2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第12回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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つばさが取れてしもた……
遊園地に行く約束にわくわくしていた舞(浅田芭路)でしたが、お父ちゃん・浩太(高橋克典)の仕事が忙しくて中止になってしまいました。
第11回のラストのさだまさしさんのナレーション「明日はお父ちゃんと遊園地だ!」がほんとうに楽しそうで視てるこちらも楽しみにしていたので、しょんぼり感もひとしお。
朝ドラでは事件が起こって心配したら翌日あっさり解決することがよくありますが、「舞いあがれ!」は逆。会いたかったウサギは死に、行きたかった遊園地は中止、凧に翼をつけて飛ばしたら落ちてしまう……ことごとく期待をそがれます。
期待をそがれるのはいいものではないですが、「舞いあがれ!」に関しては意地悪されている気はしません。主人公の気持ちがいったん落ちてからが本番で、そこからどうやってあがっていくかが主題だからです。
お父ちゃんも若い頃、飛行機を作りたかったけれど、家業を継がなくてはならなくなっていまに至ります。夢を諦めれたあと、どうするか……。
とはいえ、取引先の人が冷たくて、日曜劇場ぽくなってきました。会社の経営が悪くなって、お父ちゃんが追い詰められないか心配です。
日曜劇場だったら、ここからお父ちゃんの大逆転がはじまる。あるいは、お父ちゃんが失意のどん底で悲しいことになって、残された人が奮起する。そのどちらかでしょう。前者であってほしい。
舞はお父ちゃんと飛行機を作ろうとします。古本屋さんに模型飛行機の作り方の書いてある本を探しに来ます。古本屋デラシネの店主・八木巌役は又吉直樹さん。自分の詩の本をわずか2部刷っていて、それを読んだ貴司(齋藤絢永)は言葉にできないことが言葉になっていると感動するのです。
言いたいことが言えなかったのは舞だけではなく貴司もまた。だから貴司は舞の気持ちに敏感なのでしょう。
貴司が詩に救われ、自分の書いた詩を読んで「寂しくてきれいや」と心を動かす人がいたことで店主も救われて見えました。詩人で古書店店主とは又吉さんにぴったりの役ですね。寂しくてきれい、こういう概念はすてきです。
本を開いた状態で山形に置いていた客を、貼り付けにしているようなものと叱る店主。本屋でこんなふうに本を置くひどい客はいるのでしょうか。もしいたらこれを見て反省してほしいですね。
【朝ドラ辞典 聖子ちゃんカット(せいこちゃんかっと)】 「舞いあがれ!」の回想シーンで永作博美がしている髪型。80年代特有の髪型である。松田聖子のトレードマークで、くるくるドライヤーで前髪とサイドを気合入れて巻いて固めたもの。セットがなかなか大変で、女子の気合の表れである。ほかに「あまちゃん」ではヤング春子役の有村架純がこの髪型にして登場した。あまりないが80年代を描く場合、登場人物がこの髪型にしがち。そして80年代が青春だった視聴者がSNS で話題にしがち。
(文:木俣冬)
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–{「舞いあがれ!」第3週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第3週目のあらすじ
東大阪へ帰ってきた舞は、初めて乗った飛行機にすっかり魅了されてしまう。そんな舞に父・浩太(高橋克典)は、自分の夢が飛行機作りだったことを伝える。母・めぐみ(永作博美)からは、浩太が飛行機部品のネジを作る夢を持ち続けていることを聞かされ、うれしくなる舞。
模型飛行機を自作しようと作り方の本を探しに幼なじみの貴司が通う古本屋に行く。古本屋の主人・八木(又吉直樹)の書いた詩集に心動かされる貴司。
舞は友達になった久留美も誘って、放課後は3人で古本屋で模型飛行機づくりに没頭し、仕事で苦労しているお父ちゃんたちに飛ばしてみせようとがんばる。そして10年がたち、舞(福原遥)は大学生となり、人力飛行機に出会う。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか