<ユニコーンに乗って>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

(C)TBS/撮影:加藤春日

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永野芽郁主演のTBSテレビ火曜ドラマ「ユニコーンに乗って」が、2022年7月5日放送スタートした。

大北はるかが脚本を手掛けた完全オリジナルストーリーの本作は、スタートアップ企業の女性CEOが突然部下としておじさんサラリーマンが転職してきた中、仕事や恋に奮闘していく“大人の青春”ドラマ。若きCEO・成川佐奈をTBSドラマ初主演となる永野芽郁、佐奈の部下となる小鳥智志を西島秀俊が演じる。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・「ユニコーンに乗って」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー


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成川佐奈(永野芽郁)は教育系アプリを手掛ける「ドリームポニー」のCEO。5年前、大学に潜り込んで聞いた羽田早智(広末涼子)の特別講義をきっかけに、3年前に起業。10年以内にユニコーン企業となり、世界中の人々が利用できるようなビジネスにすることを目標に日々奮闘中。だが、売上・技術ともに行き詰まる毎日に焦っていた。

そんな佐奈を心配するのは共同創設者の須崎功(杉野遥亮)。佐奈が忍び込んだ大学で知り合い、今では気の許せるビジネスパートナーである。須崎は現状を変えるため、即戦力となる人員の補充を佐奈に提案。早速、ネットで求人募集をし、面接を開くこととなる。

その面接にやってきたのが、中年サラリーマンの小鳥智志(西島秀俊)だった。ひと回りも年が離れ、プログラミングの経験もなく、即戦力とは言い難い。だが、「御社の理念である“ITの力ですべての人が平等に学べる場所を作りたい”という思いに強く共感し、ここにやってまいりました」という小鳥の言葉を、佐奈はどうしても振り切ることができずにいた——。

ユニコーン企業…評価額が10億ドル以上(1ドル110円換算で1,100億円)、設立10年以内の非上場のベンチャー企業を指す言葉。

第1話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

永野芽郁が主演を務めるTBS火曜ドラマ「ユニコーンに乗って」がスタート。本作は教育系スタートアップ企業の若き女性CEO・佐奈(永野芽郁)と、部下として転職してきたおじさんサラリーマン・小鳥(西島秀俊)をはじめとした仲間たちによる“大人の青春ドラマ”だ。

物語は高卒の佐奈がもぐりで大学の授業に参加、警備員に見つかり全力で逃げる爽やかな幕開けとなった。なぜ、佐奈はそのようなことをしていたのか。それは貧しい家庭に育ち、満足な教育環境に身を置けなかった経験から、教育格差をITの力で解決する会社の設立を夢見ていたからだ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

その夢を見事に叶え、佐奈は忍び込んだ大学で出会った須崎(杉野遥亮)、栗木(前原滉)と共に教育系スタートアップ企業「ドリームポニー」を立ち上げた。まさに、“雑草魂”。だけど、佐奈は話を聞いて、まず脳裏に浮かべる女性起業家のイメージとは異なっているのが面白いところ。

どこか自分に自信がなく、側から見てもちょっと頼りない。売上・技術ともに行き詰まり、会社の存続が危ぶまれても仲間に相談することができず、一人で問題を抱え込む佐奈。かと言って、現状を打破する解決策は見つからないし、自身が憧れる有名な女性起業家・羽田早智(広末涼子)の足元にも及ばない。

(C)TBS/撮影:加藤春日

しかし、そんな彼女だからこそ、応援せずにはいられない輝きを放っている。肩書きはCEOとはいえ、中身は等身大の26歳。四六時中「仕事」のことで悩み苦しみ、でも時には「恋愛」の二文字が頭をよぎり、これからの人生について思いを馳せたりする。私たちと何も変わらない一人の女性がそこにいて、何だかほっとするような気持ちにもさせられるのだ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

そんな佐奈は「ドリームポニー」採用面接で、中年サラリーマンの小鳥(西島秀俊)に出会う。骨太な刑事役を演じることが多い西島秀俊だが、今回演じる小鳥はこの作品における癒し系キャラだ。「おかえりモネ」(NHK総合)の朝岡さんみたく、豊富な人生経験をもとにヒロインの悩みにそっと寄り添う役割を担っている。

部下をかばって26年間勤めていた地方銀行を退職し、佐奈の理念に共感して面接を受けにきた小鳥。プログラミング経験はなく、ITリテラシーは0に近い。即戦力にならない小鳥はもちろん不採用となるが、後日偶然出会った佐奈に彼は事業成長のヒントを与えてくれた。

(C)TBS/撮影:加藤春日

それは「昔抱いた夢を今も変わらず持ち続けている」ことが佐奈の最大の強みであること、そして、人はいくつになっても“学びたい”という気持ちを持っていることだ。

小鳥の言葉に奮い立たされた佐奈は受験生だけではなく、「全ての人が平等に学べる場所を作る」ことを目標に新たなビジネスの構想を練る。早智の言葉通り、まだまだ課題はある。それでも、不安に満ちていた佐奈の表情がパッと明るくなる瞬間が印象的だった。

(C)TBS/撮影:加藤春日

小鳥や現役大学生の森本(坂東龍汰)が加わり、新たなスタートを切った「ドリームポニー」はユニコーン企業(評価額が10億ドル以上、設立10年以内の非上場のベンチャー企業)になることを目指す。

きっとその上で課題となってくるのは、世代差だけではない。プログラミング能力は高い一方で、コミュニケーションが苦手な森本や、帰国子女の恵実(青山テルマ)がいたりと、価値観も性格もバラバラ。そんな彼らが一つの目標に向かってひた走る姿は、誰もが尊重される社会づくりのヒントを与えてくれるはず。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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元銀行員の小鳥(西島秀俊)と、天才エンジニアの現役大学生・海斗(坂東龍汰)を仲間に加えた新生「ドリームポニー」。CEOの佐奈(永野芽郁)は早速ネットの仮想空間に誰もが無料で通えるバーチャルスクール「スタディーポニーキャンパス」を作るという新たな目標を設定! 実現に向けて、まずは現在のアプリを大幅リニューアルすることに。

佐奈は開発のための資金獲得に奔走するが、ベンチャーキャピタルの担当・白金(山口貴也)から、追加投資の条件として20万人の新規ユーザー獲得を提示されてしまう。てんやわんやな状況で焦りも募る中、IT用語に疎く、社内チャットも使いこなせないアナログ人間の小鳥は、小さなトラブルを連発! そんな小鳥に佐奈はついイライラ……

そんな中、須崎(杉野遥亮)は、短期間でユーザーを増やすべく、元カノのインフルエンサー・凛花(石川恋)の協力を仰ぐことに。一方の小鳥は、一人ひとりのユーザーに向けて商業施設でのアプリの体験会を提案。そのアナログな施策に疑問を抱く佐奈だったが…。

第2話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

「流れと遅い流れ。速さの違う二つの川が混じり合うことで潮の目が生まれる。そこにたくさんの魚たちが集まってくるみたいに」

元銀行員の小鳥(西島秀俊)と、天才エンジニアの現役大学生・海斗(坂東龍汰)を仲間に加えた新生「ドリームポニー」は、ネットの仮想空間に誰もが無料で通えるバーチャルスクール「スタディーポニーキャンパス」を作るという新たな目標に向かってリスタートを切った。

そのファーストステップとして、現在のアプリを大幅リニューアルすることに。そのためには、まず資金調達が必要。しかし、佐奈(永野芽郁)はベンチャーキャピタルの担当・白金(山口貴也)から、追加投資の条件として20万人の新規ユーザー獲得を提示される。

(C)TBS/撮影:加藤春日

それぞれが奔走する中、アナログ人間の小鳥が起こす小さなトラブルが周囲に波紋を広げていく。チャットもうまく使いこなせず、一つひとつの作業に若い人よりも遥かに時間がかかる小鳥。あたふたしている中年のおじさんを周りが呆れた眼差しで見る光景はかなり切ない。

特にイライラを募らせていくのは、佐奈に想いを寄せる須崎(杉野遥亮)だ。会社の理念に誰より共感してくれているというだけで、佐奈が小鳥に肩入れしている理由がさっぱりわからない。だが、思わぬ形で須崎は小鳥が持つパワーを知ることとなる。

(C)TBS/撮影:加藤春日

須崎の元カノである凛花(石川恋)をはじめ、インフルエンサーたちの力を借りて短期間でのユーザー獲得を目指す佐奈たちだったが、その計画は難航。一方、小鳥は商業施設でのアプリ体験会を提案する。

あまり効率がいいとは言えない方法だったが、それが功を奏した。体験会で一人ひとりのユーザーと接したことで、どんな人がこのアプリを必要としているのか、彼らが何を求めているのか、というレビューだけでは分からないことが次々と見えてきたからだ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

早智(広末涼子)が言うように、新しいものにすぐ飛びついて、すぐに飽きる若者たちの世界。その流れに追いつかなきゃと無駄を省いてしまう気持ちも分かるが、大事なことを見落としてしまうかもしれない。インフルエンサーマーケティングで一時的にユーザーが増えても、本当にいいと思えるようなアプリじゃなきゃすぐにアンインストールされてしまう。

だから回り道だとしても、作り手が直接ユーザーにアプリの魅力を伝え、更にそこで得た要望を反映させることが事業の安定には必要なのかもしれない。小鳥が持つのは焦らず、まずは本質に立ち返る力だ。簡単なようで、誰もが忙しなく働く現代社会ではきっと難しい。

(C)TBS/撮影:加藤春日

小鳥が加わったことで、「ドリームポニー」に“潮の目”が生まれた第2話。でも小鳥の存在は会社だけではなく、佐奈と須崎の関係にも“潮の目”をもたらしている。

大手不動産グループの一人息子で、裕福な家庭で育った須崎と、家が貧しくて、思うように教育が受けられなかった小鳥。佐奈が自分とは真逆の環境で育った須崎と、似たような境遇を持つ小鳥のどちらに惹かれていくのか、まだ検討もつかない。

だが言えるのは、自分がずぶ濡れになってまで佐奈に傘を差す小鳥も、自分では隠してるつもりなのかもしれないが、常に感情がダダ漏れで自分より遥かに年上の小鳥にライバル心を燃やす須崎も可愛すぎるということ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

今回小鳥と早智がひょんなことから出会い、年齢も立場も違う四角関係に発展する予感も。大人たちが仕事だけではなく、恋にも奔走する青春ドラマ「ユニコーンに乗って」から目が離せない。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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小鳥(西島秀俊)の歓迎会で酔いつぶれてしまった須崎(杉野遥亮)は翌朝、おぼろげながらも誰かとキスをした記憶に悶々とする。もしかして相手は佐奈(永野芽郁)だったかも…? とあたふたする須崎。しかも佐奈は、どこかよそよそしい態度で、須崎の不安は深まるばかり。

そんな中、ドリポニメンバーは、自社アプリの認知度を上げる施策を考案。小鳥の提案で、テレビ出演もはたすほど人気の慶成大学のクイズ研究会「クイズマップ」とコラボを試みることに!
早速動き出した一同は、須崎と佐奈が出会った場所でもある慶成大学のキャンパスへ。そこで小鳥は、佐奈と須崎、栗木(前原滉)の出会いから起業するまでの話を知ることに。そこには、ドリームポニーが「社内恋愛禁止」になった経緯や、佐奈と須崎の間にあった淡くて切ない恋の思い出、そしてふたりが“一番のビジネスパートナーでいること”を決めた秘密が隠されていて…!?

第3話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

学生時代から佐奈(永野芽郁)を一途に思い続ける功(杉野遥亮)。「ユニコーンに乗って」第3話では、二人が出会ってからのストーリーが描かれた。

大手不動産グループの一人息子として生まれた功は学生時代、空虚感を抱えながら生きていた。

容姿端麗で生い立ちは最強。プログラミング能力も高く、成績も良し。

誰からも羨まれる存在だが、功は卒業したら父親の跡を継ぐことが決まっていて、やりたいことも夢もない自分を蔑んでいるようだった。

(C)TBS/撮影:加藤春日

そんな功の人生を大きく変えたのが、佐奈との出会いだ。恵まれた環境を持たずも、「全ての人が平等に学べる場所を作る」という夢に向かってひた走る佐奈。

最初は自分とは何もかも真逆の彼女に対するただの興味だったのかもしれない。だけど佐奈の夢に協力する過程で、功は初めてやりがいを手に入れた。

佐奈に対する興味もいつしか尊敬に変わり、尊敬は恋心に変わっていく。

(C)TBS/撮影:加藤春日

ビジネスコンクールで優勝したら起業。そんな一つの目標に向かい、佐奈と功、そして次郎(前原滉)は多くの時間を共に過ごした。

学生時代特有のちょっとしたことで壊れそうな、だけど絶妙なバランスで保たれている人間関係が眩しい。

佐奈と功はたしかに惹かれ合っていた。でも、佐奈が功と最高の“ビジネスパートナー”になることを選んだのは、互いの居場所を守るため。

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それは恋人よりも持続可能な関係性を望んだとも言えるが、功の気持ちを考えると切ない。

彼が30歳までは恋愛しないと決めている理由は、この時「もしお互いに30になっても相手がいなかったら、その時は結婚するのもありだよな」と独り言を呟いたところ、佐奈がたまたま寝言で「うん」と答えたからだった。

杉野遥亮の佐奈を見つめる表情がたまらない…!どうか報われてくれ、と視聴者の願いが合致した瞬間だった。

(C)TBS/撮影:加藤春日

そんな中、「ドリームポニー」の仲間になった小鳥が二人の関係にどんな影響を与えていくのだろう。小鳥は小鳥で、早智(広末涼子)との恋が芽生えそうな予感だが、彼の存在が徐々に佐奈にとっての支えになりつつあることが気になる。

無意識のうちに父親を求めているのか、それとも男性として惹かれているのか。いずれにせよ、小鳥の登場で功に焦りが芽生え始め、佐奈との関係に変化が現れることは間違いない。

その時、私たちは誰を応援すればいいのか。もうすでに頭を抱えてしまいそう。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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起業家と投資家をつなぐマッチングサイトで、投資家の高山(飯田基祐)と出会った佐奈(永野芽郁)。「ドリームポニー」の理念に共感し、1億円の投資を前向きに検討したいという高山に、佐奈と須崎(杉野遥亮)は大喜び! 小鳥(西島秀俊)のアシストもあり、とんとん拍子で話は進んでいく。そして、そんな追い風を受けた須崎は、ある出来事を機に絶縁状態にある父親と向き合うことを決める。

一方小鳥は、趣味のバードウォッチングをきっかけに知り合った早智(広末涼子)の家に招かれていた。しかし小鳥は、あろうことか早智とのメッセージのやり取りを社内のチャットに誤送信! 栗木(前原滉)達ドリームポニーの面々は、「小鳥さんがデート!?」と大盛り上がり!

そんな矢先、順調だったはずの投資話に思わぬ落とし穴が!?
新たな壁を乗り越えようともがくうちに、佐奈と小鳥の間には信頼関係が芽生え始めて──

第4話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

佐奈(永野芽郁)と高山(飯田基祐)が出会ったのは、恋人を探すアプリではなく、起業家と投資家をつなぐマッチングサイトだった。

事業の資金調達に奔走する佐奈たちの姿が引き続き描かれる「ユニコーンに乗って」第4話。

年齢や価値観も異なる者同士がむやみに傷つけ合うことなく、共生していくにはどうすればいいのか。今回も、そのヒントが物語の至るところに散らばっていた。

(C)TBS/撮影:加藤春日

「ドリームポニー」の理念に共感し、1億円の投資を前向きに検討したいという高山。救世主現る!と思いきや、高山は投資を餌に若き女性起業家を食いものにしようとしていた。

異変に気付いたのは、小鳥(西島秀俊)。バードウォッチングをきっかけに知り合った早智(広末涼子)の家に招かれていた小鳥は、彼女が投資家と会う時に気をつけていたことを聞く。

それは、見た目から女らしさを消すこと。女性だからと舐められないためでもあるが、下心で近づいてくる投資家も少なからずいるからだ。佐奈はまさに今、早智と同じ経験にぶち当たっていた。

(C)TBS/撮影:加藤春日

九死に一生を得て、小鳥と功(杉野遥亮)に助け出された佐奈。取り乱さないように自分を無理やり落ち着かせる彼女に気付いたのは功だ。

過度に心配したそぶりを見せず、「さっきの再現」「ほら、ストレス発散!」とあくまでもじゃれ合いの延長線上で佐奈の恐怖を取り除く功。もうあんた100点満点の良い男だよ、優勝!と讃えたくなる。

遠くから二人の様子を見守る小鳥に私はなりたい。

(C)TBS/撮影:加藤春日

しかし、そんな微笑ましい光景から一転、佐奈たちには現実的な問題がのしかかってくる。高山からの融資は白紙となり、このままでは後10ヶ月で会社の資金がショートするというのだ。

サービスを継続していくためには”課金制度”を導入するしかないのでは、と海斗(坂東龍汰)から提案を受け、多くのメンバーは賛同を示す。

それは「全ての人が平等に学べる場所を作る」という理念に反するという佐奈の意見に共感してくれたのは小鳥だけだった。

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「功にはわからないと思う」

佐奈が思わず零してしまったこの一言で、社内は険悪なムードに変わる。できるなら、“課金制”は導入しない方がいい。佐奈が言った通り、課金できる誰かとできない自分を比べて嫌な思いや悔しい思いをする人たちが絶対にいる。

だけど、現実的な側面も見なければいけない。そんな状況下で、誰かのルーツを否定することだけはしちゃいけなかった。金銭的には恵まれていたかもしれないが、功もまた父親に認めてもらえないという別の苦労を抱えているのだから。

(C)TBS/撮影:加藤春日

そんなすれ違った佐奈と功を、小鳥の存在が再び結びつける。「ピッチ」「ナイスケミ」など、頑張って“若者用語”を使う小鳥を微笑ましく見ていたが、それこそ佐奈たちに必要な姿勢だった。

自分と年齢や価値観が異なる人の言葉や行動は、どうしても理解しにくい。理解してるつもりでも受け入れがたい、ということも往々にしてある。

だけど、頭から否定するのではなく、まずは出来ることから相手のアイデアに乗っかってみること。功が父親なりの愛情に理解を示し、小鳥に倣ってスーツ姿やお酒で敬意を表したように。

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小鳥の存在は、多くの人にとって大きなものとなりつつある。「ドリームポニー」にとっても、そして早智にとっても密かに。

絶対に相手を否定しない。器が広くて、怒りとか悲しみとかトゲトゲした感情を包み込んで丸くしてくれる小鳥。そんなの惹かれざるを得ない。小鳥とハイタッチした時の佐奈のはにかみは、仲間として距離が近づいたことへの喜びなのか、それとも……?

第5話で佐奈の小鳥に対する感情がようやく明らかになりそうだ。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー


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「スタディーポニーキャンパス」の開発資金を集めるべく、ビジコンに挑戦することを決めた佐奈(永野芽郁)たち。無事書類審査を通過し社内は優勝を目指して活気に満ちていた。

そんな中、佐奈は、靴を壊してしまった小鳥(西島秀俊)のために新しい靴をプレゼントすることに。しかし、なかなかそれを履いてくれない小鳥にもやもや…。さらに小鳥の先日のデート相手が早智(広末涼子)だったことが発覚し、思わず動揺してしまう。なぜそんなに小鳥が気になるのか、自分でもよくわからず戸惑う佐奈。一方の須崎(杉野遥亮)も、そんな佐奈の様子を複雑な思いで見つめていた…

そんな中、着々と迫るビジコン本番。しかし、ドリポニは本番直前に大きな課題に直面!
強敵も立ちはだかる中、果たして佐奈たちは優勝を勝ち取ることができるのか…!?

第5話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

「スタディーポニーキャンパス」の開発資金を集めるため、ビジコンに出場することを決めた佐奈(永野芽郁)たち。普段から学祭前夜のようなワクワクに満ちているドリームポニーだが、大きなイベントともなると、何かしらトラブルや関係性の変化も起きる。

まずは、佐奈の小鳥(西島秀俊)に対する感情だ。

投資家によるセクハラから、自分を救い出してくれた小鳥に何かお礼がしたいと考える佐奈は、考えた末に新しい靴をプレゼントすることに。もちろん、小鳥は喜んでくれたが、一向に履いてくれる様子はない。

その矢先、小鳥の先日のデート相手が憧れの早智(広末涼子)であることが発覚。佐奈はなぜか自分でも正体の分からないモヤモヤを募らせていく。

(C)TBS/撮影:加藤春日

何気ない相手の言動に一喜一憂するなんて、もはや恋では?と思う一方で、佐奈の気持ちはそんなに単純でもないような気がする。

営業先の開拓で的確なサポートをしてくれたり、プレゼン前の緊張を欲しい言葉でほぐしてくれたり……。母子家庭育ち・長女、さらにCEOという立場も加わった佐奈にとって唯一自然に頼れるのが小鳥なのではないだろうか。

もちろん功(杉野遥亮)も誰より佐奈のことを気にかけてはくれているが、佐奈からすれば、彼はビジネスパートナーで対等な存在。どちらかといえば、佐奈は小鳥に“父親”を求めているような気がしてならない。

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だが、功もまた、小鳥を気にする佐奈を複雑な思いで眺めていた。それでも、明らかに以前と変わったところがある。それは「全ての人が平等に学べる場所を作る」という佐奈の理念により歩み寄ろうとしているところ。

海斗(坂東龍汰)のプログラミング技術で高クオリティなアプリが完成。しかし、それだけにハイスペックなスマホでしか快適に操作できないという問題が発生した。

それでは誰もが平等にという理念に反してしまうがプレゼンまで時間もなく、以前の功だったらアプリの改良に反対していたかもしれない。だけど、功は佐奈の意見に賛同した。それは生まれや、育った環境の違いをも乗り越えて佐奈と向かい合う覚悟を決めたからなのだろう。

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一度は匙を投げた海斗(坂東龍汰)をはじめ、小鳥はどんなことがあっても相手を理解することから逃げ出したりしない。功もそんな小鳥に影響され始めている。

自分の不甲斐なさを突きつけられながら、それでも佐奈を真っ直ぐに見つめる功。やっぱりそんな彼に報われてほしいと願わずにはいられない。思わず、「好きだ」と口にしてしまった功の思いに佐奈はどう答えるのか。ビジコンで優勝したドリームポニーの未来に加え、ふたりの関係性からも目が離せない。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー


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ビジコンで優勝し、勢い余って佐奈(永野芽郁)に「好きだ」と思いを打ち明けてしまった須崎(杉野遥亮)。早智(広末涼子)からの3億円の融資も決定し、勢いに乗るドリポニと対照的に、佐奈と須崎の間には溝ができてしまう。さらに、須崎は「ゲームアカデミア」の CEO・永瀬(松尾貴史)から引き抜きの話を持ちかけられて…!?

そんな中、佐奈に更なるトラブルが! 母・美佳子(奥貫薫)が仕事をクビになってしまったのだ…。女手一つで育ててくれた母をどうにか助けたい佐奈と、母としてのプライドから娘のサポートは受けないと意地になる美佳子。思いがぶつかり合い、佐奈は母との関係までギクシャクしてしまう。そんな佐奈のために、小鳥(西島秀俊)は、ある作戦を決行することに…!?

第6話のレビュー

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ビジコンで見事優勝を果たしたドリームポニー(以下、ドリポニ)。審査員の一人だった早智(広末涼子)も、「仮想空間に誰もが通えるバーチャルスクールを作る」というドリポニの構想に共感を示す。

なんと、その開発に3億円を投資したいというのだ。憧れの人からの願ってもみない申し出に心を震わす佐奈(永野芽郁)。

しかし、「成功の後にピンチはやってくるもの」「今こそ、チームビルディングを大切に」という早智の言葉通りに、ある試練が彼女に降り注ぐ。

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一つは、功(杉野遥亮)からの突然の告白だ。3年間、ドリポニの「社内恋愛禁止」ルールを律儀に守り続けていた功だが、小鳥(西島秀俊)の登場によって彼の中で焦りが芽生え始めていた。

それは、佐奈が明らかに小鳥を意識しているから。そんな中、ドリポニで優勝を果たした勢いに乗り、功は佐奈に想いを伝えてしまう。

佐奈からの返事は、「私たちは最高のビジネスパートナー」。もう功が彼女から言われ尽くした言葉だった。

(C)TBS/撮影:加藤春日

この出来事により、ギクシャクし始めた二人の関係は社内の空気をも悪くしてしまう。チームの団結が何より大事な時期に、CEOとCTOが決裂してしまうのはかなりマズイ。

しかも、そんな最中に功はビジコンの審査員だった「ゲームアカデミア」の CEO・永瀬(松尾貴史)から引き抜きの話を持ちかけられる。

だが、皮肉にもこの誘いを受けて、功は佐奈と一緒に“仕事”をすることが自分の生きがいであることに気づく。そのためには自分の気持ちを押し殺し、佐奈が望むビジネスパートナーであり続けることを決意する功が切ない。

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一方、ずっと佐奈が功をどう思っているのか……についてはあまり語られてこなかったが、今回は少しだけ見えてきたことがある。

佐奈は功が寝ている自分に「お互い30歳になっても相手がいなければ、結婚するのも有りだよな」と語りかけた言葉を、実は起きていて聞いていたのだ。その上で、寝言かのように「うん」と答えている。

きっと、佐奈の中にも踏み出したいけど踏み出せない功への気持ちが眠っているんじゃないだろうか。

(C)TBS/撮影:加藤春日

ただ、佐奈にとって、小鳥もメンタル安定剤のような無くてはならない存在になりつつあることも否めない。佐奈と母・美佳子(奥貫薫)の間にあった小さなわだかまりを解いたのも小鳥だった。

夫が起業で失敗した経験から、佐奈の仕事をどこかで認めることができないでいた美佳子。自身が失業し、依里(武山瑠香)の進学費用が払えるかどうかの瀬戸際でも、佐奈から金銭的なサポートは受けられないと意地になる。

そんな事情を知った小鳥は、社員の家族を会社に招く「ファミリーデー」の開催を提案。

社員の働きぶりを知ってもらえば、家族にも安心してもらえる。それに、お互いの家族を知っていれば、予期せぬトラブルの時もフォローし合えるというメリットづくしだ。

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ただ、佐奈にとって、小鳥もメンタル安定剤のような無くてはならない存在になりつつあることも否めない。佐奈と母・美佳子(奥貫薫)の間にあった小さなわだかまり小鳥が、美佳子にかけた言葉も素晴らしい。

「(佐奈が)あたたかで豊かな心を持つ女性になれたのはきっと、お母様からたくさんの愛情を受けて育ったからではないでしょうか」

佐奈がどれほど頑張ってきたかを伝えるだけではなく、それに比べて自分は…と卑下する美佳子をも救う言葉だ。

つい意地を張ってしまったり、何かから逃げ出してしまったり、そういう人の行動の裏に隠された本当の思いを小鳥はいつも理解しようとしてくれる。

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友人同士で起業し、かつては「学生のお遊び」と言われてきたドリポニ。当人たちは本気だが、たしかに社員同士の仲の良さゆえに、ちょっとした衝撃で壊れかねない不安定さもあった。

そこに小鳥が現れたことで、ドリポニは太い支柱を手に入れたような気がする。こんな棒一つで?と最初は疑ってかかっても、後からその存在のありがたみを感じるような安定感だ。

第6話のラストでは、「スタディーポニーキャンパス」の技術特許がゲームアカデミアからすでに申請されていることが発覚。その騒ぎと同時に、海斗(坂東龍汰)の冷たい眼差しが映し出された。

本当のピンチはここから。だが、小鳥がいれば、なんとかなりそうな気がしてしまうのは私だけだろうか。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー


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順調に進んでいた「スタディーポニーキャンパス」の制作。しかし、永瀬(松尾貴史)率いるゲームアカデミアが、ドリポニの技術を横取りし、特許を出願していたことが発覚! なぜ技術が漏洩したのかと動揺する佐奈(永野芽郁)たちは、ここ最近、海斗(坂東龍汰)が不審な行動を取っていたことに気付いてしまう……。須崎(杉野遥亮)が海斗を問いただすも、海斗は黙ったまま会社を飛び出してしまうのだった。

仲間の裏切りに落ち込む佐奈たち。そんな様子を見かねた早智(広末涼子)の計らいで佐奈たちはリフレッシュ合宿へ行くことに! 各々が気持ちを切り替えて豊かな時間を過ごす中、偶然、小鳥(西島秀俊)と2人きりになった佐奈は、小鳥といると心が穏やかになることに気がつき───

第7話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

誰もが無料で通えるバーチャルスクール「スタディーポニーキャンパス」。通称、スタポニの技術が永瀬(松尾貴史)率いるゲームアカデミアに横取りされた。

特許出願を目前に控えた矢先の出来事に、動揺を隠しきれない佐奈(永野芽郁)。ここ数日不審な動きを見せていた海斗(坂東龍汰)に情報漏洩の疑いがかけられるも、彼は何の言い訳もしないまま会社を去っていく。

かつてない張り詰めた空気とともに始まった「ユニコーンに乗って」(TBS系)第7話。しかし、意外にも今話は、夏の季節にふさわしい青春感溢れる回となった。

(C)TBS/撮影:加藤春日

ドリポニの偉大な協力者・早智(広末涼子)の粋な計らいで、リフレッシュ合宿に出かけた佐奈たち。仲間の裏切りに傷ついた心は、楽しい時間に少しずつ癒されていく。

同時に胸がぎゅっと締め付けられるような切なさも味わうこととなる。特に自分の気持ちを奥にしまい込み、最高のビジネスパートナーであり続けることを選んだ佐奈と功(杉野遥亮)の微妙な距離感がもどかしい。

(C)TBS/撮影:加藤春日

次郎(前原滉)との会話の中で、何気なく「好きだったなぁ」と功への思いを口にした佐奈。確実に両思いだったはずなのに、プライベートでもパートナーを組む道を選べなかった理由。

それはやはり恋愛になった瞬間、これまで二人の間に合った(例えば、川ではしゃぐ時のような)居心地の良さが失われてしまうかもしれないからなのだろうか。

ドキドキと胸を打つ、不快にもなり得る複雑な感情を抜きに佐奈は功と向き合い続けていきたいのかもしれない。

(C)TBS/撮影:加藤春日

佐奈の“好き”という感情には、かなりグラデーションがある。小鳥(西島秀俊)に対するそれも恋愛感情とは断言できないモヤモヤっとしたものだ。

小鳥と一緒にいると、「心がポカポカする」と表現した佐奈。年齢はうんと上なのに、新しい価値観に抵抗がない。だけど、そうじゃない人も取り残して前に進んだりはしない。常に価値観の異なる人と人の間に立ち、その手を繋ぎ合わせてくれる。

(C)TBS/撮影:加藤春日

「小鳥さん、学校の先生になりたかったんじゃないかな」と推測する佐奈。彼女の小鳥に対する気持ちも、学生時代にみんなの人気者だった先生に抱く、淡い憧れのようなものなんじゃないだろうか。

自分を理解してくれて、肯定してくれて、だけどそれはみんなに対しても同じで。強烈に惹かれるわけではないけれど、そばにいると何だか嬉しい。自分が一番先生の仲良しな生徒でいたい。

……みたいな、名前のつけられない感情。同い年の男の子との恋愛とは違って、最初からどこかで叶わないことが分かっているからこそ、下手に傷つかなくても良かったりする。

(C)TBS/撮影:加藤春日

登場人物は全員20歳を超えた大人なのに、そういう甘酸っぱさが本作には詰め込まれている。だけど、これはあくまでも会社が舞台だから、佐奈たちは目の前の仕事にも向き合わなきゃいけない。

海斗が抜けた今、スタポニの開発を成功させるためには彼と同じだけのスキルを持ったエンジニアが必要となる。そこで正体不明の天才エンジニア“ミン・ソヌ”をスカウトするべく、彼が出場するeスポーツ大会に参加を決めた佐奈たち。

前年度の優勝チームは、なんと海斗が現在身を置くゲームアカデミアだ。果たして、本当に技術を同社に流したのは海斗なのか。そうだったとして、それは彼の意志だったのか。第7話では伺い知ることができなかった海斗の思いが明らかになることを願う。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー


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海斗(坂東龍汰)の裏切りをいまだに信じられないながらも、前に進むため新たなエンジニアの採用を決意した佐奈(永野芽郁)たち。ネット上で名を轟かす正体不明の天才エンジニア“ミン・ソヌ”をスカウトするため、無謀にも彼が出場するeスポーツ大会に参戦することに!

そんな中、小鳥(西島秀俊)が突然会社を早退。心配に思った佐奈は、須崎(杉野遥亮)の後押しを受けて、小鳥の自宅を訪問する。そこで佐奈は、今まで明かされなかった小鳥の私生活と秘密を知ることに……

一方、早智(広末涼子)は、特許の横取りはゲームアカデミアの永瀬(松尾貴史)の企みの序章ではと佐奈に忠告する。その言葉に、海斗の裏切りも永瀬が仕掛けた罠だったのではとハッとする佐奈たち。真実を知るべく動き出した佐奈は、海斗の隠された過去と真相に近づいていき───

第8話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

角の立つ言い方ではあるが、的確なアドバイスでドリポニを良い方向に導いてきた海斗(坂東龍汰)。優秀なエンジニアであり、同時に大切な仲間を失ったことは佐奈(永野芽郁)たちに大きなダメージを与えた。

しかし、「スタディーポニーキャンパス」のローンチも間近。彼らは新たなエンジニアの採用に乗り出す。まずは、その第一候補である正体不明の天才エンジニア“ミン・ソヌ”をスカウトするため、彼が出場するeスポーツ大会に参戦。

第一試合は海斗の転職先、ゲームアカデミアのチームと当たることに……。

とは言っても、eスポーツ初心者の佐奈たちが決勝までたどり着くことは現実的に難しく、早々に諦めることに。

(C)TBS/撮影:加藤春日

そんな中、小鳥(西島秀俊)が突然会社を早退。佐奈は心配になり、小鳥の自宅を訪問する。実はシルバーホームで暮らす父親(小野武彦)が怪我をして、しばらく自宅療養することになったそうだ。

そこで知った小鳥の過去。母親が病に倒れたときは大学を休んでつきっきりで看病し、家計を支えるために稼ぎのいい銀行に就職……。「本当に優しくて自慢の息子だよ」と言う父親に、小鳥は心配をかけたくないのか、今の仕事については打ち明けられないでいた。

(C)TBS/撮影:加藤春日

もう一つ明らかになったのは、やはり小鳥は教師を目指していたということ。勉強が苦手で、鳥の観察ばかりしていた幼き日の小鳥少年は、先生から「色んな勉強をすることで好きなことをより深く知れる」と教わったそうだ。

子供の頃にどんな大人と出会うかで、人生は大きく変わる。

良い大人に巡り会えた小鳥は、誰もが共通して通う学校に子供たちの未来を広げられる可能性を見出した。

(C)TBS/撮影:加藤春日

だが、学校に馴染めない子どもたちがいることもまた事実。海斗もその一人だ。

結果的に、海斗は仲間を裏切ったわけではなかった。ゲームアカデミアの社長・永瀬(松尾貴史)の巧みな罠にかかってしまっただけ。

それでも海斗が言い訳をしなかったのは、高校時代にテストの解答用紙をハッキングした疑いをかけられ、誰も信じてくれなかった過去があったから。

周囲からなぜか嫌われる理由も分からず、家に引きこもるようになったという海斗。しかし、たまたま佐奈のインタビュー映像を目にしたことで、学校という環境が合わない自分のニーズが全て詰まったスタポニのユーザーに。

(C)TBS/撮影:加藤春日

自分もいつか、こんなアプリを作りたい。そんな思いが海斗を突き動かし、再び外の世界へと連れ出したのだ。エンジニアに過重労働を強いるゲームアカデミアから抜け出し、改めてドリポニの面接を受けにきた海斗はそんな過去を打ち明ける。

「ここで出会ったみんなは僕をひとりの人として扱ってくれました。僕の居場所はここにしかありません」

全ての人が平等に学べる場所を作る。そんな佐奈の思いが、誰かの未来をすでに広げていた。

国籍、年齢、性別、育った環境、価値観……。すべてバラバラなドリポニメンバーが、それらの違いに関係なく誰もが勉強できる場所を作るという思いで再び一つになる。

(C)TBS/撮影:加藤春日

だが、一難去ってまた一難。佐奈は早智(広末涼子)からドリポニ買収を持ちかけられ、功(杉野遥亮)は父の会社がとあるトラブルに見舞われていることを知る。

二人の決断がドリポニのどんな未来へと導くのか。物語も佳境を迎え始めた。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー


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念願の「スタディーポニーキャンパス」ローンチの喜びも束の間、早智(広末涼子)から、ドリームポニー買収を持ちかけられた佐奈(永野芽郁)は、戸惑いを隠せない。大切な会社を手放すことなど考えられない佐奈。功(杉野遥亮)と栗木(前原滉)も同じ想いであることを確認し、買収の話を断ることに。しかし、早智の「もっと先の未来は想像できているか」という言葉にひっかかりを覚えてしまい……

一方、父・征一(利重剛)の会社が、顧客情報流出トラブルに見舞われたことを知った功は、父の助けになりたいと願い、あるスタートアップ企業が開発した最先端のセキュリティーシステムの導入を提案。しかし父に無下に却下され、旧態依然とした大企業の姿勢にもどかしさを感じていた。

それぞれモヤモヤを募らせる佐奈と功。しかし2人は、小鳥(西島秀俊)の助言もあり、互いの悩みに共通点を見出す。そして解決に向けて道を切り拓くことを決意! そして、そんな2人の決断が、ドリポニとそれぞれの運命を大きく動かしていくことに──

第9話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

(C)TBS/撮影:加藤春日

ドリポニに変化の時が訪れた「ユニコーンに乗って」第9話。

佐奈(永野芽郁)は早智(広末涼子)から提案された会社の買収を受け入れ、功(杉野遥亮)は父・征一(利重剛)の会社へ参入する決意を固め、ドリポニを去る。二人はそれぞれの夢に向かって、走り出した。

(C)TBS/撮影:加藤春日

(C)TBS/撮影:加藤春日

大手企業によるスタートアップ企業の買収に当初は良いイメージを抱いていなかった佐奈たち。会社が乗っ取られる、ドリポニがドリポニではなくなる。そんな負の側面ばかりが目に入り、誰もが買収には反対の立場を取っていた。

しかし、このタイミングで海外からも「スタディーポニーキャンパス」の需要があることが分かる。自分たちの持つ資源では対応に時間を要することにもどかしさを覚えた佐奈は大手企業の技術や経験、ノウハウを取り入れられるM&Aに前向きな姿勢を見せていくが、創業メンバーの一人である次郎(前原滉)と真っ向から意見が対立する。

(C)TBS/撮影:加藤春日

(C)TBS/撮影:加藤春日

一方、功は父親の会社が古い体制が災いし、顧客情報流出トラブルに見舞われたことを知る。あるスタートアップ企業が開発した最先端のセキュリティーシステムの導入を提案するも、確実性の低さから征一は聞く耳を持ってくれない。

つまり、佐奈と功の悶々とした気持ちは対になっていることが分かる。大手企業もスタートアップ企業もお互いの体制をよく知らないから、いまいち信頼できないということだ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

(C)TBS/撮影:加藤春日

それでも全く異なる企業同士が手を組むことにメリットがあると、佐奈と功が考えるのは身を以て新しい風を取り入れる大切さを知っているからだ。佐奈と功、次郎の3人でスタートした会社に恵実(青山テルマ)が加わり、そこに海斗(坂東龍汰)と小鳥(西島秀俊)がやってきた。

特に自分たちとは年齢もタイプも大きく異なる小鳥を仲間に加えることに、誰もが最初は不安を抱いていたが、その人生経験値と本質に立ち帰る力はドリポニを良い方向に導いてくれた。でも、それだけじゃない。佐奈たちの柔軟なアイデア力や、海斗をはじめとするエンジニアの確かな技術力が合わさってドリポニはここまで来れたのだ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

(C)TBS/撮影:加藤春日

それと同じように大手企業とスタートアップ企業も足りないところを補い合い、より高みを目指すことはできないか。そう考えた佐奈と功はそれぞれの決断を下す。

佐奈は変化を受け入れ、早智の会社と共に「全ての人が平等に学べる場所を作る」という夢を追いかけていくことを。功は父の会社で、「大企業とスタートアップをつなぐ架け橋になる」という自分だけの夢を追いかけていくことを。

二人が別々の道を歩むことになったのは物悲しいが、会社のため、お互いの人生を守るため、自分たちに課した「最強のビジネスパートナーでいる」という鎖はここで解き放たれた。別れのハグで改めて気づいたであろう、仕事のパートナーとして以上の気持ちを二人が打ち明けられますように。「ユニコーンに乗って」は次週、ついに最終回を迎える。

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー


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サイバーモバイルとM&Aという形で手を組み、新たなスタートを切ったドリームポニー。念願の世界進出へ向けて動き出し、佐奈(永野芽郁)は充実した日々を送っていた。

しかし、ふとした時に思い出すのは会社を去った須崎(杉野遥亮)のこと──
“ビジネスパートナー”ですらなくなってしまった今、佐奈は須崎に連絡を取ることもできずにいた。心に空いた穴を誤魔化すかのように、ひたすら仕事に打ち込む佐奈だったが、無理がたたり体調を崩してしまう…
そんな佐奈にそっと寄り添う小鳥(西島秀俊)。佐奈の異変をずっと気にかけていた小鳥は、佐奈にある助言をする。

一方、新たな職場で夢を追い始めた須崎もまた、日常の中でふいに佐奈を思い出していた。蓋をしたはずの気持ちがぶり返し、もやもやを募らせる。

ついに結末に向けて動き出す、佐奈と須崎、そして小鳥。戸惑いながらも、前に進んできた彼らが最後に見出す希望とは…!? 大人の青春の行方をお見逃しなく!

第10話のレビュー

(C)TBS/撮影:加藤春日

「もうビジネスパートナーじゃない」

それぞれの夢に向かって、別々の道を歩み始めた佐奈(永野芽郁)と功(杉野遥亮)。友達でも、恋人でも、ただの同僚でもない。そして、これまで二人の関係を定義づけてきた“ビジネスパートナー”というラベルも剥がれた。

「ユニコーンに乗って」の最終回は、そんな佐奈と功のこれ以上ないくらい幸せな結末が描かれる。

(C)TBS/撮影:加藤春日

功が去った後のドリームポニー(以下、ドリポニ)。CEOには引き続き佐奈、CTOには次郎(前原滉)が着任し、早智(広末涼子)率いるサイバーモバイルと新たなスタートを切った。

M&Aによってドリポニの知名度が向上したことで、みんな大忙し。特に会社の顔として、佐奈はビジネス誌の取材に応じたり、コラボ企業との打ち合わせに出かけたりと、会社にいない時間も増える。

怖くなるほど順調。しかし、佐奈は心から会社の成功を喜べないでいた。

(C)TBS/撮影:加藤春日

それはやっぱり、功がいないから。どんなときもそばで佐奈を支え、嬉しいときは一緒に喜んでくれた功。失って初めて、佐奈はその存在の大きさに気づく。

一方、功もまた蓋をしていた佐奈への気持ちが顔を出す。でも、「もう一緒にいる理由がなくなった」と無理やり諦めようとする功の背中を押してくれたのは、なんと彼にずっと思いを寄せていた凛花(石川恋)だ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

「なにそれ、だっさ。理由がないと、好きって気持ちまでなくなるわけ?」

そんなはずはない。むしろ理由がなくなってから、これまで以上に佐奈も功も互いを求める気持ちは膨らんでいる。

もどかしいくらい、近づいたと思えば離れていく二人の距離感。踏み出せなかったのは、どちらも一緒にいられる居場所を壊したくなかったからだ。

(C)TBS/撮影:加藤春日

CEOとして仲間の人生を背負い、自分の気持ちより仕事を優先した結果、佐奈は迷子になってしまった。無理を続ける彼女をそばで見てきた小鳥(西島秀俊)はそう語る。

思えば、佐奈はずっと誰かのことばかり考えて生きてきたのではないだろうか。満足な教育環境に身を置けなかった悔しさをバネに、同じ思いをしている人たちのために立ち上がった佐奈。

そのために青春を捧げ、恋も諦めて、夢だった会社を立ち上げた後も仲間を守ることを第一優先にした。そんな彼女に、小鳥の「CEOじゃないときの自分も大事にしてあげてください」という言葉が突き刺さる。

(C)TBS/撮影:加藤春日

今度はドリポニのCEOじゃない、成川佐奈という一人の女性として幸せになる番。佐奈と功が結ばれるのは、二人が出会った慶成大学だ。

佐奈はあの頃の早智のように壇上に立ち、起業家としての経験を語る。

「どんなに優秀な起業家でも一人で何でもできる人はいません。だから、足りないところを補い合える素敵な仲間を見つけてください。同じ夢を持つ仲間さえいれば、どんなこともアイデアとチームワークで乗り越えられます」

佐奈は性格や価値観、世代がバラバラで、だけど思いを共有できる仲間に出会えた。お調子者だけど、会社への愛は誰より強い次郎。帰国子女ではっきりと意見を伝える、明るい恵実(青山テルマ)。

学校という場所に馴染めず、引きこもっていたところからスタポニによって再び外の世界へと足を踏み出した海斗(坂東龍汰)。佐奈と同じような環境で育ち、48歳で一念発起してドリポニに転職した小鳥。

そして、生まれや育ちを乗り越えて、いつも佐奈と目線を合わせてくれた功だ。そんな功に対する佐奈の気持ちが今、溢れる。

「信頼も尊敬も友情もある。だけど、本当は恋も愛も全部ある」

(C)TBS/撮影:加藤春日

二人を幸せな結末へと導いてくれた功労者、小鳥もまた新たな道へと踏み出す。未来のIT人材を育成するために、サイバーモバイルが社員を小学校に派遣するプロジェクトに参加を決めたのだ。

そのためには一年間会社を離れなければならず、最初は足踏みをしていた小鳥だが、その背中を佐奈が押す。

(C)TBS/撮影:加藤春日

「私は小鳥さんと出会ったことで、夢を持つ大切さを思い出すことができました。小鳥さんの言葉に何度も救われました。一緒にいると何歳になってもチャレンジしてもいいんだと、勇気をもらえます」

佐奈にとって、小鳥は希望や未来を象徴する“ユニコーン”のような存在だという。それと同じように、本作自体が見る人に希望を与える“ユニコーン”だった。

やりたいことをやるには色んなしがらみがある。だけど、自分とは違うものをたくさん持った誰かと一緒に考えてそのしがらみを取り除けたらいい。「ユニコーンに乗って」はこの夏の夜、頬をそっと撫でる爽やかな風のようなドラマだった。

(文:シネマズ編集部)

※この記事は「ユニコーンに乗って」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「ユニコーンに乗って」作品情報}–

「ユニコーンに乗って」作品情報

出演者
永野芽郁/西島秀俊/杉野遥亮/坂東龍汰/前原滉/石川恋/青山テルマ/山口貴也/武山瑠香/寺嶋眞秀/広末涼子

脚本
大北はるか

音楽
青木沙也果

主題歌
DISH// 「しわくちゃな雲を抱いて」
(ソニー・ミュージックレーベルズ)

プロデュース
松本友香
岩崎愛奈

演出
青山貴洋
棚澤孝義
泉 正英

編成
青木伸介
森岡 梢

製作著作
TBSスパークル
TBS