いをサボって、木くずでうさぎを彫り、これまた木彫りの馬とごっこ遊びをしているほうが元康には楽しい。しかし、そんな彼を目撃した姫がいた。関口氏純(渡部篤郎)の娘・瀬名(有村架純)だ。
ごっこ遊びをしていたことを誰にも言わないでくれ、という元康に、瀬名は一緒にごっこ遊びをしてくれたら言わない、とかわいい顔で脅す。
最初は突っぱねる元康だが、やがて2人は仲良くかくれんぼをするような仲になっていく。

若き2人を演じる松本潤と有村架純がなんとも可憐。本当に子どもに見えてくるからすごい。

が、元康は三河の跡取り。
父の法要のために三河の岡崎に帰国し、家臣たちと再会するが、元康にはピンと来ない。
今川家とは違い、貧しい自国に戸惑う。
同時に、自分は国を背負わなければならないのだという自覚がそこはかとなく生まれて元康の表情は暗い。

そんな元康の感情に瀬名は敏感だ。
「弱虫泣き虫鼻水垂れ」と本当のことを言って気を緩ませる。

実は互いにひそやかに想いを通わせる2人。
しかし、瀬名を側室に迎えたいという氏真の逆鱗に触れてしまう。
もう二度と会えない――そう思った矢先、義元の前で、氏真と手合わせを行うことになる。

いやいや、あんなにこてんぱんにやられていたのに勝てるはずがない! と思っていたら……元康の圧勝である。

実は、これまでわざと負けていたという元康。そんな元康を義元は叱りつつも、瀬名との婚姻を認める。
子にも恵まれ、幸せな時間を過ごすが、彼らの前に起こる戦。桶狭間の戦いの時がやってきた。

元康は兵糧を運び入れる役割だ。簡単なことかと思いきや、そうでもない。そもそも、兵糧は戦の要、敵方も本気でつぶそうとかかってくる。
瀬名の笑顔を思い出し、自分を奮い立たせる元康。無事に仕事を成し遂げた。
やるじゃないか! 実は能ある鷹は…みたいなことですか? と期待が高まる。

が、その矢先に飛び込んできたのは義元の死。王者としての風格があり、とても第1話で姿を消すようには見えなかった今川義元だが、相手はあの織田信長。伝令によって、その死が明らかにされた。

今川勢は散り散りになってしまい、元康率いる三河勢が敵のど真ん中に残されている状態。状況を把握した元康がとったのは、その場から逃げ出すこと――。

元康を連れ戻したのは本多忠勝(山田裕貴)。
情けない元康の姿に、「主君などと……俺は認めぬ」。ここからどうやって信頼関係を築いていくのかかが見ものである。そしてこんな山田裕貴を待っていた!

陣に戻った元康に告げられたのは、織田軍が向かっているということ。
織田信長の姿を思い出し、元康の震えは大きくなる。
「あれは獣じゃ! 飢えた狼じゃ!」と叫ぶ。

慌てふためく家臣たち。恐怖に震えるのちの徳川家康。
そして、狂気をたたえつつ、微笑む馬上の織田信長(岡田准一)。

「待ってろよ、竹千代……俺の白兎」

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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織田軍に包囲され、絶対絶命の松平元康(松本潤)。だが、なぜか織田信長(岡田准一)は兵を引く。元康は慌てて大高城を飛び出し、瀬名(有村架純)を残す駿府に帰ろうとするが、家臣団は故郷の三河に戻りたいと猛反対。元康は渋々三河へ向かうが、敵の罠にはまり、重臣の鳥居忠吉(イッセー尾形)が大けがを負うなど松平軍は壊滅状態に。何とか岡崎の大樹寺に逃げ込んだが……。

第2話のレビュー

逃げて、家康!! と信長の眼光に何度叫んだことか。

織田信長(岡田准一)の軍勢に城を取り囲まれた元康(松本潤)。
「竹千代! 逃げぬとはあっぱれじゃ!」と城外から声をかける信長に、元康は「逃げればよかった……」。違うんです、この人、逃げたくても逃げられなかっただけなんです!

佇まいが恐ろしいし、織田軍に漂う緊張感が凄まじい。

そして、幼かったころの元康――当時、竹千代と信長の出会いが描かれる。
竹千代の父、松平広忠(飯田基祐)は織田と今川に挟まれ、苦しんでいた。そこで、竹千代を安全な場所に逃がそうとするが、裏切りに遭い、織田に人質としてとられてしまう。赤い衣に身を包んだ信長。
「かわいいのう。白い子兎のようじゃ。食ってやろうか!」
怖い。本当に食ってしまいそう。

織田信秀(藤岡弘、)は松平に今川と手を切らなければ、竹千代を斬る、と言う。
ここで竹千代は松平家から見捨てられ、殺されそうになるが……そこで助けたのが信長だった。

「こやつは俺のおもちゃだ。勝手なことをされては困ります」

刀を抜き、にらみ合う織田親子。この親子、無敵感が強すぎる。絶対に2~3度天下統一してるでしょ。
「生かしておけば使い道もありましょうぞ」という信長に信秀は笑う。こうして、竹千代は信長預かりになった。
竹千代は毎日のように信長たちに相撲で投げ飛ばされる。
「地獄じゃ」と呟く竹千代に「その通り、この世は地獄じゃ!」と信長は高笑いを上げる……。トラウマの原因はここか。

 
場面は戻り、桶狭間。信長は攻めることなく引き上げる。狙いはなんだったのか。
元康は城を出て駿府を目指すことを告げるが、出立直前に雲行きが変わる。岡崎城から知らせが届き、城代の山田新右衛門(天野ひろゆき)が討ち死にし、家臣たちが城を捨てたというのだ。

元康の家臣たちは、これを機に本領の岡崎に入るべきだというが、元康は、妻の瀬名(有村架純)や子がいる駿府に帰りたい。意見は対立し、その結果、二手に分かれることになってしまう。

多くの兵は岡崎に向かうことになり、元康のもとには本多忠勝――平八郎(山田裕貴)ら少ない手勢だけが残った。
先行きに不安を感じたところで、三河の大草松平家当主・松平昌久(角田晃広)が現れる。
助けにきたらしい昌久に、家臣たちは何度も裏切られているのだから信用できないと言うが、元康はそれを聞き入れなかった。結局、昌久にだまし討ちに遭い、多くの犠牲者を出してしまう。
元康たちは、松平家の菩提樹・大樹寺に逃げ込むものの、昌久の軍に取り囲まれている。絶体絶命であることは変わらない。

昌久の狙いは自分の首だと悟った元康は、松平家の墓の前で命を絶つことを決意する。
無能な自分にできるのはこれぐらい、と。
そこにやってきた平八郎が介錯を引き受ける。元康を主君としては認めない、と言っていた平八郎だが、本当の望みは父や祖父のように、命をかけて主君を守ることだ。それを聞いた元康は目に涙を浮かべる。
「厭離穢土欣求浄土……」と唱える元康。汚れたこの世を離れて極楽浄土へ行けという教え。

そして、尾張での人質としての日々を思い出す。
そのときの竹千代は、信長に何度投げ飛ばされても、へこたれなかった。
「違う!兎ではない、竹千代は寅だ!」と言い、ある日とうとう信長を倒す。が、すぐに信長に押さえつけられてしまう。
「そうじゃ、その目じゃ。その目だけは忘れるな」と信長は楽し気に微笑む。

その記憶が、元康に闘志を蘇らせる。

そして、そこに話を聞いていた榊原小平太(杉野遥亮)が「汚れたこの世を浄土にすることを目指せと教わった」と話す。
「さまざまな解釈があるのでしょうが、ご領主たる身であらせられるならば、かように解釈なされるのがよろしいかと」
しかし、これはある種、徳川家康が作ろうとした世では?

寺から出た元康は昌久に向かって宣言する。
岡崎に入り、三河を平定、そして織田や武田ら、どのような敵からも守ってみせる、と。
その気迫に昌久は押される。そして心動かされる平八郎……。小平太も、かもしれない。

第2話で早くも覚醒か! と思ったがそんなことはない。

岡崎に入り、家臣たちの前で「この元康は寅の化身じゃ。織田信長など蹴散らしてくれようぞ!」と宣言し、士気をあげた直後、居室で頭を抱える。

武田信玄(阿部寛)の視界に入り、信長からは「いよいよ喰らいに行くか、白兎よ」と言われる。

寅の年、寅の日、寅の刻に生まれた元康……だが、実は年が明けてうさぎ年に生まれた元康。
元康の母・於大の方(松嶋菜々子)は言った。「兎などいけませぬ。狼に狩られてしまいます」

信長だけではない。白兎は今、獰猛な何頭もの狼に、狙われている。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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故郷の岡崎へ戻った松平元康(松本潤)は、打倒・信長(岡田准一)を決意するが、弱小の松平軍はまったく歯が立たない。一方、今川氏真(溝端淳平)は援軍をよこさず、本多忠勝(山田裕貴)らは、織田に寝返るべきだと言い始め、駿府に瀬名(有村架純)を残す元康は、今川を裏切れないと悩む。そんな中、伯父の水野信元(寺島進)が岡崎城にある人を連れて来る。それは16年前に生き別れた元康の母・於大(松嶋菜々子)だった。

第3話のレビュー

岡崎城へ戻った松平元康(松本潤)。
早く妻・瀬名(有村架純)と子どもたちの元に戻りたい。そう願う元康だが、今川氏真(溝端淳平)からは「織田勢を打ち払ったら駿府に帰ってこい」と言われる。元康には、荷が重い。

それでも、戦おうとするのは瀬名の元に帰りたいからだろう。その想いだけが元康を支えているのかもしれない。
元康は目下の敵・水野信元(寺島進)と対峙する。信元は元康の母の兄にあたるが、かつては松平家側の人間だった。裏切って織田方についたのだ。

が、元康は織田に歯が立たない。負けが重なるばかり。
氏真も援軍を送ってくれないので、新たな勝ち筋を見出すこともできない。
そうしているうちに、本多忠勝(山田裕貴)らを始めとした家臣たちの中には今川を裏切り、織田側につくべきだと考え始める者たちも出てくる。

元康としては今川に恩があるが、他の者にとっては岡崎のほうが大事だ。今川に思い入れもない。ここが元康と家臣たちのズレだ。

落ち着かない城内。そこに信元が元康の母・於大の方(松嶋菜々子)を伴ってやってくる。
於大は元康が小さいころに離縁したため実家に帰っており、元康は顔も覚えていない。ただ、昔は文が送られてきていたので、元康の中に優しい思い出は残っている。

しかし、そんな元康に於大の方は今川と手を切るように言う。さらに、三河を元康に任せる約束も交わしたと。

もちろん、元康は承服しない。駿府には瀬名たちがいる。
が、於大は「それがなんだというのです」と叱り飛ばす。家臣と国のためなら、主君たるもの妻や子どもは打ち捨てろと言う。元康は於大の方を追い返すが悩みは深まっていく。

瀬名から届く手紙には、息子のこと、生まれたばかりの亀姫のことが書かれていた。元康も、このままではいけない、と頭では分かっている。でも、愛する妻と子どもを於大が言うように打ち捨てることなどできない。

左衛門尉(大森南朋)と数正(松重豊)も、三河のためにどうか、と頭を地面にこすりつける。
三河の者たちは今川の家臣になることを望んでいない。今川がいれば搾取される。元康が主君であれば、おなかいっぱい食べられる……。
国ってそういうことだ。おなかいっぱい食べられるかどうか。安心して生活できるかどうか。それを守るのが主君の務めだ。

父として、夫として、ではなく、主君としての判断を迫られる元康。絶望しながら選んだ道は、絶対に選びたくなかった裏切りの道。
これによって、瀬名と子どもたちは窮地に追い込まれることとなる。

元康の裏切りが分かるや否や、松平の家臣の妻たちは氏真の命によって殺される。
そう、時は戦国時代なのである。……とはわかっていても、この人質のシステム、あまりにもむごくないか。そしてこんなことがあって三河に愛着が持てるのだろうか、元康……。

次週、会いたくなくて仕方がなかった信長の元へ向かう元康。会いたくて仕方がない瀬名には会えないのに……。尾張で信長が待っている。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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平元康(松本潤)は信長(岡田准一)が待つ尾張・清須城へ向かった。幼き頃に織田に捕らえられていた元康は、信長から再会のあいさつ代わりに相撲の相手を命ぜられる。くせ者・木下藤吉郎(ムロツヨシ)や信長の妹・市(北川景子)を紹介される中、信長から盟約を結ぶ代わりに、驚くべき条件を提示される。一方、駿府に残された元康の妻・瀬名(有村架純)は、今川氏真(溝端淳平)から元康と離縁して、側室になれと迫られる。

第4話のレビュー

いよいよ、信長(岡田准一)と対面する元康(松本潤)。

元康の中で信長の存在感が大きすぎて、毎週会っているような気がしていたが、そんなはずはない。前回までは敵同士だったのだ。

石川数正(松重豊)らには、「相手が頭を下げるまで自分も下げるな、名乗るな」と厳しく言われて挑んだ面会。織田家とは主従関係ではない。対等な関係なのだから。
が、信長の射るようなまなざし、圧倒的な王者の風格に元康があらがえるはずがない。元康は先に頭を下げ、名乗ってしまう。

が、実は信長、元康がやってきたことが嬉しいらしい。木下藤吉郎(ムロツヨシ)に呼ばれた元康は信長と相撲を取ることに。信長、毎回のように何かしら武術を披露していないか? 常に「強そう」が更新されていく。
さらに、もうひとり元康と手合わせしたい者がいると言う。
薙刀を手にし、仮面をつけた小柄な人物。
鋭い動きを見せ、元康と互角の戦いを繰り広げるが、仮面がとれるとその下の素顔は女性。信長の妹・お市(北川景子)だった。
お市は、元康との再会に嬉しそうに顔をほころばせる。
 
そんな中でも駿府にいる瀬名(有村架純)のことが気になって仕方がない元康だが、政は進んでいく。
信長と国境を決めたところで、元康は今川との和議を提案する。
元康の首もとに軽い手刀を打ち付けつつ、最後はその頬を平手で打つ。

「情で自らを滅ぼすか」
そして、元康の顎に手をかけ言う「未だ白兎か」
信長の回答は「今川を滅ぼせ」。有無を言わせぬ圧。

一方で、信長はお市との祝儀を提案する。織田家と松平家の結びつきを強くするためだ。
「あれはその辺の男よりも頼りになる」と言い、お市に信頼を寄せていることが分かる。そして、その妹を娶らせようとする元康にも。対等な関係かどうかは別として。

元康が愛してやまない瀬名は、窮地に追いやられていた。
瀬名の家の関口の縁者ひとり残らず打ち首。そう今川氏真(溝端淳平)は言うが、瀬名がある条件を飲めば助けてやらなくもない、と提案する。
それは、瀬名が夜伽を務めること。
正室でも、側室でもなく。かつて、氏真は瀬名を側室にしようとしていたけど、今でも諦めていなかったらしい。

瀬名は家のため受け入れるが、氏真に心を許したわけではない。それに気がついた氏真は激昂。
元康に、今川に戻らなければ関口家は皆殺しという文を出す。
ともに、血で書かれた「たすけて せな」という文と(氏真がむりやり書かせた)、首と銅が二つに分かれたうさぎの木彫り。シンプルに、ひどい。

そんな文が届けられ、元康が放っておけるはずがない。
そして、その文を受け取った場面を目にしていたお市は全てを察し、自分から縁談を断る。

本当は元康と夫婦になることを望んでいたはずだ。祝言で着る着物をうきうきとした様子で選んでいたのだから。
12年前に川でおぼれたところを助けられて以来、お市は元康に想いを寄せていた。
信長もそんなお市の想いを知っての縁談だった。

「どんな気分じゃ。初めて男にそっぽを向かれた気持ちは。しかも恋焦がれた男に」

恋焦がれてたのか、お市……それを知ってたのか、信長……。

「望むのであれば奴を殺してやっても良いぞ」と肩をポン。その信長の手を振り払えるのはおそらくお市ぐらいのものだろう。
そして、「大切になさいませ。兄上が心から信をおける方はあの方おひとりかもしれませんから」と信長に向かって言う。この兄妹、もしかして仲が良い……?

そして、元康は瀬名を取り戻すため、今川討伐に乗り出す。
瀬名のためになら、元康は強くなれる。

それにしても、ついに登場した木下藤吉郎が不気味で怖い。同時に今後に期待が高まる。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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元康(松本潤)は、駿府に捕らえられている瀬名(有村架純)を取り戻そうと決意。家臣たちの反対を押し切り、イカサマ師と呼ばれ嫌われている本多正信(松山ケンイチ)の妙案に望みを託す。 正信は、伊賀忍者の服部一党を使い奪還作戦を立てるが、頭領の服部半蔵(山田孝之)は過去の失敗ですっかり自信を失っていて…。

第5話のレビュー

瀬名(有村架純)と子どもたちを助け出すために頭を悩ませる元康(松本潤)と家臣たち。だが、なかなかいい案は思い浮かばない。

その中で大久保忠世(小手伸也)からいい案を出せる者として本多正信(松山ケンイチ)の名前が挙がる。が、全員が猛反対。イカサマ師だのなんだのひどい言われようである。

元康の前に連れられてきた正信は、策はあるが元康ひとりにしか話したくない、と言う。ここに裏切者がいないとも限らないから、と。当然怒り出す家臣たちに、自分たちは何も案が思い浮かんでいないくせに、と煽る。煽る。
またクセの強そうな人が出てきたぞ……。信用してはならぬと進言する家臣たちだが、元康としては藁をもつかむ思い。
そして、きっと元康は疑うことより、信じることから始める人なのだろう。
 
本多正信が提案したのは「瀬名と子どもたちを盗む」。

決行するのは服部半蔵(山田孝之)。
元康の祖父も先代の半蔵を召し抱えていて、その息子が名をついだものの、今は百姓同様。

元康はもしかして本当に騙されたのかと頭を抱えるが、本多は動いていた。
金を持って仕事を頼みにいくが、半蔵は忍びはやらない、忍び働きの銭などいらんと言い張る。
武士としての誇りもあるのだろう。そんな半蔵を言いくるめる本多。
軽やかな正信と腰が重い半蔵。この対比がコミカルで観ていて楽しい。

結局、半蔵は武士としてなら、ということで無理やり引き受けさせられる。散り散りになっていた伊賀者たちを集め、作戦を動かし始める。
この伊賀者の集め方がなんというか、ファンタジー感があるというか、漫画っぽさがあるというか……。個人的には、これはこれでワクワクする。

こうして、瀬名奪還計画がスタート。

奪還するのは瀬名とその子どもたち。しかし、計画を聞いた瀬名としては両親を置いていくことができない。
計画を話し、共に行けるように説得する。
とは言え、奪還する人数が増えれば増えるほど、困難は大きくなる。が、伊賀者たちは「やれと言われたことをやるだけ」。かっこよ……。

瀬名たちはできるだけ淡々と時間をやり過ごそうとする。
しかし、生きるか死ぬかの計画を目前に、瀬名の表情は硬い。その様子に気がついた親友で鵜殿長照(野間口徹)の妹・お田鶴(関水渚)は心配そうに声をかける。
計画を誰かに漏らすことはできない。瀬名はむし歯が痛くて仕方がないのだとごまかすが……。

奪還作戦決行の夜。半蔵たちが忍び込もうとしたところに、鵜殿軍が襲い掛かる。半蔵たちがやってくるのを待ち構えていたのだ。

情報は瀬名の母・巴(真矢みき)からお田鶴に漏れていた。
半蔵たちが返り討ちにされたあと、
「本当によかった!田鶴に打ち明けてくださって!奥方様」とお田鶴に、ハッとする氏純(渡部篤郎)と瀬名。
「私はただお田鶴様にはお別れを言いたいと思って」と巴。

お田鶴は鵜殿側、というか氏真(溝端淳平)のスパイだった……のかと思いきや、このあと「ご寛大なご処分を」と言っているところ見ると、どうやら善意で動いていたらしい。巴も巴であるが、幸せな環境で育ってきたのだろうな、ということが想像できる。
氏真は瀬名ら関口家を死罪に処すると言い放つ。
もともと、好きだった瀬名が元康と結婚し、信頼していたはずの元康が裏切った。そして、瀬名をいいようにしようとしたが、頑なに心を閉ざしているかつての想い人にも絶望したのかもしれない。
闇に囚われていくような氏真が見ていて心苦しいが、ちょっと腹も立つ。

計画を成功できず、戻ってきた正信と半蔵だが、元康に再びのチャンスを求める。
次回、「続・瀬名奪還作戦」。瀬名を取り戻せるのか。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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今川氏真(溝端淳平)は元康(松本潤)に対し「降伏しなければ瀬名(有村架純)たちを皆殺しにする」と通達した。本多正信(松山ケンイチ)からは「今川家重臣を生け捕りにし、瀬名たちと人質交換する」という更なる秘策を提案され、実現困難ともいえる大胆な策だが、元康はすべてを託すことに。正信の命を受けた半蔵(山田孝之)は難攻不落の上ノ郷城に忍び込み、やがて火の手が上がる。その炎は成功の合図なのか、それとも…

第6話のレビュー

瀬名、奪還第二幕である。

 

瀬名(有村架純)と子どもたちの奪還作戦は失敗に終わった。しかし、本多正信(松山ケンイチ)はまだ策があるという。戦のどさくさに紛れて服部半蔵(山田孝之)らが鵜殿長照(野間口徹)の息子たちを生け捕りにして瀬名たちと交換する……というものだ。

しかし、半蔵率いる伊賀者は、先の作戦で多くの者が死んでいる。
忍びの経験がないものもおり、その中には死んだ大鼠(千葉哲也)の娘(松本まりか)も。名を問われると、「今日からは大鼠」と名乗る。痺れる。
心許なく思っていた正信は甲賀者たちにも声をかけていた。抜かりない。が、半蔵は「イカサマ師が」とぽつり。

一方、瀬名ら関口家を捕らえている氏真(溝端淳平)は元康(松本潤)の動きに怒りを募らせていた。
戦場に連れて行き、元康らの前で殺すと息巻く。
憎しみに満ちた表情に、家臣たちも少し戸惑っているようにも見える。

 
元康も正信も気を揉むが、半蔵たちは快進撃を見せ長照の息子たちの生け捕りに成功する。
しかし、半蔵たちの手にかかることをよしとせず長照は自害。
息子たちも、迷わず自害をしようとしたところを半蔵たちに捕えられた。元康側の城攻めのときにも、息子たちに戦い方を手ほどするような場面もあったことから良き父であり、今川家の忠臣だったことが分かる。

 
鵜殿の息子たちを生け捕りにした松平軍は石川数正(松重豊)が使者に立ち、瀬名たちとの交換を持ちかける。

が、氏真は「逆賊とは取引せぬ」と突っぱねる。数正と関口家の首を元康に届けてやると息巻く氏真。
それを瀬名の母・巴(真矢みき)が諭す。

「お気持ちが昂ると、つい喚き散らす。私がおもりをしていたころから少しもお変わりならぬ」

そして、自分と夫が責めを負うから、娘と孫たち、そして鵜殿の息子たちの命は助けてほしい。
ここで忠臣の息子を見殺しにしたと分かれば、氏真に対する不信感は強まるだろう。今川家の忠臣であった氏純(渡部篤郎)は、今川家の没落を望んでいるわけではない、と。

瀬名たちと、鵜殿の息子の交換が始まる。
(関係ないがこのシーン冒頭での「今川氏真」と言う松山ケンイチの声が良すぎて)

瀬名たちの姿を見ただけで感極まる元康。
しかし、交換が成立するまで油断はできない。

事実、氏真は交換の最中に攻撃を仕掛けようとしているそぶりを見せていた。
その瞳が捉えていたのは、娘をおぶっている瀬名の後ろ姿。

わずかに手が動いた刹那、竹千代が元康に向かって「ちちうえ!ちちうえ!ちちうえ!」と叫び、動きが止まる。
たぶん、信長なら迷わず撃ったであろう……とも思うが、信長ならこのような事態には陥らせていないか、とも思う。
ラストシーンは義元の甲冑に向かって「父上」と呟く氏真。そこで何を思うのか。

兄弟のように育っていた元康には氏真なりの愛情があっただろうし、だからこそ裏切られたときの憎悪は大きい。
さまざまな感情が入り混じる中で(主に元康への)、孤独になっていく姿はもの悲しさがある。

そして、瀬名たちを送り出した巴が残した言葉。

「強くおなり。我ら女子はな大切なものを守るために命をかけるんです。そなたにも守らねばならぬものがあろう?」
「命をかけるときはいつか必ず来ます」

この言葉は瀬名の未来にどのような影響を与えるのだろうか。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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元康(松本潤)は、家康と名を改める。国をまとめたいと願う家康だが、三河内の争いも絶えず、三河統一は遥か先の話。そんな中、民衆の間で一向宗が人気と瀬名(有村架純)から教えられる。家康は宗徒が集まる本證寺に潜入すると、そこには寺内町という巨大な町がつくられ、住職の空誓(市川右團次)は、「民が苦しむのは武士のせいだ」と説いていた。家康は一向宗への対抗を命じるが…。

第7話のレビュー

まだまだひよっこである、元康。が、そうは言って見逃してはもらえない。一国の主なのだから。

瀬名(有村架純)と子どもたちを取り戻すことができた。
久しぶりにほんわかとしたオープニングである。
元康(松本潤)は少々過保護気味だが、仲睦まじい様子だ。瀬名と離れ離れだった間、本当に心配で心配で仕方がなかったんだろう、ということがよく分かる。
今後の人生、瀬名に一秒たりとも危険には晒したくない。そんな思いを抱えているように見える。今は。

そんな元康の悩みは、於大(松嶋菜々子)が頻繁にやってくること。瀬名をいろいろと鍛えている、というところのようだ。嫁vs姑か!? となりがちだが、カラッとしていて言いたいことを言っている於大。
瀬名もあまり重く受け止めていないようだし、相性としては案外悪くないのかも。

そして、このタイミングで来て元康の名が変わる。信長に「今川義元の元をとって元康は縁起が悪い」とのことらしい。
あれこれと頭を悩ませる元康だったが、家臣に慕われる瀬名が今いる場所が「みんながひとつの家にいるようで」と言ったことがきっかけで「家康」という名を思いつく。家族、家臣だけではなく、三河の国がひとつの「家」となるように。
瀬名が推していた「泰康」も個人的には良いと思うけれど。
それにしても家康は瀬名がきっかけとなった名前を一生背負っていくことになるのだな……と思うと感慨深いものがある。

が、平穏な日々は続かない。織田信長(岡田准一)が鷹狩をしていると木下藤吉郎(ムロツヨシ)が使いでやってくる。どこで鷹狩をしているかというと、家康の領土で、である。

穏やかじゃないな、と思っていたが、家康が駆けつけるとそこには武装した信長がいた。本当に穏やかじゃなかった。
獲物が獲れたと、謀反を企てていた者たちが連れてこられる。
ぼんやりしていないで三河をしっかりと抑えろ、ということらしい。家康の動きが今後の信長の天下統一に影響を与えてくるわけだが、やっぱり家康のことは信用しているように見える。
信長は怖いのだが、口で言うだけではなく、さっさと自分で謀反人を狩っているあたりがなんとも。
怖いだけの人ではないな、と感じさせられる。

謀反を鎮圧するが、またいつ同じことが起こるか分からない。しかし、もう金はない。
意見を求められた本多正信(松山ケンイチ)は信長に金を借りれば良いという。そして、今川の領地を切り取り、そこから返せばいい。
間違った道理ではないが、家康はこれ以上、信長に頭が上がらなくなるようなことはしたくない。
が、「ものすっっごく怖いんじゃぞ!!」とも言っており、どちらかというとそっちが本音だろう。

そこで家康が目をつけたのは一向宗の寺だった。
「不入の権」を楯に年貢を納めていない彼らから取り立ててればいい。
石川数正(松重豊)らからは「寺はそれぞれひとつの国として考えたほうがいい」と反対される。つまり、他国が介入すべきではない、ということ。
納得ができない家康は榊原小平太(杉野遥亮)と本多忠勝(山田裕貴)と共に一向宗の寺院・本證寺へと潜入する。

寺というより、賑やかな城下町に驚く家康ら。
身分など関係なく、みな同じ。幸せに、楽しく暮らすためにここにいる。だって国は何もしてくれないから。

みなは楽しく踊り、男女が出会い、浮かれる。
小平太が「あそこにいるおなごたちに声をかけてみないかい?」と忠勝を誘う一幕も。
いつも勇ましい忠勝が急に尻込みするのがかわいい(どうして「一緒に踊らないかい」で声をそろえたんだ、かわいいか)。声をかけたおなごは於大たちだったが……。そう、楽しい場所だと聞いて、於大や瀬名も訪れていたのだ。そしてこういうところでばったり会ってしまうのだ、家康と瀬名は……。

怒った家康は瀬名を連れて城へと帰り、数日後、一向宗から年貢を取り立てる。これが、一向一揆に繋がることになる。

「戦をせずにするにはどうしたらいいのか」という家康が問いかけるシーンがあったが、住職の空誓(市川右團次)は「知らん!」と言い放つ。
「生きてる世界が違う。苦しみを与える側と救う側じゃ」と。
そこは、家康は人に問うことではないのではないか。
三河全体もひとつの家に、というが、程遠い。

常に家康からは危うさが感じられる。
次に何をしでかすのかとハラハラしてしまうが、この振舞いを安心して観られる日は来るのだろうか。

※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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本證寺から年貢を取り立てようとする家康(松本潤)に対し、一向宗徒が三河各地で一揆を起こした。武力で抑え込もうとするが、有能な軍師がいるらしく、すべての作戦が裏目に出る。松平昌久(角田晃広)など周囲の領主も寝返る中、家康は半蔵(山田孝之)を寺へ潜入させる。そこで半蔵が目にした空誓(市川右團次)を補佐する、意外な“軍師”の正体は……。

第8話のレビュー

家康(松本潤)による本證寺からの年貢取り立てがきっかけで起こった、一向宗徒による一揆。
家康は武力で抑え込もうとするが、なかなかに厳しい。
「進まなば往生極楽、退かば無間地獄」という言葉のもと戦っている者たちは強い。
喜んで討ち死にするというところか。そして有能な軍師がついているのではないかと家康たちは推測する。

一向宗側の兵は膨らんでいくばかり。家康の家臣たちも、「だからあいつらに関わるなと言ったのに」というテンションである。

松平昌久(角田晃広)らも寝返り、家康の家臣たちに謀反を唆す始末。
おまけに、今の家康に求心力がない。
本多忠勝(山田裕貴)や小平太(杉野遥亮)らのもとにも文が届き、彼らを惑わす。そして、兵の中には多くの一向宗徒らもいる。寝返りが続出するのも止められない。それほどに仏の教えが強いのだ。

手段を選んでいられない家康は半蔵(山田孝之)らを本證寺に忍び込ませ、空誓(市川右團次)を討つように指示を出す。

さらに、家康自ら本證寺に出陣。
家康の姿を見れば心変わりをする者もいるのではないかという考えだ。
しかし、敵中に誘い込まれ、銃口に倒れる家康。そこに一向宗徒たちが襲い掛かる。絶体絶命。そんな家康をかばったのは土屋長吉重治(田村健太郎)だった。一向宗徒で、家康を敵中に誘い込んだ張本人だ。
裏腹な行動だが、信仰と主への思いに板挟みになったのだろう。
この時代に寺を敵に回すのは、つまりそういうことなのだ。

そして、寺側の軍師も発覚。本多正信(松山ケンイチ)だった。
その事実は家康の心を大きく揺さぶった。

失策もするし、おろおろするし、人の話を聞かずに右往左往もする。後の家康とは想像もつかない。が、このころの家康は20歳を少し過ぎたころ。
そんなときに、信じていた家臣たちに裏切られ、これから裏切るかもしれない人たちに疑心暗鬼を抱く。
なんとなく、よく知っている家康が今作られているんだな、という感じがする。

一方で、印象的に登場しているのが今川義元(野村萬斎)である。
家康の夢の中で、「この国の主は誰か」と問いかける。家康は、この国の主は自分だと思っていた。そこに驕りがあり、今回のようなことを招いた。

主は、民。

「民に見放された時こそ、我らは死ぬのじゃ」と説く義元。
この教えがどう家康に響くか。

国がひとつの家のように、と言っていた家康。
瀬名(有村架純)は「ひとつの家がばらばら」だと嘆いていた。
本当の意味で家康は国をまとめるきっかけはつかめるのか。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

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身近な家臣さえ信じられなくなり、引きこもる家康(松本潤)を、鳥居忠吉(イッセー尾形)が訪ねてくる。たとえ裏切られても信じきるか、疑いがある者を切り捨てるか、二つに一つ。そう問われた家康はある決意を固める。激戦の末、家康はついに一向宗側の軍師と対峙し…

第9話のレビュー

澄んだ瞳にハッとする。
本多正信。彼には彼なりのポリシーがある。

家臣たちに裏切られ、疑心暗鬼になり「怖くて仕方がない」と自室に閉じこもってしまっている家康(松本潤)。
いや、怖くて仕方がない、って貴方がそんなことを言っていてどうするの、という話である。
まだ戦中であるというのに、主がこれでは士気が下がって当然だ。

そんな家康にカツを入れたのは鳥居忠吉(イッセー緒方)。
道はふたつのひとつ。主君は家臣を信じるほかないのだということ。もうひとつは、少しでも謀反の疑いがある者は殺せ、ということ。それってどんな鎌倉殿……。

腹をくくった家康は、みなの前に姿を現し、「ついてきたい者だけが来い」と言い、戦場へと赴く。
要は、主の腹が坐っていなければ、家臣たちも迷いが出る。兵だって真っすぐに走っていけない。
形勢は逆転。松平側がぐんぐんと押していく。

 
そんな家康の傍らで描かれるのは正信(松山ケンイチ)の過去だ。
戦で連れ去られた幼馴染の玉(井頭愛海)。
その後、遊び女となっていた玉と再会するが、彼女は傷を負い、神仏にすがり、死を願っていた。
こんな世にいても何も良いことはない――。
戦国の時代はむごたらしい。裏切者の一族は処刑されるシーンも描かれていたし、略奪だって起こる。
でも、実は戦国の時代だからではなく、戦とはそういうものなのだ。命も物も、心も奪っていく。
だからこそ、主は民たちを守るために動かなければならないのだ。
 

信長(岡田准一)の命もあって、本證寺との和睦を進めることになる家康。
寺も全て元通り。空誓(市川右團次)の目を見てそう約束するが、もちろん腹の底では違う。許してしまえば、しめしがつかない。

そして正信。彼は切腹を覚悟していた。だからこそ、家康に想いをぶちまける。

「仏にすがるのは現世が苦しいからじゃ。生きているのが辛いからじゃ」
「殿が……お前が民を楽にしてやれるのなら、誰も仏にすがらずに済むんじゃ」

自分はその役目をはたしてないくせに、民からは救いの場を奪う。
 
「この大たわけが!」

それに対して、家康は表情を歪める。

「とうに悔いておる」

どのような過ちを起こしたのか、家康は気がついている。
自分がしてしまったことの愚かさ、恵まれている自分の生活の尊さを知る。

確かに、その日の米が食べられない者がいるというのに、妻と子どもを取り返すために戦をする、という家康の行動も民からすれば正気の沙汰ではないかもしれない。
それでも、民のために動いてくれてもいたら、気も収まるだろう。そうでなければ……。

「どうする家康」の家康はわりと好き勝手にしていて、それを周りの家臣たちが育てていっているようなイメージだ。
その中でも何人かの家臣たちは成熟していて、さまざまな地獄も目にしているであろう正信はその筆頭かもしれない。

家康は正信を殺さず、三河から追放とした。
彼は家臣を信じ、進んでいく。

今回は正信=松山ケンイチ回だったわけだが、魅力がてんこ盛りである。
登場時からの飄々とした表情だけではなく、悲しみ、怒り、憂い。戦場に出ないから武芸がダメかと思いきや、とんでもない弓の腕前を見せた。

だからこそ、家康のふがいなさも際立つのだろう。
本当に「家康、どうするつもり!?」と言いたくなる回が続くが、いまだ家康は成長過程である、と毎回思う。その証拠に、終盤の家康は前回の家康より、ほんの少し学びを得ている。

それにしても、個人的にも松山ケンイチの魅力を改めて実感した回だった。
何よりよく通る美しい声に聞き惚れてしまう。
再び、彼が家康のもとに舞い戻ってくるときが楽しみだ。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー

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岡崎城近くの築山に、民の声を聞くための庵を開いた瀬名(有村架純)。ある日、於大(松嶋菜々子)は2人に子が少ないことを心配し、側室を迎えるよう主張する。選ばれたのは、不愛想だが気の利く侍女・お葉(北香那)。家康はお葉と一夜を過ごすことになるが、お葉は思わぬ行動に出る!一方、京の都では政変が勃発。織田信長(岡田准一)や武田信玄(阿部寛)の動きも活発化し、家康は時代の荒波に巻き込まれていく…。

第10話のレビュー

難しい、難しいよ……! と思わずうなってしまった。

先週までのシリアスな空気から一転、今回は家康(松本潤)の側室探しだ。
於大(松嶋菜々子)と瀬名(有村架純)が率先して家康の側室候補をチェックする。
最初は家康も側室探しに参加するが、デレデレしてばかりであまり役に立っている様子はない。

そんな中、瀬名たちが目をつけたのはお葉(北香那)。
鵜殿の分家の娘で、城で下働きをしている。影は薄いが、平然と鉈でイノシシをさばくような勇ましさも。
城内の侍女の中には彼女に憧れている者もいるという。

瀬名たちの頼みにお葉は、自分は殿方に好まれるようなおなごではないと固辞するが、説得されて承諾。
どちらかというと、命じられたからにはお役目は果たす、というイメージのようだ。
一方、家康のほうはというとお葉は不気味だ、自分の寝首をかく気ではないかと言うが、瀬名たちは聞く耳を持たない。

家康の寝所に行く前に瀬名からレクチャーを受けるお葉。
知らぬ間に母である於大に性癖をバラされている家康。ちょっとかわいそう……。
お葉は家康の寝所に行ったら行ったで、たくましい様子を見せる。どう見てもラブシーンではない。
獲物を討ち取り、手なずけようとしているようにしか見えない(獲物は家康でお葉は手なずける側)。

しかし、本来お葉はできる女。気が利くお葉に家康も次第にほだされていく。
やがて、お葉は家康の娘を生む。

於大はもっともっと生みなさい! と発破をかけるが、うまくはいかなかった。
お葉は、好きな相手ができたから側室の務めをやめたいと申し出てきたのだ。
相手は誰だと憤る家康に、お葉が連れてきたのは同じ侍女のお美代(中村守里)。
家康の側室としての務めをこなすうちに、自分の本当の気持ちに気がついたのだろう。
家康に触れられるたびに吐きそうに、というほど実は嫌だったというお葉。家康は不憫だが、そりゃあ辛かっただろう、お葉……と思わずにはいられない。

側室を置くことになるきっかけとなった於大のセリフからして、今回はちょっと辛かった。
仲睦まじいのに子どもが生まれない、それは瀬名が女子として終わっているからだと言い放った於大。瀬名は怒るが理性でおさめたところはあるのだろう。自分が側室を選ぶことにしたのは、彼女なり折り合いの付け方だったのかもしれない。

お葉はお葉で、正室の瀬名と、殿の母・於大に頼み込まれれば、側室の話を断れないはずだ。
もしかしてこれは、誰も幸せになれない側室選びだったのではないか……。

自ら側室を選ぶ瀬名だって時間を重ねるにつれて苦痛は増しただろう。
だんだんお葉を気に入っていく家康に複雑な表情を浮かべる。瀬名が嫌だと言うのなら、と家康が言ったところで、本音を言えるはずもないのだ。

この時代に子を産め、側室をとれ、というのは当たり前の話だとしても、しんどいだろうなあ、と想像してしまう。

お葉も我慢して家康と床を共にしていたのだと思うと……少しばかり、苦味を覚える話だな、と考えこむ。ここからは、お美代と一緒に幸せに暮らしてほしい、お葉。

松平家では側室の話題に終始していたが、織田信長(岡田准一)や武田信玄(阿部寛)らが動き出している。
文字通り矢継ぎ早に矢を放つ信長(体幹……)、なんだかひとりだけ作画が違うような武田信玄。
のんびりしている場合じゃないぞ、家康。
次回、家康、ついに信玄と談判?

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–{第11話ストーリー&レビュー}–

第11話ストーリー&レビュー

第11話のストーリー

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三河国主となり、姓を徳川と改めた家康(松本潤)は、今川領の駿河・遠江を狙う武田信玄(阿部寛)と談判することになる。意外な形で信玄との交渉に臨んだ家康は、双方が今川領を攻め、切り取り次第で己の領地にするという密約を交わす。恩ある今川と戦うことに抵抗を感じつつも、家康は遠江の引間城へと兵を進める。しかも引間城主は、瀬名(有村架純)の親友・お田鶴(関水渚)。お田鶴の身を案じた瀬名は、文を送り…。

第11話のレビュー

三河国主となった家康(松本潤)。サクッと松平家康が徳川家康になった。

そしていよいよ動きが表面化してきたのが武田信玄(阿部寛)だ。
今川領である駿河・遠江を狙っている。
すごく武田信玄っぽいビジュアルだなあ、と思いつつも、武田軍だけ作画が違うのが否めない……という気持ちもある。

一方、信長(岡田准一)は上洛を成し遂げ、天下布武にまた一歩近づいた。
家康はそんな信長に「武田に今川領を渡すな」と強く言われている。家康は信玄に何度も談判を申し入れるが、返事はない。周りの国々からしてみれば家康なんて小童のようなものなのだろう。
武田信玄と織田信長に挟まれる家康、確かにおろおろしている小童にしか見えないからすごい。

武田側に特に動きがないため、家康らは「今川攻めを諦めたのではないか」と思っていたが、その年の冬、突然、信玄から会いたいと申し出がある。

談判当日、ソワソワと落ち着きがない家康。が、ぎりぎりになって信玄本人は来ないとわかる。やってくるのは談判役に家臣2人。数正(松重豊)や忠次(大森南朋)らは、家康と信玄とでは格が合わないからでは……とボソボソ。なんなら、談判役の家臣のほうが殿よりも格が少し上では、と言われる始末。が、信玄が来ないと分かったとたんに気持ちが大きくなる家康(そういうところでは……)。
数正らに談判を任せて、自分は小平太(杉野遥亮)と平八郎(山田裕貴)を連れて出ていく。

槍をぶんぶんと振り回し、血気盛んな平八郎。瀬名(有村架純)が好きだから落ちてる栗を拾おうとする家康、それに続く小平太。そして、体を寄せ合い、信玄の悪口を言う3人。きゃっきゃしていたところに現れたのは、信玄である。
こんなところで、今回のサブタイトル「信玄との密約」が行われる。

実際のところは、周りに信玄の手の者たちが囲んでおり、家康に逆らう余地はない。
駿府からは武田が、遠江からは徳川が今川領を切り取ろうではないかと提案される。当然、家康にああだこうだ言う余地はない。

そして帰り際に栗を渡される家康。「奥方が好きだと聞いたので」って言うけど、いつ、どこで?
もちろん、この場所で家康と信玄が会ったのは偶然ではない。全てを知って、計算し尽くした上での密談。なんだかもう、この時点で家康に勝ち目はありませんが?
ここまで観ていて思う。よく徳川家康が残ったな、と。
 
武田軍は駿府を、徳川軍は遠江侵攻を開始する。
遠江の引間城は瀬名の幼馴染・お田鶴(関水渚)が城主として治めていた。
瀬名はお田鶴に文を送り、徳川側につくように説得をしていたが返事はない。もちろん、家康と和解する様子もない。

お田鶴は城に火を放ち、18人の侍女たちと甲冑姿で城外へとうって出る……。 

お田鶴が願っていたのは、今川家のもとでみなが笑って過ごす時間が戻ってくること。平和な世が来ること。お田鶴と瀬名の回想では、2人が仲睦まじく笑い合い、嫁に行っても仲良くいよう、互いの家を訪れたりして……と優しい約束をしていた。

それは家康が今川から離れたことで叶わなくなった。さらに言えば、今川の窮状は家康のせいでもある。

そして氏真(溝端淳平)は……。

家康と瀬名にとって大切な地である駿府が変わっていく。それは2人の変化も描いているのかもしれない。が、いつまでも「妻が好きだから」と言って栗を拾おうとする家康であってほしいなあ、とも思う。

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–{第12話ストーリー&レビュー}–

第12話ストーリー&レビュー

第12話のストーリー

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武田信玄(阿部寛)から攻め込まれ、 家臣にも見限られた氏真(溝端淳平)は、 駿河・ 今川館を捨てる。 妻・糸(志田未来) は、 彼 女の実家である北条に身を寄せるよう勧めるも、氏真は耳を貸さない。一行が徳川領に近い掛川城に落ち延びたため、 家康 (松本潤) は兄弟同然に育った氏真と直接戦うことになり…。

第12話のレビュー

駿府が攻略された今、気になるのは今川氏真(溝端淳平)だ。しかし、その行方は分からない。

家康(徳川家康)は氏真と戦わなくてよかったことにホッとしていたが、徳川軍がこれから攻めようとしている掛川城に氏真がいることが分かる。

武田信玄(阿部寛)からは氏真の首級を上げよ、と命が届く。戦いは避けられない。

迷う家康。氏真とは昔から兄弟のように過ごしてきた仲だ。
だが、家臣たちからすれば、氏真がしてきたことは許せない。織田軍に囲まれたときに助けてくれなかったこと、そして残してきた者たちを殺されたこと。

家康は掛川を攻め、氏真を討つことを決める。
が、氏真は思っていた以上に手強く、4ヶ月の時をかけても掛川城を落とせない。
しびれを切らした信玄も動き出す。

追い詰められた氏真は強かったが、徳川軍も手を緩めているわけではない。
が、本多忠勝(山田裕貴)からケガを負わされた氏真の表情は暗い。
さすがに後がないと思った氏真は正妻の糸(志田未来)に、女たちを連れて陣を抜け、北条に身を寄せよ、と命じる。

しかし、抜け穴が見つかり、糸らは家康につかまり、そこを通じて家康たちは氏真の陣へと乗り込む。
久しぶりの対面。そこでようやく、家康と氏真は自分たちの想いをぶつけ合うことができた。
 
今川義元(野村萬斎)が死んでから、闇落ちまっしぐらだった氏真。それには理由があった。

桶狭間の戦いでは留守居役だった氏真。家康は軍を任されているのになぜ? と詰め寄る氏真に、義元は「将としての才はない」と言う。「自分には蹴鞠ぐらいしか才がない」とずっといじけていたのだ。
しかし、義元の真意は別にあることを糸は聞いていた。

「天賦の才はない」しかし「己を鍛え上げることを惜しまぬ者はいずれ必ず天賦の才がある者をしのぐ」と言っていたのだ。「きっと良い将になるであろう」とも。

それを直に伝えてほしいという糸に、義元は「あい、わかった。この戦から戻ったら」と言っていた。
が、戻れなかった。信長に討たれて……。

その事実をここにきて知ることになる氏真。
もっと早く、誰かに助けてほしかったのだろう。しかし、糸を遠ざけ、家臣たちにも心を開かず、孤独を極めていた氏真に助けてくれる人はいなかった。
それでも、離れようとしなかった糸がいてくれたおかげで、氏真は救われた。

氏真に弓ひいたことを謝る家康。彼は訴える。「死んでほしくない」「今も兄と思っている」と。真実を知った氏真にもう覇気はない。

「そこからおりましょう。糸は蹴鞠をするあなたさまが好きでございます」と糸が寄り添う。

氏真は糸と共に北条に身を寄せることに。

「なにひとつ、ことを成せなかったが、妻ひとりを幸せにしてやることならできるやもしれん」

ようやく、穏やかな表情が氏真に戻ってくる。

 
が、それを黙って見送った家康に対して、武田軍が黙っているはずがない。
「信玄は大いに怒っておる!」
一方、徳川軍は期待を高める。北条と手を組めば、武田軍を倒せるかもしれない。
武田軍との関係、いったいどうなるのか。