2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第70回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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結局リストラ…
浩太(高橋克典)の生命保険っていくらなんだろう……と生臭いことを考えてしまいました。活気に満ちた工場の様子を見て会社を続けようとめぐみ(永作博美)は考え直しました。当座の資金は浩太の生命保険でつなぎ、まずはリストラをはじめます。
浩太はリストラしたくなくて頑張っていたのに、工場を残すためにはリストラしないとならなくって、社員は戦々恐々です。
笠巻(古舘寛治)は社長はリストラしないようにがんばり過ぎて亡くなってしまったのだと社員たちに言い含めます。笠巻さんは自分が残れると思っているからこんなことを言うのでしょうか。いや、むしろ、出世欲のない腕のいい職人だから真っ先に辞めるという選択肢もあるし、やっぱり最古参としてめぐみの右腕にならないといけないという責任も感じているかもしれません。物語的にはこの人がいなくなるということはありえないでしょう。
リストラしないで済むように仕事を増やそうとしましたが、慣れないめぐみが社長になったことで信用が下がって仕事が減ってしまいます。
致し方なく、社員数人に退職勧奨をはじめます。
素直に了承する人、なぜ俺なんですか?とねちねち言いながらも受け入れる人、辞めませんとつっぱねる人と様々です。
この場に、舞(福原遥)がいることが謎。経営に大きく関わってないのに、まったく仕事に詳しくないのに、めぐみの手伝いということでいるのでしょうけれど、浩太を信頼して勤めてきたのに、残った妻と娘が会社をある意味乗っ取って、社員のクビを切っていくと思われても仕方ない気がします。
ちょっと粘った人は「お嬢ちゃんもこんなこと手伝うて大変やな」と言って去っていきます。「お嬢ちゃん」に嫌味がこもっているように感じました。
退職勧奨のシーンで終わってしまって、なんだかもういたたまれません。「あさイチ」でも「かける朝ドラ受けがないですね」と博多華丸さんが弱った顔をしていました。博多大吉さんは、「何が苦しいって悪い人がひとりもいないんですよ」と辛そう。そう、リストラをお願いするほうも心苦しくてしょうがないのが伝わってきますから。おもしろく受けられなくて「力不足」「申し訳ない」と頭を下げる流れに。この正直な受け、しかも自分たちの「力不足」ということにして丸く収めるところがさすがの技です。
それにしてもこれほどしんどい展開を描くのもトライでしょうか。でも朝ドラだから明日になったら解決するんじゃないかと予想しますが、さて?
毒舌の山田(大浦千佳)は、事務仕事のできる人がほかにいないから辞めさせられないと思って態度が大きいのでしょうか。
【朝ドラ辞典 朝ドラ受け(あさどらうけ)】朝ドラのあとに放送される「あさイチ」にて司会が今見た朝ドラの感想を述べること。「ゲゲゲの女房」(10年)からの伝統になっていて、司会が変わっても受け継がれている。いまでは朝ドラと朝ドラ受けをセットで見ることで朝ドラが完成するようにも考えられているところもある。朝ドラをツッコむ習慣を作り出した要因とも言える。
(文:木俣冬)
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–{「舞いあがれ!」第15週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第15週目のあらすじ
祥子(高畑淳子)は五島にいた貴司(赤楚衛二)とともに東大阪へ向かう。舞(福原遥)とめぐみ(永作博美)に対して会社を売ることを主張する悠人(横山裕)。
現実的な悠人、そして悩むめぐみを祥子(高畑淳子)は優しくつつむ。
一方、融資を受けていた信用金庫からは会社をたたむ選択肢を提示される。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか