<ジャパニーズスタイル>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

仲野太賀主演のドラマ「ジャパニーズスタイル」が2022年10月22日放送スタート。

本作はさびれた温泉旅館のセットを舞台に、俳優たちが観客の前で“ほぼ本番一発勝負”の演技を繰り広げるテレビ朝日初の本格シットコム。仲野太賀のほか、市川実日子、要潤、KAƵMA(しずる)、石崎ひゅーい、檀れい、柄本明ら豪華俳優陣が登場する。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・最終回ストーリー&レビュー

・「ジャパニーズスタイル」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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人里離れた場所にある旅館の跡継ぎを拒んで、家を飛び出し上京した柿丘哲郎(仲野太賀)が、10年ぶりに帰ってくる。社長である父親が入院し、女将である母親が付きっきりで看病しているため、窮地に駆け付けたのだが、変わり果てた旅館の姿に絶句。100年の伝統を誇る老舗旅館の品格やサービスは完全に消え失せ、流しのフラメンコダンサーの寺門・ルーシー・数子(市川実日子)、潔癖症の支配人・影島駿作(要潤)、息子を溺愛するシングルマザーの仲居頭・浅月桃代(檀れい)、その息子・浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)、ナゾ多き料理長・浮野奏太(KAƵMA)、水質管理責任者として旅館にしがみつく古株・梅越一二四(柄本明)といった、一筋縄ではいかないクセ者たちが居座っていたのだ。浮野とゲーム《UNO》に興じるルーシーは、一方的に哲郎のことを知っているようだが、いったい何がーー!?

やがて、哲郎は実家である旅館に上がろうとするも、哲郎の親不孝が原因で入院した社長からの「敷居を跨がせるな」という伝言を預かった桃代からかたくなに拒否される。哲郎は、入院中の父親を元気づけるため、以前のように繁盛している旅館の復活を目指すべく戻ってきたと主張するが、桃代の調べでは、彼は東京で《車関係の仕事》をしていたが多額の借金があり、戻ってきたのも財産が目当てだと推測するのだった。

哲郎は、あの手この手を使って家に上がろうとするも、鉄壁の守備に跳ね返され玄関で泣き崩れることに。そこに、謎の大男が現れて…。

第1話のレビュー

仲野太賀が主演を務めるドラマ「ジャパニーズスタイル」はさびれた温泉旅館のセットを舞台に、俳優たちがほぼ一発勝負の演技を繰り広げるシットコム。

ちなみに“シットコム”とは、シチュエーションコメディの略で、限られた場面設定と登場人物で繰り広げられる連続ドラマのことだ。

最近でいえば三谷幸喜脚本・演出、香取慎吾主演の「誰かが、見ている」なんかを思い浮かべるが、日本ではまだ珍しいジャンルでテレビ朝日としては初。しかも、キャストが豪華で放送開始前から期待が高まっていた。

そんな本作の注目の第1話がついに放送された。物語は100年の伝統を誇る旅館「虹の屋」の跡継ぎを拒み、家を飛び出した柿丘哲郎(仲野太賀)が10年ぶりに帰ってくるところから始まる。

しかし、社長である父親が入院。女将である母親が父親に付きっきりで看病している間に、哲郎の知る「虹の屋」は変わり果てていた。従業員もほとんど一新されており、哲郎を待ち受けるのはひと癖もふた癖もある人たちばかり……。

ちなみに本作は「ジャパニーズスタイル」というタイトルにもあるように、毎回日本の風習や習慣がサブタイトルとなっている。第1話では「靴を脱いで上がる」と題して、なかなか靴を脱いで旅館に上がれない哲郎の姿が描かれる。個性豊かな俳優たちがボケまくり、暴れまくり、それに対して仲野太賀が必死でツッコミを入れる様が愉快でたまらない。

市川実日子演じる奇をてらったジャージ姿も素敵に着こなし、女王様のごとく振る舞うルーシー。KAƵMA(しずる)ならではのキャラクターとも言える今一つかっこのつかない浮野。

石崎ひゅーいが自由自在に操るキュートで狂気に満ちた凛吾郎。そんな彼を母親として飼いならす、檀れい演じる仲居頭の桃代。要潤演じるスタイルが良くてクールなのに、やたら変な髪型の影島。柄本明演じる自由気ままで掴み所のない古株の梅越……。

ツッコミ役の哲郎さえもお金にも女にもだらしないクズ男ときた。もはや収拾がつかないくらい、全員が全員変人。そして、そのキャラクターを役者たちが見事にものにしている。30分間、息つく間もなく演技の応酬が繰り広げられた。

その合間には実際にスタジオに入っている観客の笑いと拍手が聴こえてくる。まるで生の舞台を観ているかのような緊張感があった。要潤が小銭を落としたり、アドリブで柄本明にしばかれた石崎ひゅーいに一瞬ガチの笑いがこぼれたり、仲野太賀が開けたビールから泡が吹き出したり。一発勝負だからこそのハプニングと、それに伴う俳優たちの反応もまた見どころである。

ドラマと舞台の中間をいく本作。なんだか癖になりそうだ。

※この記事は「ジャパニーズスタイル」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)の仕事を手伝い、支配人・影島駿作(要潤)の車を洗車するなど、従業員に取り入ってなんとか 「虹の屋」に滞在を続ける柿丘哲郎(仲野太賀)。そんな時、警察官の笹原(松尾諭)が、梅越一二四(柄本明)の推すご当地アイドルがキャンペーンガールを務める飲酒運転撲滅のポスターを持って訪ねてくる。実は笹原は、哲郎が所属していたバレー部のOB兼コーチで、2人は12年ぶりの再会を喜ぶのだが、寺門・ルーシー・数子(市川実日子)とオセロに興じていた浮野奏太(KAƵMA)の表情はなぜか曇って…。

やがて、1日だけの約束が何日も居座る哲郎に、浅月桃代(檀れい)が苦言を呈する。出て行かない場合は、哲郎の両親である社長と女将に報告すると告げるが、哲郎は父親が許したら真っ先にクビを切るのは桃代と凛吾郎親子だと挑発するのだった。しかし桃代から、10年前にやらかした哲郎の悪行を暴露されて――。東京に戻ると啖呵を切って旅館を出ていく哲郎だが、ルーシーと浮野は再び戻ってくるかどうかビールを賭けるのだった。

2時間後。哲郎は周囲を警戒するように「虹の屋」に戻ってくる。浮野との賭けに勝ったことをはしゃぐルーシーだったが、哲郎は東京に帰る前に挨拶に行った笹原が勤務する交番で、浮野にまつわる重大な事実を知ってしまったそうで…!?

2時間ドラマオタクで事件の匂いを嗅ぎつけると面倒臭くなる影島は哲郎とともに、留守にしている浮野に関して様々な推理を開始するのだった。

第2話のレビュー

今夜も始まったドラマ「ジャパニーズスタイル」。第2話では、ドラ息子のリベロウこと、哲郎(仲野太賀)が戻ってきた老舗旅館「虹の屋」に小さな事件が起きる。

初回の放送から「ドラマ版ファーストテイク」とも言える、ライブ感溢れる名優たちの芝居に注目が集まった本作。ほぼ一発撮りのため、何が起きるかわからず、観ているこちらもドキドキする。

やはり最も目が離せないのが、仲野大賀だ。主演だから舞台にほぼ出ずっぱり。しかも、テンション高めの演技をしているからか、その額には大量の汗が滲んでいる。

本人は座長として真摯に芝居にのぞんでいるのに、演じているのが誠実さのかけらもない役でそのギャップがまた面白い。今回も哲郎は清々しいまでのクズっぷりを発揮している。

仲居頭の桃代(檀れい)に、あの手この手で実家滞在を認めてもらおうとする哲郎。桃代の息子である凛吾郎(石崎ひゅーい)を先輩と崇め、その仕事を手伝ったり、潔癖症の支配人・影島(要潤)の車をピカピカに洗車したり、必死で外堀を埋めていく。

しかし、桃代の哲郎に対する厳しい姿勢は揺るがない。それには理由があった。10年前に「客を迎えに行く」と送迎車で旅館を出たまま、行方をくらませた哲郎。大切なお客さんを駅に放置しただけではなく、送迎車を海外の悪徳ブローカーに転売し、そのお金を生活費に充てていたらしい。

みんなの前で悪行をバラされ、哲郎は逆ギレして「虹の屋」を飛び出す。桃代に「クソババア」と捨て台詞を吐いて。救いようがなくて困る。だけど、ここから更にプライドだけが肥大化した哲郎の情けなさに拍車がかかっていく。

今回の事件の発端は、哲郎がかつて所属していたバレー部のコーチ・笹原(松尾諭)の勤務する交番で、料理長の浮野(KAƵMA)にそっくりな指名手配犯のポスターを見つけたことに始まる。

変装を駆使し、土地所有者になりすまして不動産会社から多額の金をだまし取った罪で指名手配されている犯人と見た目が瓜二つ。さらに3年前まで海外で料理人をしていたこと、ほとんど旅館から出ず、外出時にはいつも顔を隠していることから浮野に疑いの目を向ける従業員たち……。

哲郎にとっては美味しい状況。もし浮野が指名手配犯なら、彼を採用した桃代に責任が問えるからだ。そういうことに関しては頭が回るのだからこれまたタチが悪い。

でも実は指名手配されていたのは、浮野の双子の兄。一卵性で見た目がそっくりだから、浮野は何度も犯人と勘違いされてきた苦労人だった。そんな浮野に哲郎が放った言葉がこちら。

「(双子は)考え方や発言がシンクロするっていうじゃないですか。いつか同じような犯罪をする可能性ありますよね?」

はい、ダメーーー!!終了ーーー!!!と思わず口にしてしまった。

桃代は怪しい霊媒師に入れあげているし、影島は2時間ドラマ好きが講じて旅館のオーナーになっちゃうし、梅越(柄本明)はご当地アイドルを追っかけるために多額の借金をしているし。とんでもなく癖の強い登場人物の中で、誰よりも主人公である哲郎がヤバいというカオスな空間がそこに広がっている。

ただ、そんな哲郎を何だかんだ憎めないキャラクターに仕上げるのが仲野太賀の凄さ。ルーシー(市川実日子)みたいにいじりたくなる、5歳児のような愛らしさがある。全身全霊をかけて、哲郎を演じる仲野太賀の姿を今後も見守っていきたい。

※この記事は「ジャパニーズスタイル」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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「虹の屋」のロビーでUNOに興じる寺門・ルーシー・数子(市川実日子)と浮野奏太(KAƵMA)。そこに、柿丘哲郎(仲野太賀)の高校時代の同級生で、バレー部キャプテンだった小野(菅田将暉)が訪ねてくる。3人は、哲郎の高校時代のバレー部顧問とのエピソードや当時の彼女の話で盛り上がるが、やがて、ルーシーの名前の由来にまで話は広がって…。小野は浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)とともに、現在、哲郎が寝泊まりしているというウサギ小屋に向かうのだった。梅越一二四(柄本明)の話によると、小野は同級生の中でも一番の出世頭で、現在は地元のテレビ局に勤務。今回、「虹の屋」に訪れたのも取材のためではないかと推測するが…。

やがて、ロビーで打ち合わせをする浅月桃代(檀れい)と影島駿作(要潤)のもとに哲郎がやってくる。彼の話によると、小野が来た理由はやはりテレビ番組の取材目的で、「虹の屋」にある汚い池を掃除し、そのビフォーアフターを紹介したいのだそう。「虹の屋」の宣伝にもなり、旅館の未来を左右する良い話に桃代も影島も乗り気だが、池の水質を管理する梅越は生態系が崩れると反対。そしてなぜか、ルーシーも池の掃除には反対で…。凛吾郎はルーシーが反対する理由を知っていると言うが、その理由が衝撃的で!? 2時間ドラマオタクの影島は、またもや《迷推理》のモードに入るのだった――。

紆余曲折ありながらも、池の掃除は遂行。すると、小野は池の底から見つかった《あるモノ》のせいで、なぜか哲郎に激怒!? いったい何が――!?

第3話のレビュー

誰もが待ちに待った「ジャパニーズスタイル」第3話。なぜなら今回、仲野太賀と菅田将暉が共演を果たすからだ。

2012年のドラマ「ブラックボード〜時代と戦った教師たち〜」で出会い、以降は2019年の映画「タロウのバカ」、2021年のドラマ「コントが始まる」(日本テレビ系)と数々の作品で共演を果たしてきた仲野と菅田。

「20代の俳優の中で演技力が高いと思うのは誰?」というアンケートをとったら、一二を争うであろう演技派の二人はどの作品でも恐ろしいほどの憑依力を見せつけてきた。二人自身も互いの才能を認め合っており、プライベートでも仲が良い。なお菅田は自身が初めてメガホンを取ったショートフィルム「クローバー」で主演に仲野を抜擢している。

そんな二人が今回共演する本作について改めて説明すると、テレビ朝日初のシットコム。ジャンルとしても日本では珍しい上に、キャストたちはリハーサル1日、本番1日、週2本収録という過酷なスケジュールをこなしており、本番当日は実際の観客の前でほぼ一発勝負の演技合戦を繰り広げている。

一体その中で、互いに全幅の信頼を寄せる菅田と仲野がどんな息の合ったやり取りを見せてくれるのか。前置きが長くなってしまったが、今夜も「ジャパニーズスタイル」の幕が開ける。

相変わらず、実家である「虹の屋」には気軽に足を踏み入れられない哲郎(仲野太賀)の元にある人物が訪ねてくる。それは哲郎の同級生であり、バレー部のキャプテンだった小野(菅田将暉)。

地元のテレビ局に勤務している小野は、池の水を綺麗にするという番組の企画に「虹の屋」の池を使わせてほしいと哲郎に頼みに来たのだった。旅館の宣伝にもなると、桃代(檀れい)と影島(要潤)は大喜び。悪知恵だけは働く哲郎は、今回もこの話を武器に二人に取り入るつもりらしい。

しかし、水質管理役の梅越(柄本明)は池の中の生態が崩れると猛反対。なぜか、ルーシー(市川実日子)も反対の姿勢を取る。すると、どうやらルーシーが元旦那を池に突き落として殺害し、その遺体が見つかることを恐れているのでは?という憶測が広まり始め……。

自分の計画を邪魔されたくない哲郎はルーシーを責めるわ、責めるわ。なんだかこれ、桃代の地位を脅かすために浮野(KAƵMA)の過去を暴こうとしたが、結局勘違いだった前回の展開を思い出すぞ?フラグか?と思ったら大正解だった。

池の水を抜いて出てきたのは、ルーシーの元旦那の遺体でもなく、梅越が心配していた生き物でもない。高校時代、盗撮で捕まったバレー部の顧問から哲郎が買ったと見られる女子更衣室の盗撮動画だった。

そこには現妻である明子(大西礼芳)の姿も映っており、小野は大激怒。ひたすら言い訳を重ねる哲郎に容赦なく怒号を浴びせる。その真剣かつ迫力のある菅田の演技が、仲野のコミカルな動きを際立たせていた。

約5分間に渡って、ノンストップで二人芝居を繰り広げた菅田と仲野。セリフ量も多く動きも激しいのに、一度も噛むことなく、セリフがかぶることもなく、間の取り方も完璧。本当にリハーサルは1日だけ?と疑いたくなるほど、完璧なやり取りに二人の信頼関係がうかがえた。

特に哲郎と小野が、明子の入れているタトゥーの絵柄で盛り上がるラストシーンの微笑ましさたるや。高校の同級生に再会して昔のノリを思い出す、あの感じを自然に出せるのは、二人の演技力あってこそだなと感じた。

本作の裏側に迫るTELASA(テラサ)オリジナルコンテンツ「ウラジャパニーズスタイル」で、仲野が「僕と将暉の間で新しいページができた」と語っていたように、今回の共演は仲野と菅田の絆をさらに深めたに違いない。

※この記事は「ジャパニーズスタイル」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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警察の《オレオレ詐欺撲滅キャンペーン》に起用されたローカルアイドル・花岡花枝(佐々木春香)のポスターを見つめる梅越一二四(柄本明)は、推しである彼女のポスターをいらなくなったら譲ってほしいと支配人の影島駿作(要潤)に懇願。了承を得ると、ご機嫌で大浴場へと消えていく。そんな彼の姿を見て、寺門・ルーシー・数子(市川実日子)は、間もなく行われる梅越の勤続40年のお祝いに、闇金に借金をするほどハマっている彼女を「虹の屋」に呼んでライブを開けばどうかと意見するが、影島は簡単に来てくれるのか半信半疑の様子。そんな時、浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)とトランシーバーでやりとりをしていた柿丘哲郎(仲野太賀)から、ある提案が。テレビ局勤務の同級生である小野(菅田将暉)の力を使えば、ご当地アイドルなど簡単に呼べると豪語する。そして、梅越の借金を心配し、昨夜面談をしたという浅月桃代(檀れい)が衝撃の事実を告げる。なんと、花枝は梅越の孫だというのだ。

やがて、梅越のお祝いの当日。花枝の前座でフラメンコを踊らされたルーシーと、せっかく作った弁当をゴミ箱に捨てられていた浮野奏太(KAƵMA)は哲郎に激怒し、「虹の屋」は不穏な空気に包まれる。そして、ルーシーと桃代も一触即発に!? いったい何が――?  また、影島はライブ前に花枝と梅越がなにやら揉めている様子を目撃。すると、浮野からトンデモナイ情報が!? 梅越の秘められた過去が徐々に明らかに! はたして、梅越と花枝は本当に祖父と孫の関係なのだろうか――!?

第4話のレビュー

双子の弟が指名手配犯の浮野(KAƵMA)、ダメ男との離婚経験があるルーシー(市川実日子)。「ジャパニーズスタイル」では毎話、登場人物の過去が明かされてきた。

第4話でスポットが当たるのは、旅館「虹の屋」の古株である“梅さん”こと、梅越(柄本明)。超ベテラン俳優であり、悪役でお馴染みの柄本明が舞台上で大暴れする。

ローカルアイドルの花岡花枝(佐々木春香)に入れ揚げ、闇金で多額の借金をしている梅さん。花枝が起用された「オレオレ詐欺撲滅キャンペーン」のポスターをいらなくなったら譲ってほしいと、支配人の影島(要潤)に懇願する。「いいよ」と言われ、小躍りしながら舞台をはけていく姿がなんともコミカル。柄本明がとにかく、めちゃくちゃ楽しんで梅さんを演じているのが伝わってくる。

そんな梅さんは勤続40年を迎え、他の従業員たちはお祝いの内容を考える。なんだかんだで「虹の屋」の従業員はみんな仲良しだ。梅さんに昔からお世話になっている哲郎(仲野太賀)は“ウサギ小屋脱出”も目指し、盛大に梅さんをお祝いしようと張り切る。話し合いの結果、梅さんの推しである花枝のライブを旅館で開催することになった。

しかし、いつもと同じように梅さんにもある疑惑が浮上。桃代(檀れい)いわく花枝は梅さんの孫というが、ライブ当日に影島は二人が揉めているのを目撃する。孫とは思えない花枝の態度に疑問を抱き始める従業員たち。2時間ドラマオタクである影島お馴染みの考察タイムが始まり、みんなが梅さんに関する新情報をくちぐちに明かし出す。

なんと梅さんの本当の孫は男で、焼き鳥屋を経営しているらしい。梅さんには娘がいるもののずっと疎遠で、それをいいことに花枝が孫を名乗り梅さんを騙しているのでは?という結論に従業員たちは至る。

残酷な真実をどう伝えるべきか。悩む彼らの前に現れるのが、ライブ終わりの梅さんだ。年甲斐もなく凛吾郎(石崎ひゅーい)とはしゃぐ梅さんは可愛い。でも騙されていると思うと途端に哀愁を帯びてくる。

そんな梅さんに意を決して、花枝が本当の孫ではないことを突きつける哲郎。しかし、梅さんは心のどこかでそれをわかっていた。「血縁関係があるかないかで、本物と偽物に区別されるもんなんでしょうか!」と主張する梅さん。

なるほど良いことを言っている。なのに顔がふざけてる。あの顔を目の前で披露されて、笑わない仲野太賀と市川実日子もすごい。お茶目というかなんというか、柄本明の演技には遊び心がある。第1話でもアドリブをぶっ込んでいたが、そういう偶然から生まれる笑いをすごく大事にしている気がするのだ。作品の雰囲気に合わせ、柔軟に芝居のスタイルを変える俳優・柄本明の凄みを見せつけられた。

さて、次週はこれまで映像出演だった気になる女たちが登場する。哲郎の元カノである、もう一人の“ルーシー”ことイチ子(モトーラ世理奈)と、桃代が絶大な信頼を寄せている占い師の尾崎(宮澤美保)。どちらも見た目からして癖が強すぎる。

市川実日子とモトーラ世理奈のルーシー対決も見どころとなりそうだ。それにしても二人は雰囲気から何まで似ている。もしかして、哲郎は市川実日子の方のルーシーも実はタイプなんじゃないだろうか。ルーシーもダメ男が放っておけないタイプみたいだし、仲野太賀と市川実日子のカップルが見られる日も近い……?実に楽しみだ。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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霊媒師の尾崎夜余代(宮澤美保)から、《別れの時近し。ハンカチのご用意を》とのお告げをもらったという浅月桃代(檀れい)。誰かが「虹の屋」から居なくなる…と解釈した寺門・ルーシー・数子(市川実日子)は、いがみ合う《もう一人のルーシー》である久能イチ子(モトーラ世理奈)であってほしいと願うも、イチ子は貴賓室に連泊している大事な客であるばかりか、桃代をはじめ浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)、梅越一二四(柄本明)、浮野奏太(KAƵMA)、そして影島駿作(要潤)までも、巧みな話術と魅力で味方につける。柿丘哲郎(仲野太賀)によると、イチ子の目的は自分と結婚し「虹の屋」を乗っ取る気だという。哲郎は皆に「一緒に立ち向かって下さい」と懇願するが、当の本人がイチ子のアプローチに揺れるハメに…!?

そんな時、哲郎の父親である、「虹の屋」の社長の看病につきっきりだった女将・柿丘廻瑠(キムラ緑子)が突然帰宅する。廻瑠いわく社長は「もういつ息を引き取ってもおかしくない状態」だそうで、安心して天国に行ってほしいと、哲郎とルーシーが結婚するとウソをつくよう指示。哲郎は、何か裏があると怪しむのだった。しかし、その話を聞いたイチ子が、お見舞いには自分と哲郎で行くと宣言!

「虹の屋」の半纏をまとい、すっかり従業員気取りのイチ子は、そもそも「哲郎が家出したのはアタシが原因」と語るが…はたして、2人の間に何があったのか――!? そして「虹の屋」の未来に関して、良からぬ考えを持つ者が他にも…?

第5話のレビュー

「ジャパニーズスタイル」第5話には、個性豊かな女性3人が初登場となった。哲郎(仲野太賀)の元カノである、もう一人の“ルーシー”ことイチ子(モトーラ世理奈)と霊媒師の尾崎(宮澤美保)。二人はこれまで映像で登場していたが、舞台上に現れるのは今回が初めてだ。そして、哲郎の母で「虹の屋」の女将・廻瑠(キムラ緑子)。いつもよりもカオスな物語になりそうな予感が漂う。

怪しさ極まりないにもかかわらず、これまで意外な形で予言を的中させてきた尾崎。そんな彼女の新たなお告げは「別れの時近し。ハンカチのご用意を」というものだった。誰かが「虹の屋」からいなくなるのでは?とざわつく一同。ルーシー(市川実日子)だけは旅館の貴賓室に連泊中のイチ子がそうであってほしいと期待する。

アバンギャルドで危険な香りのするWルーシー。同族嫌悪からなのか、いがみ合う二人のバトルが今回は見どころだ。彼女たちの対立を極めるのは、どちらが哲郎の父親である、「虹の屋」の社長の見舞いに行くかどうかという問題。というのも、女将の廻瑠が突然帰宅し、社長がもういつ息を引き取ってもおかしくはない状況であることを知らせにきたからだ。

廻瑠は社長を安心させるため、哲郎とルーシーが結婚するとウソをつくよう指示する。しかし、哲郎との結婚を狙っているイチ子がそれを妨害。凛吾郎(石崎ひゅーい)、梅越(柄本明)、浮野(KAƵMA)を続々と味方につけ、周りを固めていく。

それにしても、イチ子役にモトーラ世理奈を抜擢した人はすごい。どことなく江口のりこや安藤サクラの雰囲気に似ていると思うのは私だけだろうか。歩く芸術というか、ただ佇んでいるだけで何かを訴えかけてくるような存在感がある。あの瞳に見つめられたら骨抜きにされるのも無理はない。

市川実日子も同じことが言えるのだけど、彼女の場合は独特の安心感があって社長がルーシーのことを気に入るのも納得。哲郎と結婚するフリにも意外とまんざらでもなさそうで胸キュンしてしまった。

それなのに、まんまとイチ子の話術にハマっていく哲郎。仲野太賀の情けない顔がなんとも愛らしい。どうしようもないクズだけど、Wルーシーが自分のおもちゃにしたくなる気持ちもわからなくはない。

だけど、哲郎もついに改心したのか? 最後の最後でイチ子を突き放す。そんな哲郎を「よくやった!」褒めてあげるルーシー、男前すぎやしないか。哲郎と結婚し、尻に敷きながらも良い方向に引っ張っていってくれる未来が容易に想像できる。

一方、イチ子に恋した凛吾郎が「虹の屋」を出て行ってしまった。尾崎が告げた別れとは、浅月親子の別離だったのだ。この二人の過去もかなり謎に包まれているが、どうやら桃代の方はオーナーの影島(要潤)と旅館の乗っ取りを画策している様子。一難去ってまた一難。ようやく少しまともになってきた哲郎は「虹の屋」を守ることができるのだろうか。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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1年後、旅館の専務となった柿丘哲郎(仲野太賀)。無事に退院した哲郎の父親である社長は、闇金業の澤田弥勒(松川尚瑠輝)とゴルフ三昧の日々を送っていた。そんな時、「虹の屋」の記念すべき1万人目の客を迎え入れるべく、浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)、梅越一二四(柄本明)らはリハーサルを行うが、寺門・ルーシー・数子(市川実日子)と浮野奏太(KAƵMA)は、あいかわらずオセロに興じるのだった。そして、「虹の屋」の乗っ取りを計画していた浅月桃代(檀れい)と影島駿作(要潤)は険悪の仲に…。2人の間にいったい何があったのだろうか――?

やがて、1万人目の客・別所(森下能幸)がやってくるが、なぜか無料宿泊券や凛吾郎との松茸狩りツアー、ルーシーが教えるセクシーピラティスなどの特典を迷惑だと拒否。またもや《2時間ドラマの刑事》のモードに入った影島は、別所を自殺志願者だと推理するが、桃代は逆に自殺者を保護する立場の刑事だと推測。ここでも対立する2人をよそに、別所は自殺の名所であり、逃亡者の潜伏先としても知られる場所《地獄谷》の行き方を哲郎に尋ねるのだった。ルーシーらに背中を押され、部屋に様子を見に行った哲郎は、衝撃の事実を知ることに…。はたして、別所の正体は!? そして、桃代と影島の関係の行方は――?

第6話のレビュー

ワールドカップの中継で、先週は放送休止だったドラマ「ジャパニーズスタイル」。前回は、哲郎(仲野太賀)とルーシー(市川実日子)が危篤に陥った「虹の屋」の社長の元に駆けつけ、仲良く旅館の乗っ取りを計画していた桃代(檀れい)と影島(要潤)が不敵な笑みを浮かべたところで終わっていた。

そして、2週間ぶりの放送となった第6話。哲郎が旅館の専務になっているし、桃代と影島がなぜか仲違いしているわで、一話見逃したのかと一瞬焦ってしまった。しかし、どうやら前回から一年後が舞台になっているらしい。

驚いたのは、第5話で元気よく初登場となった哲郎の母・廻瑠(キムラ緑子)が急死したという事実。あまりにも唐突すぎて話についていけないが、整理すると代わりに哲郎の父親の方が奇跡の回復を遂げ、そのことから桃代と影島が仲違いしてしまったようだ。

残念ながらナレーションもキムラ緑子からベンガルに交代。ということは哲郎の父をベンガルが演じるのだろう。キムラ緑子が演じる破天荒な母親の役ももう少し見ていたかったが、今後登場するであろうベンガルが演じる父親の役も楽しみだ。

さて、今回の話は桃代と影島がとある客の正体をめぐり、火花を散らすというのが主なストーリー。その客とは、「虹の屋」の記念すべき1万人目の客として現れた別所(森下能幸)だ。

別所はなぜか無料宿泊券や凛吾郎との松茸狩りツアー、ルーシーが教えるセクシーピラティスなどの特典や、そのほかのサービスをことごとく拒否。不審に思った従業員たちはその理由を推測する。

そんな中、別所を「自殺志願者」と推理する影島と、逆に自殺志願者を保護する「刑事」だと推測する桃代が真っ向から対立。専務になった哲郎はそんな二人の間に挟まれ、自ら別所に接触を図る。

結論から言えば、どちらの推理も当たっていた。つまり自殺志願者の刑事だったのだ。ストーリーだけ聞くと「なんだそれは……」と肩の力が抜けそうだが、面白いのは哲郎が影島と桃代の考察力を絶賛し、二人を仲直りさせてしまうところ。

影島と桃代の推理をどちらも信じていなかったという哲郎。号泣しながらそのことを詫びる姿はいつも通り滑稽だが、やっぱりどこか可愛らしく見えてくるから仲野太賀がすごい。とんでもなくクズだけど、なぜか愛されるキャラを演じさせたらこの人の右に出るものはいないんじゃないだろうか。

結果的に影島と桃代が和解し、別所の自殺まで止めてしまうのもストーリー的には結構無理があるけれど、情けない哲郎を見ていたら、クスッと笑えて色んなことがどうでも良くなるのはなんとなく分かるような気がする。ちょっと仲野太賀の演技は東京03のコントを彷彿とさせるし、哲郎のキャラも角田晃広が演じていそうだなと思うのは私だけだろうか。

そして、散々ふざけていた檀れいと要潤が最後に大人の雰囲気を出してきたのには驚いた。影島と桃代の間にロマンスが生まれるのだろうか。それはそれで見たい気がする。次週は桃代の息子・凛吾郎(石崎ひゅーい)がフューチャーされる予感。一番破天荒で掴みどころのない不思議なキャラクターだけに期待が高まる。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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「虹の屋」で、《ウィークエンドショー》と題した館内イベントが行われている。演目は寺門・ルーシー・数子(市川実日子)のフラメンコと、仮面をつけたマジシャン・ミスターパーフェクトによる手品だったが、なぜかミスターパーフェクトこと高木大助(古舘寛治)は出番を前に帰宅してしまったようで…。柿丘哲郎(仲野太賀)は、楽屋で陰湿な嫌がらせをしたのかとルーシーを責めるが、その背景には、自分のバームクーヘンを彼女に食べられたという恨みもあった。うんざりしたルーシーは、今年中に「虹の屋」を出ていくと啖呵を切るのだった。一方で、ミスターパーフェクトの手品を楽しみにしていた浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)は、彼の口上をマネるほどハマっていたが、どうやら彼を追い出したのは母親の浅月桃代(檀れい)だったようで――!? 桃代と高木の間にいったい何が…?

二日後。梅越一二四(柄本明)、浮野奏太(KAƵMA)、そして影島駿作(要潤)は、厨房で怪しい動きをしていた舞台衣装の高木を捕まえ、ロープで縛りあげることに。被害はTKG(卵かけご飯)2杯とのことだが…。やがて、高木は二日間、かつて哲郎が寝泊まりしていたウサギ小屋にいたことが発覚。そして、そこに案内したのが凛吾郎で? 彼が高木をかくまった真意とは――!? そして、高木はなぜ「虹の屋」に留まったのか…? その答えは、桃代から衝撃的な形で明かされることに――?

第7話のレビュー

「ジャパニーズスタイル」第7話に、現在放送中の朝ドラ「舞いあがれ!」から、松尾諭に引き続き、下町の渋い親父を演じる古舘寛治がゲスト出演。何となく、くすりと笑えるのだけれど、味があってかっこいい。出演シーンがわずかでも思わず目を奪われるその存在感が本作でも活かされた。

結局父親の後を継ぎ、老舗旅館「虹の屋」の専務になった哲郎(仲野太賀)。すぐ図に乗ってしまう彼は早くもやりたい放題のようで、ルーシー(市川実日子)と言い争いになる。

でも、その理由が実にくだらない。ただルーシーに自分のバームクーヘンを食べられただけなのに大騒ぎ。しかも、ルーシーはお詫びに高級なバームクーヘンを買って返したのに、あれがよかったんだと子供みたいな駄々をこねる哲郎。いい加減、成長しなさい!と言いたくなってしまう。

哲郎の場合、さらに問題なのは悪知恵が働くところだ。今回は館内イベントに出演する予定だった“ミスターパーフェクト”こと、高木大助(古舘寛治)が出番前に帰宅したことに目をつけ、ルーシーが嫌がらせでもしたのでは?とありもしない理由をでっち上げて彼女を旅館から追い出そうとする始末。でも、そうやって大見得を切ってはみるものの、いつもやっぱり勘違いでしたということが多い。

だからやっぱり今回もルーシーが悪いのではなく、実は桃代(檀れい)が高木を追い出したことが明らかに。しかし、高木はそのままウサギ小屋に居座っており、夜中に厨房に忍び込んだところを梅越(柄本明)、浮野(KAƵMA)、影島(要潤)の3人に発見される。

なぜ高木はウサギ小屋にいたのか?それは凛吾郎(石崎ひゅーい)が高木を“師匠”として慕い、彼を匿っていたからだ。

本作で最もぶっ飛んでいるキャラクターといっても過言ではないのが、この石崎ひゅーい演じる凛吾郎。20歳なのにその出で立ちも喋り方もまるで幼児のようで、一見可愛らしいがスプラッター映画にでも出てきそうな狂気をはらんでいる。石崎ひゅーいも、ものすごく自由にのびのびと楽しく演じている印象だ。

第7話でも、凛吾郎は鹿の解体を終えて血まみれの状態で登場。いつもと変わらない様子だったが、今回は少しばかり様子が違う。愛らしさが爆発しているのだ。

「師匠の手品を見たときにこれだ!って思ったんだ。ずっと探してたものが見つかったって思ったから」とちょっと恥ずかしげに語る姿がとにかく可愛い。ちなみに石崎ひゅーいの実年齢は38歳。とてもじゃないけど見えない。

そんな凛吾郎が慕う高木の正体は、なんと凛吾郎の実の父。だから桃代は彼を追い返したのだった。大道芸の修行でドイツに行くために桃代と凛吾郎の前を去った高木。普通に考えればとんでもない父親だが、古舘寛治が演じれば不思議と哀愁が漂う。

「手品の師匠だと思ってた人がお父さんだったなんて、こんな素敵なマジック見たことないよ!」と素直に喜ぶ凛吾郎、なんていい子なんだ……。少年のように嬉々としたり、かと思えば高木がまた姿を消して、さみしそうな表情を浮かべたり、今回は石崎ひゅーいの色んな顔を見ることができた。

始まって以来のしみじみ回となった第7話。それもこれも、古舘寛治の味のある演技があってこそ。本作は主要キャストもそうだが、ゲスト俳優の名演も光る。来週はまたまた良い味を出す俳優・鈴木浩介が出演する。

※この記事は「ジャパニーズスタイル」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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「虹の屋」のフロントでクリスマスの飾りつけをしている梅越一二四(柄本明)。その傍らで、寺門・ルーシー・数子(市川実日子)と浮野奏太(KAƵMA)は、相変わらずUNOに興じている。そこに、社長との話し合いに出かけていた浅月桃代(檀れい)と影島駿作(要潤)が帰ってくる。2人は、無理やりサウナを作り、熱波師の資格を持つ闇金業者・澤田弥勒(松川尚瑠輝)を旅館で働かせたり、従業員の給料を削減するなど、やりたい放題の専務・柿丘哲郎(仲野太賀)の暴走を止めるよう社長にお願いするも、その願いは叶わずで…。梅越を筆頭に哲郎への愚痴は止まらず、今年中に「虹の屋」を出ていくと宣言しているルーシーに続いて、浮野まで旅館を辞めることを計画するのだった。

やがて、釣りに出かけていた浅月凛吾郎(石崎ひゅーい)が帰ってくるが、持って帰ってきたのは《魚》ではなく意識を失った《人》で!? 上下黒のスーツに身を包み、びしょ濡れで砂浜に倒れていた男(鈴木浩介)を拾ってきたのだが、意識を取り戻した男は英語で話し出したことから、影島は過去にイギリスの海岸で記憶喪失の男が見つかった話を持ち出し、《ピアノマン》ではないかと推測。桃代は警察に届けた方がいいと助言するが、哲郎は本当に《ピアノマン》ならば手厚い保護をした方が「虹の屋」のPRになると譲らない。やがて、男は流暢な日本語で語り出すが、つたない記憶の中で「虹の屋」の過去の出来事を鮮明に覚えていて…? まさか、元従業員!? やがて、記憶を取り戻した男・砂田の真の正体とは――? そして、哲郎はまたもや、誰もが予期せぬ行動に出るのだった!!

第8話のレビュー

「ジャパニーズスタイル」が始まった時、主人公の哲郎(仲野太賀)が癖の強い従業員を攻略し、寂れた実家の旅館を立て直していく物語かと思っていた。でもまさか、一番ヤバいのは哲郎の方で旅館を改悪していくと誰が予想できただろう。

帰ってきたばかりの頃はまだ可愛らしかったのに、専務になってからの憎たらしさたるや。今度は旅館にサウナを作ろうとしているようで、熱波師の資格を持つ闇金業者の澤田(松川尚瑠輝)を雇用。凛吾郎(石崎ひゅーい)に熱波師の研修を無理やり受けさせたり、ルーシー(市川実日子)や浮野奏太(KAƵMA)に旅館を出て行かせようとしたり、お世話になった梅さん(柄本明)の給料を削減するわでやりたい放題。哲郎がここまで暴走したのは一体全体なぜなのだ。

もはや仲野太賀が演じているという贔屓目で見ても耐えられないレベルでクズすぎる哲郎。第8話はそんな哲郎に罰が下る回だった。

釣りに出かけていた凛吾郎が連れて帰ったのは、砂浜に倒れていた男(鈴木浩介)。彼は記憶を失っているようだが、なにやら英語で話し始める。どう考えても、「どうぶつの森」に出てくるジョニーじゃないか(伝わるだろうか)。

その謎の男は「虹の屋」で徐々に記憶を取り戻し始める。どうやら数年前にオーストラリア人の団体客が旅館に訪れた際にその男も居合わせていたらしい。でも従業員は誰も彼のことを覚えておらず、その日のことを一つひとつ思い出す。

思い出話が膨らみ、和気あいあいとした雰囲気が流れる中、ひとり蚊帳の外にいるのが哲郎だ。なにせ、哲郎はその時いなかったのだから。哲郎はみんなに構って欲しくて必死でアピールするけど、邪険に扱われる。自業自得……!と言いたいところだけど、ずっと見ていたら何だか可哀想になってきた。

でも、そんな哲郎がラストに何をしたかといえば、またもや家出。全然懲りないというか、成長しないというか……。結局のところ、「虹の屋」の従業員たちも私たち視聴者も最初から最後まで哲郎に振り回されっぱなしだ。

次週はついに最終回だが、なんと1時間スペシャル。キャストたちは30分だけでもかなりカロリーを使いそうなのに果たして1時間なんて大丈夫なのだろうか。最後までその勇姿を見届けたい。

※この記事は「ジャパニーズスタイル」の各話を1つにまとめたものです。

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最終回ストーリー&レビュー

最終回のストーリー

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1年前、「虹の屋」を再び飛び出した柿丘哲郎(仲野太賀)が突然戻ってくる。専務としてやりたい放題した挙げ句に出て行ったため、哲郎本人も二度と敷居をまたぐことはできないと思っていたが、浅月桃代(檀れい)、凛吾郎(石崎ひゅーい)親子、影島駿作(要潤)、浮野奏太(KAƵMA)、そして梅越一二四(柄本明)は、なぜか彼を快く迎え入れる。その行動を怪しむ哲郎だったが、案の定、彼にお願い事が…。哲郎の父親であり、「虹の屋」の社長である宗八(ベンガル)が旅館の売却を目論んでいるそうで、それを止められるのは哲郎しかいないという。そんな中、外出していた寺門・ルーシー・数子(市川実日子)が戻ってくるが、彼女だけは哲郎を許しておらず…。そして、ルーシーは好意を寄せられていた記憶喪失男《ザ・ピアノマン砂田》からプロポーズされて!? 2人の関係の行方は――? 

やがて、宗八がゴルフから帰ってくるが、哲郎の帰宅に激怒! しかも、いつの間にかキャディーの尾崎夜余代(宮澤美保)と恋仲になっていて…。そしてなんと、哲郎も間もなく結婚!? 今回の帰宅は宗八への結婚報告も兼ねているというが、はたしてそのお相手とは? また、哲郎の宗八への説得はうまく進み「虹の屋」は無事に存続するのだろうか?

しかし…事態は一変し、予期せぬ方向へ! いったい何が巻き起こるのか――?

最終回ののレビュー

2020年に新型コロナウイルスが海外のみならず、日本を襲い、数々の業界が大打撃を受けた。その一つが、ひと所に大勢の人が集まる演劇界だ。当時は不要不急の扱いを受け、たくさんの公演が中止になった。だけど、演劇が好きな人たちは誰一人として不要不急なんて思っていなかったと思う。

その場にいる誰もが目の前で繰り広げられる劇にハラハラしたり、ドキドキしたり。あの全てが溶け合い一つになる楽しさは何にも代えがたい。それを今、改めて思い出させてくれたのがドラマ「ジャパニーズスタイル」(テレビ朝日系)だ。

仲野太賀、市川実日子、KAƵMA、檀れい、石崎ひゅーい、要潤、柄本明という豪華俳優陣がスタジオに招いた観客の前で繰り広げた演劇を、現場の空気感そのままに放映した本作。

日本ではまだ馴染みのないシットコムというジャンルに、リハーサル1日、翌日に本番で週2本撮影という過酷なスケジュール。何から何まで新しい試みを成功させようとするキャストやスタッフの気概がひしひしと伝わってきた。

そして、ついに大団円を迎えた「ジャパニーズスタイル」。ストーリーも最初から最後まで斬新だった。始まりは、人里離れた場所にある旅館「虹の屋」の跡継ぎを拒んで、家を飛び出し上京した哲郎(仲野太賀)が、10年ぶりに帰ってくるところから。

そこにはバツ2のフラメンコダンサー・ルーシー(市川実日子)に、弟が指名手配されている料理長の浮野(KAƵMA)、二時間ドラマオタクの支配人・影島(要潤)、女霊媒師に全幅の信頼を置く仲居頭の桃代(檀れい)に、その息子で成人しているのに幼児のような凛吾郎(石崎ひゅーい)、いい歳してご当地アイドルにハマる温泉水質管理責任者の梅越(柄本明)と、一癖も二癖もある従業員がいた。

だけど、蓋を開けてみたら哲郎が一番のくせ者で問題を起こしてばかり。特に専務になってからの哲郎はやりたい放題で、それに反発する従業員たちの絆は深まっていった。孤立した哲郎はまたもや送迎車で家出……というのが前回までの展開。最終回は第一話と同じように、哲郎が再び1年後に帰ってくるところから始まった。

ただ、流石に哲郎も反省しており、二度と旅館の敷居はまたげないと思っている様子。そんな哲郎をルーシー以外は何故か快く受け入れる。実は哲郎の父であり、社長の宗八(ベンガル)が旅館の売却を目論んでおり、みんなは哲郎がそれを止められることを期待していたのだった。

それぞれに問題を抱えている従業員たちは他に行くあてがない。そんな彼らを、これまで“クズ”としか言いようのない行動を繰り返してきた哲郎がついに改心し、救うのか。そういう何だかんだ感動的な展開が待っているのかと思っていた。でも、良い意味でその期待を裏切られるラストだったように思う。

どうにか宗八と和解し、再び専務の座に就いた哲郎。しかし、その矢先に宗八が急死する。茫然自失となりながらも、哲郎は喪主を務めたが、どこか様子がおかしい。なぜか急いで東京に戻ろうとする哲郎をみんなが問い詰めると、葬儀の翌日に元カノであるイチ子(モトーラ世理奈)との結婚式をあげるのだという。

しかも、哲郎は香典をみんなに黙って持ち逃げしようとしていた。ここにきて、最大級のクズっぷりを見せる哲郎。もはや清々しい。哲郎が言い訳を重ね、ほかの人たちが責め立てる図は今やお馴染みだが、最終回ということでいつも以上に気合いが入っているように見えた。

だけど、なんだかんだいってお互いを見捨てられない家族愛のようなものがそこにあって微笑ましい。最終回まで共に走り抜けてきたキャストたちの信頼関係も劇に反映されているのだろう。

エンドロールで流れる舞台裏でもキャスト同士の仲が良く、現場の雰囲気が良かったからこそ、一人ひとりが伸び伸びと自由に自分の役を演じられたのだと思う。だから、全てのキャラクターが生き生きと輝いており、見れば見るほど癖になっていった。

彼らとお別れするのは寂しいが、あのわちゃわちゃ感が「虹の屋」ではこれからも繰り広げられていくのだろう。できれば、「ジャパニーズスタイル」パート2があってほしいし、こういうスタイルの作品がもっと普及すればいいなと思う。また、このドラマを観ていると舞台演劇も観たくなる。そういう意味でも、かなり演劇界に貢献した作品になったのではないのだろうか。

※この記事は「ジャパニーズスタイル」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「ジャパニーズスタイル」作品情報}–

「ジャパニーズスタイル」作品情報

放送日時
2022年10月22日(土)スタート 【毎週土曜】夜11時30分~深夜0時、テレビ朝日系24局

出演
仲野太賀/市川実日子/要潤/KAƵMA/石崎ひゅーい/檀れい/柄本明

主題歌
『瞳惚れ』Vaundy(SDR)

脚本
金子茂樹

監督
深川栄洋

ゼネラルプロデューサー
三輪祐見子(テレビ朝日)

プロデューサー
竹園 元(テレビ朝日)
都築 歩(テレビ朝日)
中沢 晋(オフィスクレッシェンド)

制作協力
オフィスクレッシェンド

制作著作
テレビ朝日