2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第53回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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中澤の離婚問題と倫子の怒り
最終審査5日前。雨がざあざあ降っています。寮のなかでは中澤(濱正悟)が離婚問題で悩んでいます。共に考える舞(福原遥)と倫子(山崎紘菜)と吉田(醍醐虎汰朗)。このとき柏木(目黒蓮)は呼ばれないのですが、あとで知ったらむすっとなるのではないでしょうか。だって宮崎校からの仲間なのに。一緒に円陣組んだ仲間なのに。ちょっとかわいそうな柏木。
「だって愛してるんだから」と離婚したくないと苛立つ中澤に倫子がいつものごとく喝を入れるわけですが、彼女は妙に中澤にこだわっていて、まさか若干好意を頂いているのだろうかと思って見ていたら、そういうわけではなかったようです。
倫子は中澤の悩み(パイロットになりたい自分の夢を妻が理解してくれない、支えてくれない)は男特有のものであり、女はそんな悩みすら持てないことにもやもやを抱えていて、ついに爆発します。
中澤にお茶をぶっかけて倫子は泣きながら語ります。
「だから私は変えたいの! 変えるためにここに来たの 自分の人生を世の中に決められたくない 男も女も関係ない」
それぞれ悩みを抱えながら空を飛ぶというコンセプトなのでしょうけれど、中澤と倫子のセリフが、なんだかやらなきゃいけないことを事務的に入れときましたふうに見えます(令和の朝ドラの三題噺 移住、SDGs、多様性)。
中澤はすぐに気持ちを切り替えて、妻に手紙を書き、話し合うことになります。これ見て、中澤なり倫子に感情移入してうんうんそうだね共感するよと思うものなのでしょうか。仮にそうだとして、そこに発展性はあるでしょうか。なにかが解決するきっかけになるでしょうか。男も女も関係ないというような言葉が最近、あまりにも形骸化されて切実さが感じられなくなっているような気がしてなりません。
最終審査に向けてそれぞれがなぜパイロットになりたいか改めて考える日であり、舞には鶴田(足立英)と刈谷(高杉真宙)から電話があります。舞は、はじめて空を飛んだ日のことを思い出し、自分を立て直すのです。鶴田と刈谷の出番のために、中澤と倫子の話はギュッと凝縮されてしまったとしたらしょうがないという気もします。鶴田と刈谷の登場にはホッとしましたから。
鶴田と刈谷はお好み焼き〈うめづ〉で飲み食いしています。きっと舞に紹介されていつの間にかうめづに通うようになっているのでしょう。
【朝ドラ辞典 再登場(さいとうじょう)】朝ドラはいくつかのパートに分かれていて、そのパート限りの登場情人物もいるが、たまに再登場することがあり、歓迎される。とりわけ最終回近くに前半の登場人物が出てくると盛り上がる。
(文:木俣冬)
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–{「舞いあがれ!」第11週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第11週目のあらすじ
大河内(吉川晃司)の「なぜパイロットを目指したのかを思い出せ」という言葉が舞(福原遥)の心には刺さっていた。遅れを取り戻すことに集中しようとする舞。一人で訓練機に乗って飛ぶソロフライト訓練に出る。
天候の変化で大河内から訓練の中止と、帯広空港への帰投を指示されるが、さらなる天候悪化により帯広空港への着陸が困難になり、釧路空港への目的地変更となる。一人、不安にかられながら釧路を目指す舞。
大河内の思わぬ行動に救われることになる。帯広フライト課程の最終審査に向けて、柏木(目黒蓮)や倫子(山崎紘菜)たちと励まし合い、審査に挑む舞。果たしてその結果は・・・。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか