<Get Ready!>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

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妻夫木聡主演のドラマ「Get Ready!」が2023年1月8日放送スタート。

本作は、多額の報酬と引き換えに、手段を選ばず患者の命を救う正体不明の闇医者チームの活躍を描いたダーク医療エンターテインメント。闇医者チームのメンバーには、主人公で孤高の天才執刀医・波佐間永介(通称:エース)を妻夫木、その相棒である交渉人・下山田譲(通称:ジョーカー)を藤原竜也、凄腕オペナース・依田沙姫(通称:クイーン)を松下奈緒、若き万能ハッカー・白瀬剛人(通称:スペード)を日向亘が演じる。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・「Get Ready!」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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エースこと波佐間永介(妻夫木聡)は、表の顔はパティスリー「カーサブランシェ」のパティシエ、裏の顔は法外な報酬と引き換えに違法なオペをする闇医者チームの執刀医である。

ある日、副総理の羽場(伊武雅刀)が脳神経を断裂し大学病院に運ばれた。一命は取り留めたものの、院長の剣持(鹿賀丈史)から「二度と歩くことはできない」と告げられる。

憤慨する羽場の前に、ジョーカー(藤原竜也)が現れた。彼は患者にエースのオペの条件を提示する交渉人だ。交渉が成立するかと思った矢先、エースが現れ「お前に生き延びる価値はあるのか?」と問う…。

その様子を、闇医者チームのメンバーである凄腕オペナースのクイーン(松下奈緒)と若き万能ハッカーのスペード(日向亘)がモニターで見守っていた。

闇医者チームの次なるターゲットとなったのは投資家の渋谷(池松壮亮)。渋谷は、突然の余命宣告を受け人生に絶望していた。失意の渋谷に、エースら4人の闇医者チームは……!?

第1話のレビュー

「生きる価値」という言葉を前にしたら、何やら居心地が悪い。その言葉を誰かが使う時は大体、「生産性」というワードがセットになる。

社会にどれだけ良い影響をもたらしたか。その大きさによって生きる価値が決められるのだとしたら、あまりにも恐ろしい。

そもそも、誰がその価値を決めるのか。新日曜劇場「Get Ready!」は決断者を、闇医者チームの執刀医に定めた。

ある日、副総理の羽場(伊武雅刀)が脳神経を断裂し大学病院に運ばれた。一命は取り留めたものの、院長の剣持(鹿賀丈史)曰く、二度と歩くことはできないという。

憤慨する羽場の前に現れたのは、仮面を被った謎の男。名をジョーカー(藤原竜也)という。彼は多額の報酬と引き換えに、患者の命を救う闇医者チームの交渉人だった。

日本では認められていない術式と未承認の薬剤を使い、必ず歩けるようにするとジョーカーは羽場に誓う。その交渉の模様をモニターで見守るのは、オペナースのクイーン(松下奈緒)とハッカーのスペード(日向亘)だ。

チームのメンバーは羽場の18億4000万円という総資産額に心を躍らせる。ただ一人、執刀医のエース(妻夫木聡)を除いて。

「あんたの命を救ったとして生き延びる価値はあるのか」と羽場に問うエース。羽場は非正規雇用を増やし、格差の溝を広げた。権力欲に囚われた羽場をエースは「生き延びる価値がない」と判断する。

価値の有無を見極め、手術をするかどうかの最終判断はどうやら羽場がするらしい。

好き勝手振る舞おうとも有無を言わせないほどの技術で、昼間は自身の店であるパティスリー「カーサブランシェ」でパティシエをしているエース。

常連客の女子高生・水面(當真あみ)はエースが作るケーキだけではなく、彼自身にも好意を抱いているようだ。

エースに惚れ込んでいるのは、ジョーカーも。クイーンとの会話から、彼もまたエースに命を救われたことが分かる。

「エースが何を求めているか理解したい」と熱弁するジョーカーはまさに恋する乙女だ。クイーンに勧められ、何かヒントをもらうために怪しげな占い師・POC(三石琴乃)の元を訪れるジョーカー。

大筋はシリアスな医療ドラマだが、日常パートでコミカルさを仕込む。まだこの雰囲気についていけていない人も多いのではないだろうか。

闇医者チームを「仮面ドクターズ」と呼び、噂するのは大学病院の面々。院長の剣持は特段、彼らの存在を疎ましく思っている。

その長女である玲於奈(結城モエ)と外科医の染谷(一ノ瀬颯)は剣持に逆らえない。二人は婚約中で剣持に引き裂かれないように必死なようだった。それらの事情を周りの医者たちも把握しているが、仮面ドクターズなる存在が気になって仕方がない様子。

ひと癖もふた癖もあるメンツが集まっている警視庁特務捜査課も、彼らの逮捕に燃えている。

そんな中、闇医療チームの次なるターゲットとなったのは投資家の渋谷(池松壮亮)。彼は「特発性間質性肺炎」という診断が下されるも、有効な外科的治療はなく、34歳にして余命半年を告げられる。

彼もまた表向きは慈善事業に力を入れているが、裏では技術と実績のある中小企業を強引に買い、海外に売り飛ばして莫大な富を得ていた。会社を奪われた経営者の中には自殺に追い込まれたものもいる。

またもや、エースは渋谷を救うことにNOを突きつける。しかし、死を前にして渋谷の心には変化が現れていた。「金融の力で日本の宝を守る」という本来の目標を思い出したのだ。

残された時間やお金を、世界に誇る技術を持った町工場の手助けをすることに使い始める渋谷。そして、力尽きようとしたその時、闇医療チームが駆けつけ、彼の命を救う。

タイトルの「Get Ready!」はエースが出す手術のゴーサイン。近未来感のある手術室で鮮やかなオペをしてみせる。渋谷がやってきたことは消えない。彼が奪った命も戻ってはこない。

しかし、エースは彼に「生き延びる価値がある」と判断したのだろう。それは彼自身の残された良心に免じてなのか。それとも、彼が生きることで得をする誰かがいるからなのか。

まだエースの判断基準も、このドラマが伝えたいことも分からない。ただ政治批判、医療格差や日本の伝統文化における後継者問題など、あらゆる問題を取り込もうとしていることは伝わってきた。

果たして、それが吉と出るか、凶と出るか。

※この記事は「Get Ready!」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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ジョーカー(藤原竜也)と深く関わる、千秋(市川由衣)が、一人息子(相澤壮太)を城和大学附属小学校に裏口入学させるため、2億円を用意して欲しいとジョーカーのもとを訪ねて来る。その城和大学は近年、坊城理事長(柄本明)による裏口寄付金プロジェクトで莫大な金を得ていた。

金の亡者となった坊城理事長は、副理事長で息子の康之(三浦貴大)にその座を降ろされた上、ガンで余命数か月と宣告される。しかし、交渉のため現れた闇医者チームのジョーカーに、自分が死ぬとしても2億円以上は払えないと断る。

「金のない‘理想’は無意味」と語る坊城理事長に隠された秘密とは?そしてその言葉に引っかかったエース(妻夫木聡)は、果たして坊城の命を救うのか!?

第2話のレビュー

初回の放送で池松壮亮が登場したように、ドラマ「Get Ready!」は毎話のゲストが豪華だ。第2話には一癖も二癖もある役柄をこなしてきた柄本明が出演し、圧巻の芝居を披露した。

多額の報酬と引き換えに、日本では認められていない術式と未承認の薬剤を使って患者の命を救う。世間から“仮面ドクターズ”と呼ばれる闇医者チームのメンバーは普段、正体を隠して暮らしている。

現在の医療界では不可能なオペもこなす敏腕執刀医“エース”こと、波佐間の表の顔はパティシエ。手先の器用さを生かした彼の繊細なケーキには、水面(當真あみ)のように熱心なファンが付いている。

一方、波佐間に仕事を与える交渉人のジョーカー(藤原竜也)は下山田という名前で普段は国際弁護士として活躍。そんな彼のもとに、元妻の千秋(市川由衣)と一人息子の優人(相澤壮太)が訪ねてくる。

千秋の用件は、医者志望の優人を城和大学附属小学校に裏口入学させるため、2億円を用意して欲しいとのことだった。近年、とあるプロジェクトで莫大な金を得ているという城和大学。

理事長である坊城(柄本明)は自分の学校に子供を入学させたい保護者たちに裏口入学を案内し、多額の寄付金を手に入れていた。それだけじゃない。製薬会社からのキックバック、政界との癒着と利権などが噂される金の亡者だ。

そんな坊城に、ジョーカーは2つの顔で近づく。表の顔で坊城に近づく目的は2億円を学校へ収める代わりに息子である優人を入学させてもらうため。

そして、裏の顔では、坊城に多額の報酬と引き換えにした手術を持ちかける。坊城は肝内胆管癌を患っており、余命数カ月を宣告されていたのだ。しかし、坊城はたとえこのまま放っておいたら自分が死ぬとしても、2億円以上は払えないと断る。

こんな状況でもお金を優先させる坊城に、モニターで交渉の様子を見守っていたクイーン(松下奈緒)とスペード(日向亘)もあきれ顔だ。

坊城に反発する声がないわけではなく、副理事長で息子の康之(三浦貴大)もまた坊城のやり方には辟易していた。自身が幼い頃から坊城は家庭を顧みず、医師の仕事に奔走し、結果的に母親の病気を見逃した。

そして、今や金のためにやりたい放題の父親を黙って見てはいられず、康之はマスコミに坊城の悪行をリークし、引責辞任を言い渡す。坊城は息子の手により、理事長の座から引き摺り落とされた。

そんな一見救いようのない悪人に対しても、エースは「生き延びる価値があるのかどうか」を問いかける。エースが納得するような答えは返ってこないと思われたが、「金のない理想など、無意味なんだよ」という坊城の言葉が彼の心を捉える。

果たして、坊城にとっての理想とは何か。チームが調べた結果、坊城は以前から僻地に最新設備の整った病院を建設するため奔走していたことが分かる。方々に頭を下げ、自分に残された時間でやるべきことを全うする坊城の姿がそこにはあった。

そんな坊城にジョーカーは、城和大学で医師を志した卒業生たちや関係者の前で最後の講義を行わせる。そこで坊城が語ったのは、「地方に一つでも多くの優秀な病院を作り、一人でも多くの優秀な医者を育てる」という息子の康之も知らない自分の理想だった。

政治家に任せていたら一向に解決しない地域格差を埋めるため、どんなに汚い手を使ってでも資金づくりに奔走した坊城。しかし、死を目の前にして、坊城は家族との関係性も含め、多くのことを犠牲にしてきたことに対し、後悔したという。

「一つだけ伝えたいことがあります。過ちに気づけば人はやり直せるということです。私は気がついたところからやり直してみました。過ちを正す瞬間の風景は鮮やかだ。勇気を持って正したからこそ見える景色もある。だから、恐れずぶつかってみてください」

やってきたことは決して褒められたわけではないが、自分の手を汚してでも医療の発展に尽くしてきた坊城の熱いメッセージは若き医療従事者たちの心に届いた。死の間際に立ち、残り火を燃やし尽くすかのごとく、柄本明の芝居に圧倒される。坊城の講義シーンには、まるで最終回のような迫力と熱量があった。

結果、坊城は「生き延びる価値がある」とエースに判断され、オペでその命を救われる。前回と同じく、どんな悪人もその人なりの正義や使命感を持っており、死を前にそれが色濃くなる様子が描かれた。しかし、康之が語ったように「理想の犠牲者」はやっぱりいる。

池松壮亮が演じた渋谷に追い詰められ、死を選んだ人がいるように、坊城から裏口入学の話を持ちかけられ、寄付金のために悪事に手を染めた保護者や、それによって苦しめられた人もいるかもしれない。そう考えると、どんなに改心したとしても、過去の悪行が許されるものだとは到底思えないのだ。

しかし、エースたちはそうした人間の命を、普通の人なら払えない多額の報酬と引き換えに救う。自分たちの力を、技術を、渋谷や坊城のような強者から普段虐げられている人のためには使わない。

そこにどうしても違和感を覚えてしまい、豪華俳優陣の演技に感動こそすれど、結末にイマイチ納得できない。ただ、闇医療チームの本当の目的もこの先明らかになってくるのだろうから、この違和感を持ちつつも物語を引き続き追っていきたいと思う。

※この記事は「Get Ready!」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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闇医者チームは、とある連続殺人事件を追いかけていた。
警察の捜査が近づく中、ジョーカー(藤原竜也)やクイーン(松下奈緒)の反対を押し切って事件の被害者たちを救い続けるエース(妻夫木聡)。
実は犯人の安達(杉本哲太)もまたエースの患者であり…彼が連続殺人犯になった隠された理由とは?
そして闇医者チームは警察の目を盗んで、安達を救うことができるのか?

第3話のレビュー

エース(妻夫木聡)とジョーカー(藤原竜也)が誰かを追っている。二人がたどり着いた場所には、何者かに刃物で刺された男性の姿があった。エースはその場ですぐに処置を施し、男性の命を救う。

一体彼らは何をしているのか。冒頭から怒涛の展開に引きつけられた「Get Ready!」第3話。

日本で未承認の術式や薬剤を使った手術に、患者との法外な取引。犯罪組織として警察にも目をつけられている闇医者チームを揺るがす出来事が起きる。

エースたちが追っていたのは、男性を刺して逃げた犯人の方だった。安達(杉本哲太)という名の犯人はエースの患者であり、末期の原発性脊髄腫瘍に侵されている。余命3ヶ月を言い渡されたが、3千万と引き換えにエースの手術を受けるはずだったという。

権力と地位を持った第1話の渋谷(池松壮亮)、第2話の坊城(柄本明)とは違って、ごく普通の会社員に見える安達。だが、その実、彼は身を燃やし尽くすような復讐心を抱えていた。

10年前、とある女性が3人の男から性的暴行を加えられた上に、生き埋めにされ殺害された。その女性こそ、安達の愛娘。安達は3人の男が全員刑期を満了したタイミングで、自らの手により、彼ら一人ずつを殺めようとしていたのだ。

日本でも実際に起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件を彷彿とさせる事件の内容に辟易する。その胸糞の悪さを少しでも和らげようとしているのか、今回は安達を追う警視庁特務捜査課のメンバーが終始大暴れしていた。

THE・体育会系の東堂(菅原琢磨)は勢いに任せて会社の扉を壊すわ、課で唯一の女性である菊川(片山友希)はかなりポンコツで何度もズッコケる。コテコテの関西弁を使う加須(吉田涼哉)に関しては初回から癖の強そうなキャラクターだと思っていたが、どうやら特務捜査課は基本的に全員が個性的ということがようやく見えてきた。

そんな彼らの行動で笑わせようとするコミカルな演出が目立つものの、それでも安達の娘が犠牲となった事件の胸糞悪さは一切拭えないし、そもそも拭えるものじゃない。

安達が刺した男たちを見つけては、その命を救うエース。これにはSNSでも「そんな奴らを助ける必要ある?」という声が挙がっていたが、作中でもクイーン(松下奈緒)がエースに反発する。

ジョーカーも安達を追う警察たちに自分たちの存在を知られてしまうことを懸念し、今回の案件から手を引くようエースに言い聞かせるも彼は全く聞く耳を持たない。エースは、亡くなった娘のためにも安達は生き延びる必要があると判断したのだ。

ようやく、見つけ出した安達に「娘さんはあんたを人殺しにするために生まれてきたんじゃないだろう」と問いかける。その言葉で安達は考えを改めるのだが、あまりにもあっさり折れたので拍子抜けしてしまった。10年もかけて復讐計画を立てていたのに、エースの割とありがちな説得に応じるだろうか。

たしかに娘は安達が犯罪者になることを望まないだろうが、本人が望んでいようといまいと、愛する人の命を奪われたら奪った相手に復讐したいと願う人も必ずいる。ましてや、あれだけ卑劣な事件だ。安達の覚悟はエースの言葉だけで揺らぐようなものではないと思うが……。

今回もゲストである杉本哲太の演技は素晴らしい。娘を失った父親の哀愁とともに、復讐にとらわれた連続殺人犯としての狂気も感じさせ、まるで映画を見ているかのように錯覚する瞬間もあった。

特に、叶わなかった娘との待ち合わせが空想上で行われた場面には思わず涙が溢れそうになったが、やはりストーリー上で気になるところが多々あって完全に入り込めないのも正直な気持ちだ。一種のシリアスコメディとして考えれば楽しめるのだが、これだけ豪華で実力のあるキャストが集まっているのに!という勿体なさも。

今回はラストで闇医者チームが雇っている謎の運び屋として、鈴木亮平も登場したので、徐々に物語が面白くなっていくのを期待する。

※この記事は「Get Ready!」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー


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天才彫刻家の洋子(美村里江)は、脳腫瘍の摘出手術は不可能であると医師から告げられ、残された時間で最期の最高傑作を作ろうと決意する。そこにジョーカー(藤原竜也)が現れ、6億円で腫瘍の摘出手術をしてもらう契約を結ぶ。

ところが、洋子のMRI画像を確認したエース(妻夫木聡)は、彼女が腫瘍が原因で発症した後天性サヴァン症候群であることを見抜く。腫瘍を取り除けば命は助かるが、彫刻家としての才能は失われてしまう。

命か、才能か・・・。唯一無二の才能を持った洋子の迷いを、クイーン(松下奈緒)は自分のことのように受け止めていて・・・。

第4話のレビュー

「Get Ready!」第4話は、闇医者チームの執刀医・波佐間=エース(妻夫木聡)と、オペナースの沙姫=クイーン(松下奈緒)の手術シーンからスタートした。

相変わらず、息がぴったりの二人。モニターでその様子を見ていた白瀬=スペード(日向亘)は下山田=ジョーカー(藤原竜也)からクイーンの技術はエースが仕込んだものだと聞き、クイーンの過去が気になり始める。

クイーンはオペナースになる前に何をしていたのか。なぜ闇医者チームに合流したのか。その過去が、新たな患者候補の人生と重なっていく。

今回の患者は、天才彫刻家と知られる女性・洋子(美村里江)。脳腫瘍が見つかり、剣持(鹿賀丈史)が院長を務める千代田医科大学附属病院に入院していたが、摘出が不可能であると判断され、病院を脱走。残された時間で最期の最高傑作を作ろうとしていた。

そんな彼女の元に、ジョーカーが交渉に赴く。洋子はずっと無名の彫刻家で、苦労してきたが、5年前に発表した作品をきっかけにその才能が認められるようになった。努力家で人から認められる才能がある。これならエースも「生きる価値がない」とは言わないだろう。

本人もまた手術を望んでおり、報酬も6億円までなら出すという。今回は何も問題はない……はずだった。

手術にあたり、洋子のMRI画像を確認していたエースはあることに気づく。洋子は脳腫瘍がきっかけで後天性サヴァン症候群(怪我や病気で脳を損傷し、特定の分野で際立った能力を発揮すること)を発症。5年前から急に才能が認められるようになったのもそれが原因だった。

つまり腫瘍を摘出すれば、命が助かる代わりに才能が消える。「命か才能か、あなたが生きる価値を選んでくれ」と洋子に問いかけるエース。これまでは患者の生きる価値を決める側に立っているエースが、患者自身に答えを委ねた。なるほど、新しい展開だ。

頭を悩ませる洋子に、自分の利益のためもあるだろうが、「才能は生きるために利用するものだ。そのために命をなくしてはいけません」と問いかけるジョーカー。何より、恋人の倉木(青柳翔)も洋子に生きてほしいと願っている。

だが、彼自身、洋子が才能よりも命を選び切れない一つの理由。倉木は全国に美術館を保有する一族の人間であり、洋子の才能を見出したのも他ならぬ彼だった。自分が才能を失えば、彼も離れていくのではないか。まるで禅問答のような終わらぬやりとりに、終止符を打ったのがクイーンだった。

患者から多額の報酬さえ貰えれば、それでいいと考える利益優先主義に思えたクイーン。そんな彼女がわざわざ洋子の前に現れた理由、それはクイーン自身も洋子と同じ経験があったからだ。

闇医者チームのオペナースになる前、クイーンは大手ジュエリーメーカーのデザイナーだった。宝石のデザインのみならず、天然のダイヤと比べても何の遜色もない人口ダイヤの研究もしていたという。しかし、ダイヤモンド市場には世界中で強力なカルテルが結ばれており、クイーンが生み出した人口ダイヤはその均衡を崩しかねないものだった。

よって、クイーンは何者かに命を狙われるように。そんな時、彼女を助けたのがエース。クイーンは彼に手術で顔を変えてもらっただけではなく、オペナースとしての技術を身に付けてもらった。これが今、クイーンが闇医者チームにいる理由である。

「結局、自分のことは自分で決めるしかない」「選んだのは私。もしこの先、後悔することはあっても納得はできる」と洋子に腹をくくらせるクイーン。果たして、洋子が選んだ道とは。

第4話は、ラストに大きなどんでん返しがあった。倉木に「才能なんかなくたっていい」「何もなくたって一緒に生きてほしい」と言われ、手術を受けることに同意したはずの洋子。無事に手術は成功したが、彼女は才能を失ったことによるショックで精神的に不安定になり、倉木に別れを告げる。

命は救われたのに、何となくモヤモヤが残るラストだなと思いきや、これは全て嘘。結局、洋子は倉木のために彫刻家としての才能、ひいては鼓動が聞こえてくるような作品を生み出す生きがいを捨てることはできなかった。

よって、脳腫瘍は摘出せず、残りの人生を、命を彫刻に捧げることに決めた。洋子が倉木についたのは、嘘は嘘でも優しい嘘。「後悔することはあっても納得はできる」というクイーンの言葉通り、死と直面する恐怖、倉木を手放し、ひとり彫刻に向かう孤独や喜び……様々な感情がない交ぜになった洋子のラストシーンに思わず一筋の涙が頬を伝った。

同じく美村里江がドラマ「MIU404」の第4話で演じた青池透子役を思い出す。命の灯火が今にも消えそうになったときに湧き上がる人間の強さを表現させたら、彼女の右に出る者はいない。

美村の名演も相まって、第4話はこれまで以上に心に響く回だった。もちろん、医者が救える命があるのに救わないという展開に意見は分かれるだろう。ただ、本作はあくまでも「自分の命の行く末は本人が決めること」という結論を取った。

洋子の遺作が並ぶギャラリーで倉木が涙を流しながらも穏やかな表情を浮かべていたように、本人が最期まで自分らしく生きたことがその人を大切に思う人にとっても救いになることが往往にしてある。洋子の人生を通して、考えさせられることがたくさんあった。

※この記事は「Get Ready!」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー


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町工場「石川精機工業」の職人・石川智明は、通称クローバー(小林勝也)。
エース(妻夫木聡)との付き合いも長い、闇医者チームの特殊機械担当だ。
仮面のメンテナンスを頼みに行ったスペード(日向亘)は、クローバーからエースとの出会いや、エースとジョーカー(藤原竜也)の関係を聞く。

そんな折、若年性アルツハイマーを患う渚(小島藤子)とその夫・健二(高橋光臣)と出会ったエースは、手術の交渉をジョーカーに依頼する。
夫婦は資産家ではないためジョーカーは乗り気ではなかったが、2人に会い、思ってもいなかった事実を知ることに・・・。

第5話のレビュー

法外な報酬と引き換えにどんな手術も請け負う闇医者チームはたった4人……ではなさそうだ。以前、鈴木亮平が“謎の運び屋”としてサプライズ登場したが、闇医者チームに協力する人間が他にもいるのは明らか。その一人が町工場で働く職人・石川智明、通称“クローバー”(小林勝也)だ。

仮面のメンテナンスを依頼するため、クローバーの元を訪れたスペード(日向亘)。ここのところ、好き勝手に行動するエース(妻夫木聡)と、それに対して何も言えないジョーカー(藤原竜也)にイライラさせられてるスペードは二人と付き合いの長いクローバーに思わず愚痴る。

なぜ、正反対に思えるエースとジョーカーは“仲間”になったのか。前回はオペナースを務めるクイーン(松下奈緒)の過去が明らかになったが、「Get Ready!」第5話は交渉人のジョーカーがエースの相棒になるまでに迫る。

スペードがクローバーのところから帰ってくると、エースがジョーカーに交渉を依頼しにきていた。今回、交渉を依頼したいというのは若年性アルツハイマーを患う渚(小島藤子)とその夫・健二(高橋光臣)。

資産家でもない夫婦にこれまでのような数億もの報酬を望めるはずもなく、誰もがエースに反対する。特にあまりに自分勝手なエースにジョーカーは怒り心頭。二人は真っ向から対立するのだった……。

しかし、エースが夫婦を交渉相手に選んだ理由はジョーカーの過去に関係していた。実のところ、今回の患者は妻・渚の方ではない。重篤になれば助かる見込みのない病気を患っている夫・健二の方。

その病気とは、急性壊死性膵炎。4年前、ジョーカーは同じ病気で余命1ヶ月を言い渡された。

当時、腕利きの弁護士として活躍していたジョーカーは海外にも活動の場を広げ、まもなく妻や息子とともにニューヨークに移り住む予定だった。地位もお金も手に入れ、何不自由ない生活。しかし、心のどこかで抱えていた虚しさが命の終わりを前にジョーカーの中から放出する。

かつては過酷な環境下に放り出され、どん底から這い上がっていく泥臭い青年を演じていた藤原竜也。今や、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」で父親となったハリー・ポッター役を演じるなど、人生の折り返し地点に立った中年の危機を哀愁たっぷりに体現する。今回演じるジョーカーも4年前の姿は病気で心も身体も弱まり、みるからに痛々しい。

そんなジョーカーが偶然出会ったのが、死神と見まごうほどに生気を失ったエースだった。触診とほんの僅かなやりとりで自分の病気を当ててみせたエースにジョーカーは助けを求める。

当初、エースは人間がただ生き永らえることに意味があるとは思えず、聞く耳を持たなかった。しかし、どんなに無様だろうが、生きることへの渇望をやめないジョーカーの姿がエースの心を動かしていく。

結果、ジョーカーはエースにその命を救ってもらった。しかし、同時にエースもジョーカーに救われたのだ。エースの過去に何があったかはわからない。ただ、何の希望を持っていなかったエースに「医者の性(さが)をその手が訴えている」とジョーカーは教えてくれた。

今回、エースが健二を患者に選んだのは、健二もまた4年前のジョーカーと同様に生きる虚しさを抱えていたからであろう。

アルツハイマーは進行を遅らせることしかできないが、膵炎の方は治すこと可能だった。ひいてはどんどん認知症が進行し、一人では生きていけない渚のそばにこれからもいることができる。しかし、健二は自分が手術を受けることは望んでいない。

なぜなら、もう限界だからだ。終わらない介護、治らない病気、いつかは忘れられる運命にある自分……。手術で生き長らえたとして、その先に希望があるのか?

自問自答する健二に、エースは「たとえ、生きながらえたとしても、きっとあんたも絶望の淵に立たされることになる。だが、それが終わりじゃない」と語りかける。それは自ら命を救ったジョーカーが新たな人生を手にしていく姿を隣で見てきたからに他ならない。

ジョーカーはエースの手術で病気を克服したのち、新しい目標に向かって動き出す。それはエースの腕を生かし、自分と同じく絶望の淵にいる人間を救うこと。エースに“波佐間永介”という戸籍と、最新医療機器を揃えた“ゲーミング手術室”を与え、ジョーカーは交渉人として患者を見つけてくる。

そうして最初は2人だけで始まった闇医者チームはいまや、最新鋭の医療技術を誇る大学病院ですら手の施しようのない患者も救える謎の組織として巷を賑わせている。健二の命も無事に救うことができ、自分のことを忘れてしまった渚と笑い合う二人の姿をエースとジョーカーは見届けることができた。

ただ、やはりエースが患者を選ぶ基準はまだよく分からない。生きようとする人間は救うけれど、その人間に生きる価値がなければ、救わない判断を取る。今回の件で、エースにとっては報酬の支払い能力もあまり関係ないことがわかった。

「いつか彼らにも話してあげたらどうですか。あなたが失った命のことを」とエースに語りかけるクローバー。エースが“生きる価値”を患者に問う理由はその失った命に関係しているのだろうか。

※この記事は「Get Ready!」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー


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ジョーカー(藤原竜也)が挙げた次の患者候補は、パティシエの嶋崎(鶴見辰吾)。
人生の苦難を乗り越え世界的なパティシエとなるも、病に侵され余命宣告を受けた嶋崎。
彼は、エース(妻夫木聡)の店の常連客・水面(當真あみ)の父親でもあった。

水面の様子に異変を感じていたエースは、その原因を探るため、クイーン(松下奈緒)に調査を依頼する。
そして事情を知ったエースは、嶋崎に“生きる価値”があるのか、娘である水面に命の選別を迫るのだった・・・。

第6話のレビュー

千代田医科大学附属病院の外科医・染谷(一ノ瀬颯)が警察に協力し始めた。日本の医療の最先端であり、最高峰でも手に負えない患者を救う仮面ドクターズが何者なのかを知りたい。その一心で。

きっと染谷は一人でも多くの命を救いたいと誰よりも願っている。だからこそ、救えない命があることに人一倍もどかしさを感じているのだろう。そんな染谷はまさしく今も、一人の治せない患者を抱えている。世界的なパティシエ・嶋崎(鶴見辰吾)だ。

嶋崎は亡き妻との夢を叶え、自分のお店を出したが、事故で右手を損傷。パティシエを引退せざるを得なくなったものの、経営者として成功を収めた。しかし、三ヶ月前、極度のインスリン不足で様々な症状をきたす糖尿病性ケトアシドーシスを発症。有効な外科的治療もなく、余命宣告を受けた。

自分では彼を救うことができないが、仮面ドクターズなら……?染谷がそう思っていた頃、奇しくも嶋崎は闇医者チームの次の患者候補として挙がっていた。

素行に問題も見られず、報酬もたんまり払えそうな嶋崎。さらにいえば、嶋崎は執刀医のエース(妻夫木聡)が波佐間という名前で出しているパティスリー「カーサブランシェ」の常連客・水面(當真あみ)の父であり、なおさら命を救う価値がある。誰もがそう思った。

しかし、エースには気がかりなことが一つ。それは水面の身体に見られる傷。実は水面は父である嶋崎から日常的に暴力を受ける被虐待児だった。嶋崎は自分の右手が思う通りに動かないイライラを、水面にぶつけていたのだ。

エースに頼まれ、水面に接触したクイーン(松下奈緒)はその事実を知り、憤りを隠せない。子供に暴力を振るうなんて許せないというクイーンの気持ちはよくわかる。だけど、「許せないというよりは悲しい」と言う水面。

いつも自分を喜ばせるためにケーキを作ってくれた父親がいつか戻ってきてくれるんじゃないか。美味しいケーキを食べたらもしかして……そんな思いで、水面は「カーサブランシェ」に足繁く通っていたという。

だけど、その淡い期待も水面の中からすでに消え去った。「あんな人、早く死んでほしい」という彼女の思いを受け、嶋崎の手術は見送りになるはずだったが、エースの判断でひとまず交渉してみることに。だが、今回手術をするかどうかを決めるのは患者本人でもエースでもない。水面だ。

水面を演じるのは、ここ数年“ネクストブレイク女優”としてよく候補に挙がる當真あみ。デビューからまだ2年も経っていないにもかかわらず、2023年は本作に加え、ZIP!の朝ドラ「パパとなっちゃんのお弁当」(日本テレビ系)、大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合)に出演となる。

あれだけ透明感があれば、もっと消え入りそうな感じがあってもおかしくないのに當真の場合は強い生命力を感じさせる。その凛とした眼差しが確固たる意志を伝えてくるのだ。當真のキャリアを振り返ってみても、中学生の天才小説家やフェンシングの選手など、何かの才能を持った役柄が多い。

今回演じる水面はごく普通の女子高生だが、序盤から何かありそうな雰囲気を醸し出していた。それがまさか虐待を受けていたとは……。仮面をつけたエースに「お前の父親はまもなく死ぬ」と衝撃の事実を突きつけられ、さらには父親の命を救うか、それでも暴力の苦しみから解放されるかという究極の選択を迫られる水面。

一度は救わないことを決断したものの、本当にこれでよかったのかと自問自答する水面の揺れる心を當真は表現した。

しかし、後半は水面の気持ちを知った嶋崎が心を入れ替えるという展開に。思い通りに動かない手でケーキを作り、それを「少しでも笑顔が重なっていく人生を父親失格ながら、空からずっと見守っています」というメッセージ付きで水面に贈る嶋崎。

それによって水面は、自分が暴力の苦しみから解放されるために父親を見殺しにしたという罪悪感にかられる。だけど、先に自分の苦しみから解放されるために水面を利用したのは嶋崎の方だ。

「あの子(水面)が私なしで生きていけるはずがない」と嶋崎はジョーカー(藤原竜也)に言った。子供はどんなに暴力を受けていても、親に頼るしかない。いつか自分を愛してくれるかもしれないという希望も抱いてしまう。それが嶋崎はわかっていて、自分の苛立ちを水面に暴力を振るうことで発散していたのだ。水面が罪悪感を覚える必要なんて一切ない。

結局、娘を苦しめた罪を生きて償わせるためにエースは嶋崎を救う。水面に自分が父親を見捨てたという後悔を負わせないためなのだろうが、だったら最初から水面に選択させる必要はあったのか。

DVは苦しみを埋めるための暴力がやめられない依存症の一つであり、その治療は困難を極める。死を前にしたからといって、すぐさま反省できるほど簡単なことはない。いや、反省していても自分の力では衝動が抑えきれなくなる病気だ。だから正直なところ、水面のためにケーキを作ったのも命拾いにしか思えなかった。

水面が生きてほしいと願っているのだから命を救うまではいいが、右手まで治してあげたのはなぜか。本当に罪を償わせるのであれば、パティシエにとっての命である手がうまく使えないという苦しみをもってしても、それによって誰かを苦しめることなく生きていく道を島崎に与える必要があったように思う。今回は残念ながら、色んなモヤモヤが残ってしまった。

※この記事は「Get Ready!」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー


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スペード(日向亘)の初恋の人・望月遙(畑芽育)が、校舎から飛び降りて意識不明の重態となった。
遙の友人・岡田夏美(池間夏海)は、自殺の原因がクラスメイトからのいじめだったとスペードに伝える。
仮面ドクターズに救いを求める夏美だったが、「自ら死を選んだ人間を救う必要はない」とエース(妻夫木聡)は無慈悲にもオペを断る。
猛反発したスペードは、遙を救おうと単独行動を始めるが、そこで思いもよらない真実と向き合うこととなり・・・。

第7話のレビュー

人間には等しく「生きる権利」がある。おそらく、その言葉に反論する人は少ない。しかし、同様に「死ぬ権利」があるかと言われたら、多くの人がしばらく考え込んでしまうだろう。

あるいは、頭では「死ぬ権利」があると思っていても、実際に自分の身近な人がその権利を訴えたら、どうにか考え直してもらえるように説得するはずだ。たとえ、その人の人生に一生責任を持つことができない場合でも。

患者候補の“生きる価値”を見定めてから、手術をするかどうかを決めてきたエース(妻夫木聡)。彼には「自ら死を選んだ人間を救う必要はない」という一つのポリシーがある。

生きる価値があるのならば、手術を受けて生き延びるのか、それとも手術を受けずに死を待つのかどうかは患者本人が決める。実際、第4話で患者候補となった天才彫刻家の洋子(美村里江)は自らの才能と引き換えに命を選ぶことを拒んだ。

命を救う医者でありながら、エースは「生きることこそが至上」とは決して言わない。その理由が、いじめを苦に校舎から飛び降り、意識不明の重体となった女子高生・望月遙(畑芽育)が患者候補となる「Get Ready!」第7話で見えてきた。

遙は闇医者チームの天才ハッカー・スペード(日向亘)の初恋の人。中学の頃は先輩だったスペードが祖母に説得され、一年遅れで高校に入学したことで二人は同級生になった。

しかし、1歳年上ということでクラスでは浮いた存在だったスペード。そんな彼に気さくに話しかけてくれたのが遙だ。祖母が亡くなり、結局高校を中退することになったスペードに遙は「やりたいことが見つかったら連絡して」と言ってくれたが、そのまま連絡は取らずじまいに。自分が学校を去ってから遙がいじめを受けていたことを知ったスペードは何とかしてその命を救いたいと願う。

だが、自ら死を選んだ人間の命は救わないというエースの気持ちは変わらない。それに対し、「好きで自殺なんかするやつがいるかよ」と猛反発するスペードは、まず手始めに遙とその友人である夏美(池間夏海)をいじめていたとされる里佳(竹内カンナ)の父親に手術費を払わせるため、いじめの証拠を独自に集め始める。

無事にいじめの証拠を見つけ、里佳の父親から手術費を払わせることに成功したスペード。だが、真実はもっと複雑だった。

まず、遙と夏美をいじめていたのは里佳じゃない。担任の林真利奈(前田亜季)だった。真利奈は暴力を伴わない、陰湿ないじめで最初は夏美を、そして夏美が不登校になってからは遙を精神的に追い詰めていった。普通なら学校に訴えることもできたが、真利奈は里佳の父親でもある学園理事長の愛人。

女手一つで育ててくれている母親に迷惑をかけたくないという思いもあり、ただ耐えることしかできなかった遙。どうすれば真利奈に反省させることができるかを考えた末に導き出した答えが、自分が犠牲になることだった。その思いを夏美と里佳は受け継ぎ、今回の計画を実行したのだ。

真実を知ったスペードはエースに「救ったとして、生きられるのか」と問われ、「俺が守るから」と答える。その思いを受け、エースは遙の意識を回復させるだけではなく、ちゃんと歩けるようになり、もう一度生き直せる治療を施す。結果として、遙は松葉杖をついて歩けるまでに回復した。

しかし、ラスト5分で急展開。遙は学校に復帰して早々、カッターナイフで真利奈の腹部を刺した。一命はとりとめたが、殺人未遂で逮捕されることは間違いない。遙はエースに繋いでもらった命を復讐に費やしたのだ。

スペードはようやくエースが命の選別をしてきた本当の意味を知る。「生きる価値って割り切れるものじゃない」と語るスペードの思いもわかるが、割り切れないからといって、救った命に最後まで責任を持てるのか。持てないのであれば、中途半端に救うべきではない。エースがスペードに放った「ちゃんと生きられるって言ったのはお前だろ」という言葉は重い。

「死にたい」という人に「そんなこと言わないで」「生きてさえいれば、必ずいいことがある」「生きててほしい」と声をかけてしまいがちな私たちの胸にもその言葉は刺さる。だからといって、じゃあ「わかった」と言ってその選択を受け入れるべきとも思わない。

簡単には答えを出せない問題であることを示唆した回だったように思う。

人一倍、誰かの命を救うことに慎重なエース。彼はどういう人生を歩んできたのか。今わかっているのは天野真一という本名。そして、千代田医科大学附属病院に勤めていたが、臓器移植手術の不正が発覚し、姿を消したということだけだ。どんな病気も治してしまう若き天才外科医に過去何があったのか。ついに次週明らかとなる。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー


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エース(妻夫木聡)はジョーカー(藤原竜也)に促され、自分が過去に救えなかった命について語り始める。
外科医として自信に満ちていた若かりし頃、天野(妻夫木聡)は「オペは完治の入り口でしかない」と語る恩師・真田(榎木孝明)に反発し、剣持(鹿賀丈史)のいる千代田医大へ籍を移す。
そこで天野は、ドナーを待つ少女の患者と出会い・・・
若き天才外科医を待っていたのは、あまりにも過酷な運命だった。

第8話のレビュー

法外な報酬と引き換えに、普通の医療では救えない患者の命を繋ぐ闇医者チーム。だが、チームの執刀医が患者に求めるのはお金だけじゃない。生きる価値だ。

彼はなぜ、生きる価値にこだわるのか。「Get Ready!」第8話では、ついにエース(妻夫木聡)の過去が明らかとなる。

ジョーカー(藤原竜也)に促され、自分がまだ“天野真一”という名前だった頃のことを語り始めるエース。13年前、外科医として優秀な腕を持つ天野は真田博(榎木孝明)が院長を務める大和医大に勤めていた。

エースは真田のことを「この世でたった一人、俺が尊敬する医者だ」とジョーカーに語る。だが、医師の役目は患者の命を救うことであり、オペの技術こそがその価値を決めると信じて疑わなかった当時の彼は「オペは完治の入り口でしかない」という持論を持つ真田に反発。剣持理三(鹿賀丈史)率いる千代田医大へ籍を移した。

剣持は天野をすぐに気に入り、彼を自分の後継者に据えた。だが、想像をはるかに超えた技術力を誇る天野を見つめる剣持の顔は次第に嫉妬で歪んでいく。そして、剣持の天野に対する憎悪は、大和医大から転院してきた堂前(松澤一之)という患者が自分の手術を担当する執刀医に天野を指名したことで最高潮に達するのだった。

自分の頭上にある空が徐々に曇っていくことに気づかない天野が出会ったのは、青葉(志水心音)という名の少女。肺に持病を抱える青葉はドナーを待ちながら、退院後の生活に思いを馳せていた。

そんな青葉に天野は「先生がきっと治すから」と約束する。生きようとする患者に寄り添い、支え続けること。天野は真田に反発しながらも、彼が語る医師としての使命を自然と全うしていた。

だが、その裏では剣持が天野を貶めるための計画を進めていたのだった。予定通り、自分を執刀医に指名した堂前の手術を担当する天野はいつもと変わらず、見事な手さばきでドナーからの肺を堂前に移植する。まさかその手術が自分の運命を大きく変えるとは知らずに……。

臓器提供の順番は厚生労働省で定められた移植希望登録者(レシピエント)の選択基準により公正公平に選ばれる。それに基づくと、堂前に移植された肺は本来青葉に移植されるものだった。

そのため、移植斡旋組合の人間が臓器横流しの罪で逮捕される。そして手術直前に、天野が堂前の転院元である大和医大の真田に会っていたこと。その後、真田の口座に不自然な振込が数件あったことから、二人もまた嫌疑をかけられることに。あらぬ疑いを晴らすべく戦うこともできた。だが、天野はその気力を奪われることになる。次のドナーが見つかる前に青葉が亡くなったのだ。

社会的貢献度のある人間の命を優先すべき。価値ある命を救ってこそ、多くの命を救える。……そうした大人たちの身勝手な考えに青葉は殺されたともいえるだろう。

「あなたがもし命に優先順位をつけたのであれば、青葉に娘に生きる価値はなかったのでしょうか」と青葉の母・広江(菊池亜希子)に問われる天野。彼の記憶に残るのは、臓器提供の順番を待ちながらただ懸命に生きる青葉の姿だった。

その後、天野の恩師である真田も、自分にかけられた疑いを晴らすべく裁判に明け暮れるが、無実を証明する前に帰らぬ人となる。真田は死の直前、バイクで単独事故を起こし、大和医大に運ばれてきた天野の命を救った。

「天野くん、君は生きるんだ。君は私の未来だ」

病室で真田が自分にかけてくれた言葉を天野は知らない。だが、真田の死後、妻・春子(根岸季衣)の口から真田が天野に自分の未来を託そうとしていたことが伝えられる。

真田は天野に表舞台で活躍してくれることを願っていただろう。しかし、天野は闇医者になることを選んだ。それは権力を持った人間の采配によって、患者の命が左右される医療界に絶望したのもあるだろう。

同時に、エースは「あんたの命を救ったとして、生き延びる価値はあるのか?」という問いを通して、患者候補の人間に青葉の姿を見ようとしていたのかもしれない。誰かを傷つけるためでも、何かを奪うためでもなく、「学校でみんなといっしょにべんきょうしたい」「休み時間にみんなでおにごっこをしたい」という純粋な願いのために生きようとする青葉の姿を。自分が救えなかった命を、エースは救おうとしているのだ。しかし、彼の正体にとうとう警察も辿り着き、この物語も最終章へと突入する。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー


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剣持(鹿賀丈史)の娘・玲於奈(結城モエ)が、もはや手の施しようのない病状であることが判明した。
玲於奈を救うべきか・・・
正体が暴かれるリスクを恐れ反対するジョーカー(藤原竜也)と、因縁の相手との直接対決に燃えるエース(妻夫木聡)の意見は、真っ向から対立する。
そんなチーム解散の気配が漂う中、警視副総監・高城(沢村一樹)の指揮の下、警察の捜査が闇医者チームに迫り始めていた・・・

第9話のレビュー

元々は天野真一という名前で千代田医科大学付属病院の医師を務めていたエース(妻夫木聡)。なぜ、彼は闇医者になったのか。

それは同病院の院長・剣持(鹿賀丈史)が自分の地位を脅かしかねない天野と、自身のライバルであり、天野の恩師である大和医大の真田(榎木孝明)を同時に医学界から葬り去るため、自身が犯した臓器移植の不正を二人に押し付けたからだった。

真田は濡れ衣を晴らすための裁判に臨むも、道半ばで病死。臓器移植の不正により、自分が担当していた少女の命を救えなかったエースは闇医者になったというわけだ。

ここまでが前回の話。「Get Ready!」第9話では、そんなエースにとって因縁の相手である剣持の娘・玲於奈(結城モエ)が闇医者チームの患者となる。また最終回を目前にし、彼らの逮捕に動く捜査チームを指揮する警視副総監・高城(沢村一樹)が登場となった。

ところで、第1話の冒頭で患者候補となるも、エースに「生きる価値なし」と判断された副総理の羽場(伊武雅刀)を覚えているだろか。そのことがきっかけで、闇医者チームに恨みを持った羽場が高城の裏で動いている。

高城はかなり頭が切れる人物で、刻一刻とその足音はエースたちに迫る。最初に目をつけられたのは、交渉人のジョーカー(藤原竜也)だった。

今下手に動けば、自分たちの正体がバレてしまうかもしれない。そんな状況下で、エースは通常の医療では治せない胃癌を患っている玲於奈の手術を行おうとする。

剣持から全財産と、さらにアジア医学会の会見で13年前の像移植の不正で自分が犯した罪を告白させることで、現在の地位を奪い、復讐を果たすためであった。

剣持への復讐を果たすためだけにチームを危険に晒そうとするエースにジョーカーは猛反発。一方、エースは「今のお前はリスクでしかない」とジョーカーをチームから外す。

真っ向から対立する二人だが、ジョーカーはただエースが過去の苦しみから解放されることを願っていた。クイーン(松下奈緒)もスペード(日向亘)も単独行動を取ろうとするエースに引き続き協力する。

どんなにエースが彼らを遠ざけようとも、彼らはエースを見捨てない。なぜなら、みんなエースに命を救ってもらった上に、新しい人生を与えてもらったからだ。

高城は部下に闇医者チームは悪党か?と問う。これは答えに迷うところだ。この物語は何が正義で、何が悪なのかが非常に曖昧である。今回、高城が闇医者チームの最大の敵として登場したが、彼はただ法を犯している彼らを捕まえようとしているだけだ。

日本では認められていない術式と未承認の薬剤を使い、法外な報酬と引き換えに患者の命を救う行為は認められるのか。確かに、ただ命が尽きるのを待っていた患者たちが闇医者チームのおかげで生き延びることができた。

だけど、世の中にはもっとたくさん、命を救ってほしいと願う人たちがいる。闇医者チームに救ってもらえる人と、もらえない人との差はどこにあるのだろう。

報酬が払えないから?社会的貢献度が足りないから?それとも、たまたま目に留めてもらえなかったから?突き詰めていくと、彼らがやっていることは結局、命の平等を否定することになるのではないだろうか。

だが、どんなに綺麗事を言っていても、もし自分の大切な人が通常の医療で助からない時にジョーカーが交渉に来たら、きっと多くの人が応じるであろう。あんなに権力にこだわっていた剣持でさえも、娘の命が助かるのであればそれを投げ捨ててしまえるのだから。

最後は闇医者チームがやっていることの是非に向き合う本作。果たして「生き延びる価値はあるのか?」と患者に問う医者の物語はどこに着地するのだろう。次週、最終回を迎える。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー


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ジョーカー(藤原竜也)不在の中、幼い娘を救ってほしいという母親(徳永えり)から闇医者チームに依頼が来る。

交渉に向かうエース(妻夫木聡)だったが、13年前に救えなかった少女と患者を重ねてしまい、トラウマからオペができなくなってしまう。

一方、高城(沢村一樹)が指揮する警察の捜査は、闇医者チームの目前まで迫っていた。
危険を察知したジョーカーは、自ら取り調べに応じて高城に“ある取引”を持ちかける…

第10話のレビュー

13年前、自分が行った手術のせいで本来なら救えるはずだった少女の命を救えなかったエース(妻夫木聡)。その母親に「娘に生きる価値はなかったんでしょうか?」と問われた彼は、自分にしか救えぬ患者に“生きる価値”を問う闇医者になった。

患者に生きる価値があると判断した場合、エースは仲間たちに合図を送る。「Get Ready!」と。ついに迎えた最終話では、エースが闇医者として最後の手術に臨んだ。

ジョーカー(藤原竜也)が不在の中、闇医者チームに届いたのは「幼い娘を救ってほしい」という母親からの依頼。娘の結衣(小田愛結)は重度の左心低形成症候群を患っており、余命3カ月を宣告されていた。

しかし、母の香苗(徳永えり)は一人で結衣を育てており、生活が苦しく多額の報酬は望めない。にもかかわらず、闇医者チームの目に留まったのは、結衣が一泊十万もする千代田医大の特別室に入院していたからだ。

実は、結衣を特別室に入院させたのは染谷(一ノ瀬颯)だった。前回、婚約者である玲於奈(結城モエ)の命を救ってもらった染谷は、エースの技術をもってしてなら結衣を助けられると思い、闇医者チームに気づいてもらえるよう手配したのである。

そうとは知らないクイーン(松下奈緒)とスペード(日向亘)は「警察の罠かもしれない」と今回の依頼は見送りにしようとする。だが、エースが手術をすると言って聞かなかった。13年前に救えなかった少女・青葉(志水心音)と結衣のことを重ねているのだろう。どうしても救いたい気持ちはあるが、同時にトラウマからエースの手は震えが止まらなくなる。

一方、高城(沢村一樹)が指揮する警察の捜査は、闇医者チームの目前まで迫っていた。「最後は自宅で過ごさせたい」と香苗が突然結衣を退院させたことで、闇医者チームと繋がっているのではないかと彼らは踏んだのだ。

危険を察知したジョーカーは、自ら取り調べに応じる。だが、重要なことは何も吐かないジョーカーに高城は自分の過去を打ち明けるのだった。実は高城には4歳年下の妹がいたのだが、結衣と同じく左心低形成症候群で命を落とした。

通常の医療では助からなかった妹の命も、闇医者チームになら救えたのかもしれない。心のどこかでそう思っていた高城はこんな言葉をジョーカーに投げかける。

「君たちは今、法を破って命を救おうとしている。我々は法に従って命を奪うことになるかもしれない。正義とは悩ましいものです。そして今、その正義の運命を握っているのは君だ」

神様は、エースに医者として恵まれた才能を与えた。自分にしか救えない命がある。それはとても怖いことだ。その力で今にも消え入りそうな命を救うも救わないも自由。もし悪人が持てば、いかようにも利用して優位に立てる恐ろしい力である。

エースの場合は真摯に患者と向き合っていたが、他人にその力を利用された。結果として救えるはずの命を救えず、絶望したエースは一度医療界から退いだ。だが、かつてジョーカーに言われたようにエースは手放せなかったのだ。失われゆく命を目の前にした時に「救いたい」という気持ちが湧き上がる、医者としての性(さが)を。

偶然再会した青葉の母・広江(菊池亜希子)にエースは「これからもたくさんの命を救ってください」と声をかけられる。広江は青葉の死後、臓器提供を待つ子供を支援するNPOで働いているのだが、数年前から匿名で多額の寄付が届くようになったという。そう、エースが闇医者として稼いだお金を寄付していたのだ。

エースが闇医者になった当初の目的は、自分の力を利用した者たちへの復讐だったのかもしれない。だけど、一番は「救える命があるのならば、救いたい」という純粋な願いによるものだ。

エースのような力が有る無しにかかわらず、その願いは人間が普遍的に抱いているもの。高城が言うように、闇医者チームを捕まえることは彼らが救えるはずだった命を奪うことになる。

だけど、それは本来誰も望んでいない結果だ。命と天秤にかけたら、法という力でさえも揺るぎ始める。

そのことを交渉人であるジョーカーはよく分かっていた。最後に彼は、高城にある交渉を持ちかける。それは米国の高官をエースに手術させる代わりに、自分以外の仲間たちの罪を免責してほしいというもの。ジョーカーは高官を救えば、米国政府への交渉を日本政府が優位に進められるという国家も動かす大きな切り札を切ったのだ。

だけど、それは高城に結衣の命を救うための言い訳を与えたに過ぎないのかもしれない。医者である染谷が法を犯す闇医者チームに希望を見出したように、また警察である佐倉(矢島健一)が彼らを捕まえられなかった(=結衣の命が救われた)ことに思わずホッとしてしまったように、誰にとっても命は尊い。結局のところ、本作が伝えたかったのはそういうことなんじゃないだろうか。

結衣の手術を成功させた後、エースは一度チームを解散する。だが、その一年後にまた出所したジョーカーを含めた4人でチームを結成することになった。

「俺はこの手が動く限り命を救い続けたい。それが俺の生きる価値だ」

生きるに値しない生など、この世には存在しない。本人が生きたいと思うのならば、それだけで十分に価値がある。当たり前のことだが、その当たり前が揺るぎやすい時代において、改めて命の尊さを突きつけるこのドラマは必要だったと言えるだろう。

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–{「Get Ready!」作品情報}–

「Get Ready!」作品情報

放送日時
2023年1月8日スタート。毎週日曜夜9:00~9:54(TBS系)※初回25分拡大

出演
波佐間永介(通称:エース)… 妻夫木聡
依田沙姫(通称:クイーン)…松下奈緒
白瀬剛人(通称:スペード)… 日向亘

染谷慈恩…一ノ瀬颯
POC…三石琴乃
橋元芙美…橋本マナミ
嶋崎水面…當真あみ

剣持玲於奈… 結城モエ
幾田洋一…中山麻聖
汐留明…田野倉雄太
台場虹江…長見玲亜

佐倉亮一…矢島健一
菊川忍… 片山友希
東堂雄彦…菅原卓磨
加須崇…吉田涼哉
久豆番… 川本光貴

羽場一郎…伊武雅刀

剣持理三… 鹿賀丈史

下山田譲(通称:ジョーカー)…藤原竜也

演出
堤幸彦(オフィスクレッシェンド)
武藤 淳
山本剛義

脚本
飯野陽子
山田能龍
川邊優子(オフィスクレッシェンド)
金沢知樹
渡辺啓

プロデュース
武藤淳
植田博樹
鈴木佳那子(オフィスクレッシェンド)
市山竜次(オフィスクレッシェンド)
佐井大紀

音楽
ノグチリョウ

制作協力
オフィスクレッシェンド

製作著作
TBS