2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第16回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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「舞、運命の出会いでした」
韻を踏んではじまった第4週「翼にかける青春」(演出:田中正)。舞(福原遥)、18歳。大学に入って、飛行機を作る勉強(航空工学)をはじめました。さっそく、サークル勧誘で、人力飛行機サークル・なにわバードマンの部室を訪ねます。
勧誘されたとき、飛行機興味ありませんか?とチラシをもらったとき、飛行機のサークル!って飛びつかず、友人がイケメン(佐伯功役トラウデン都仁)目当てについていくあとをちょこちょこ追いかけていく形であることが、舞らしい気がしました。
やっぱり飛行機が好きなのがよくわかるのが、主翼を見たときのまなざし。恋するようなときめきを感じました。福原さんの魅力は、ほんのちょっと眉根が寄って眉が若干下がってるところ。張りのあるお顔立ちで眼ヂカラも強く元気いっぱいなのですが、顔に力がみなぎりすぎると圧が強くなり過ぎるところ、若干、申し訳なさそうな眉で中和しています。
ぐいぐいいかず、おずおずと主翼に触れようとして「あかん!」と由良冬子(吉谷彩子)に声を出され、びくっとした瞬間に、主翼を一枚壊してしまいます。
サークルの紅一点らしき由良。キツそうで、ああ、物語によくある、ヒロインにきつく当たるライバル的存在? と一瞬不安になりましたが、はたして?
今後を占うヒントとして、シネマズプラスマガジンで行った福原遥さんのインタビューで、吉谷さんにしてもらって笑顔になったエピソードがあります。それを読むと、役のうえでもいい関係になるのではないかという気がしています。WEBでも読めるのでぜひ、ご覧ください。
念願の“朝ドラ”ヒロインに。福原遥「舞を演じることで勇気をもらっています」
さて、第3週までの子供編は、近年の朝ドラの子供編にしては長いほうで、じっくり描かれました。子供編が良いと、大人編の導入部では違和感を覚えることがままあります。
「舞いあがれ!」はどうだったでしょうか。福原さんの舞は、前述したように、子供時代のちょっと気弱な雰囲気を残していて、違和感ありませんでした。
貴司(赤楚衛二)も文系のはずがなぜかSEになっていましたが、ナイーブな雰囲気は少年時代のままでやはり違和感ありませんでした。まじめなワイシャツ姿がまた清潔感あって良し。
久留美(山下美月)は明るくちゃきちゃきに育ったようで、若干、子供時代と違う印象ですが、幼馴染、3人ともナイーブ系だとバランスが良くないので、致し方ない気がします。でも、相変わらず、お父さん(松尾諭)は職を転々としているようで、実は幼馴染みの3人のなかでは最も家庭環境が恵まれていないはずで、内面とふるまいのギャップは大きい、難しい役どころと思われます。
やっと買ったケータイで久留美が電話をかけてきたとき舞の返しが「嬉しい これでいつでも電話できるな」と言う言葉なのが、微笑ましかったです。嬉しいって自分ごとのように喜ぶのが良き。そのとき、一目惚れした主翼の絵をせっせと描いているところも注目です。
大人編になると、子供時代の無邪気さがなくなり現実的になり過ぎて、興味が持てなくなることがあります。子供時代の出来事は比較的誰もが経験することですが、大人時代は主人公の行動が多様化してしまうため、興味のないジャンルに向かうと共感しづらくなりがち。大学、サークル、飛行機……と来ると偏って見えますが、どうやら舞は子供の頃の純粋さを持ち続けているので、大人編も失速する心配は……ない気がします。
【朝ドラ辞典 進学(しんがく)】主人公が成長して大学に進学するか就職する。朝ドラでは高校を出て進学することが多い。戦中戦後が舞台になることが多く、当時は進学したいけれど家庭の事情で就職せざるを得ないことが描かれる。現代を描いた「半分、青い。」「おかえりモネ」「カムカムエヴリバディ」(ひなた編)のヒロイン、も高校を出て就職していた。「舞いあがれ!」は大学に進学する珍しいヒロイン。
(文:木俣冬)
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–{「舞いあがれ!」第4週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第4週目のあらすじ
2004年4月。舞(福原遥)は、航空工学を学ぶ大学に入り、そこで人力飛行機と出会う。その美しい翼に魅了された舞は人力飛行機サークル「なにわバードマン」に入部する。設計を担当する刈谷(高杉真宙)やパイロットの由良(吉谷彩子)など個性的な先輩たちと琵琶湖を飛ぶ人力飛行機「スワン号」作りに取り組む日々。
部費を捻出するため、親友・久留美(山下美月)が働くカフェでバイトを始める舞。一方、舞の兄・悠人(横山裕)は東大の4年生で就職活動中。幼なじみの貴司(赤楚衛二)はシステムエンジニアとして働いていた。
そんなある日、「スワン号」が飛べなくなるかもしれないトラブルが発生。みんなの努力の結晶である「スワン号」を飛ばすために、舞は大きな決断をする。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか