「ちむどんどん」第121回:いよいよ最終週。矢作の店のほうが活気があって料理が美味しそうに見える

続・朝ドライフ

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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第121回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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いよいよ最終週

嵐のようにいろいろなぎ倒すように突き進んだ「ちむどんどん」もあと5回です。「やんばる!ちむどんどん!」(演出:木村隆文)のはじまりは暢子(黒島結菜)がやんばるにUターンして1年、実家でレストランを開こうと思いつきます。

毎週日曜、地元野菜と郷土料理の勉強会を開いていたときに思いついたのです。

「こんな献立はうちらの代で終わってしまうかもしれないねえ」とおばぁが料理を前に名残惜しそうに言います。その目の前にあるのは2022年代のおしゃれなアレンジメニューという印象です。まだ、80年代ですが、2006年の映画「かもめ食堂」から盛り上がったやさしい食の物語のムードです。若い視聴者や女性には親しみやすくしているのでしょうね。

器もかわいい、おしゃれ食物語、筆者も決して嫌いではありません。ですが、沖縄が本土復帰してから10年強の80年代前半。高度成長期が収まってバブルが来る前の低成長期の日本で、沖縄はどんな感じだったのか歴史を知りたいと思う理屈ぽさが、ふんわりやんばる食堂物語に流されてしまうことを邪魔するのです。

おばぁが「なつかしいさあ」「こういうの食べられるお店ないしねえ」と暢子のアレンジした地元料理を相変わらず喜んでいます。沖縄を観光地的に扱わない気配りから、いろんなことを曖昧にしているわりに、基本的な地元の人たちと地元の料理の描写が観光目線そのものなのはなぜなのでしょう。この感覚は和彦の妙にぶしつけな取材の仕方と同じに思えます。そういう意味では一貫しているんです。このドラマで気を配っているところがどこかということをじぃっと見ていれば、わかってくることがありますよ。

いっそ一気に時代を飛び越えて、2022年、沖縄本土復帰50年、暢子が郷土料理をおしゃれにアレンジし、みんなで沖縄に移住しましょう、沖縄再発見、という流れにしたらわかりやすかったのではないでしょうか。

どちらかというと、東京で引き継いだ矢作(井之脇海)の店のほうが料理人の活気があって、シンプルに沖縄そばが美味しそうに見えました。矢作の後ろで働いている従業員の方がちょっとしか見えないけどよく働いている雰囲気に見えました。こんもりキャベツもいい感じ。やっぱりキビキビ動くことが大事なんだと思います。

暢子がたくさんの野菜をもって海を見ている、まるで、マヨネーズとかドレッシングとかのCMのようです。芋もって立ってる姿も好きでした。こういうときの黒島さん、とても素敵。たぶん、CMの仕事が増えると思います。地元に戻ってからのほうが垢抜けて見えるのが面白いです。

暢子はおばあたちからノウハウを学び、ひさしぶりにメモしています。

「海も山もつながっている」(優子〈仲間由紀恵〉

出た、「おかえりモネ」。

そう、NHKはいま、絶賛SDGs推しです。地方都市に移住して農業や漁業で自給自足する生き方の提案。家をレストランにするために資材を善一(山路和弘)が隣人たちと持ってきてくれる。これもSDGs。&「ゆいまーる」(助け合い)。

最終週だからいろいろぶっこんできていますが、結局、SDGsに収束する。朝ドラとはNHK がアピールしたいことをテーマにするドラマということかもしれません。そしてその使命を全うした主演俳優はCMの仕事がたくさん入ってきてウィンウィンになる。たぶん、そういう素敵な循環に我々視聴者は巻き込まれているのです。そこはわかったうえでおつきあいしていきましょう。

サーターアンダギーを美味しそうに食べる健彦(三田一颯)を見て、いまはこんなにかわいいけれど、将来、賢秀(竜星涼)のようになりはしないかと不安になりました。まあ和彦(宮沢氷魚)の血が入っているから大丈夫かな。いやでも、内向的でちょっとオタク気質で根拠なき自信だけある能天気な浪費家というような気質になったら最悪ですよね。

智(前田公輝)のお母さん・玉代(藤田美歌子)が健在でした。初期に出て以来、まったく出て来なかったからどうなっているのかと心配していました。

ミステリアス・まもるちゃん(松原正隆)が「吾輩は猫である」を読んでいて、猫だった?という意味なのだろうかとも思いましたが、それにしては房子(原田美枝子)の荷物を持ったり働いているからなあ……。

(文:木俣冬)

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–{「ちむどんどん」第25週目のあらすじ}–

「ちむどんどん」第25週目のあらすじ

暢子(黒島結菜)が沖縄やんばるに移住してから、毎日の畑仕事が楽しくてたまらない。和彦(宮沢氷魚)も、健彦(三田一颯)もここでの暮らしを満喫、歌子(上白石萌歌)は無事に智(前田公輝)と結婚した。暢子はさらに、地元野菜などを生かして、やんばるで食堂を開きたいと思いつく。そんな中、東京からフォンターナのオーナー・房子(原田美枝子)がやってくる。房子の用件は意外なもので…。そして順調に見えた比嘉家に、思いもしなかった大きなわざわいが…。

–{「ちむどんどん」作品情報}–

「ちむどんどん」作品情報

大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――

ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。

放送予定
2022年4月11日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人

作:
羽原大介

語り:
ジョン・カビラ

音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)

主題歌:
三浦大知「燦燦」

沖縄ことば指導:
藤木勇人

フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子

制作統括:
小林大児 藤並英樹

プロデューサー:
松田恭典

展開プロデューサー:
川口俊介

演出:
木村隆  松園武大 中野亮平 ほか