2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第28回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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飛んだ! でも……
ハラハラドキドキして、泣ける回でした。
こんなにも画面に見入ってしまうことはなかなかないです。
みんなの想いを乗せて舞いあがった舞(福原遥)。
必死で足を動かして飛び続けます。やっぱりスワン号のスワンは白鳥は優雅に見えて水面下では足をすごく動かしていることと通じているように思います。
機体の内部に文字が書いてあるのがリアルでいい。
最初は気分よかったのが機体が熱くなって舞が疲労してきます。
そこへ風が入ってきて……。
日下部(森田大鼓)、藤谷(山形匠)……同期の仲間たちが風が入るように穴を空けてくれたからです(余談ですが、日下部役の森田さん、お名前が「つづみ」。珍しいお名前です)。
持ち直す舞。
みんなの想いを思い浮かべ、涙目になって漕ぎ続けます。
涙と汗が混ざってーー
「飛んで…飛んで…飛んで」
「みんなの夢背負ってんねん こんなところで終わられへんのに」
…と踏ん張ったけれど……。
目標に届かず落ちてしまいました。
飛べて爽快! で終わらず、残念な結果になる週の半ばの水曜日ではありましたが、それでは終わりません。みんな、笑顔です。
「岩倉は10分飛んだ 3.5キロも飛んだんや」と讃える由良(吉谷彩子)
刈谷(高杉真宙)はこう言います。
このフライトのためにすべてを賭けられたことを誇りに思う
舞はみんなに「一緒に空飛んでもろてほんとうにありがとうございました」と言います。“一緒に”と舞は言うのです。
また、この回の琵琶湖シーンの前後に、舞を思いやるめぐみ(永作博美)と浩太(高橋克典)のシーンを挟んでいるところも良かったです。舞は両親にも「ありがとう」とメールしています。
舞は暮れなずむ琵琶湖を見て、充実感を覚え、もっと先へ進もうと考えます。
子供のときに祥子(高畑淳子)から教わった失敗してもいいという精神をここで実感したことでしょう。
爽快、不穏、風の音、回想、涙……王道過ぎる構成ですが、実際、俳優たちが体を動かして汗かいてるので、その鼓動が画面を通して感じられて臨場感あります。コクピットが別撮りでしょうけれど、福原さんが足を動かしている、そこは本物です。お芝居のなかに本物の部分があることが感動を呼ぶのです。「舞いあがれ!」にはこの大事な基本があるから信じられます。
【朝ドラ辞典 水に落ちる(みずにおちる)】「朝ドラあるある」にヒロインが水に落ちるというものがある。ヒロインの規格外のパワーを表現するためか、物語の初期に、川や海に落ちるのだ。例:「あまちゃん」の海、「ごちそうさん」の川など。「舞いあがれ!」では舞が琵琶湖に落ちた。一回落ちて、ずぶ濡れになりながら、這い上がっていく暗喩でもあるだろう。水に落ちたらヒットするジンクスも?
(文:木俣冬)
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–{「舞いあがれ!」第6週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第6週目のあらすじ
舞(福原遥)は、パイロットとして人力飛行機・スワン号のテスト飛行を無事に乗り切る。部員たちは、舞を少しでも長く飛行させるために機体にさらなる改造を行おうとするが、そのために特殊な部品が必要となる。
それを舞の父・浩太(高橋克典)の工場で作ってくれることになり、部員たちは狙い通りのスワン号を作り上げる。そして、琵琶湖での記録飛行に臨む舞と部員たち。
一心不乱にペダルをこぐ舞が乗ったスワン号が琵琶湖の上空へと飛び立つ。みんなの熱い思いがこめられた人力飛行機を今、自分が飛ばしていることに心震わせる舞。その経験が、舞の将来に関わる大きな決断につながっていく。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか