2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、その第5回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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よく知らない島でよく知らないおばあちゃんとふたりきり
さだまさしさんのこの↑ナレーションに尽きますね。第5回は舞(浅田芭路)がひとり島に残ることになります。
好奇心のまま磯実習にでかけた舞は見たことのない海の生き物に目を輝かせます。めぐみ(永作博美)のつくったお弁当は美味しそうでクラスメイトとも打ち解けます。
でもそこでちょっとしたパニックに陥ってしまって……。
そのとき舞は過去、徒競走で転んでしまったときのことを思い出します。舞のストレスはめぐみの過干渉ばかりではなく、舞自身が過去の失敗に囚われているようです。
舞の気持ちを慮ってめぐみが過干渉になったのか、めぐみが仕事と育児でいっぱいいっぱいになって頑張り過ぎていることが舞にストレスを与え実力を出せなくなったのか、それはわかりません。
めぐみは全部自分でやれると抱え込むタイプ。祥子が「島のみんなが見てくれとる」と言うものの、ひとりでやると意地を張ります。
若干、頑張っている自分に酔ってしまうところもあるから舞は気を使ってめぐみの言動をなんでも聞いてしまうのかも。自分のしていることを肯定してもらいたいめぐみの気持ちを慮って、舞は自分のしたいことを抑え込んでしまうという悪循環を、祥子(高畑淳子)がずばっと断ち切ります。めぐみにひとり、東大阪に帰れと言うのです。
ゆっくりでいい、と「おかえりモネ」みたいなことを伝えてくるドラマですが、展開は早くて、来た!帰った!みたいな感じなのですが、小さい子が、ひとり島に残されて、やだ!とごねないところが舞の立派なところ。でもそれも「わたしと一緒にいたらお母ちゃんしんどそうやから」と気を使ってのことなのです。健気過ぎる。そんなことし続けていたらそりゃあしんどくなりますよね。
祥子のおかげでガス抜きというか本音を口にすることができるようになった舞、おばあちゃんに島でたくましく育てられそうです。
祥子のあとを追うように海岸を歩きながら舞がばらもん凧を見る場面はなんだかジブリアニメを見るような気持ちになりました。
「なつぞら」では草刈正雄さんがヒロインなつ(広瀬すず)をたくましく育てるおじいさん役でした。そのときおじいさんの昔なじみの役だった高畑さん。今回はヒロインを育てる役割になりました。
【朝ドラ辞典 祖母(そぼ)】
基本はホームドラマである朝ドラには欠かせない存在。核家族以前の大家族で暮らす時代を踏襲し、朝ドラでは主人公が三世帯で暮らしていることが多い。主として祖母は主人公にやさしくあたたかく接する存在。名優がキャスティングされ、作品を引き締める。人気キャラになることもある(例:「あまちゃん」の夏ばっぱ(宮本信子)。「ちゅらさん」のおばぁ(平良とみ))。ときには途中で亡くなってナレーションとして見つめ続けることもある。(例:「ごちそうさん」「おかえりモネ」)
関連語:祖父
(文:木俣冬)
木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中
–{「舞いあがれ!」第1週目のあらすじ}–
「舞いあがれ!」第1週目のあらすじ
1994年、大阪府東大阪市。小学3年生の主人公・岩倉舞(浅田芭路)は、ネジ工場を営む父・浩太(高橋克典)、母・めぐみ(永作博美)、そして兄・悠人(海老塚幸穏)の4人家族。
舞は原因不明の発熱で小学校を休みがちだった。久しぶりの登校で飼育係になり、そこで生涯の親友となる望月久留美(大野さき)とウサギの世話をすることになるが、そのウサギが脱走。必死に探す舞。
舞の幼なじみ・梅津貴司(齋藤絢永)が見つけてくれて事なきを得たが、走り回ったせいでまた発熱してしまう。そんな舞の症状に、浩太とめぐみは医師から環境を変えることを勧められる。そして、めぐみは、結婚以来帰ることのなかった故郷の長崎・五島へ、舞を連れていくことを決意する。
–{「舞いあがれ!」作品情報}–
「舞いあがれ!」作品情報
放送予定
2022年10月3日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか
作
桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太
音楽
富貴晴美
語り
さだまさし
主題歌
back number「アイラブユー」
制作統括
熊野律時、管原 浩
プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか
演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか