<鎌倉殿の13人・執権義時編>39話~最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事では北条義時(小栗旬)が二代目執権となっていく39話~最終回までの記事を集約。1記事で感想を読むことができる。

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もくじ

・第39話ストーリー&レビュー

・第40話ストーリー&レビュー

・第41話ストーリー&レビュー

・第42話ストーリー&レビュー

・第43話ストーリー&レビュー

・第44話ストーリー&レビュー

・第45話ストーリー&レビュー

・第46話ストーリー&レビュー

・第47話ストーリー&レビュー

・最終回ストーリー&レビュー

第39話ストーリー&レビュー

第39話のストーリー

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いまだ源実朝(柿澤勇人)と千世(加藤小夏)との間に世継ぎの誕生がなく、気にかける政子(小池栄子)と実衣(宮澤エマ)。義時(小栗旬)は、御家人たちが謀反を起こさぬように政まつりごとの仕組みを改める。しかし、傲慢なやり方に三浦義村(山本耕史)、和田義盛(横田栄司)らが不満を募らせていた。一方、泰時(坂口健太郎)は慣れない和歌に悪戦苦闘し、源仲章(生田斗真)に相談を持ち掛ける。そんな中、成長した公暁(寛一郎)が……

第39話のレビュー

サブタイトルは「穏やかな1日」。
穏やか、とは一体。

ついに第39話から最終章がスタート。冒頭から語りの長澤まさみが登場し、期待感が煽られるが、今後展開されるであろう出来事を思い浮かべ、すでに胸が痛い。そして、第39話で一気に4年間の鎌倉がお送りされた。

 

父・時政(坂東彌十郎)に替わり、義時(小栗旬)が政を取り仕切るように。
一方、実朝(柿澤勇人)は天然痘にかかり、生死の境をさまよっていた。義時や政子(小池栄子)が覚悟していたというほど。

実朝は政に取り組むことに積極的だが、義時がそれを許さない。

「二度と御家人たちが北条に逆らわないように」「北条が政の中心に」

義時の政に、御家人たちの不満は高まるばかり。あの義村(山本耕史)さえも、苛立ちを隠せない。
時政たちのことも「むしろ殺しておけば御家人たちも恐れおののきひれ伏した」という義時に、かつての面影はない。

 そして、そんな義時に、「私はいてもいなくても同じなのではないか」と、悩む実朝を泰時(坂口健太郎)が励ます。泰時の言葉にフッと表情が和らぐ実朝。
泰時に実朝は和歌を渡す。どことなく、ソワソワとしているような実朝、返歌がほしいという実朝に泰時は頭を悩ませるが、この和歌には重大なメッセージが込められていた。

実朝からもらった和歌を見つめ、頭を悩ます泰時。彼は和歌に疎い。
たまたま和歌を見た源仲章(生田斗真)が「これは恋しい気持ちを詠んだもの」と教える。さて、どうする、泰時……。
泰時は実朝に「間違って渡したのではないか」と和歌を返す。

このときの実朝の表情よ……。和歌を渡したときの表情との対比で、より切ない。
渡すときに、生死の境をさまよい、己の気持ちを伝えなければ後悔すると思って、意を決したのではないか。

しかし、多くは語らず、実朝は別の和歌を渡す。

「大海の磯もとどろによする浪 割れて砕けて裂けて散るかも」

いろんな捉え方ができる歌だ。このタイミングで見ると想いが報われなかったこと、のほうへ、解釈が向いてしまいそうだ。

泰時も、まったくわかっていないわけではないだろう。居室にもどり、ひとり酒を煽る。

救いは実朝が自分の正直な思いを妻の千世(加藤小夏)に伝えられたこと。
千世は世継ぎが生まれないことを周りにも噂されており、肩身も狭いはず。
それでも、実朝の言葉を優しく受け止められたのも愛なのでは……と思ってしまう。

そして、39話には実朝の優しさが詰まっていて胸が痛くなる。

そんな中、公暁(寛一郎)が登場。不穏な空気が漂う中、悲劇への扉はすでに開いている。

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第40話ストーリー&レビュー}–

第40話ストーリー&レビュー

第40話のストーリー

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閑院内裏の修復を計画する後鳥羽上皇(尾上松也)は、鎌倉に引き受けさせるという藤原兼子(シルビア・グラブ)の進言に心を躍らせ、慈円(山寺宏一)と共に笑みを浮かべる。一方、京から知らせが届いた鎌倉では、重い負担に御家人たちが反発。源実朝(柿澤勇人)からも慕われる和田義盛(横田栄司)が旗頭となり、八田知家(市原隼人)らが集う状況を、義時(小栗旬)が苦々しく思っていた。そんな中、信濃で一つの事件が起こり……

第40話のレビュー

もう誰も死んでほしくない。きっと、全ての視聴者の想いであることは間違いないのだが、見守ることしかできないのが、もはや辛い。

義時(小栗旬)が大江広元(栗原英雄)と共に和田義盛(横田栄司)を転落させようと躍起だ。

そんな中、不可解なことが起きる。

泉親衝の乱が勃発。
北条を討とうと目論んだものでそこには義盛の息子の和田義直、和田義重、甥の和田胤長が加わっていた。
しかし、義時も大江も泉親衝が何者なのかを知らない。実は、源仲章(生田斗真)だったのだ。京は、北条義時が気に入らないのだ。

胤長以外の者は寛大な処置となった。が、胤長は他の和田の者を誘ったとして厳罰を免れられない。
義盛は胤長の赦免を求めて、一族98人で御所を訪れる。「無数の和田義盛が」と北条時房(瀬戸康史)が言うように、ひげ面が勢ぞろい。圧巻。が、義時はそれで厳罰にするような男ではない。

そんな中、水面下では義盛排除の計画が進められていた。
義盛を煽るのは三浦義村(山本耕史)。
正直、義時よりも義村のほうが怖いんですが……ある種、最初からブレていない人と言えるのかもしれない。

義盛に挙兵させ、北条は鎮圧のために致し方なく、兵を動かす。
そういった形に持っていきたい義時だが、泰時(坂口健太郎)には解せない。和田を討つのは、息子である泰時のため。いずれ、和田は北条の前に立ちはだかる、と言うのだ。泰時は納得できない。

「みなで安寧の世を築いてみせます!」
「父上は間違っている!」

結果、泰時は謹慎を命じられてしまう。

一方、和田と北条の対立を知った源実朝(柿澤勇人)。
実朝にとって、和田義盛はかけがえのない存在。政子(小池栄子)に頼み込み、義盛と会えるよう取り計らってもらう。

政子が提案したのは「北条家に伝わる秘策」。女装である。
実朝が女装をするのかと思いきや、まさかの義盛が女を装い、御所にやってきた。ヒゲにリボンをつけて。和む。

義盛の手を取り、「いつまでもそばにいてくれ」と挙兵しないよう、説得を試みる。
さらに、義時を呼び、互いに矛を収めるように諭す。

一度は丸く収まったかのように見えた。実朝は義盛を双六に誘う。
しかし、和田家では義盛が戻ってこないことに動揺が走っていた。捕らえられているのではないか。
そこで、和田側は義盛を助けるため、兵を動かす。
義村、八田知家(市原隼人)らは戦が始まれば義時側に寝返る予定だった。が、巴(秋元才加)から裏切らないと起請文を書け、と迫る。わりと巴は義村に対してあまりいい感情を抱いていないように見える。これにより、義村たちは和田を裏切れなくなった。

ついに、和田合戦が始まってしまう。

 
時房に「和田殿のことが好きなくせに」「あのお方を嫌いな人なんていませんよ」と言われ、一瞬、義時から暗い表情が引っ込んだように見えた。
もし、ここで和田合戦が起こらなかったら、また義時の心の内は変化していったのではないか。
歴史が悪い方へ、悪い方へ、と向いていくが同時に、義時を修羅の道を歩ませることになる。
個人的には、キラキラとした表情で八重のもとに足しげくお土産を持って通っていたころの義時が頻繁によぎる。そのせいか、今の義時のことも嫌いにはなれない。

そして、巴のことも案じてしまう。愛する人を二度も失うことになるのか。

辛い。辛いがこのあとはたぶん辛いことしかない。

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–{第41話ストーリー&レビュー}–

第41話ストーリー&レビュー

第41話のストーリー

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鎌倉を守るために大江広元(栗原英雄)とも共謀し、反北条の旗頭となった和田義盛(横田栄司)の転落をもくろむ義時(小栗旬)。戦を回避するべく源実朝(柿澤勇人)と政子(小池栄子)が奔走する中、三浦義村(山本耕史)、八田知家(市原隼人)ら有力御家人は、義盛の陣営に集い情勢を見定めていた。そんな中、父・義盛の安否を心配する朝比奈義秀(栄信)らが打倒北条を目指して決起。一方、失意に暮れる泰時(坂口健太郎)は……

第41話のレビュー

望んでいなかった和田合戦が始まってしまった。
真っ直ぐで、唯一と言ってもいい、裏表がない男が逝ってしまった。

和田の館から軍勢が動いた。遅れて戻った和田義盛(横田栄司)は焦る。
これでは実朝(柿澤勇人)との約束を破り、義時(小栗旬)を騙したことになってしまう。しかし、もう止めることはできない。
義盛は、敵は北条であって、実朝……鎌倉殿ではない、とよくよく言い聞かせて戦へと身を投じる。

起請文があるため、寝返ることができない三浦義村(山本耕史)や八田知家(市原隼人)らもピンチとなっていた。
このままでは義時と戦うことになってしまう。が、そんなピンチを救ったのはほかならぬ義盛だった。裏切るならさっさと裏切れ、と義時のもとへ戻す。
このことによって、義時は和田の策を知り、実朝らを鶴岡八幡宮に避難させることができた。

ただ、義村たちは起請文を焼いて灰にし、その灰を水に浮かべたものを飲んでいた。これを吐き出してどうにかしようとするのはいくら何でも気休めすぎやしないか……。

謹慎となっていた泰時(坂口健太郎)のもとにも指示が届く。
御所の西門を守るように命令が届くが、泰時は泥酔して動ける状態ではない。起きてはいても覇気がない。
そしてなぜ自分に指揮を任せるのかと首をひねる。そんな泰時に異母弟の朝時(西本たける)は、信じているからに決まっているではないかと言う。期待されてきた泰時と、されていない朝時。そんな自分の悲しみがわからないだろうと言う朝時。そこに、妻の初(福地桃子)が水をぶっかける。これでようやく泰時の目が覚める。

初さんはなにかと爽快。優しくもあり、厳しくもある。少し、泰時の母・八重と重なる部分もあるような……。

和田のもとへは援軍も来るはずだったが、これも義時や大江広元(栗原英雄)によって阻まれる。
和田の敗戦は必至。
義時は最後の一手として、実朝に陣頭に立つよう提案する。
実朝の言葉になら、義盛は耳を貸す。実朝も義盛を助けたいという気持ちを強く持っている。実朝にとって、義盛は数少ない信頼できる人間なのだ。

実朝が憎くてこんなことをしたわけではない、と義盛。そして実朝も分かっていると頷く。
これからもそばにいてほしい、という実朝に義盛は感激の涙を流した。
これで戦は終わる……と言うときに、義盛を義村勢の無数の矢が襲った。
倒れる義盛、絶望に表情をゆがめる実朝。そんな実朝のそばにいる泰時は父・義時に鋭い視線を向ける。

義時の鬼の所業。義盛の死はもちろんのこと、その死を目の当たりにした実朝。憎まれるに決まってる。
が、義時もまた、悲しみに顔をゆがめていたのだ。だから、義時という人が憎み切れなくて、困る。

和田合戦をきっかけに、実朝は後鳥羽上皇を頼ることを決める。自分は父・頼朝や、兄・頼家のように強くはない。ならば、強い人の力を借りよう。

これは、義時にとって一番避けたいことだったはずだ。

 
義時と共に時間を過ごした者たちが次々と去っていく。
多くの者を見送り、多くの者の命を奪った義時の心はこれからどのように移ろいでいくのか。

 そして、義盛を失った巴(秋元才加)の表情も、辛い。
木曽義仲に続き、愛する人を失った。そんな中、死を選んでもおかしくなかった。
しかし、彼女は生きることを選んだ。それは、巴が愛した人たちが、何よりも彼女が生きてくれることを願っていたからのかもしれない。

 毎回、丁寧に丁寧にそれぞれの絶望が描かれていて、観ている側の心も大変な状況である。
歴史を曲げてでも全員幸せになってくれ……と毎週、思わずにはいられない。

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–{第42話ストーリー&レビュー}–

第42話ストーリー&レビュー

第42話のストーリー

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決意を新たにした源実朝(柿澤勇人)は、後鳥羽上皇(尾上松也)を手本として人任せにせず自ら裁定を下すことを決意。泰時(坂口健太郎)をそばに置き、自身の政まつりごとを進める。一方、鎌倉内での地位を盤石なものとした義時(小栗旬)は、のえ(菊地凛子)に勧められて執権を名乗ることを決断。未熟な実朝らをけん制する。実朝と義時との関係がうまくいっていないことに政子(小池栄子)が気をもむ中、源仲章(生田斗真)が京から戻り……

第42話のレビュー

「私だよ!上皇様だよ!」
そう、後鳥羽上皇(尾上松也)の存在感が増してきた。

「安寧の世を築きたい」

そう意を決した実朝(柿澤勇人)の夢枕に後鳥羽上皇が立った。
実朝には周りに信頼できるものはいない。ここからますます後鳥羽上皇を頼りに思うようになる。

実朝が政に加わろうとしても、義時(小栗旬)を始めとした宿老たちはそれを許さない。自分たちにまかせておけばいい。あくまで鎌倉殿はお飾りだ。

しかし、実朝は鎌倉を取り戻したいという強い想いを持っていた。泰時(坂口健太郎)をそばに置き、政に取り組んでいく。

一方で、義時は北条の力を強めるために、ついに「執権」を名乗ることを決意する。

そんな中、源仲章(生田斗真)が京から東大寺大仏殿を再建した陳和卿を連れてくる。
陳和卿は実朝に会ったとたんにポロポロと泣き始めた。実朝は前世で宋の国・育王山の長老で、自分はその門弟だったというのだ。この場面を夢に見たことがあると言う実朝は、自分の夢日記を見せ、船に関する話がしたいはずだと陳和卿に言う。
「大きな船を作り、宋と交易を行おう」という言葉に、実朝は船を作る決心をする。

これはもちろん、京が手を引いていること。
後鳥羽上皇の干渉に、義時はイライラモード全開だ。船を作ることには大反対。

が、当の実朝は、泰時や千世(加藤小夏)に船ができたら一緒に海を渡ろうと嬉しそうに話す。そう言われたときの千世の嬉しそうな表情がまぶしい。本当に実朝のことを大切に思っていて、実朝もそのことを知っているのがせめてもの救いだ。

船の建造は、陳和卿や八田知家(市原隼人)らが中心となって進められていく。
八田は、この船ができあがったら隠居しようと決めていた。はだけた胸元、隆々とした筋肉からは想像がつかないが、八田は十分おじいちゃんなのである。

実朝、八田の想いが乗った船。しかし、この船が大海原に出ることはなかった。船の重さの値が異なっており、これでは砂浜にめり込んで進まない。この値は時房(瀬戸康史)が書き換えたもの。要するに、義時の企みである。

意気消沈する実朝を政子(小池栄子)は励ます。
「自分の政をしたければ、もっと力をつけなさい」と。
そして、とっておきのアイディアを実朝に預ける。
「朝廷に連なる高貴な血筋をもらい受ける」という実朝に、義時は動揺する。それでは、頼朝が思い浮かべた鎌倉とは異なってしまう。どうにかしてこの流れを止めたい義時だが、政子も実朝の計画に一枚噛んでおり、疎外感を覚える。

この流れに源仲章はご満悦だ。どんどん、悲劇のフラグが立っていく。

暗く重くなっていく物語の中で、今回ほっこりしたのは北条時政(坂東彌十郎)の登場だ。ラストの出番となったが、笑顔での退場は少しホッとできるものとなったはずだ。

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–{第43話ストーリー&レビュー}–

第43話ストーリー&レビュー

第43話のストーリー

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源実朝(柿澤勇人)に嫡男が誕生せず、後継者問題がくすぶっていた鎌倉。そこに修行を終えた公暁(寛一郎)が帰還。その胸には鎌倉殿となることへの強い意志を宿しており、乳母夫(めのと)である三浦義村(山本耕史)と共謀する。一方、義時(小栗旬)と実衣(宮澤エマ)も実朝の言動に不満を抱き、思案を巡らせていた。そんな中、実朝の相談に対して後鳥羽上皇(尾上松也)から返事が届く。これに政子(小池栄子)や泰時(坂口健太郎)は……

第43話のレビュー

「鎌倉殿の13人」では、死にゆく者の最期までを丁寧に描いているのが印象的だが、今はより丁寧に描かれているのがわかって、この先のストーリーに絶望しかない。

 

公暁(寛一郎)が鎌倉に戻ってきた。彼は鎌倉殿になる気満々だが、実朝(柿澤勇人)は京から養子を迎えることを決め、後鳥羽上皇(尾上松也)からも良い返事をもらっている。

実朝は頼朝の次男、公暁は実朝の兄、頼家の息子だ。実朝に子どもがいないなら、公暁が四代目としては順当だが……。

公暁は鎌倉殿になれないことに憤る。冒頭で義時(小栗旬)と三浦義村(山本耕史)が頼家に似た顔立ちだと話すが、たぶん、性格も父に似ている気がする。
そして、義時と義村は京から養子を迎えることを望んでいない。義村は、特にだ。公暁が鎌倉殿になれば、三浦家がのし上がるチャンスはある。
しかし、京から迎えるとなれば、もはや出世は望めない。

さらに、政子(小池栄子)が京に行き、話をまとめてきた。トキューサ(瀬戸康史)の蹴毬外交もよかったのかもしれない。知らないとは言え、上皇にタメ口&肩パンするトキューサの強さよ……。
何気に、北条の中で一番の強者がトキューサなのかもしれない。義時の右腕のような働きもしながらも、政子の京行きのお供をしている。警戒心を抱かせない独特の空気はこの殺伐とした鎌倉の中では才能と言えるではないだろうか。

そして、京から養子を迎えることで一番のし上がれるのは源仲章(生田斗真)だ。
気持ち良いほどに義時を煽る煽る。
生田斗真と小栗旬と言えば「花ざかりの君たちへ~イケメンパラダイス」をつい思い出してしまうのだが、もうすっかり上書きされてしまいそうだ。なんて腹の立つ顔が上手なんだ、生田斗真。
かと思いきや、のえ(菊地凛子)を懐柔する際には後光を背負って登場し、それがピタリとハマッてしまうんだから恐ろしい。そしてあっさりと仲章に手玉にとられそうな予感しかないのえ……。義時がかわいそうである……。

実朝は左大将に、政子は従三位になった。京から帰ってきた政子がポーズを決めながら「従三位♪」と言うシーンがかわいいし、そのポーズを真似る実朝のキュートさよ。
でも頼朝が征夷大将軍になったときのことを思い出されるから油断ができない、鎌倉殿。

そして、いよいよ悲劇の地・鶴岡八幡宮に実朝が足を踏み入れる。カウントダウンが始まった。
父の死に、北条が関わっていたと知った公暁はどうするのか。どうにか実朝が幸せになれるエンディングはないものか……。

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–{第44話ストーリー&レビュー}–

第44話ストーリー&レビュー

第44話のストーリー

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後鳥羽上皇(尾上松也)の計らいにより、右大臣に叙されることとなった源実朝(柿澤勇人)。政子(小池栄子)が愛息の栄達を喜ぶ中、鎌倉殿への野心に燃える公暁(寛一郎)は三浦義村(山本耕史)のもとを訪れ、鶴岡八幡宮で執り行われる拝賀式について密談を交わす。三浦館の動きに胸騒ぎを覚える泰時(坂口健太郎)。一方、義時(小栗旬)の周りでは、朝廷と鎌倉の橋渡し役として存在感を高める源仲章(生田斗真)がのえ(菊地凛子)を……

第44話のレビュー

「明日、実朝を討つ」

このときが来てしまった……公暁(寛一郎)が決意を固めた。
北条のこれまでの行い、そして誰が鎌倉殿にふさわしいのかを知らしめると言う。そのそばにいるのは三浦義村(山本耕史)。
本来なら、義時(小栗旬)はその企みを阻止しなければならないはずだが……。

実朝(柿澤勇人)のそばには源仲章(生田斗真)がいる。後鳥羽上皇(尾上松也)を頼りにしている実朝からすれば、仲章は信頼する側近なのだろう。

そして実朝は義時に向かって「いずれ私は京に行こうと思う」と言い出す。
義時にとって、鎌倉は頼朝が作った守らなければならない場所であり、そのために今まで苦心してきたのだ。しかし、実朝は鎌倉を捨てようとしている。なら、もう義時にとって実朝は邪魔でしかない。

 
そして回を追うごとに存在感が増している仲章。

のえ(菊地凛子)に近づき、どうにか義時の弱みを握ろうとする。欲しいのは、義時が実朝の兄・頼家を殺したという証拠。
もちろん、のえはそんな仲章の企みには気づかず、ヘラヘラしている。そんな2人が一緒にいるのを見た義時は顔色を変えた。
余計なことを話していないか、と怒り、問い詰める。

そこは、フリだけでもいいから、のえが言い寄られていないかと心配して、自己肯定感を高めてあげるべき……なのだけれど、それができる義時ならこんなことにはなっていない(まあ、八重や比奈なら仲章を寄せ付けることもしなかっただろうけれど……)。

義時を追い詰めたい仲章の望みはひとつ。

「こちら(鎌倉)で思う存分自分の腕を試したい」
「人の上に立ちたい」

そんな本音をどうしてわざわざ義時にさらすのか。もう義時には勝った、と思っているからなのか。

一方、公暁の企みに気がつき、どうにかして実朝を守ろうと動くのが泰時(坂口健太郎)だ。

式を取りやめることはできない。それならば、鎧を下につけてくれと頼む。が、実朝は頷かない。そこで泰時は短刀を差し出す。

「太郎のわがまま、どうかお聞き届けください」

ずるい。大好きな泰時にそんなことを言われたら、実朝も受け入れざるを得ない。これを計算してやっているのだとしたら、なんて恐ろしい子!という話なのだけれど、実際のところはどうなのか……。

そして、ここに来て実朝は頼家の死の真相について知ってしまう。公暁がどうして鎌倉殿に固執するのか。その理由が実朝にはわからなかったのだ。
知ったら知ったで、実朝には辛い事実だ。政子(小池栄子)の元を訪れ、責める。

「私と同じ自分の腹を痛めた子ではないのですか」
「私はあなたがわからない」

政子だってできることなら頼家を守りたかった。でも、それが叶わなかった。
次第に、政子の孤独が際立っていく。

もはや、こんなことになっているのも頼朝が早くに亡くなってしまったのが原因なのでは? 結局、頼朝のせいなのではないか? とここに来て責任転嫁をしたくなってしまう。

そしてピュアな実朝はそのまま公暁のもとに行き、頭を下げる。
「お前の気持ちが痛いほどわかる」
公暁は「分かるものか!」と声を荒げるが、そう、実朝にはわからない。
頼家の息子である公暁は出家させられ、一幡は殺された。鎌倉殿の子どもでありながら、苦しい時を過ごしてきた。
実朝が鎌倉殿になったことは悪いことではない。彼なりに、鎌倉のことを考えてきていた。でも、公暁にとっては、その存在自体がもはや悪なのかもしれない。

そして、義時のことは問答無用できっと憎い。
そんな義時は、実朝の京へ行く言葉を聞いて決意し、トキューサ(瀬戸康史)に語り掛ける。
「ここからは修羅の道だ。つきあってくれるな」

仲章も暗殺しようとするが、失敗。トウ(山本千尋)、任務が失敗続きだが、大丈夫か?

そして、仲章としては、義時を追い詰めるいい証拠がゲットできたことになる。義時に対して、あの勝ち誇った顔! なんて悪そうな顔! なんて腹立つ顔!

そして、サラリと義時から太刀持ちの役目を奪ってしまう。
これが、2人の運命の分かれ道だった。

拝賀式が始まった。

雪がしんしんと降り積もる。
悲劇の幕が上がる。

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–{第45話ストーリー&レビュー}–

第45話ストーリー&レビュー

第45話のストーリー

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京から大納言ら公卿を招き、鶴岡八幡宮で盛大に執り行われる源実朝(柿澤勇人)の右大臣拝賀式。泰時(坂口健太郎)が警固をする中、公暁(寛一郎)は門弟と共に木の陰に潜んでいた。御家人たちに交じり、状況を静観する三浦義村(山本耕史)。今後の鎌倉と自身の命運を賭し、儀式を見守る義時(小栗旬)と時房(瀬戸康史)。式を終えて楼門から出てきた実朝を公卿と源仲章(生田斗真)が迎えて整列すると、牡丹ぼたん雪が降り積もる中……

第45話のレビュー

美しい雪景色が血と涙でにじむ。

 

鶴岡八幡宮本宮での拝賀を終えた実朝(柿澤勇人)。そのそばには太刀持ちの源仲章(生田斗真)がいた。直前で、義時(小栗旬)と太刀持ちの役目を交代したのだ。
これで、邪魔な義時を追い落とした。「次は私が執権になろうかなあ!」と言っていた仲章だが、その実現は近い……と本人も思っていたかもしれない。しかし、そこに現れたのは公暁(寛一郎)。

「覚悟、義時!」と仲章に斬りかかる。血を見た仲章は半狂乱で叫ぶ。

「寒い……寒いぞぉ……寒いんだよぉ!」

そう叫んだ瞬間、公暁の刀が仲章を貫く。
なんで自分がこんな目に。仲章は義時の代わりに殺されたわけだ。その理不尽さが寒いという言葉になって表れたのか。もしかしたら、太刀持ちの間中、寒いと思っていたのかもしれない。その本音が出たのか。ある種、衝撃的なラストだった。
そして最後の最後まで良い表情だった、生田斗真……。
 

そして、実朝と相対する公暁。
実朝は、泰時(坂口健太郎)に言われて持っていた短刀に手をかける。
が、実朝は直前に歩き巫女から言われた「天命に逆らうな」という言葉を思い出していた。短刀を手放す実朝。
全てを受け入れたような表情を浮かべ、小さく頷く。公暁の刀を受ける実朝。その直前、泰時が叫ぶ。「鎌倉殿!」最後に実朝の耳に届いたのが、泰時の声ならば、いい。

 

義時としてみれば、邪魔な実朝と仲章を同時に片付けることができた。公暁も謀反人として始末すればよい。それで丸く収まるが、義時には引っ掛かるものがあった。
幼馴染の三浦義村(山本耕史)はどの程度、公暁の企みにかかわっていたのか。そして、義村は義時がターゲットになっていることを知っていたのか。

問われた義村は、義時への殺意を知っていたら、その場で公暁を殺していたと言って立ち去る。襟元に手を添えて。前回、明らかになった義村の嘘をつくときの癖だ。義時が信頼できる人間は、減っていくばかりだ。

 

義時にとって、もはや妻も心を許せる相手ではない。
帰ってきた義時に抱き着くのえ(菊地凛子)。のえは義時の無事を喜ぶが、当の義時の反応は薄い。

仲章が斬られなければ、のえも危なかった。言わなくてもいい

「お前も救われたな」
「あいつはお前に目をつけていた。いずれ言わなくてもいいことをしゃべっていただろう」

そして、話していたら、自分はのえを斬っていただろう、と。

そんな義時にのえは「妬いておられるのですか?」と笑って問う。
鎌倉殿が殺され、仲章も殺され、妬いた妬いてないの話をしている場合ではない。が、そんなときでもマイペースなのはのえの強さなのだろうけれど、義時は冷たい視線を投げかける。

「八重も比奈ももう少しできたおなごだった」

全国民が知っている。絶対にそれは言わなくていいことだ。

前妻と比べるなんてもってのほか……ではあるが、義時ってこういう人なのだよなあ……ということが初回から積み重ねられてきているので、ここにきてこういう効き方になるのか、と感心してしまう。
人生は積み重ねなのだと、こんなところで気づかされてしまう。

鎌倉殿がいなくなり、鎌倉の混沌は深まるばかり。
そして、義時の孤独も深まる。

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第46話ストーリー&レビュー}–

第46話ストーリー&レビュー

第46話のストーリー

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新たな鎌倉殿を迎えようと朝廷に伺いを立てる北条義時(小栗旬)、大江広元(栗原英雄)たち。実衣(宮澤エマ)が野心を燃やし、三浦義村(山本耕史)が暗躍する中、京では鎌倉への不信感をさらに高めた後鳥羽上皇(尾上松也)が、藤原兼子(シルビア・グラブ)、慈円(山寺宏一)と共に今後を見据え、鎌倉への圧力を強めていく。一方北条家では、思い悩む泰時(坂口健太郎)をよそに、のえ(菊地凛子)が愛息・政村(新原泰佑)を……

第46話のレビュー

穏やかだが、火種が燻っている。

 
実朝が殺され、鎌倉殿の不在が続いている。

京から新しい鎌倉殿が送られてくる予定だが、義時(小栗旬)としてはできればこれを阻止したい。このままでは京の言いなりになってしまうからだ。

一方で、次の鎌倉殿の座を狙っている人物がいた。実衣(宮澤エマ)だ。実衣の息子・時元(森優作)は唯一の源氏の嫡流。鎌倉殿になるには朝廷の宣旨が必要だ。どうすれば、宣旨が手が入るのか、実衣は三浦義村(山本耕史)に相談する。いや、絶対に相談したらダメな相手である。義村はシレッと手配をするよう約束するが、当然、義村は義時と通じている。

時元は討たれ、実衣は関与を疑われ、幽閉される。

義時は厳罰を辞さない。身内にだけ甘い、と言われるわけにはいかないという意見だ。

しかし、政子(小池栄子)は断固として反対する。誰かが死んでいくところを見たくない。子どもたちが死に、孫が死に、大切な人がどんどんいなくなっていく。実衣を助けたい政子に、賛成するのは泰時(坂口健太郎)だけ。大江広元(栗原英雄)も、穏やかながらも義時に賛成している。

そこで、政子が考えるようになったのは自分が政をしてみること。

広元に相談すると、「施餓鬼」を提案される。広元、普段のときと政子と話しているときとでは発声の仕方から違いませんか? なんて優しい声!そもそも、広元は政子が頂点に立つことには賛成だということもあるだろうが。

 

孤独になっていく義時の今の悩みは、どうやって京から鎌倉殿を迎えることを阻止するかだ。後鳥羽上皇(尾上松也)との駆け引きが続く。たぶん、後鳥羽上皇と義時は似た者同士なのだろう。上皇が義時を嫌うのは同族嫌悪なところがあるのかもしれない。

そこで間に立つのはトキューサ(瀬戸康史)だ。ここに来て、蹴鞠外交。蹴鞠の才能があると頼家の代から言われてきたけれど、ここで生きてくる。接戦を繰り広げた結果、引き分け(上皇に花を持たせた形だ)。そこで後鳥羽上皇は親王ではなく、別の者を鎌倉に派遣することで決着がつく。鎌倉にやってきた三寅はまだ2歳。誰が代わりに政を行うのか。義時か。……とそこで出てきたのが政子である。尼将軍の誕生だ。

 
跡取り問題は北条家でも持ち上がる。

自分の息子に家督を継がせたいのえ(菊地凛子)。しかし、義時の中では泰時と決まっている。のえは気に食わず、八重や比奈のことをくさす。それを言っちゃあいかんよ……と思うが、義時も前回ひどいことを言っていたので、おあいこと言ったところかもしれない。ここに来て、妻が敵に回る義時が本当に不憫でならない。……けど、自業自得のところもあるので、なんとも言い難い。

そして、いよいよ後鳥羽上皇との全面対決に突入か。

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–{第47話ストーリー&レビュー}–

第47話ストーリー&レビュー

第47話のストーリー

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幕府の後継者争いが発端となり、乱れる京。朝廷の象徴である内裏が焼け落ちると、後鳥羽上皇(尾上松也)は再建費用を日本中の武士から取り立てることを決める。しかし、北条義時(小栗旬)は政子(小池栄子)と大江広元(栗原英雄)の支持を得て、要求を先送りにすることを決断。泰時(坂口健太郎)をはじめ御家人たちが後鳥羽上皇との関係悪化を心配する中、三浦義村(山本耕史)は京で大番役を務める弟・胤義(岸田タツヤ)に……

第47話のレビュー

義時、全然幸せそうじゃないな、と思ってしまう。

落ち着かない鎌倉。それは京でも一緒だった。

どうにかして鎌倉、というか義時(小栗旬)を黙らせたい後鳥羽上皇(尾上松也)。そんな上皇に絶対に従いたくない義時。一歩も引かない。

 
京では源氏の末流の源頼茂が、鎌倉殿が三寅に決まったことを不服とし、謀反を起こしていた。そして、内裏に火を放ち、自らの命を絶った。

内裏が燃え、宝物も消失。この再建のために、上皇は御家人たちに費用の捻出を命じる。義時は当然、これを拒否し、御家人たちと対立することは目に見えている。それが上皇の狙いだった。

そして、事態はまんまと上皇の思い通りになる。その中で暗躍する三浦。

上皇は京都守護の伊賀光李を襲撃、自害させる。光李は義時の義兄、つまりのえ(菊地凛子)の兄である。

ここから、京は北条討伐に動き出す。上皇は、不満を抱いているであろう有力な御家人たちに院宣を送る。もちろん、三浦義村(山本耕史)のところにも届いていた。

当然、討って出るだろうと思ったが、義時は違った。

院宣で言われているのは、義時追討ということだけ。鎌倉を攻めることが目的ではない。義時は、自分が犠牲になれば鎌倉を守れると決意を固めた。

もちろん、泰時(坂口健太郎)は反対した。が、彼には止められない。

いま、義時を動かすことができるのは、政子(小池栄子)だけだ。政子は、義時を、鎌倉を救うために集まった御家人たちの前で演説をする。

上皇の狙いは義時の首だということも打ち明け、義時が憎まれても仕方がない、ということも伝える。そして、「未来永劫、西の言いなりになるか、戦って坂東武者の世を作るか」と問いかけた。涙をにじませながら、鬼気迫る政子の演説は心を打つものがある。泰時も呼応し、御家人たちも続く。

 

一度はバラバラになったように見えた北条家。しかし、「鎌倉殿の13人」の物語は、北条家の物語なのだ。政治的な側面を見せながらも、ここにきて、改めて家族の存在の大きさを見せつけた。

そして、このときだけは閉じていた目をしっかりと開く大江殿……愛……。

 

家族と言えば、のえはここの輪に入っていない。

義時は泰時が跡を継ぐことが何よりの喜びと語った。のえもそれを盗み聞きしていた。自分の息子を後継ぎにしたい。政子や実衣(宮澤エマ)に後押ししてもらおうとするが、彼女たちも泰時が跡取りだということを認めている。

のえは、妙に八重のことをくさすけれど、それは息子を後継ぎにしたいからなのか、それとも、八重のことが気に入らないだけなのか。実は八重にヤキモチを焼いていたり……ということはないだろうか、なんて。

来週、いよいよ最終回。サブタイトルは「報いのとき」。

これまでしてきたことの報いを受けるということなのだろうか。個人的には義時が鎌倉してきたことは、あくまで鎌倉のためなのに、と思ってしまう。

彼がまずかったのはのえへの物言いだ。そんな報いを受ける可能性もあるのだろうか。

なんにせよ、このサブタイトルにはさまざまな意味が込められているような気がする。

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–{最終回ストーリー&レビュー}–

最終回ストーリー&レビューのストーリー

最終回のストーリー

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反目する北条義時(小栗旬)を討ち取るため、義時追討の宣旨を出し、兵を挙げた後鳥羽上皇(尾上松也)。これに対し、政子(小池栄子)の言葉で奮起し、徹底抗戦を選んだ幕府は、大江広元(栗原英雄)や三善康信(小林隆)の忠言を聞き入れて速やかに京へ派兵することを決断。泰時(坂口健太郎)、平盛綱(きづき)らが先発隊として向かい、時房(瀬戸康史)らが続く。そんな中、三浦義村(山本耕史)は弟・胤義(岸田タツヤ)と……

最終回のレビュー

吾妻鏡を読んでいる人物。まさかの松本潤演じる徳川家康の登場だ。

家康は吾妻鏡の愛読者だったという。そして、彼もまた坂東を幕府に開くことになる。

「いよいよ承久の乱の始まりかあ」とワクワクする表情。

圧巻の、最終話が始まる。

 
家康の言葉通り、承久の乱からスタート。

泰時(坂口健太郎)を総大将に京へと攻め込む。出立時、泰時が率いるのは自分を入れて18名。が、東海道を進軍していくにつれ、御家人たちが続々と加わっていく。総勢19万。

京都の最終防衛線、宇治川で後鳥羽上皇(尾上松也)勢は必死の抗戦を繰り広げるが、なにせ、大軍である。そして泰時の策。

平盛綱(きづき)が矢を受け、あわや……というシーンがあったが、生き残る。

後鳥羽上皇に勝利した義時(小栗旬)は上皇を裁き、次の帝を決めなければならない。ここまでの歴史の勢力図が大きく変わる瞬間だ。

これでようやく終わったのか……というとき、義時が倒れる。

一度は回復するが、運慶(相島一之)が作った義時に似せた仏像を目にすると、怒りで頭に血が上る。仏像を斬ろうと刀を抜いた義時はそのまま昏倒する。

医者の見立てでは毒を盛られていたらしい。即効性はないのか、次第に体をむしばんでいくのか。

毒を盛ったのは、のえ(菊地凛子)。

息子を後継ぎにしたかった。そんなのえに向かって、義時は「もう少し早く本性に気がついていれば」と言うが、のえは「私のことなんてちっとも見ていなかったのだから、気がつくはずがない」と返す。やはり、毒を盛るまでになったのは、義時のここまでの言動と、妻への関心のなさのせいだろう。

 そして、その毒を用意していたのは三浦義村(山本耕史)だった。何度も裏切ろうとし続けていた義村。承久の乱でも上皇側につこうとしたが、形勢は北条優勢だった。つくづく時流を読むのがうまいのか、実は自分でも気がつかないうちに本心では裏切る気がないのか。

善村と共に酒を飲みかわす義時。毒が入っていると思しき酒を勧める。義村は毒が入っていると警戒し、飲もうとしないが、義時に責められ口にする。

ここでようやく本心を言いながらも足元が危うい、口も痺れ始めてうまく喋れなくなる。

「よく打ち明けてくれた。礼に俺も打ち明ける。これはただの酒だ」という義時に、義村は「ほんとだ。喋れる」。本当に……義村……。

そんな義村から打ち明け話をひとつ。

「おなごはみな、きのこが好きだと言ったが、あれは嘘だ。でまかせよ」

あの義時の「女性はきのこ好き」の原点が義村だったとは。

「早く言ってほしかったあ……」とつぶやく義時は昔の表情が少し覗いた気がして、逆に寂しくなる。

 
泰時やトキューサ(瀬戸康史)も立派に成長し、平和な世を作るために動き始める。そして、泰時による「御成敗式目」も。

(初に褒められると本当にうれしそうな泰時、かわいい)

さて、義時の最期は。

見舞いに訪れた政子(小池栄子)とこれまでを振り返る。

「それにしても血が流れ過ぎました」と血を流していった者たちをあげる。

「梶原殿、全成殿、比企殿、仁田殿、頼家さま、畠山重忠、稲毛殿、平賀殿、和田殿、仲章殿、実朝さま、公暁殿、時元殿……これだけで13」

「鎌倉殿の13人」のタイトルがここで回収され、驚いているがそんな場合ではない。

政子の表情がなくなる。

「どうして頼家が入っているの」

そう、頼家は病で亡くなったとされていた。

「だめよ、嘘つきは。自分がついた嘘は覚えてないと」

ここで、真相が分かってしまうとは。

たくさんの血が流れた。

でも、義時はまだ血を流すために生きようとする。帝が返り咲こうと画策している。それを止めなければと言うのだ。

義時の薬を手にした政子だが、その話を聞いて、手が止まる。

泰時のために、自分が手を汚す。義時の名が汚れれば汚れるほど、泰時の名は輝く。

「この世の怒りと呪いを全て抱えて、私は地獄へ持っていく」

政子は薬を床に全て捨ててしまう。

そんなことをしなくても、泰時は頼朝にも義時にもできなかったことを成し遂げる、と政子は言い切る。

「かしこい八重さんの息子」と政子。

「あれを見ていると八重を思い出すことがある」という義時には、八重の姿が見えただろうか。

 
毒を盛られたのは報い。

でき政子が薬を渡さなかったのは、頼家を殺されたことに対する報いなのかというと、少し違う気がする。これまで手を汚してこなかった政子が、最後にできること。もしかすると、これもまた政子が受けた報いなのかもしれない。

息絶えた義時。すすり泣く政子。最後まで響いていたすすり泣きが耳から離れない。

家族の物語であり、姉と弟の物語。物語の最後は、2人きりだった。

時は流れ、戦国。

さて、吾妻鏡が愛読書だったという家康はどのような世を築くのか。

それはまた、来年の話である。

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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