<PICU 小児集中治療室>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

吉沢亮が“月9”初主演を務める医療ドラマ「PICU 小児集中治療室」が、2022年10月10日(月)21時よりスタート。

27歳の小児科医、志子田武四郎(吉沢)が、子どもたちの生死を分ける過酷な「PICU」で奮闘する。共演は、安田 顕、木村文乃、高杉真宙、イッセー尾形、大竹しのぶら。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・最終回ストーリー&レビュー

・「PICU 小児集中治療室」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー


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北海道で生まれ育った志子田武四郎(吉沢亮)は、丘珠病院に勤務する27歳の小児科医。幼いころに父を亡くし、女手ひとつで育ててくれた母・南(大竹しのぶ)とふたり暮らしをしている。武四郎は、母思いで料理上手、家事全般もそつなくこなす優しい青年だが、大事な場面で不器用さを発揮することもしばしば。

網走総合病院で救急救命医をしている矢野悠太(高杉真宙)、南がバスガイドとして働く旅行バス会社の娘で、自身もバスガイドとして働いている涌井桃子(生田絵梨花)、そして武四郎と同じ丘珠病院で小児外科医として働く河本舞(菅野莉央)は、武四郎の幼なじみで、家族同然ともいえるような大切な存在だった。

ある日、武四郎は、丘珠病院に新設されたばかりのPICU=小児集中治療室への異動を命じられる。そこで出会ったのが、日本各地でPICUの整備を推し進めてきた小児集中治療のパイオニア・植野元(安田顕)だった。3年前、道内で起きた悲劇が大きな契機になり、北海道知事の鮫島立希(菊地凛子)が植野を訪ねてPICUの整備を依頼したのだ。その際、植野はある条件を提示し鮫島は、近い将来必ず実現させると約束した。3年を経てようやく設立されたPICUだが、集まったスタッフは、植野、武四郎のほか、植野と行動をともにしてきた優秀な看護師・羽生仁子(高梨臨)と、植野に誘われてやってきた救急救命医の綿貫りさ(木村文乃)の4人だけだった。その現状に、口が悪く横柄な態度のりさは、「初期研修を終えたばかりの未熟な小児科医は使い物にならない」と本人の目の前で武四郎を非難するようなありさまだった。

そんな折、PICUに、発症から4時間も経過した少女を運び込まれ……。

第1話のレビュー

舞台は広大な自然があふれる北海道、ドラマの内容は医療系、豪華なキャスト陣、そして主題歌を歌うのは中島みゆきとくれば、観ない理由がみつからない—。

主演は、昨年放送されたNHK大河ドラマ「青天を衝け」で渋沢栄一を演じた吉沢亮。
生真面目で不器用な若い小児科医、志子田武四郎(しこた・たけしろう)を、吉沢がこれからどんな風に演じ、成長させていくのか楽しみだ。

冒頭からネタバレしてしまうが(※以下注意)
ドラマというものは、窮地に追い込まれても結局は大団円で終わる。
とくに初回の放送では、円満解決の展開が多い。
しかし、昨日放送された「PICU 小児集中治療室」では初回放送から子どもが亡くなった。
しかも2人も……。
これは辛い。どうしてもため息が自然と出てしまう。

北海道の郊外に新設された小児専門の集中治療室PICU。 
PICUとは、Pediatric Intensive Care Unitの略称で小児専門の集中治療室のことだ。
7歳の人気子役が撮影中に体調を崩し亡くなったことがきっかけに小児科医、武四郎の心に小さなあかりが灯った。
そこから3年後、北海道知事の鮫島立希(菊地凛子)が動いたことによってPICUが設置された。
小児集中治療のパイオニアである植野元(安田顕)、救急救命医の綿貫りさ(木村文乃)と看護師の羽生仁子(高梨臨)、そして研修を終えたばかりの未熟な小児科医、武四郎の4人だけ。
そこへ突然、腹痛を訴えた女の子、きょうかちゃんが搬送されてきた。
しかし、発症から4時間も過ぎたために治療の甲斐なく亡くなってしまった。
自分の袖を掴んで「ママ」と言って亡くなったことに動揺を隠せず、号泣する武四郎。
そんな武四郎に植野は
「どうしたら良かったのか、反省して…反省して…一緒に考えましょう」と優しく諭した。
きょうかちゃんが最初に訪れた病院を訪問した武四郎と植野。
どうすればきょうかちゃんを助けることができたのかを、一つずつ丁寧に紐解く作業をおこなうためだった。
帰りの電車を待つ駅で植野はなぜ、武四郎をPICUに呼んだかを話した。

冒頭で「俺、生きるとか死ぬとかほんと無理だからさ……ほんと、そういうのダメだから」と言っていた武四郎が今後、PICUでどのようにして成長していくのか。

どこまでも優しい植野とは対照的で厳しい発言、鋭い視線が気になる救命医の綿貫。
この2人の存在も武四郎に大きく関わってきそうだ。

今回のドラマは、吉沢演じる未熟な小児科医がメインだろう。
しかし、カメレオン俳優と名高い、安田顕の演技にも大いに注目したい。

同作品とは少し離れるが、今クールのフジテレビ系のドラマ「silent 」(木曜22時~)、「親愛なる僕へ殺意をこめて」(水曜22時~)など、初回から主演が涙を流していることが多い。
そして、どの作品も思わず視聴者がもらい泣きしてしまうほどストーリー展開も良く、演者もうまい。
よし、そうくるならばこちらも今クールドラマで大いに泣かせてもらおうではないか!!

来週以降もティッシュを準備して、しっかり各ドラマに向き合いたいと思う。

※この記事は「PICU 小児集中治療室」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー


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丘珠病院のPICUは、解決のめどすら立たない深刻な人手不足問題に直面したままだった。志子田武四郎(吉沢亮)は、何かの役に立てるならと、休日を返上して出勤する。だが、同僚医師の綿貫りさ(木村文乃)や看護師長の羽生仁子(高梨臨)から「ひとりにカウントできるとは思えない」「ギリギリ半人前かどうか」などと冷たくあしらわれてしまう。

同じころ、PICUの科長・植野元(安田顕)は、「北海道PICU推進に向けた意見交換会」で、参加した北海道内の医師たちに協力を呼びかけていた。そこにやってきた札幌共立大救急科科長の渡辺純(野間口徹)は、PICUに必要な経験と実力を兼ね備えるほどのスタッフならば手放すはずはない、と植野に告げる。続けて渡辺は、PICU設置に動いた北海道知事・鮫島立希(菊地凛子)のことに触れ、彼女がやっていることは、次の選挙に向けての票集めでしかない、と言い放つ。
そんな折、丘珠病院に火傷を負った急患2名が救急搬送されてくる。9歳の姉・佐渡莉子(田中乃愛)は軽傷のようだったが、6歳の弟・理玖(中村羽叶)は右肩全体に重度の火傷を負っていた。植野は、救命医の東上宗介(中尾明慶)や麻酔科医の今成良平(甲本雅裕)らの協力を得て理玖の治療を開始。武四郎には、姉弟の母・京子(紺野まひる)と莉子についているよう指示するが……。

第2話のレビュー

女性誌がおこなった「国宝級イケメンランキング」殿堂入りを果たした吉沢だが、初回から“イケメン”を見事に封印し、自信のない小児科医を熱演している。

PICUに小児科医として配属されたものの、自分が戦力になっていないことに落ち込む武四郎(吉沢亮)。
休日も誰かの役に立ちたい、仕事を覚えたいという焦りから出勤するも科長の植野(安田顕)らに休むことも仕事だと諭され、帰ることに。そんな時、一台の救急車が丘珠病院に到着。重度の火傷を負った姉弟が運ばれてきた。武四郎は軽傷の姉、莉子(田中乃愛)の手当をすることに。莉子の喉に異変を感じた武四郎は、植野に報告。莉子の気道熱傷をいち早く見抜いた武四郎は植野に「よく気づきましたね」と褒められる。
この時の武四郎の表情はまるで、お父さんに褒められた息子のように照れくさそうにしていた。
莉子の母親、京子(紺野まひる)と病院とのディスカッションの場で京子は合唱をしている莉子が今後、歌うことはできるかと質問。しかし、植野は元のように歌える可能性は低いことを伝えた。京子の願いでこのことは莉子には伏せておくことに。
莉子とも筆談でコミュニケーションを取れるようになり、小児科医として少しだけ自身がついてきた武四郎。ある日、莉子から「私は歌えるようになりますか。本当のことを教えて」と聞かれ、元のように歌うことは難しいと伝えてしまう。自分は莉子のために嘘をつかずに正直に話せたと満足していたところ、莉子が「歌えないなんて死にたい」とノートに綴り、自分の体についた器具をすべて外してしまい病室では大騒ぎに……。このことを知った植野は武四郎に激怒。普段は優しい植野が執拗に叱る姿は、鬼気迫るものがあった。

思いっきり落ち込んだ武四郎が自宅に帰ると母の南(大竹しのぶ)が好物を食卓に並べて元気に迎えてくれた。
「なにくよくよしてんのよ、嬉しくても悲しくても辛くても食べるの。食べればひとまず、エネルギーになるのよ。エネルギーがないと立ち上がろうって元気がなくなっちゃうから。ひとまず、食べる。いい?」
素晴らしいセリフだ。
また、大竹しのぶが発すると心にポッと灯がともったような気持ちになる。
そうだ、どんな時も食べなければ元気は出ない!
このセリフに多くの視聴者が救われたのではないだろうか。

底抜けに明るい母の存在に救われた武四郎だったが「だから太るんだよ」と、嫌味をぼそり。
すると母は「それがさ、痩せたのよ」と。
「嘘つけ!!」と笑う武四郎。
何気ない母子の会話に頬が緩んだ。
母のエールのお陰で武四郎に笑顔が戻った瞬間だった。
武四郎と一緒になって、「うふふふふ」と笑った母だったが
「本当に痩せたんだけどな……。」
と小さな声でつぶやいた。
ん??
これはもしや伏線か?
ドラマ中盤で母の南が倒れる予感がするのは筆者だけだろうか。
そう思うと心なしか、大竹が一回り小さくなったような……。
これも役作りなのか? と勘繰ってしまう。

翌日、莉子の母、京子から猛烈なビンタをお見舞いされてしまった武四郎はさらに落ち込む。
そこへ「向いていないと思う、この仕事。いつか訴えられるよ」という救命医の綿貫(木村文乃)の容赦のない言葉。
キ、キツイ……。

一般病棟に移った莉子と再会した武四郎は「ごめんなさい」と膝をついて謝った。
武四郎の涙が頬を伝う。

一方、植野は今成との会話の中で
「落ち込んで折れそうになっても立ち上がって学ぶ。それの繰り返し」
と武四郎に向けてエールを送っていた。

出演している俳優陣全員の演技があまりにも自然なため、医療系のドキュメンタリーを見ているような気持ちにさせてくれる。
内容はセンセーショナルだが、週の始めに心をじんわりと温かくしてくれる。
頑張れ、武四郎!!
今後の展開が本当に楽しみだ。

※この記事は「PICU 小児集中治療室」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー


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志子田武四郎(吉沢亮)のもとへ、網走総合病院で救命医をしている親友・矢野悠太(高杉真宙)から電話があった。その際、悠太の様子がどこかおかしいことに気づいた武四郎は「何があったんだよ?」と心配するが、悠太は「なんでもない」と電話を切る。そんな悠太のもとに、7歳の少年・杉本淳之介(松野晃士)がトラックにはねられて緊急搬送されてきた。

淳之介は、大腿骨骨折のほか、第4肋骨と第5肋骨が折れ、肺を損傷している可能性もあるほどの重症だった。外科医がオペ中だったため、悠太は、淳之介を設備の整った大きな病院へ搬送しようと決断するが、濃霧がひどくヘリコプターを飛ばせないとの知らせが入る。悠太は、このまま救急車で釧路に向かうよう指示するが、釧路までは山あいの道を進むことになるため、3時間はかかるといわれてしまい……。

第3話のレビュー

第3話が終わったばかりだが、安田顕と吉沢亮の泣き顔がこのドラマの名物と化してきている。
今回も1人の少年の命を救うために2人が流した涙は、美しかった。

幼なじみで救命医の悠太(高杉真宙)のことが気になり、網走の勤務先まで訪ねた武四郎(吉沢亮)。
そこへ交通事故にあった淳之介(松野晃士)が緊急搬送されてきた。
親友同士の語らいはお預けで、武四郎と悠太は一緒に淳之介をPICUに運ぶことに。
肺の損傷が激しいため、淳之介の肺を全摘するか残すか議論になった。
武四郎は、淳之介と術後管理が心配な植野(安田顕)のためにスタッフ集めに奔走する。
その姿を見た院内の医師や看護師が、PICUを助けてくれることになった。
淳之介の意識が戻り、くしゃくしゃの顔で喜ぶ武四郎。

一生懸命、そしてがむしゃらという言葉がぴったりな武四郎に影響されて、周りの人間の表情もゆるんでいく。
植野に「もっともっと勉強します」というラストの武四郎の言葉は頼もしかった。

武四郎の成長の裏で悠太の不安そうな表情が気になる。
職場で冷遇され、心身ともに衰弱しているように見える。
武四郎よ、自分も大変だろうが悠太の変化に早く気付いてあげて!

ここまで出番が少ない救命医のりさ(木村文乃)の動向も気になる。
医療裁判を起こそうとしている様子は、ただならぬ雰囲気だ。
「覚悟はできています。医者が医者を訴えているんですから」のセリフの真意は?

PICUの存続をかけたストーリーと、登場人物たちの物語が同時進行で繰り広げられる同ドラマ。
救命医療を身近に感じられる人は、そう多くはないだろう。
しかし、私たちもいつお世話になるかわからない。
医師やスタッフたちの苦悩や裏側を垣間見られる同ドラマは貴重な存在だ。
武四郎の成長と共に、救命医療やPICUの存在も応援していきたい。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、PICUの科長・植野元(安田顕)や先輩医師の綿貫りさ(木村文乃)らとともに、一般病棟に移ることになった佐渡理玖(中村羽叶)くんを見送る。交通事故に遭いPICUで治療を受けていた杉本淳之介(松野晃士)くんは、「お友だちがいなくなった」と寂しそうだった。
するとその時、PICUにRSウィルスに感染し重症化した生後7日の赤ちゃんが運び込まれる。実はこの赤ちゃんは、乳児院の子だった。赤ちゃんの母親は20歳の大学生だったが、両親からの反対を受け、生まれてすぐに乳児院へ預けられたのだという。それ故、まだ出生届も出されておらず、名前すらなかった。植野は、綿貫に武四郎と組んで、この赤ちゃんを担当するよう指示する。だが、「自分一人で十分です」と答える綿貫。後輩の育成も仕事のうちだと植野になだめられた綿貫は、渋々、武四郎と組むことになるが……。

第4話のレビュー

27歳の小児科医、志子田武四郎(吉沢亮)は患者である子どもたちとコミュニケーションがとれるようになっていた。
しかし同僚の救命医、綿貫りさ(木村文乃)とはぎこちない関係が続いていた。

そこへRSウィルスを患った赤ちゃんが搬送されてきた。
まだ名前が付けられていない生後間もない赤ちゃんの母親は、「母親になんかなれない」とPICUに来ることを拒絶。
それでも武四郎は、母親に赤ちゃんの様子を見に来るよう何度も電話をしていた。
その熱意が次第にエスカレートしていったため、武四郎は母親の家族から訴えられることに……。

患者と家族のことを考えるあまり、空回りしてしまう若い小児科医を吉沢が見事に演じている。
喜怒哀楽が顏に出てしまう不器用さ、自信のなさが表情から漏れ、観ている側をハラハラさせる。
しかし、回を重ねるごとに少しずつ柔軟さと医師としての覚悟が感じられ、応援したくなる。

このドラマは吉沢亮の懸命さが全面に出ているが、安田顕演じる植野先生の存在も大きい。
フカフカの綿がいっぱい詰まった布団で患者や医師、スタッフを包みこんでくれているかのような温もりと安心感のある人物だ。
安田といえば、2022年の冬ドラマ「逃亡医F」(日本テレビ系)で研究者・佐々木フェローを演じていた。
この佐々木は部下をネチネチ虐め、とんでもない変態役だったので今回演じている植田とのギャップに戸惑う。
と、同時に安田顕の俳優としての振り幅にただただ驚く。

第4話では綿貫の過去も明らかに——。
初回から「裁判」という文字が彼女には付いて回っていたので、てっきり患者から訴えられているのかと思っていたら、彼女が訴える側だった。
数年前、綿貫は病院とのトラブルで娘を死産していた。
ストーリーの後半で、綿貫の裁判に同席したことで彼女の過去や苦しみに触れた武四郎。
誤解していた部分があった武四郎は、綿貫に素直に謝罪。
綿貫もこれまでの冷たい対応を謝罪し、同僚としての関係は前進したように見える。

さらに、赤ちゃんの母親には綿貫が寄り添うことでPICUに顔を出してくれることに。
武四郎への訴えも取り下げてくれて、一件落着だった。

同ドラマで出番は少ないが武四郎の母、南を演じる大竹しのぶの言葉が毎回、心に刺さる。
第4話では
「“母は強し”って言うけれど、同時にとっても怖がりで繊細な生き物なんだよ」
たしかに。
母だって弱音を吐いたり、逃げたくなったりするだろう。
これからも南の言葉には注目していきたい。

次週は親友の矢野悠太(高杉真宙)が救急搬送のシーンからはじまりそう。
悠太の身に何がおきているのか。
武四郎は悠太のことを救えるか。
かなり重篤な雰囲気だったことが気がかりだ……。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー


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“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)が勤務する丘珠病院に、親友の矢野悠太(高杉真宙)が救急搬送されてきた。ただちに悠太の処置に当たる救命医の東上宗介(中尾明慶)。PICU科長の植野元(安田顕)も東上のヘルプに入る。武四郎は、突然のことに激しいショックを受けながらも、PICUの仕事に取り組もうとする。
そんな折、植野は、新たに10歳の立花日菜(小吹奈合緖)ちゃんと、12歳の小松圭吾(柊木陽太)くんをPICUで受け入れると綿貫りさ(木村文乃)や武四郎たちスタッフに伝える。日菜ちゃんは、急性リンパ性白血病で7歳のころから丘珠病院の小児科を受診しており、武四郎も研修医のころからよく知っている女の子だった。日菜ちゃんは先月から化学療法で寛解を目指して治療していたが、副作用で白血球が急激に減少していた。
一方、近いうちに受け入れる予定の圭吾くんは小学校4年生のときに拡張型心筋症を発症し、函館市内の病院で治療を受けていたが、心拡大が悪化しそこでの治療継続が難しくなっていた。植野は、圭吾くんをより安全に搬送するため、ついにドクタージェットが使えることになったと武四郎たちに伝えて……。

第5話のレビュー

前回のラストは、悠太(高杉真宙)が武四郎(吉沢亮)の勤務する病院に救急搬送されてきたところで終わった。
何が起こったか理解できず、ただただ「悠太!悠太!」と名前を叫ぶことしかできない武四郎。
大量の睡眠薬を飲み、倒れていたと状況を聞いても、まさか悠太が命を粗末にするわけがない!と受け入れがたい様子。
一方、PICUでは懸命に命の炎を燃やす子どもたちの治療にあたっていた。

今回は「生命」について考えさせられる神回だった。
医師でありながら過酷な職場から「逃げたい」一心で大量の睡眠薬を飲んだ悠太と、「生きたい」と願う子どもの命に向き合う武四郎や植野(安田顕)らの葛藤が見事に描かれていた。
また、悠太を責める武四郎に母の南(大竹しのぶ)が
「悠太の命は悠太だけのものだよ」
と優しく諭すシーンにも感動。
演技をしているとは思えない2人の表情に、多くの視聴者が心を揺さぶられただろう。

悠太が意識を取り戻してから、武四郎と対峙するシーン。
大袈裟かもしれないが、歴史的な名シーンだったように思う。
悠太が命を絶とうとした怒りはあるものの、自分の不甲斐なさと頼りのなさに涙を流す武四郎。
対して、ようやく弱音を吐けた悠太の弱々しい姿は、死を意識した若者の姿だった。

悠太を演じる高杉真宙は現在、朝ドラの「舞いあがれ!」で寡黙な大学生、刈谷役も演じている。
刈谷と悠太、同じ俳優が演じているとは思えないほど好演している。
今回のドラマは吉沢亮のすごさは明白だが、大竹しのぶや安田顕、そして高杉など周りの演者にも驚かされる。

第5話では、南の描写も気になった。
息子が作ってくれたお弁当に、箸をつけずに捨てるシーン。
やはり病気を患っているのか、大竹しのぶがどんどん小さくなっていく。
まったく食べられないほど、病状は進行しているというのか。
早く誰か気づいてあげて!!
著者は、勝手にこのドラマはシリーズ化され、映画化もされるのではないかと思っている。
今後、吉沢と大竹のやり取りが見られないのは困るのだ。

「PICU小児集中治療室」は繊細に命と向き合う物語だが、医師の成長記でもあり、過酷な医療現場の実態も浮き彫りにしている。
さらに、南の病状に綿貫(木村文乃)の医師生命、桃子(生田絵梨花)の出産も気になる。

第6話以降は誰かの命が消えることなく、笑顔で最終回が迎えられることを願うばかりだ。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー


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“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、先輩医師の綿貫りさ(木村文乃)とともに、急性リンパ性白血病で丘珠病院PICUに入院中の立花日菜(小吹奈合緖)ちゃんの回診を行う。日菜ちゃんと会話していると、ずっと意識がない状態が続いていた小松圭吾(柊木陽太)くんが目を覚ます。PICU科長・植野元(安田顕)からカンファレンスを仕切るよう指示された武四郎は、麻酔科医の今成良平(甲本雅裕)や小児外科科長の浮田彰(正名僕蔵)、救命医の東上宗介(中尾明慶)らとともに、圭吾くんの今後の治療方針を検討する。拡張型心筋症で、心不全の憎悪を何度も経験している圭吾くんには、心臓移植が必要だった。だが、圭吾くんは心臓移植を希望しておらず、移植待機の登録もしていなかった。 
圭吾くんの担当医となった綿貫は、彼にあいさつし、聴診器を当てようとする。だが、「放っとけよ!」と手を振り払われてしまい……。

第6話のレビュー

拡張型心筋症という重い心臓病を患う圭吾(柊木陽太)が目を覚ましたが、「どうせ死ぬんだからほっといて」と武四郎(吉沢亮)ら、医師を寄せ付けない。
心臓移植にも消極的な圭吾に何とかして生きる希望を与えたい武四郎は、治療計画の一環として圭吾だけの修学旅行を思いつく。

医師としてはまだまだ未熟だが、子どもの気持ちに寄り添える武四郎ならではのアイディアだった。
圭吾の友だちの優里(稲垣来泉)の存在も大きく作用し、圭吾は移植へそして、生きることへも前向きになっていった。

「先生、やっぱり心臓移植したい。心臓をくれる子の分も生きたい」

さらには

「先生みたいな大人になりたい」

と笑顔で武四郎に気持ちを伝えた。
絶望の淵にいた少年の心を、180度変えた武四郎。
病気の子どもに寄り添い、勇気を与えてくれる武四郎の行動から病気を治すだけが医師の仕事ではないことを改めて感じた。

気になるのが武四郎の母、南(大竹しのぶ)の病状だ。
第2話から徐々に体調が悪くなっていっている。
悠太(高杉真宙)にはヘルニアと言ったようだが、どう見ても大きな病を隠している様子。

「母と息子の嫌味合戦」が同ドラマの名物になりつつあったのに、ここにきて南の表情が視聴者をも不安にさせる。
母のことが心配でたまらない一人息子の武四郎、吉沢の演技にも心がきゅっとなる。
南の病状が悪いものでありませんように……。

毎話、なんらかの形で泣かされてしまう「PICU 小児集中治療室」。
もう悲しい涙は流したくない。

だれか、南ちゃんを助けて!

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー


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“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、しばらく丘珠病院に泊まるつもりで荷物をまとめて出勤する。拡張型心筋症を発症後、心拡大が悪化してしまった12歳の少年・小松圭吾(柊木陽太)くんの病状が心配だったからだ。武四郎は、圭吾くんのわずかな変化も見逃さないよう、寝る間も惜しんで見守る。
そんな折、PICU科長の植野元(安田顕)のもとへ、北海道知事の鮫島立希(菊地凛子)から連絡が入って……。

第7話のレビュー

拡張型心筋症を患っている圭吾(柊木陽太)のことが気になってしかたがない武四郎(吉沢亮)は、病院で寝泊まりするようになっていた。
「休むことも仕事のうち」と植野(安田顕)に諭され、自宅に戻ると母、南(大竹しのぶ)の薬が食卓に置いてあった。
ようやく南と南の病状について話し合うことに。
南の体は癌に侵されており、すでに骨にも転移していることがわかった。
医者である自分が母の病状に気づいてやれなかったこと、最悪な場合もあることに直面した武四郎。
涙を流していないのに、吉沢の全身から混乱と不安、絶望感が漂う。
そして、自分の手でなんとかしたいという強い信念もみえる。

一方南は、武四郎が医者になったとはいえ、いつまでたってもかわいい息子。
南の中では、泣き虫で甘えん坊の小さな少年のままなのかもしれない。
そんな息子を一人残して逝ってしまうかもしれない状況を思うと、やるせない。
迷惑をかけたくないという思いもあるのだろうか、一貫して「治療はしない」と言い張る。

初回からここまで、親子のやり取りが微笑ましく描かれていただけに、今回は辛いシーンの連続だった。
吉沢亮と大竹しのぶ――。
2人の芝居は、いつまでも見ていられる不思議な魅力がある。
第7話では、声を荒げることはないのに、静かにバチバチと火花を散らす2人。
まるで自分の目の前で、1組の親子が話し合っているかのような錯覚に陥った。
仲裁には入れないが、見届け係としてその場に参加しているような気持ちになれた。

大竹という最高の役者を前にしても、吉沢の演技は圧巻だった。
まったく引けを取らず、むしろ第7話に関しては、吉沢のほうに凄みを感じた。

さすが植野先生!

治療を拒否する母に困惑している武四郎は、植野先生に南のことを相談することに。
植野が南と話す場面に緊張が走った。
治療をしたくない理由を「話したくない」という南。
もしかしたら過去に、病院で苦い思い出でもあるのだろうか……?
それでも植野は「痛みや苦しみを取り除くだけの治療もあります。そういったケアが得意な医者もおります。一度来ていただけないでしょうか」と優しく諭した。
武四郎の前ではいつもわがままな南も、植野の前では素直に首を縦に振ったのだった。

医療をテーマにしているドラマだけあって、いろいろな生命との向き合い方を見せてくれる。

最終話まであとわずか。
PICUの子どもたちと南の病状が気になる。
もうこの先、誰も命を落とさないで欲しいと切実に願う。

※この記事は「PICU 小児集中治療室」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー


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“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)ら丘珠病院のPICUスタッフは、VF(心室細動)を起こした小松圭吾(柊木陽太)くんの処置にあたる。圭吾くんには、一刻も早く補助人工心臓を植え込む手術が必要だが、感染症が治らなければそれも難しい状態だった。
そんな折、丘珠病院に10歳の小学男児2人が公園で倒れているとの連絡が入る。救命医の東上宗介(中尾明慶)は、ふたりが倒れていた公園が丘珠病院から5分ほどの距離であることから、救急車で搬送するよりドクターカーで現場に直行した方が早いと判断し、武四郎、矢野悠太(高杉真宙)らとともに現場へと向かう。
武四郎たちが公園に到着すると、2人の少年――矢本大輝(森島律斗)くんには意識があったが、後藤光(寺嶋眞秀)くんは心停止していて……。

第8話のレビュー

【倶(とも)に】
意味:一緒に 揃って

今回も中島みゆきの主題歌「倶に」が心に沁みた回だった。
まさに、家族・友だち・同僚が「倶に」戦っているドラマと言える。

丘珠病院に2人の少年が運ばれてきた。
友だち同士、公園で遊んでいたところ同時に高台から落ちたよう。
大輝(森島律斗)の意識はあるものの、光(寺嶋眞秀)は心停止しており、予断を許さない状態だった。
意識が戻らない光を心配そうにみつめる大輝。
心臓の疾患で長い間、PICUに入院している圭吾(柊木陽太)が大輝に光のことを「応援してあげて」と声をかける。
かつて自分も大好きな優里(稲垣来泉)や同級生に励まされ、勇気づけられたからか。
入院してきた当初は荒れていた圭吾が、今はすっかり優しいお兄さんになっていて、子役たちの演技力にも泣かされる。
とくに圭吾役の柊木陽太の演技力がすごい。
よくよく調べると、「最愛」(TBS系)では高橋文哉が演じた優の子ども時代、「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)では菅田将暉が演じた主人公、久能整の子ども時代を演じている。そして、NHK連続ドラマ小説「カムカムエヴリバディ」では、オダギリジョーが演じた錠一郎の子ども時代も演じているではないか!
筆者はこれらすべての作品を観ていたが、今日までまったく気づかず……。
それぞれ観ている時は「上手な子役だな」とは思っていたが、すべて同一人物だったとは。
今後も、柊木陽太から目が離せない。

そして、ここにきて武四郎(吉沢亮)の医者としての成長が著しい。
以前であれば、患者に聞かれればなんでもバカ正直に答えていたのに、今では悲しい眼差しで優しい嘘をつけるようになった。
厳しい病状を親御さんに伝える場面でも、凛とした佇まいでしっかり伝えている。
植野先生(安田顕)が褒めるのも当然だ。

一向に目を覚まさない光を見て、筆者は予想した。
この雰囲気だと、光の心臓を圭吾に移植するんだな……と。
しかし、この予想はすぐに吹き飛ばされる。
光が目を覚ましたからだ。
治療方法がない圭吾は、いよいよ終末医療の準備へ。
自分の安易な想像と、圭吾の厳しい現実を見て本当に辛く、後半は何度鼻をかんだことか。
視聴者も「吐きそうになるくらい泣いた」、「もう何回泣かせるんだよ」、「辛すぎて、泣きすぎて明日ヤバイ」など。

癌だとわかった武四郎の母、南(大竹しのぶ)も覇気がなく、話し方もか細くてこちらを不安にさせる。
武四郎から東京で検査を受けようと頭を下げられた南。
少し前ならば絶対に拒否していたはずだが、今はすんなり了承した。
これも息子への愛情だろう。
もう辛すぎる。
武四郎から母親を奪わないで、神様!と天を仰ぎたい気持ちだ……。

ドラマは最終章へ——。
毎回、辛すぎるけれど本当に素敵なドラマだと改めて思う。
来週もティッシュの箱を抱えながら、武四郎を応援したいと思う。

※この記事は「PICU 小児集中治療室」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー


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「俺が諦められる時間をください。母ちゃんと離れる覚悟ができるための時間を。」
“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、膵臓ガンの治療を拒否している母・南(大竹しのぶ)にそう言って頭を下げ、一度、東京の病院で検査を受けることに同意してもらう。
羽田空港に降り立った武四郎と南が向かったのは、丘珠病院のPICU科長・植野元(安田顕)から紹介してもらった東京中央記念病院の腫瘍内科医・原口裕二(平原テツ)のもとだった。そこで、いくつかの検査を受ける南。武四郎は、原口医師から検査の結果を聞かされて……。

第9話のレビュー

武四郎(吉沢亮)は、母の南(大竹しのぶ)を連れて東京にやってきた。
植野先生(安田顕)に紹介してもらった東京の病院で、詳しく診てもらうためだ。
しかし、結果は北海道の病院と同じ。
要するに、劇的な治療法はないということだった。
明るく振る舞う武四郎だが、その様子からすべてを察した南。

そこからは2人で東京観光をすることに。
夜の宿での食事シーンは、圧巻だった。
武四郎の父親の話や、昔の思い出話、そしてこれからのことを泣きながら語る2人。
どうしても治療をして欲しい武四郎の訴えに南は、
「いろいろわかってるよ。お母さんだって死にたいわけじゃないよ。でもね、お母さんは病院じゃなくて武四郎のこと頭に焼き付けながら逝きたい……」
と小さな声で息子に懇願した。

大竹の演技が演技のようであり、演技でなかった。
死が迫りつつも息子のことが気になる母親そのもの、といった感じ。
せめて武四郎に奥さんや子どもがいれば少しは安心して逝けたのに……。
ここまでこの作品の脚本に何一つ不満はないが、幼なじみの桃子(生田絵梨花)と、武四郎に未来があるような設定にしてほしかった。
そして南は、東京から戻ってすぐに息を引き取った。
まさかのナレ死――。

ひとりぼっちになってしまった武四郎に追い打ちをかけるように、仕事でも辛い出来事が……。
長い間、PICUに入院していた圭吾(柊木陽太)の友だち、優里(稲垣来泉)が函館から1人でやってきて「なんで圭吾君のこと、見捨てちゃったの? お医者さんなら治してよ」と大粒の涙を流しながら、武四郎に怒りをぶつけた。
「本当にごめんなさい」と頭を下げるしかない武四郎。
これは辛い。
今の武四郎には酷だ。
優里と同じくらい武四郎も辛いのに……。

「医者ってなんなんでしょうね。わからなくなってしまいました」
植野にボソッと話した言葉は、本音だっただろう。

第9話は開始から30分、ほぼ吉沢と大竹の2人芝居だった。
へりくつを言いながらも、2人で寄り添い生きてきた親子の最期は、お互いを大切に想っていることを再確認できる時間だった。
どんどん痩せていく大竹を見ていると、これは最終回までには…と思っていたが、まさかこんな急展開になるとは。
もうあの親子の掛け合いが見られないなんて悲しすぎる。
見終わった後も静かに哀しみが押し寄せてくる。

次週、植野を敵対視する渡辺(野間口徹)がPICUを担当することに?
植野は東京の病院に戻ってしまうかもしれない。
そして、残酷すぎる運命に嫌気がさしてしまったのか? 武四郎は植野に辞表を出したよう。
最終回まであと2回。
また武四郎のあの優しい笑顔が見たい。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー


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“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、PICU科長・植野元(安田顕)のデスクに退職願を置いて丘珠病院を後にする。
それを知った矢野悠太(高杉真宙)、涌井桃子(生田絵梨花)、河本舞(菅野莉央)の3人は、武四郎のことを心配して彼の家を訪ねる。だが武四郎は、「ひとりにしてくれ」と言って悠太たちを追い返してしまう。
そんな折、武四郎のもとへ1本の電話が入って……。

第10話のレビュー

植野先生(安田顕)に辞表を提出した武四郎(吉沢亮)。
幼なじみの悠太(高杉真宙)、桃子(生田絵梨花)、舞(菅野莉央)らが心配するが、母の死に加え、医者という仕事に疑問を持ってしまい、ふさぎ込んでしまった。

そんな時、第1話に登場した山田先生(イッセー尾形)から熱を出した患者のことで電話がかかってきた。
稚内で小さな町医者を営んでいる山田は、武四郎を頼りにしている様子。
的確にアドバイスした武四郎に山田は、「心強いよ」と声をかけた。
その言葉が引き金になったかはわからないが、自分を求めてくれている山田に会いにいくことに。

札幌から稚内までの距離を調べたところ、およそ330km。車だと5時間ほどかかる。
(武四郎が移動した日は大雪だったので、もっとかかったかもしれない)
道産子の武四郎には、すぐに行ける距離ではないことはわかっていただろう。
でも、いてもたってもいられなかったのだろう。
武四郎の姿に驚いた山田だったが、すぐに武四郎の状況を察し家の中に招き入れた。

吉沢亮とイッセー尾形の掛け合いは、とてもいいものを見せてもらえたような気持ちにさせてくれた。
心の奥の方からじわじわと温まるような、幸せなシーンだった。

迎えに来た悠太と、重度の心疾患のある圭吾(柊木陽太)に会うため、函館に向かうことになった武四郎。

北海道をよく理解していない筆者は、稚内から函館の距離も調べてみた。
函館から稚内までの距離はなんと約630 km。
車で「行くぞ!」と言って行ける距離ではないことが判明。

運転を交代しながらなんとか函館に到着した武四郎たち。
武四郎を見た圭吾は、「俺、先生の病院に戻りたい」、「死にたくない」と弱々しい声で懇願したのだった。
それに対して、武四郎は「わかった」と静かに答え、圭吾を安心させた。

武四郎が札幌に戻ると、待っていたかのように桃子の出産がはじまった。
激しい陣痛の中、
「たけしろぉおぉぉぉ~いつまでウジウジウジウジしてんだ!今までどこにいってたんだよ、バカ!南ちゃんが安心して天国に行けないでしょうがっ!母親の気持ちも少しは考えろっ、バカたれっ!」
と、まるで南の言葉を代弁してくれているような桃子のセリフ。
見ているこちらもスカッとした。
ここまでそれほど出番が多くなかった生田だが、最終回目前で存在感をみせてくれた。

圭吾の体力が戻り、治療法に一筋の光が見え札幌に戻ってくることに。
しかも、補助心臓の手術を受けられるまでに復活し、「ああ、よかった」と安心してラストシーンを迎えようと思っていたところ画面の中が揺れている……。
ん? 
地震だ!!!

道内に発生した大地震で圭吾の手術は中止に。
最終回目前でこんな展開になるなんて!

次週の最終回はいったいどうなるのか?
武四郎、最後まで諦めるな、頑張れ!とエールを送りたい。

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–{最終回ストーリー&レビュー}–

最終回ストーリー&レビュー

最終回のストーリー


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北海道で大きな地震が発生し、徐々に各地の被害状況が明らかになってきた。“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、地震の影響で直前になって手術が中止・延期になってしまった小松圭吾(柊木陽太)くんのことが心配でならない。
北海道庁では知事の鮫島立希(菊地凛子)を中心に、情報の収集が続けられていた。鮫島知事は、各市区町村に地域の病院と連携をとるよう通達を出す。
そんな中、丘珠病院のPICU科長・植野元(安田顕)のもとへ、道東総合病院のERから連絡が入る。地震の影響でトンネルが崩壊し、スキー旅行に来ていた小学生グループが巻き込まれたというのだ。植野は、この緊急事態に対応するべく体制を整えようとするが……。

最終回のレビュー

吉沢亮主演のドラマ「PICU 小児集中治療室」が最終回を迎えた。
1話の冒頭から大きなショックを受けた物語だっただけに、どんな風に最終回を迎えるか気になっていた。
録画してあった第1話を改めて観てみると、主人公の志子田武四郎(吉沢亮)の成長は明らか。
どこか卑屈でデリカシーのない若い医師は、植野元(安田顕)という偉大な医師や難病で苦しむ子ども達と出会い、大きく成長した。

このドラマに強く惹かれた理由を考えてみた。
ドラマにありがちな無茶苦茶で派手な展開はなく、むしろ淡々と小児医療に向き合う無骨さが良かったように思う。
一言でいうならば“緩急のバランス”が最高だった。
若くて不器用な医師が必死に生きる姿、その姿を支える母や仲間、先輩医師たちの言葉に毎回ぐっとくるものがあった。
メッセージ性がある作りも視聴者の胸に刺さったのかもしれない。

主演の吉沢は、大河ドラマ「青天を衝け」の渋沢栄一役を経て、すでに演技力はお墨付きではあったが、さらにもう一段上のステージに上がったように感じた。
1人の視聴者がなにを上から目線で…と怒られてしまうかもしれないが、今は吉沢亮という役者が筆者にとっては尊くて仕方がない。

武四郎の周りの医師たち、幼なじみの悠太(高杉真宙)、同僚の綿貫(木村文乃)らもそれぞれが抱えていた闇を開放し、最後は生き生きと職に精を出していた。
北海道出身の安田顕もこのドラマには絶対に必要だった。
彼の口から発せられる北海道の小児医療の現状は、常に重みがあり、リアリティーがあった。

また、脇を固めた今成(甲本雅裕)や浮田(正名僕蔵)、東条(中尾明慶)、看護師の羽生(高梨臨)らの存在もドラマに重厚感を与えてくれていた。
彼らを見て、医療とはチームワークあってこそだとよくわかった。
最終回の中で今成がPICUを辞めると言い出した植野に対して
「植ちゃんはさ、いつも自分で抱えちゃうけど、分け合ってよ。その荷物をさ」
というセリフがあったが、まさにその通り。
医師であっても一人の人間。苦悩もあるとは思うが、困った時は周りの人に助けを求めてほしい。
瀕死の女児に悠太がかけた「生きてるとね、絶対にいいことあるから」という言葉も、まさに今、生きることに未来が見いだせない人の胸に届くといいな……。

武四郎が懸命に治療に当たっていた圭吾(柊木陽太)が奇跡的な回復をみせ、元気な姿で武四郎と夢を語るシーンはジーンときた。
派手に視聴者を泣かす演出もできたかもしれない。
しかし、笑顔の二人が静かに夢を語り合う姿がこのドラマの醍醐味なのだと思う。

ラストは、武四郎の家で悠太、桃子(生田絵梨花)と舞(菅野莉央)が鍋を囲むシーン。
両親を亡くした武四郎だが、いつまでも大事な仲間に囲まれ、北海道中の子ども達のことを助け続けていくことが想像できた。

たった4人のスタッフから始まったPICUだが、これからも定期的に武四郎の成長や、その時代の医療の問題点を取り上げ、紡ぎ続けて欲しい。

本当に素敵なドラマをありがとうございました。
出演者や制作陣に多くの学びと感動を与えてくれたことに、心から感謝をしたい。
(完)

※この記事は「PICU 小児集中治療室」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「PICU 小児集中治療室」作品情報}–

「PICU 小児集中治療室」作品情報

出演
吉沢売/安田顕/木村文乃/高杉真宙/高梨 臨/菅野莉央/生田絵梨花/中尾明慶/菊地凛子/松尾諭/正名僕蔵/甲本雅裕/イッセー尾形/大竹しのぶ他

脚本
倉光泰子
(『アライブ がん専門医のカルテ』など)

音楽
眞鍋昭大

主題歌
中島みゆき『俱(とも)に』
(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)

医療監修(小児外科)
浮山 越史 (杏林大学病院)
渡邉 佳子 (杏林大学病院)

医療監修(PICU)
植田 育也 (埼玉県立小児医療センター)

取材協力
宮城 久之 (旭川医科大学)

プロデュース
金城 綾香
(『監察医 朝顔』シリーズ、『SUPER RICH』、『元彼の遺言状』など)

演出
平野 眞
(『監察医 朝顔』シリーズ、『SUITS/スーツ2』、『SUPER RICH』など)

制作・著作
フジテレビ