「ちむどんどん」第85回:「シークワーサーが食べたい」と暢子。そういえばシークワーサー忘れられていたよね

続・朝ドライフ

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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第85回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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ぬいや〜

ってどういう掛け声。

そう喚いて、権利書を取り返した二ツ橋(高嶋政伸 たかははしごだか)。

「カメ」(by暢子)のポーズで権利書を守り抜きます。

そう、これこれ、房子(原田美枝子)もテーブルから取ってしまえばよかったと思うんですよね。できそうな距離感だったし。

「カメ」だから手も足も出ず、ただ権利書を抱えて守るしかない二ツ橋。と、そこへ、三郎(片岡鶴太郎)が現れます。

権田(利重剛)とはシベリア時代の関係があって、一件落着。

三郎、無双。

ここで得られる教訓は、人には親切にしておくものだということです。

フォンターナを縁もゆかりもないと言いながら、うちの娘(暢子)が働いていると言う三郎。

こっそり聞いている房子の微妙な表情。第84回で恋バナをして「惚れちゃった」と言ったときの声のかわいさとか、「だめ 今ここを開けるのはだめ」とドアをかたくなに開けない姿とか、恋する房子はなにかかわいいのです。

お互い気にかかっているのに、会えない房子と三郎をなんとかしたい暢子は

「あ〜シークワーサーが食べたい」と久しぶりに無敵のシークワーサーのことを思い出します。

シークワーサーを食べなくても閃きました! 披露宴をフォンターナでやると言い、三郎に「まずは相手のお母さんのことが先なんじゃねえのか?」とたしなめられます。

やっぱり、暢子が他者への配慮がないのはわざと描いているようです。周囲の大人たちに学んで、一歩、一歩、ゆっくりと成長していくのでしょう。

お父さん(大森南朋)→房子→田良島(山中崇)→三郎

の順に助けてくれる人が登場してきます。

和彦のほうは重子を説得。

「美味しいものがいっぱい出る。母さんとも一緒に食べたい」

まるで小学生のようなセリフです。和彦、すっかり幼くなりましたね。重子の前では子供に戻ってしまうのでしょうかね。

黒島さんも宮沢さんも才能があると思うのですけれど、この内容とセリフは、子役さんたちでやったら全然違った印象だっただろうなあと思います。あるいは、どうも暢子や和彦の言動を見ていると、アニメ絵が浮かんできてしまうんですよね。意識的に単純化しているのだと思うんですが。

黒島さんは「アシガール」や「SICK’S」の頃ならハマったのかなという印象で、でももう大人になられて、天真爛漫な野生児のような役がちょっと大変そうに思います。ただ、第85回で、三郎に、房子とこのままではいけないと真剣に語る場面は想いが伝わってきました。

宮沢さんは、ドラマのあとの「あさイチ」にご出演予定がコロナに感染されて欠席されました。
でも彼の印象を共演者が語るVTRだけ流されて、そこでは、役とは違う、生真面目で紳士的な一面が紹介されました。

筆者もシネマズプラスでインタビューしましたが、ひじょうに知性的な印象で、沖縄のことにも意識を向けて語る姿が頼もしかったので、和彦がこんなにも未熟な役になるとは思いもよらなかったです。逆に、こういう役も演じることができるという幅広さでもあるとは思います。

暢子がつくったラフテー弁当を、中原中也の詩「無題」を浮かべながら食べる重子。その詩は、
激しい恋の詩です。そこに、和彦と暢子を重ねるのも良し、かつての三郎と房子を重ねるのもまた良し。

中原中也の詩と彼の実話を知ると、こんなにも一般的なルールに則って生きることが大変な人たちがいて、それがこんなにも美しい詩に昇華するんだなあと思います。

この世界、思い込みの強さがものを言う。それがバカップルになるか、高尚な芸術になるか、紙一重なんです。

演じている黒島さん、宮沢さんの資質を生かし、和彦と暢子がやがて成熟して素敵な物語に昇華されますように。

「絶対許さないんだから」と言いながら、パクパクお弁当を食べてる重子がいじらしかったです。

(文:木俣冬)

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–{「ちむどんどん」第17週目のあらすじ}–

「ちむどんどん」第17週目のあらすじ

暢子(黒島結菜)が勤める西洋料理店「アッラ・フォンターナ」に突然やってきたのは、以前フォンターナに勤めていた矢作(井之脇 海)だった。かつて店に多大な迷惑をかけた矢作がいまさらどうしたのか。その矢先、フォンターナには大事件が発生する…。一方で、暢子と和彦(宮沢氷魚)の結婚に反対する、和彦の母・重子(鈴木保奈美)は、なぜか和彦の上司・田良島(山中 崇)のもとを訪ねていた。

–{「ちむどんどん」作品情報}–

「ちむどんどん」作品情報

大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――

ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。

放送予定
2022年4月11日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人

作:
羽原大介

語り:
ジョン・カビラ

音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)

主題歌:
三浦大知「燦燦」

沖縄ことば指導:
藤木勇人

フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子

制作統括:
小林大児 藤並英樹

プロデューサー:
松田恭典

展開プロデューサー:
川口俊介

演出:
木村隆  松園武大 中野亮平 ほか